067 ギルドルーム大改造……!①
今回短めです。
黒塔での一件から、三日後。
今日は珍しくみんなが揃っているギルドルームの一階で、私はリンドールさん特製のマナエーテルをちびちびと飲んでいた。
やっぱりちょっと苦いけど、前のやつに比べたら天と地──いや、もうほんとそれ以上の違いがあるよ……。
ここ最近は、これのおかげで私の魔力回復効率は一気に良くなってて、
この前モーリーを召喚して0になったばかりなのに、なんと今の【魔力】は25!
マナエーテルに加えて、【魔力回復量増加Ⅰ】と【帳尻合わせⅠ】の効果まであるから、今の私は一日でだいたい10くらい魔力が回復する。
前なら考えられないような回復速度だよね……。
そんな中、いつものように書類とにらめっこしていたパンさんが顔を上げる。
「そうや、サキはん。今日の昼ごろ客が来るで」
「お客さんですか?」
「せや。黄歯車団の数人と、ヴィオラはんや」
「えっ、クランクさんたちとヴィオラさんが?」
久しぶりに聞いた名前に、私は思わず声が裏返る。
ヴィオラさん率いる紫羽の庭と、クランクさんたち黄歯車団といえば、ちょっと前のギルドバトルで戦った相手側のギルドだよね。
彼らとは、戦いが終わった後にギルド集会所で少し話したきり。
あのときは何だかお互い和やかに話せたけど、冷静に考えればギルドポイントを半分奪ったわけだから、
何だか改めて会って話すのは気まずいかも……。
というかそもそも、何の用事だろう?
「何かありましたっけ? まさか、またギルドバトルとか……?」
「ちゃうちゃう。あれや、例の魔法障壁の件や」
「あ、アレですか!」
魔法障壁──魔法による外部の干渉を遮断するための、結界みたいなもの。
物理的な侵入には”天界の護人”ことモーリー、魔法的な侵入には”魔法障壁”で対応するって話になってたんだったね。
とはいえ、やるとは聞いてたけどまさかこんなに早く話が進んでいるなんて……。
パンさん、流石のスピード感。
つまり今日は、黄歯車団の人たちと魔法障壁についてあれこれ話すってことか。
あれ? じゃあヴィオラさんは何のために?
そう思って、パンさんに聞いてみることに。
「あの、黄歯車団の皆さんは魔法障壁関連のお話ってことで分かるんですけど、ヴィオラさんは?」
「ヴィオラはんには、弓使いの目線でこのギルドを見てもらおう思てな。どこから中を覗けるか、とかな。場合によっちゃ、窓に細工したり、目隠しに木を植えたりせなあかんかもしれん」
「なるほど……魔法による盗み見を防げても、遠くから物理的に見られる可能性もありますもんね」
「そういうこっちゃ。──噂をすればっちゅうやつか?」
ギルドルームの外から、荷車の音が近づいてきた。
どうやら、ちょうど来たみたい。
私たちが入り口まで出ると、そこにはクランクさんたち黄歯車団の面々と、ヴィオラさんの姿があった。
クランクさんの後ろでは、団員たちが荷車から次々と荷を降ろしている。
でもそれは、そのへんの単なる木箱とは明らかに格が違う。
漆色の、四隅が黒金の金具でしっかりと補強された、頑丈な箱。
更には表面に何かの術式まで彫りこまれている……衝撃を逃がす術式なのかな?
そんな大切に運ばれてくるものなんて、これまでの話からするとアレしかないよね。
「どうも。お約束の品を持ってきましたぞ!」
「久しぶりね、サキさん」
「クランクさん、ヴィオラさん! お久しぶりです!」
……さっきまで気まずくならないか少し不安だったけど、二人とも全然、普段通りだ。
ヴィオラさんはいつも通り涼しげで全然気にして無さそうだし、クランクさんは何だかとってもご機嫌に見える。
「ギルドバトル以来ね。噂は聞いてるわ。……ザラストさん」
ヴィオラさんが見つめる先には、ザラの姿があった。
そっか、ヴィオラさんたち冒険者からしたら、ザラってとんでもないスピードで第五天位に昇格した、今いちばん話題の冒険者なんだよね。
「お初にお目にかかります。召喚士サキ様の従者、ザラスト・ザラメイヤと申します」
「えっ、そっちモードなの!?」
「はい、そっちモードです」
「……そっちモード?」
「あ、いえ、何でもないです……」
マジメかっ!!──と思わずツッコみたくなるほどの、ザラの豹変ぶり。
本人いわく、これも冒険者としてのイメージ戦略の一つらしいんだけど
普段のザラを知っていると、違和感が凄いんだよね……。




