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間違えて運に極振りしちゃったけど召喚士なら何とかなりますか? ~召喚で出てくる魔物が異常個体ばかりなんですけど!~  作者: やおよろずの
第四章 第四天位になろう!

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112 復興のミルちゃん

ミルちゃんが抱っこ袋から顔を覗かせた、その瞬間。

さっきまで重苦しい空気に包まれていた、このだだっ広い空間の雰囲気が一変した。


まずは、ガルムガード二匹。

耳がぴんっと立ち、目は見開かれ、口が半開きになっている。

その顔は──久しぶりに地元に戻ったら学生時代に好きだった人と偶然再会した──そんな衝撃を受けた顔をしていた。

……ついさっきまで放っていた威圧感はどこへやら。


そして、ギガントガルム。

これまで、少し離れたところでどてっと伏せていた彼が、ゆっくりと頭を持ち上げて、じーっとミルちゃんを見つめると……。


──ズンッ!


突然、ギガントガルムが立ち上がった!

それだけで、地面が小さく揺れる。

その顔は──推しのアイドルを初めて生で見た──そんな衝撃を受けた顔をしていた。

……さっきまであんなにダルそうだったのに。


最後に、ガルムロード。

さっきまで石の玉座に身体を横たえ、顔を上げるのも辛そうだった彼だけど、今は瞳は大きく開かれ、瞬き一つしない。

その顔は──何十年も前に生き別れた最愛の妻が、再び目の前に現れた──そんな衝撃を受けた顔をしていた。


そして……。


「わふぅん……」

「──! ガ、ガルムロードが……立ち上がりましたわ!? つい先ほどまで、であんなに辛そうでしたのに……!」

「いや待って、ほとんど動けないって話だったよな!?」

「こ、これは驚きました……。並の回復魔法や身体強化魔法以上に、強力に作用しているのでは……」

「やっぱり美人がいると、みんな一気にモチベ上がるんだね……」


お、恐るべし……ミルちゃん……。


当のミルちゃんは何の気なしに、顔をひょこっと覗かせたまま微動だにしない。

肝が太いというか……自分が他のガルムにこんな影響を与えてること、分かってるのかな……。


「……すごいなその白いの。さっきまであんなに沈んでたのに、全員やる気になってる。士気だけなら、もう心配なさそうだな」

「かわいいだけなんですけどね……」


ソヨゴさんの言う通り、さっきまでこの空間を覆っていた、重苦しい閉塞感のようなものは一気に吹き飛んだ。

ガルムロードも、ガルムガードも、ギガントガルムも、みんなミルちゃんにメロメロだ。


「ウォオオオオオーンッ!」

「……『この俺が外敵を倒すから見てろ』だって。いや、その老体で行く気なの? 腹も減ってるだろ」


ガルムロードはすぐにでも洞窟から飛び出していきそうなほど鼻息を荒くしていた。

でも、やっぱりやる気だけじゃ老体プラス空腹をどうにかできるわけではなく、少しふらついている。

そして、またぐうっと大きな腹の音が響く。


「ほらー。急に張り切って立つから、また腹鳴ってるじゃん」

「グルルル……ウォウッ!」

「……しょうがないな。何か食えるもの、取ってきてやるか」

「あっ、ちょっと待ってください!」


私は、今度こそメニューの『アイテム』をタッチして、上から見ていくと──。


……あっ、あった!

魔獣ショップリーフェンで買った、ミルちゃん用のごはん。

色んな種類のものを少量ずつ買って、アイテム欄に入れてたんだった。


これで──いやでも、これだと全然量が足りないか……。


どうしようかと悩んでいると──知力1の私にしては珍しく、一つの妙案が浮かんだ。


以前、リンドールさんが教えてくれた"ハラモチ"っていう『一口で満腹感が得られる』食べ物。

それがあれば、ガルムたちの空腹を一時的にでも和らげられるかもしれない。


あれは確か、ニョキモチっていう植物の類似種だったはず。

そしてニョキモチなら、私が召喚できる。


念のため『スキルツリー』を開いて確認してみると……。


────────────────────

【植物召喚Ⅲ】 ニョキモチを召喚できる。

────────────────────


うん、やっぱりニョキモチだ。

そこに、私の【運】があれば、もしかしたら異常個体としてハラモチが召喚できるかもしれない……よね?

もし出てきたのが普通のニョキモチでも、一応食べられるだろうし。


せっかくだし、召喚してみよう。


えーっと、【植物召喚Ⅲ】に必要な魔力は──30!

最近、必要な魔力が多いなあ……。

一方の私の魔力はというと……


────────────────────

 人間 召喚士 Lv. 20

 【体 力】 24

 【魔 力】 10(48)

 【持久力】 24

 【攻撃力】 1

 【防御力】 1

 【 運 】 999

 【速 度】 1

 【知 力】 1

 【精神力】 1

 【スキル】

  亜人召喚Ⅰ 亜人召喚Ⅱ 亜人召喚Ⅲ

  低魔召喚Ⅰ 低魔召喚Ⅱ 低魔召喚Ⅲ

  中魔召喚Ⅰ 植物召喚Ⅰ 植物召喚Ⅱ

  植物召喚Ⅲ 植物召喚Ⅳ

  時短召喚術 召喚権限委任(サブマスター)

  魔力回復量増加Ⅰ 帳尻合わせ(バランサー)

  獲得経験値増Ⅰ

────────────────────


……相変わらずステータス低すぎる。

攻撃力とか速度が1なのは、まあわかる。一般運動不足社会人だし。

でも何なの、【知力】1って。


──と、いつもの文句を脳内で垂れつつ。


この前の昇格試験でレベルが2上がったおかげもあり、今の魔力は10。

つまり、いつものアレで魔力を20上昇させれば、30に足りそう。


「アルテミス、リンドールさん。ちょっといいですか……?」

「はい、マスター」

「ええ、構いませんけれど……何をなさるのです?」


二人を手招きし、これからやろうとしていることを伝える。


「承知しました、例のですね」

「……ああ、またアレをやるのですね……」

「はい! ガルムたちのためにもお願いします!」


……ということで。

私は『アイテム』から【低級魔石の指輪】を二十個取り出し、二人へ両手を差し出した。

アルテミスとリンドールさんに手伝ってもらいながら、一個、また一個と指輪を嵌めていく。


「……いや、何してるの? というか、その指輪どこから出したんだ?」

「……すみません。これはいったい、どういった儀式なのでしょうか?」


困惑する緑ギルドの二人をよそに、私の指は見る見るうちに、色とりどりの魔石で埋め尽くされていく。


「マスターの薬指──失礼します」

「あ、うん」

「──はい。これで二十個ですわね。……相変わらず凄まじい見た目ですわね」

「ありがとうございます! これで召喚できるはず!」


ということで、両手がずっしりと重くなったところで、早速ニョキモチを召喚してみることに。


「【植物召喚Ⅲ】──ニョキモチ!」


私が唱えた瞬間、目の前に黄緑色の魔法陣が広がった。

魔法陣から伸びた光が、植物を形作っていく。


そして──ぼんっ、と軽い音を立てて光が弾けた。


そこに現れたのは、細い茎の先に白くて丸い実をびっしりとつけた、まるで小さなお餅が実った稲穂のような植物だった。


「お、ニョキモチじゃん」

「ええ。少なくとも、見た目は普通のニョキモチですわね」

「……あれ、ハラモチではなさそうですか?」

「おそらく違いますわ。ハラモチは、これよりもずっと大きな実を、数個しかつけませんの。希少なうえに収穫量も少ないからこそ、高価なのですわ」

「そうなんですね……。じゃあ失敗したかも……」


私はがっくりと肩を落とす。

まあ運がいいだけだし、毎回異常個体ってわけじゃなくて当たり前だ。

逆に言えば、私だって普通の召喚ができる!──ってことだよね。


そう自分を納得させつつ、一応アイテム欄の説明だけでも確認してみることに。


召喚したニョキモチの実を一粒、指先でつまんでみる。

ぷにっと、お餅みたいな弾力が返ってきた。

そのまま軽く引っ張ると、ぶちっ、と茎から外れる。


アイテム欄を開いたまま、その実を手に取ってみると──実が消えて、アイテム欄に入った。

そこに書かれていたのは……。


────────────────────

【完全食ニョキモチ】 一粒で一日に必要な栄養を補えるモチ。腹持ちも結構良い。

────────────────────

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― 新着の感想 ―
さすが植物召喚。物価も高いし食いもんあればもう働かなくていいじゃん
分かりやすい。威厳も何もあったもんじゃないテンションw
ちょっと現実に欲しい効果がありそうなモチになって草 小さい分、小さい個体(子供)にも食べやすいから完全に上位互換だわ
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