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間違えて運に極振りしちゃったけど召喚士なら何とかなりますか? ~召喚で出てくる魔物が異常個体ばかりなんですけど!~  作者: やおよろずの
第四章 第四天位になろう!

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113/120

113 完全食ニョキモチ

【完全食ニョキモチ】──『アイテム』の説明欄には、そう書かれていた。


完全食……って、あの茶色いブロックのバーとか、そういうやつだよね。

これ一つ食べておけば大丈夫──みたいな。


つまり、この【完全食ニョキモチ】も、一粒食べるだけで一日分の栄養を補える……ってこと?

しかも、腹持ちも良いオマケつき──らしい。


「あの、これ……やっぱり異常個体みたいです……!」

「そうなんですの? どこで分かったのでしょう?」

「アイテムの説明を読みました」

「……アイテムの説明……なんですのそれ?」

「アイテムをアイテム欄に仕舞うと、そのアイテムの説明が見れるんです」

「ど、どういうことですの……? その"説明"は誰がしてるんですの?」

「さあ……?」

「さあ、って……。そんな正体不明の説明、信用してよろしいんですの?」

「まあ、たぶん」

「適当ですわね……」


言われてみれば、この説明は誰がしてるんだろう? ノヨカ様……?

気にしたこともなかった……。


「でも、いいですわねー……。未知のアイテムでも簡単にどんなアイテムか分かるなんて、冒険者なら誰でも欲しい能力ですわ。わたくしもほしいですわね、そういうの」


確かに、今まで当たり前に使ってたけど、アイテムの説明が見れるって結構良い能力なのかもしれない。

考えてみれば、いわゆる『鑑定』みたいなものだ。


まあ、私の能力っていうより、ノヨカ様の力なんだけど。


──っと、それより今はニョキモチ、ニョキモチ。


とりあえず、一粒食べてみることに。

アイテム欄からさっきの一粒を取り出すと、そのまま口へ放り込んだ。


──もにゅっ。


……うん、味はまあ、おもちだね。

ものすごく普通のおもち。

だから何もつけないと、ほとんど味がないから美味しくはないかな。


でも、なんだろう。

ちっちゃなおもちを一粒食べただけなんだけど……。

それだけなのに、凄い満足感。

……というか、結構お腹いっぱいだ。


これ、もしかしてダイエットに良かったりする!?!?


私が念願のダイエット食を見つけたとばかりに喜んでいると、隣ではリンドールさんも興味深げにニョキモチを眺めていた。


「サキさん、わたくしも一粒、食べてみてよいでしょうか?」

「はい、こんなにありますし、一粒くらい全然大丈夫だと思います!」

「ありがとうございます。では──」


リンドールさんはニョキモチを一粒とると、ぱくっと口に入れた。


「もぐ。……まあ、見た目通りニョキモチですわね。味付けなしの。もぐもぐ。……んん?」


飲み込んだところで、リンドールさんがぱちくりと目を見開いた。


「な、なんでしょう……。一粒しか食べてないのに、もう十分って感じですわ……!」

「やっぱりリンドールさんもですか? なんかこれ、説明によると『完全食』らしいんですよ」

「完全食? ああ、ダンジョン用のあれかー?」


ソヨゴさんは聞き覚えがあったみたいで、口を挟んできた。


「……逆にそれはなんですか? ダンジョン用?」

「ダンジョンに深く潜る際に用いられる食事のことですわね。ダンジョンの魔物は倒しても消えてしまうので、食料の現地調達が安定してできませんの。ですから、深く潜るのであれば食料は基本的に外から持ち込むわけですが……その食料がかなりの重荷になってしまうのです」

「その問題を少しでも解決するために作られているのが、完全食と呼ばれる携帯食ですね。実は、我々緑ギルドが製造しているんですよ。肉や穀物、乾燥野菜などを加工して、一日に必要な栄養とエネルギーをできる限り一つに詰め込んだものです。小型化は進んでいますが、それでも一つで拳ほどの大きさはありますね」

「ま、味は期待しない方がいいけどな。あれ、飯っていうより補給だぞ、補給」

「そこは現在も改良中です」


トネリコさんが苦笑する。

うん、話を聞く限りマズそう……。


「それにしても、もし本当に、この一粒が完全食になりうるのであれば……我々緑ギルドの完全食にとって、かなり強力な商売敵になりそうですね」

「い、いや、売るつもりはないので!! 安心してください!!!」


慌てる私を見て、トネリコさんはくすっと笑うと、話を戻すように続けた。


「それなら安心です。とにかく、これでガルムたちのお腹も満たせそうですが……ガルムは肉食性です。いくら完全食とはいえ、ニョキモチをそのまま食べてくれるかは分かりませんね」

「あ、そうかなと思って、実は──」


そう言って、私はアイテム欄からミルちゃん用のごはんを取り出す。


「これをちょっと混ぜれば、食べてくれるんじゃないかなって思ったんです!」

「なるほど。肉の匂いをつけるわけですね。それなら、ガルムたちも食べてくれる可能性は高そうです」


ということで、早速試してみることに。


【完全食ニョキモチ】からおもちを一粒取って、その上にミルちゃん用のごはんを少しだけまぶす。

──これで、ニョキモチセット一個完成。


同じものをいくつか作って、試しにガルムたちに食べてもらうことに。


まずは、ガルムロードだよね。

警戒されないように、あらかじめソヨゴさんに説明してもらった上で、一応アルテミス同伴のもと、ガルムロードに近づいていく。


……ソヨゴさんのときみたいに、ガルムガードに止められるかなと思ったんだけど……。


「わふぅん……」


二匹のガルムガードは揃ってミルちゃんに釘付けで、それどころではないらしい。

……それでいいの、ガルムガード……。


ちょっと心配になりつつも、ニョキモチセットを手に、ガルムロードの前まで進む。

改めて近くで見ると、やっぱり大きいな……。


私、そしてミルちゃんを目の前にして、ガルムロードはぐっと四本の脚に力を入れ、胸を張り、気丈に振る舞う。


さすがはガルムたちの王、威厳たっぷりの立ち姿──なんだけど……。

よく見ると、脚が小刻みに震えてる。

やっぱり、無理してるだけだよね……。


早く食べて、元気になってもらおう。


私はニョキモチセットを、ガルムロードの石の玉座にそっと置いた。


「た、食べてみてください……!」

「…………」


ガルムロードは、まずは威厳たっぷりの顔で私をじっと見た後、ミルちゃんをチラッと見てニヘラと破顔し、すぐに元のキリッとした顔へ戻る。

そして、ニョキモチセットへ視線を落とすと──。


パクっと一口でいった。


ガルムロードの大きな口に対して、ニョキモチ一粒はあまりにも小さい。

何度かもぐもぐと噛んだかと思うと、そのままごくんと飲み込む。


「…………ウォゥ……」

「『久しぶりに満たされた』って。……いや、一粒で? その図体で?」

「ワォゥ……」

「マジか。一粒で十分だって。どうなってるんだー?」


──どうやら、とりあえず満足してくれたみたい。

良かった……!


私がほっと胸をなで下ろしている間に、リンドールさんとトネリコさんもニョキモチセットを作ってくれていた。


「サキさん、こちらもいくつか用意できましたわ。ガルムガードやギガントガルムにもあげてよろしいでしょうか?」

「ありがとうございます! はい、もちろんです! お願いします!」

「では──」


トネリコさんとリンドールさんは二匹のガルムガードへ、

ソヨゴさんはギガントガルムのもとへ、

それぞれニョキモチセットを持っていく。


「ほら。いつまでも白もふさんを見ていないで、こちらを食べてくださいな」


リンドールさんに声をかけられ、ようやく我に返ったらしいガルムガードが、差し出されたニョキモチセットへ顔を近づける。

くんくん、と匂いを嗅いだあと──ぱくり。


もう一匹も、トネリコさんからもらったものを一口で食べた。


そして二匹揃って飲み込んだその直後、ぴたりと動きを止めると……。


──ぶんぶんぶんっ!


二匹の尻尾が、大きく左右に振られ始めた。


「大きく尾を振っていますね。かなり気に入ったようです。どうやらこの子たちも、一粒で満足したようです。……これ、いいですね。魔獣の食費がものすごく浮きそうです」

「確かに……。一粒で済みますものね」

「エサ代、バカにならないですからね。本当に……」


何だか苦労がにじみ出ているトネリコさんをよそに、ソヨゴさんはギガントガルムにニョキモチセットを差し出す。

すると、ギガントガルムはその大きな顔をぐっと近づけると、ソヨゴさんの手のひらからニョキモチセットをなめとった。

……あんな大きな魔獣相手でも、そのまま手のひらからごはんをあげるの、流石だ。


「流石にお前は一粒じゃ足りないだろー?──って、え、もういいの? マジか!」


ギガントガルムは一粒食べ終えると満足したらしく、ズンッと地面を揺らしながら、その場に腰を下ろした。


……そうか。

【完全食ニョキモチ】の説明って確か、『()()()一日に必要な栄養を補えるモチ』。

つまり、食べた子の大きさに関わらず、誰が食べても一粒で十分なんだ……!

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― 新着の感想 ―
個体別の大きさに関係無いなら、一か所の袋詰めにでもすれば一袋で群規模でも余裕持って活動出来るのが恐ろしや
おはようございます。 ニョキモチ凄過ぎますね。改良して人間も使えるようになりませんかね?
完全に恥じない素晴らしい効果。群れ全体に生き渡ったら万全な状態を維持してイケるね
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