主神代理
運動で、手首を痛めてしまい投稿が遅れました!
本当に、申し訳ありませんでした。
m(_ _;m)三(m;_ _)m
その部屋には、ルピア陛下と国神ネルンが座り後ろには、カリオスとレオそしてユリスが立っている。反対側には、シルバと魔術師らしき男と騎士が立っている。雰囲気は、とてもギスギスしている。
「レレット王国を、支援する代わりにカリオスを貸してくれない?だいたい、3年くらいで良いよ。」
「断る。部下を、他国に売るなど私が許さん。」
シルバの言葉に、ルピア陛下は素っ気なく言う。
「別に、売れとは言ってないじゃない。」
「お前、1国の王に喧嘩を売っているのか?」
ルピア陛下は、不愉快なのを隠す様子もなく言う。すると、霧が部屋の中に入ってくる。
「何か、面白そうな話をしているね………。」
ユラは、フードを取り満面の笑顔を浮かべる。そして、シルバの隣を素通りして行く。次の瞬間、魔術師の首を掴み床に軽く叩き付けた。
その場を、沈黙が支配をする。
「ちょっと、僕の使いに何を………」
「言葉には、気を付けろ人間。お前が、誰にもの申しているか知らない訳でははあるまい……」
ヴァイスは、低い声でシルバを睨み付け槍を構えている。シルバは、寒気に降参のポーズを取る。
「我、主の代わりに裁きを降す。神王ハイリヒ、主の命にて汝の罪を決めし者だ。最後に何か、申し開きが有るのならば聞いてやる手短に告げよ。」
ユラは、殺伐とした雰囲気で、その声音は鋭く少し低い声である。そして、魔術師の男を石ころのように見ている事から、ユラの逆鱗に触れたのだろうとカリオス達は判断する。そして、シルバもそう思ったのだろう。シルバは、男を見捨てる判断をした。
「お前、神を怒らせるなんて何をした!」
しかし、その判断は大間違いであった。
ユラは、黄金の瞳をシルバに向けている。そして、不愉快そうな表情をする。ユラには、嘘はたいして効果や意味をなさないのだから。ヴァイスも、汚物を見るような視線を向けている。だが、シルバは動揺していて全く気付かなかったのだ。
「さて、お前の罪は竜国の神聖なる墓場を荒らし、多くの遺骨を盗んだ事。そして、安らかに眠る竜の魂をもて遊んだ事。そして、それを国を貶める為に使った事だ。瘴気は、遺骨に宿りし清い魂も蝕む。もう、彼らに安らかな眠りは訪れまい。」
ユラは、魔術師に変装した死霊術師に告げる。そして、振り向きつかつかシルバの目の前に立つ。
「お前の罪は、部下の管理不足。そして、墓場を荒らすよう命じた事。そして、死霊術師に命じてこの国を荒らした事だ。それと、国から追い出されしルドの末裔よ……白夜から、伝言を預かっている。」
すると、カリオス達は目を丸くしてシルバを見る。
「………………。」
「君は、やはり馬鹿だね。この世界で、1番に怒らせてはならない神様を激怒らせちゃってさ。まぁ、これも仕方ない事なのかな。うーん、頑張って生き残ってね。まぁ、死んじゃっても良いけど。」
ユラは、暢気に声真似しながら言う。
「それで、裁きはどうなるのですか?」
「……汝に、穢れと災厄の祝福(※呪い)を与える。安心しろ、死ぬ事は絶対ないからな。」
シルバは、内心は思わず笑っていた。神王が裁くと聞いて、思わず身構えたが大した罰では無いなと。
すると、シルバの手の甲に印がついて、禍々しく光輝く。次の瞬間、激痛に悶絶する。気絶して、身体を痙攣させてる事からかなりの激痛なのだろう。
「死ぬ事は絶対に無いが、死にたくなるような激痛には襲われるよ。何せ、竜神の呪いだし。」
ユラは、そう言って薄く冷酷な笑みを浮かべる。
これには、カリオス達も青ざめている。ルピア陛下は、これでも生ぬるいとか呟いている。
そして、死霊術師に近付いてから言う。
「お前は、初代竜神が眠る洞窟に行って貰う。そこには、竜の英雄達が死んだ墓場にもなっている。お前なら、その技術と力で竜の英雄魂達を従えて殺せるだろ?そしたら、罪を全て許してやる。」
死霊術師は、必死に頷いている。ユラは、竜王を呼んで死霊術師を連れて行くよう命令する。
「お前は、本当に惨い事をするな。洞窟には、英雄なんて行ってないし魂は寄り付かない。」
リューは、笑いながらユラを見ている。ユラは、薄く笑ってから首を傾げて冗談っぽく言う。
「竜国の絵本では、英雄が死に場所として選んだ場所だよ。まぁ、所詮はお伽噺話だけど。実際、あそこは初代竜神の住みかだ。しかも、本人はアンデットドラゴンに成り果ててる。奴は、アンデットドラゴンの栄養として生きたまま喰われて終わりさ。」
すると、カリオス達は複雑な表情である。ユラは、国神ネルンに近付いてから心配そうに言う。
「ネルン、お久しぶり。一応、アンデットドラゴンの浄化は完了してるけど身体は大丈夫なの?」
「はいっす!本当に、申し訳ないっす。」
ネルンは、困ったように苦笑する。
「さて、神殿の清掃と供物のお礼をしよう。もう、この国に異常気象は起きない。それと、少しだけ大地の恵みを与えよう。ただ、呪われた大地だから効果が上手く行き渡るか不明だが。」
「まぁ、そこは仕方ないっす。強い恩恵は、国を滅ぼすし災厄にもなるっすから。」
ユラは、深いため息を吐き出す。ヴァイスは、槍を消してからいつもの笑顔を浮かべている。
「あー、疲れた!帰りたい!」
「ユラ様、お疲れ様です。」
ユラは、いつもの雰囲気で言う。ルピア陛下は、ユラに近付いてから、爽やかな笑みで暢気に言う。
「ユラの爵位は、まだ残っている。何故なら、爵位の件は主神様が決めた事だからな。仕事も、残業ばかりでストレスがあるから暫く休みという事にしてある。だから、いつでも戻って来て良いからな♪」
満面の笑顔で、自分を見ながら言うのを見てユラは全力で視線を逸らす。ヴァイスが、口を押さえて笑っているのを見てムスッとなる。
「ヴァイス、笑ってんじゃないの!」
「でっ、では……仕事に戻ります。」
ヴァイスは、礼をして逃げるように去った。ルピア陛下は、思い出したかのようにユラに言う。
「屋敷だが、メイドや執事達を戻してある。勿論、給料は王宮で出しているがな。それと、国庫にある預り金が多くなっている。なるべく、早めに全ての預り金を受け取って欲しい。勿論、いらないとかは認めないからな。あれは、貴族としてお前が稼いでるようなものだし。さて、私からは以上だ。」
「解雇しといて、僕が屋敷に帰れるとでも?」
すると、カリオスは思わず笑っている。ユラは、視線を向けるがすぐ逸らす。ルピア陛下は、苦笑。
「ユラは、本当に難儀な性格をしているな。」
「それに、主神様が忙しいから今の僕は主神代理なんだよね。だから、山積みの仕事を終わらせないとなぁ。暫くは、神殿で仕事をしなきゃだよ。」
本当に、嫌そうな表情をして言う。
「そうか、暫くは帰れそうにないか。わかった!」
「それと、もう僕の事が怖く無いんだね。」
ユラは、カリオス達を見てから素っ気なく言う。
「まぁ、ユラはユラだしね。」
「そう、良かった。いつまでも、怖がられたままはとても辛いからね。さて、僕もそろそろ行くよ。」
ユラは、空気に溶けるように消えた。




