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間違えて運に極振りしちゃったけど召喚士なら何とかなりますか? ~召喚で出てくる魔物が異常個体ばかりなんですけど!~  作者: やおよろずの
第四章 六大ギルドになっちゃおう!

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097 ただいま、ギルドルーム①

今回短めです。

ギルドルームに戻ってきた私たち。

クランクさんたち黄歯車団(イエロー・ギア)の面々がカンカンやってるかな──と思ったんだけど……。


「あれ……工事、やってない?」

「そのようですね、マスター」


私はアルテミスと顔を見合わせた。


ギルドルームの前から塀沿いにかけて地面が掘り返されていて、溝の中にはいくつか部品も置かれている。

二階の窓や屋根まで届く足場も組まれてるし、入口の脇には工具や部材の詰まった箱がいくつも積まれてる。


明らかに工事中の見た目……だけど、肝心の黄歯車団(イエロー・ギア)の人たちが、どこにもいない。

私が不思議に思っている横で、モーリー像はモーリー門をいつもの場所にどしんと置くと、その隣でぴたりと固まった。


『サキ、昇格おめでとう。君の試験に同行できて、かなりクールな体験だったよ。正直、ゴーレムと会えなかったのは残念だけどね:|』

「モーリーも戦ってくれてありがとう! ちょっとピンチもあったけど、モーリーの強さがよく分かったよ!」

『ハハ、実のところ、今回の試練の難易度はかなり控えめに設定しているんだけど──いや、ここでそういうことを言うのは、あまりクールじゃないね。とにかく、役に立てたなら何よりだよ。さて、午後は本でも読んで過ごそうかな:)』

「分かった、また読みたい本があったら教えてね。……って、像が自分で買いに行くか」

『そうだね。彼は僕の手足だけど、実のところ、かなり自由だからね:)』


というわけで、モーリーを入口に残し、私たちはギルドルームの中へ。


中では、リンドールさんとザラ、それからゴブリンズが優雅にティータイム中だった。


リンドールさんは、相変わらずティーカップを持つ所作までお嬢様。

ザラも、普段のゆるい感じに反して、こういうときの所作はきっちりしている。

そしてゴブリンズは、やっぱり無表情のまま、手の中でやけに小さく見えるティーカップのお茶をぐいっと流し込んでいた。


でもムキムキの大男二人が無言でお茶を飲んでいるのも、これはこれで映画のワンシーンみたいかも。


「皆さん、ただいまです!」

「苦っ……って、サキさん。戻ってきたのですね。おかえりなさいませ」

「にが~……。あっ、マスターお疲れさまです~!」


二人とも優雅なティータイムとは思えない、苦い顔をしていた。


「……何飲んでるんですか?」

「マナエーテルですわ」


ああ、マナエーテル……だからあんな顔をしてたんだね。

改良されて飲みやすくなったとはいえ、苦いものは苦いよ……。


でも、どうしてわざわざマナエーテルを飲んでいるんだろう。

そう思っていると、リンドールさんが苦い顔のままティーカップへ目を落とした。


「マナエーテルをさらに改良しようと思いまして、こちらはその試作品ですの。……味的に失敗してしまったようですが」

「マスター、これほんと苦いです~……。よく毎日飲んでますね、尊敬します……」

「まあ、改良前を知ってるからね。これでもだいぶマシになったんだよ、リンドールさんのおかげで。改良前は……ううっ……」


やば、あの生命活動が止まるほどの苦さを思い出したら、気持ち悪くなってきた……。


……マナエーテル改良品のお試し会にザラたちも付き合わされてたってことか。

全然、優雅なティータイムじゃなかった。どちらかというと治験……。

ご愁傷様です……。


「例の魔狼の眼球(ガルムアイ)を使った監視用魔術具を作っていたのですが、どういうわけか色々と錬金の着想がわいてきたのです。それで、いてもたってもいられなくなり……」

「なんで魔狼の眼球(ガルムアイ)からマナエーテルの着想が……?」

「さあ、わたくしにも分かりませんわ」


リンドールさん自身も不思議そうに小首を傾げた。


でも、ゲームの錬金だとあるあるだよね。

全然関係ないものを作っていたのに、錬金レベルが上がった途端、全く関係ない新しいレシピを思いつく──みたいなの。


「マナエーテルはどういう改良をするつもりなんですか?」

「味の面、効果の面、両方思いついてますの。どうしようかしら」

「味の面でお願いします!」

「まあ、考えときますわ。……それよりも、昇格試験はどうでしたの?」

「はい、色々ありましたけど……モーリーとアルテミスのおかげで無事合格できました!」

「まあ、おめでとうございます!」

「流石マスターです~! お姉さまも流石です♡」

「お姉さまと呼ぶな」


パチパチと拍手してくれるリンドールさんたちに「ありがとうございます!」と頭を下げて、

帰ってきてからずっと気になっていたこと──クランクさんたちのことを聞いてみる。


「ところで、黄歯車団(イエロー・ギア)の皆さんはどこへ行ったんですか?」

「それが……体調を崩してしまったそうですの」

「えっ、そうなんですか!?……でも確かに、クランクさん昨日から具合が悪そうでしたよね……」

「ええ。作業を中断することになって、随分と悔しがっていらしたそうですわ。しかも、クランクさんだけではなく、黄歯車団(イエロー・ギア)の何人かも、同じような症状を訴えているのだとか」

「えええ!? それって……何か変な病気が流行ってるとかじゃないですよね!?」

「そこまでは分かりませんけれど……今ごろ皆さん、診察を受けているはずです」

「じゃあ、工事は……めっちゃ途中のままですけど……」

「少なくとも、このまま予定通りというわけにはいかないでしょうね。詳しいことは、パンさんとクランクさんがお話しになると思いますけれど」

「マジですか……」


そんな話をしていると、入口の扉が開いた。

帰ってきたのは、パンさんとペールルージュさんだ。

どうやら、朝から出席していた評議会がようやく終わったらしい。


「おお、サキはん! もう帰っとったんか」

「はい、おかえりなさい!」

「ただいま、サキちゃん。その感じだと聞くまでもなさそうだけど、試験はどうだったの?」

「はい、無事に受かりました!」

「おおおおっ! 流石やなあ!」


パンさんは両手を上げて喜んでくれた。


「これでグランベルジュには第五天位が一人、第四天位が一人──これ、すごいことやで?」

「そうよ。五大ギルド所属じゃない第四、第五天位って少ないしね。……ほんの一か月くらい前まで、パンと私しかいなくて解散しそうだったのにね」

「ほんま、信じられへんわ。そのぶん、仕事もぎょーさん忙しなったけどな!」


そう言って嬉しそうに笑うパンさん。

確かにパンさんは評議会やらギルドマスターの仕事やらで、ずっと忙しない。

まあ、最初からパンさんはずっと忙しない──って言ったら怒られるかな。

【第10回アース・スター ノベル大賞】

金賞&コミカライズ賞 を受賞しました!(2回目の報告)

イラストなど、楽しみにしてもらえればと思います!


毎日投稿中!

次話は、7月18日投稿予定です!(おそらく12時、それか18時)

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― 新着の感想 ―
このまま本当にあの試験内容で4位止まりなん?? 相手との相性とかもあるだろうけど最低でも五位じゃ…
ダブル受賞おめでとうございます〜 不明な異常事態で作業ストップ。それが複数人となると診断が気になるところ
受賞おめでとう! しかも同時ってところもまた小躍りしそうな歓喜の極み すんなり昇格の報告でお祝いっとはいかないか 何処か別から妨害にしてはやや半端そうな結果だけど後からわかるかな
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