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間違えて運に極振りしちゃったけど召喚士なら何とかなりますか? ~召喚で出てくる魔物が異常個体ばかりなんですけど!~  作者: やおよろずの
第四章 六大ギルドになっちゃおう!

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090 あれ、ゴーレムじゃなかったの!?

遅れてすみません……。

試験会場の中央付近で待つこと、しばらく。


……ゴーレムは──まだいないみたい。


以前、パンさんが「ゴーレムは魔術具に近いもの」みたいなこと言ってたし、もう試験会場の端にでも置いてあるかな、と思ったんだけどね。

この後、試験官さんが連れてくるのかな。


……この待っている時間もドキドキだよ。

学生のころ、試験用紙を配られて開始の合図を待っているときみたい。

早く始まってほしいけど、不安でいっぱいなんだよね……。


なんて思っていると、誰かが転移してきたみたい。


現れた一団の中には、見覚えのある人が。

前回、私の昇格試験で試験官をしていたコナツさんだ。


そして、コナツさんと一緒に現れたのは、六人の──たぶん、冒険者の人たち。


だって、身に着けてるものが明らかに冒険者のそれだからね……。

大きな盾を持った全身鎧の人に、忍者みたいな服装の人、

魔法使いっぽいローブの人もいれば、巨大な銃のような武器を持つ人もいる。

まさに、いかにも、な冒険者の装備だよね。


一瞬、どうして他の冒険者が、って思ったけど、

あの人たちも第三天位で、一緒に昇格試験を受けるってことだよね。

前回の昇格試験のときのトルキルドさん、ハケミさんみたいに。


……知っているコナツさんもいるし、他にも受験者がいるんだと思うと、さっきまでの緊張や不安が少し和らいだ。


「これで全員集まりましたね」

「あっ、コナツさん! お久しぶりですー!」

「お久しぶりです、サキさん。ついに昇格ですね」

「いや、まだ昇格するか分からないですよ!?」

「そうですね」


コナツさんが何ともいえない表情で、短くそう答えた。

……どうしたんだろう。

何だか、コナツさんも緊張してる?


それに、他の受験者の人たちにも挨拶しようと思ったんだけど──全員、顔が険しい。

というか、鬼のように怖い顔をしている気が……。

試験前だから鬼のように集中しているのかもしれないけど、すごく話しかけづらい。

はじめましてー、とか言える空気じゃないかも……。


挨拶しようか悩んでいるうちに、コナツさんが説明を始めた。


「まあ、早速始めましょうか。……みなさん、本日はグラン=ラフィース冒険者昇格試験にお集まりいただきありがとうございます。改めまして、私は本日の試験担当のコナツと申します」


そう言って、コナツさんは訓練場にいる全員をぐるりと見回した。


「今日の受験者は──一名ですね」

「えっ?」


思わず声が出た。

どう見ても私の他に六人いるんだけど……。

いるよね?

私にしか見えてないとかそういう話じゃないよね?

私は怖い話は好きだけど、恐怖耐性は低いんです……。


「い、一名……?」

「はい。今日の受験者はサキさんだけです」


な、何を言ってるのコナツさんは……?


じゃあ、この怖い顔をした冒険者の皆さんは……誰ですか?

本当にお化けとかじゃないよね?

そう思って、恐る恐る聞いてみる。


「え、じゃあ、この方たちは……?」

「この後すぐ分かるので、ちょっと待っていてくださいね」


あ、良かった、コナツさんにも見えてるみたい。

ホッとしたその直後。


「それでは、説明を続けます。試験のルールですが、サキさんにはこの六名の冒険者と戦っていただきます」


六名の正体が判明。

そして、私の絶叫が響いた。


「ええええええ!? なんでえ!? ゴーレムは!? ゴーレムじゃなかったの!?!?」

「……そうなんです」


ホントに全く一ミリも聞いてないんですけど……!?

受付嬢さんからは、クレイゴーレム、ウッドゴーレム、ストーンゴーレムの三体と戦うって聞いてて……。

……受付嬢さんが間違っちゃってたってこと!?


「ごめんなさい、サキさん。ラウゼン様を止めることができず……」


すごく申し訳なさそうなコナツさん。

ラウゼン様……って誰?

「止めることができず」ってことは、その人のせいで試験相手がゴーレムから変わったってこと……なのかな。

コナツさんが様付けで呼ぶあたり、ギルド運営の偉い人なんだろうか。


──そんなことは、とりあえずどうでもよくて。


「え、でも、戦うって……そんな……」


チラッと六人の冒険者へ目を向ける。

……みんな複雑そうな顔をしていた。

怒っているような、困っているような、

可哀想なものを見ているような……。

一言で言うなら、「えぇ……」という顔だ。


私の相手は、ゴーレムじゃなくて、この六人の冒険者、ってことだよね。

ど、どうしよう……。


アルテミスは、たぶん私の周りから離れずに守ってくれる。

そうなると、実際に戦うのはモーリーが中心になるはず。


そうなると、一対六……。

いくら何でも、デビュー戦にしては相手が多すぎるよね……?


とりあえず、モーリーと相談してみよう。


「……ねえ、モーリー。いけそう……?」

『僕たちの相手がゴーレムから六名の人間に変更されたということだよね。正直、かなりショックを受けているよ:(』

「そうだよね、デビュー戦でいきなり六人も相手にするのは微妙だよね……」

『いや、そこではないんだ。実のところ、彼らを叩きのめすこと自体は、あまり難しい問題ではないと思う。それよりも“ゴーレム”に会えなくなったことがとても残念なんだ:(』

「あ、そっち……!? でも一対六だよ……?」

『うん、6という数字が1より大きいことは僕も理解しているつもりさ。でも、それだけだよ。正直、彼らは何が起きたか分からないまま、かなりクールに吹き飛ばされると思うよ:)』


……モーリーには表情が無いからわからないけど、自信満々そう。


「……分かった。そこまで言うなら!」


私は心を決めると、コナツさんの方へ向き直った。


「コナツさん! 突然のことでびっくりなんですけど、その昇格試験、受けさせてください! モーリーもやる気みたいなので!」


私がそう言うと、コナツさんは少しだけ肩の力が抜けたような顔をした。


「……分かりました。今度、ご飯奢らせてくださいね」

「なんでコナツさんが奢るんですか!?」

「ラウゼン様を止められなかった私にも、責任の一端はありますから。……それでは、受験するということで試験の説明を続けますね」


コナツさんは一度小さく咳払いをして、説明を続ける。


「今回の勝敗条件です。サキさん側の勝利条件は、冒険者六名全員を戦闘不能状態にすること。一方、レグさんたちの勝利条件は、サキさんに一撃でも入れられれば勝利となります」

「ええええええ!? 不平等すぎません……!!?」

「はい」

「素直!?」


数的にも不利なのに、向こうは私に一撃入れるだけで勝ち!?

つまり、相手はアルテミスやモーリーを倒す必要はないってことだから……絶対私だけ狙われるよね!?


ま、まあ、私の場合ステータス的に一撃入れられたら負けだろうけども……!


「当然ですが、サキさんの召喚獣への攻撃は可能です。ただし、勝敗判定はあくまでサキさん本人への有効打で決まります」


──そうか、アルテミスもモーリーも召喚獣だから倒す必要はなくて、召喚士本人に攻撃が通れば勝ち……ってことか。

理解はできるけど、納得はしたくないよ……。

それでもルールなら仕方ないので、私は渋々うなずいた。


「わ、分かりました……」


そのとき、冒険者の中の一人──少しチャラい雰囲気の男の人が声を上げた。


「なあ試験官さん、召喚獣ってのはどういう意味なんだ?」

「そのままの意味です。ここにいるアルテミスさんや、モーリーさん──その門と像は、いずれもサキさんが召喚した召喚獣です」

「なっ!?」

「召喚士だと!?」


なんだか急に、空気がピリついた。

そしてコナツさんがさらに続ける。


「さらに言うと……ザラスト・ザラメイヤさん、およびジョンソンさん、ブルースさん──剛体種ゴブリン二名も、サキさんの召喚獣です」


その瞬間、私でも分かるくらい、場の空気が冷えた。

──沈黙が落ちる。


「……待って、どういうこと?」

「今、ザラスト・ザラメイヤって……言ったか……?」

「はい」

「なん……だって……」

「そ、そんな馬鹿な……怪物ザラスト、だと……?」

「あ、ありえるのか……? そんなことが……」

「召喚獣が冒険者になって、第五天位まで上がるだと……? そんな話、聞いたことがないって……!」


六人の視線が、一斉に私へ集まった。

さっきまでの怖い顔よりも怖い顔で、私を見つめる。


というか、怪物って。

ザラってそんな二つ名で呼ばれてるの……!?


でも、ファンクラブがあるほどの冒険者ザラが、私の召喚した子となると、ビックリされるのも仕方ないかもしれない。

でも実際は私の【運】がいいだけで、たまたまザラが来てくれただけだ。

すごいのはザラであって、私ではない。

実際、私のステータスはいまだに直視したくないくらいで……。


そんなふうに私が心の中で必死に弁明している間にも、話は勝手に進んでいく。


「……え、そ、それってつまり……」

「はい。彼女は召喚士サキ──グランベルジュ所属の冒険者です」


そして、少しの間が訪れる。


……あれ、私の発言待ち?

今が絶好の挨拶タイム……ってことでいいんだよね!?


怖い顔のままの六人に対して、私は勇気を振り絞って、声を出した。


「は、初めまして、サキです! 今日はよろしくお願いします!……あの、お手柔らかにお願いしますね……?」


だって一対六だよ、本当にお手柔らかにお願いしたい……。


そんな私の精一杯の挨拶に、六人の冒険者たちは、茫然とした顔のままほとんど反応できていなかった。


……やっぱりザラって、冒険者の間ではそれだけすごい存在なんだね……。


ついに90話!

今後、良い報告もできそうです!

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― 新着の感想 ―
クールに吹き飛ばされる。確かにインパクトに困らない吹っ飛び方はしていた(あちらサイド)
確かに動く石像ならゴーレムとも言える?からまあ分らんでもないかな~
モーリー、対戦相手変更こんなにガッカリしてたんだ(笑)
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