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間違えて運に極振りしちゃったけど召喚士なら何とかなりますか? ~召喚で出てくる魔物が異常個体ばかりなんですけど!~  作者: やおよろずの
第四章 六大ギルドになっちゃおう!

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094 モーリーの究極奥義!

ディガルさん、カイルさん、アッシェさんに、ソノイチさん。

──気付けば、冒険者六人のうち四人はもう倒れていた。


残っているのは、レグさんとエリーゼさんだけ──だと思ったんだけど……


「……まだ、やれる!」


なんとやられたと思っていたアッシェさんが再び立ち上がり、モーリー像をキッと睨みつけていた……!

いやいや、どれだけタフなの!?


……いや、タフとかそういう話じゃないのかも。

吹きとばされて、殴られて、吹きとばされて──それでも起き上がる。

それくらいじゃないと、第五天位になれないってことなんだ。


……でも、アッシェさんはもうどこからどう見てもボロボロで、再び光の柱に打たれたらそのまま死んじゃうんじゃないかって思うほどだった。

そんな私の心配をよそに、モーリー門にはいつも通り淡々と、無慈悲な文字が浮かぶ。


『彼女、かなりタフな人間だね。でも、次の試練にも耐えられるかな:)』


え、それってつまり、あのボロボロのアッシェさんにまた光の柱を落とす気……ってことだよね。

そう思って、私は思わず声を上げる。


「も、モーリー……アッシェさんはもういいんじゃない?」

『おや、サキ。"もういい"というのは、どういう意味だろう:|』

「いやだって……もうボロボロじゃん!」

『サキは優しいね。でも、挑戦者たちは意識あるかぎり、君の元へ向かってくる。僕の役目は、それを止めることなんだ:)』

「そ、それは……そうかもだけど……」


確かに、モーリーの言う通り。


これは試験で、当たり前だけど私は勝たなきゃいけない。

アッシェさんがまだ立ち上がるなら、戦闘不能にしないといけないのだ。


でも、私がこれまでいた世界には、こんな感じで目の前で誰かが傷ついていく”戦い”なんてなかった。

だから私には、あんなにボロボロの人に、さらに光の柱とか、モーリー像のパンチとかが飛んでいくのは、やっぱり見てられない。


"戦い"がありふれたこの世界では、私の考えはおかしくて、平和ボケしているんだろうけどさ。


「でも、アッシェさんが迫ってきたらにしようよ」

『うーん。正直に言うと、それは少し甘い判断だと思うよ:|』

「うん、甘いのは自覚してる。でも、それでも、私が甘くても──モーリーとアルテミスがいれば大丈夫だと信じてる!」


私がそういうと、モーリーはしばらく沈黙して、再び文字を浮かび上がらせる。


『アルテミス。君は僕よりサキと長い付き合いで、彼女への思い入れもかなり強い(というか、異常だよね)。そんな君は、サキの判断をどう思うのかな:)』

「マスターに全て従う。あと可愛くて仕方がない」

『ハハ、流石アルテミスだね。──真に強き者だけが、あえて甘さを選ぶことができる。弱き者では、厳しくならざるを得ない。……でも、それがサキにとって本当に良いことなのかは──少し答えるのが難しいね:|』

「マスターはこれでいい。私が全てから守る」

『なるほどね。……実のところ、あの人間の周囲には、さっきから光を落とさないようにしているよ。もちろん、サキがそう望んだ以上、僕はその命令に従う。僕は君の召喚獣だからね:)』


その言葉──いや、文字通り、レグさんやエリーゼさんの近くには相変わらず光の柱が落ちてるけど、アッシェさんの周囲の地面だけ、光が灯っていなかった。


「ありがとう、モーリー!」

『礼には及ばないよ。むしろ、謝るべきなのは僕の方かもしれないね:(』

「え、なんで?」

『さあ:)』


──そんなやり取りをしている間に、エリーゼさんも、アッシェさんの周囲が光らないことに気付いたらしい。


「……どういうことだ? レグ、剣を上げてくれ」

「剣を?」

「少し右だ。刀身を寝かせてくれ。光の柱は私が伝える」

「分かった」


レグさんが持ち上げた剣の刀身が、訓練場の光を受けて反射する。


「……あ、鏡みたいに使ってる!?」


よく見ると、エリーゼさんはモーリー像を見たまま、レグさんの剣に映った何かを確認しているみたいだった。


すご、剣を鏡代わりなんて……戦闘中にそんなこと思いつくの?

やっぱり上位の冒険者の戦い方って、発想からして違うんだね……。


そんなことをのんきに考えていた、そのとき。


──ごごごごごっ!


モーリー門の周囲の地面が、突然割れた。


「えええええええ!?」


盛り上がった土が壁みたいにせり上がって、

あっという間にモーリー門をぐるりと囲んでしまった……!


「モーリー!? 大丈夫!?」


慌てて声を上げるけど、土の壁に隔てられて、モーリー門に浮かんでいるはずの文字は見えない。


これが……魔法……。

何もない地面から、いきなり土の壁が生えてくるなんて……。

すごい、まるで魔法みたい……!

……いや、魔法なんだった。


──初めて"魔法"というものをちゃんと見た私のテンションが上がり、おかしなことを考えつつ。

私は冒険者たちの意図を考える。


どうして私じゃなくて、モーリー門を囲んだんだろう。

私が狙いなら、普通は私を狙うはず。


……ダメだ、全然分からない。

そう思って冒険者の方を見る。


……あれ?


「ねえねえアルテミス」

「はい、マスター」

「なんかめっちゃこっち見てない?」

「はい、マスター」

「だよね!?」


エリーゼさんとレグさんは、モーリー像ではなく、こっちを見て何やら会話していた。


ペナルティの影響だと思うけど、二人の動きはゆっくりに見える。

でも、どうしてモーリー像から目を離したのに、モーリー像は殴りに行かないの!?


私は必死に、無い頭を動かす。


……そっか!

モーリー門が土の壁で囲まれちゃって、冒険者たちが見えないから殴りに行けないんだ……!

さっき私とホラー映画の話をしていたときも、モーリーは殴りに行くのを忘れていた。

つまり、モーリー像が殴るかどうかは、モーリー門の判断ってことに違いない。


冒険者たちは、この短時間で、僅かな情報だけを手掛かりに、気付いたんだ。


……すごい。すごいよ。


……って、感心してる場合じゃない。


レグさんがこっちに向かって(ゆっくりだけど)走ってきている。


エリーゼさんの両手にも、何かが集中しているのが見えた。

きっと、魔法を私に向かって撃つつもりなんだ。


私への一撃で、冒険者さんたちの勝ち。

……つまり、今かなりピンチなのでは!?


「あ、アルテミス……!」

「問題ありません、マスター。どちらも私が処理します」

「処理って言い方はやめて!? でもよろしく……!」


私はそそくさと、頼もしいったらありゃしないアルテミスの後ろに隠れようとした、そのとき。


土壁の内側から、重低音が響いた。

まるで巨大な楽器の弦を思いっきり弾いたみたいな、重たい音。


音の方を見ると、土壁に亀裂が走り、その隙間からは光が漏れ出していた。


「──え」


嫌な予感がした次の瞬間には。


──トォン。


低く長い音とともに、土壁が内側から砕け散り、金ピカの光が溢れ出す。


──私は思わずその場で固まって目を閉じた。


「──」


アルテミスの短い呟きだけが、耳に届いた。



……。

…………。



おそるおそる目を開けると、私は無事だった。

そして私の目の前には、やっぱりアルテミスが立っていた。


私はびっくりして目を閉じていたから、アルテミスが何をしたのかは分からない。

でも、あの金色の光から私を守ってくれたことは確か。


「アルテミス、今何が起こったの!?」

「マスターに害を及ぼすものを消しただけです」

「どうやって!?」

「手で」

「手で!?」


アルテミスは当然のような顔をしている。

相変わらず頼もしすぎるけど……。


とりあえず状況を把握しようと、周りを見回す。


モーリーを囲っていた土の壁は、跡形もなく崩れていて。

冒険者たちは、地面に転がっていて。

そして──エリーゼさんがモーリー像に叩き伏せられていた。


「……これ、もう終わり……でいいんだよね?」


そう思ってコナツさんの方を見たけど、コナツさんはまだ試験終了を告げなかった。

その理由は、すぐに分かった。


レグさんが、立ち上がったからだ。


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― 新着の感想 ―
モーリーの究極奥義キターーーーーーーーーー♪───O(≧∇≦)O────♪…キタ?
Gなみのしぶとさだな。
モーリー対策は流石ベテランランクの手際だった。その対策が功を奏すことは無かったけど
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