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間違えて運に極振りしちゃったけど召喚士なら何とかなりますか? ~召喚で出てくる魔物が異常個体ばかりなんですけど!~  作者: やおよろずの
第四章 第四天位になろう!

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109 パラグナ湖盆

ガルムたちに先導され、私たちはヴァルプニルに乗ったまま、その後を追う。


大きな岩と岩の隙間にある細道を通って、緩やかな坂を上ると、

そこには巨大な岩山に周囲をぐるりと囲まれた、とんでもなく広い盆地が広がっていた。


見渡す限り青緑色の草原が広がっていて、ところどころに大小さまざまな湖が点在している。


「ここが、パラグナ湖盆(パラグナ・ベイスン)です。青緑色のパラグナ草が一面に広がる景観で知られていて、時折、観光目的で訪れる方もいるくらいですよ」

「まあ、ここまで来るの普通に大変だし、魔物も出るからな。護衛を雇ってまで見たい物好きな金持ちくらいしか来ないぞー」


確かに、これはわざわざ護衛を雇ってでも見に来る価値はあるかも……!


そんな壮観な景色に目を奪われていると、ひゅーっと風が吹き抜けて、青緑色だった草原が白銀色に塗り替わっていく。

パラグナ草の細長い葉が風にあおられて裏返り、銀白色の葉裏が一斉に姿を見せたのだ。


白銀の波は草原の端から端へと走り、そのまま湖の水面へ消えていった。


「すごい……。とても綺麗ですわね……」

「綺麗だな。……いや、綺麗すぎないか? 前に来たとき、ここまでじゃなかったぞ」

「ええ。おそらく、例年よりもパラグナ草が多く残っているせいでしょうね……」

「……というか、魔物が全然いないの何?」


トネリコさんとソヨゴさんは、何か考えながら、険しい顔で草原を見渡していた。


話についていけてない私は、素直に二人に聞いてみることに。


「パラグナ草が多い? 魔物がいない? どういうことですか?」

「例年よりパラグナ草が多く残っている。つまり、それを餌にする草食魔物の数が減っているように見える、ということです。実際、この時期なら見えるはずのタラプの群れが、一つも見当たりません」


トネリコさんの言葉を受け、リンドールさんも改めて草原へ視線を巡らせる。


「なるほど……何らかの原因で草食魔物が減り、その結果、食べられずに残ったパラグナ草が、これほど美しい景色を作り出している……ということですのね」

「そういうこと。前に来たときは、ここまで観光名所みたいじゃなかったぞ。この時期なら、そこら中にタラプの群れがいていいはずなんだがー?……これじゃ、ガルムが湖盆の外まで餌を探しに出るのも当然だな」

「草食魔物が激減した原因が、どこかにあるということですね。それが噂の外来種によるものなのかは──この先で話を聞けば、はっきりするでしょう」


二人の話を聞いているうちに、さっきまであんなに綺麗に見えていた草原が、急に寂しい、そして不穏な場所に見えてきたよ……。


私たちはガルムたちの後を追って、湖盆の奥──岩山の麓へと進んでいくと、洞窟が見えた。

ここが、ガルムたちの住処みたい。


最初は自然にできた洞窟なのかと思ったけど、それにしては入口の形が整いすぎているような……。

ガルムたちが頑張って掘ったのかな?……でもこんな硬そうな岩をどうやって?


そんな疑問を抱いている間にも、ガルムたちはためらいなく洞窟へ入っていく。

洞窟の入口でヴァルプニルから降り、二頭にはその場で待っていてもらうことにして、

私たちもその後を追って中へ足を踏み入れると──。


「すごっ……ガルムだらけですわね……!」


リンドールさんの言葉通り、洞窟の中には、大小さまざまなガルムたちの姿があった。


しかも、普通のガルムばかりじゃない。

一回り大きなガルムリーダーっぽい子や、魔獣ショップリーフェンで見たハイガルムっぽい子もちらほらいる。


ざっと見ただけじゃ、とても数えきれないほど。

しかも洞窟はさらに奥まで続いているみたいだし、この群れ……もしかして、百匹くらいいるんじゃないかな!?


「なんだか、群れっていうより、一つの村みたいですね」

「実際、近いものだと思いますよ。ほら、あそこを見てください」

「えっ……岩を食べてる!?」


トネリコさんが指差した先では、ずんぐりとした体つきの、銅褐色のガルムが岩壁に噛みついていた。


──がりっ! ごりっ!


めちゃくちゃ硬そうな岩を、まるでクッキーでも齧るみたいに、次々と噛み砕いていく。

砕いた岩の一部はそのまま飲み込み、残った欠片を前足で器用に後ろへ掻き出していた。


「ロックイーターと呼ばれる、珍しいガルムですね。ああして岩を食べるのですが、ここではああして岩壁を削り、棲み処を広げる役割を持っているようです」

「顎強いですわね……」


それぞれが役割を持ってるなんて、本当に人間社会みたいだ。


……だけど、そんな立派な棲み処とは対照的に、ここのガルムたちはなんだか元気がないように見えた。


エサが足りないのもあるんだろうけど、それだけじゃなくて、群れ全体の活気がないというか……。


同じことを感じたのは、私だけじゃなかったみたい。


「……何だ? ここの連中、揃ってずいぶん元気ないな」

「そうですね……。ですが、空腹で気が立っている様子もありません」

「……あー。これ、もしかして」

「何か思い当たることがあるんですか?」

「……まあとにかく奥で話を聞いてからだ」


ただ、そんな中でも一部のガルムには、よーく見ると身体に傷を負っている子もいるみたいだった。

片脚を引きずっていたり、まだ乾ききっていない血がこびりついていたり。


……もしかしてあの子たちは、()()と戦って、それでも何とかここまで帰ってきたガルムたちなんじゃ……。


「……なるほどね。戦おうとはしたらしいなー」


ソヨゴさんは、傷ついたガルムたちの声に耳を傾けるように目を細めそう言った。


つまり、ガルムたちは戦おうとしなかったわけじゃないみたい。

一部のガルムは、縄張りに入り込んだ()()を追い払おうとして、できなかったんだ。


これだけの数のガルムがいて……?

しかもハイガルムのような上位個体もいるのに……?


それとも、群れ全体で戦えない、何か別の理由が……?


私がそんな疑問を抱いたときだった。


「ヴォル──わふぅん」

「グルル──わふぅん」


洞窟のあちこちにいたガルムたちの目が一斉にハートになった……!


もしかして……と思い、抱っこ袋を見ると、そこからひょっこりと白い顔が覗いていた。

……ミルちゃんが顔を出したんだ……。


さっきまでぐったりと伏せていたガルムたちまでもが、目をハートにしてこっちに集まってくる。

尻尾まで振って、ついさっきまでの元気のなさが嘘みたい……。


「──これは……」

「すごいな、その白いガルム! さっきまであんなに沈んでた群れが、一気に元気になったぞ」

「単純ですわね……。いえ、それだけ白もふさんの美貌が凄まじい、ということでしょうか……」


ミルちゃんに目を奪われ、ぞろぞろと私たちの後ろについてくるガルムたち。

何だか一気に洞窟全体が活気を取り戻した気がするよ……。

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― 新着の感想 ―
もう、ミルちゃんの能力が魅力だけじゃなくて、本当に戦闘能力とか軍の指揮上げてるんじゃないかと思えてきたよ・・・
疲れ果てていたところにアイドルが慰問に来て魅力されとるw
テンションが只下がりの中でこの急浮上な光景。ほんと特定の種に対しての特殊効果が抜群で草。
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