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間違えて運に極振りしちゃったけど召喚士なら何とかなりますか? ~召喚で出てくる魔物が異常個体ばかりなんですけど!~  作者: やおよろずの
第四章 第四天位になろう!

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106/121

106 リンドールさんの裏切り……!?

……何とも言えない沈黙が流れる中、私は思い切って声を上げることに。

聞きたかったのは、さっきから名前が出ているエンジュという人について。


「あの、話の途中ですみません。……エンジュさんって、どなたなんですか?」


トネリコさんの反応を見るに、何やら警戒した方がいい人らしいけど、

ソヨゴさん曰く、リンドールさんがいなくなったせいで大変なことになっているとか。

つまり、リンドールさんとかなり親しい人……なのかな。


私の質問に、リンドールさんは凄くイヤそうに目を伏せつつも、答えてくれる。


「……わたくしと同い年の、血の繋がりのない姉ですわ」

「あ、お姉さんだったんですね!」

「アレは姉妹愛で片づけていい感情には見えないんだがー?」

「……最近はどのような様子ですの」

「そうだなー。毎日『今日は帰ってくるか』って聞いてるらしいぞ。リンドールのお父さんが何とか誤魔化してたけど、最近は『自分で探しに行く』とか言い出した。そろそろ限界だなー」

「リンドールさんのことをすごく心配してるんですね……!」

「……心配しているというか、なんというか……」


トネリコさんが何とも言いづらそうな顔をしたそのとき、リンドールさんが話を打ち切るようにパンッと両手を叩いた。


「それよりも! ソヨゴは何をしていたんですの?」

「あー! そうだった。仕事の途中なんだった。今からパラグナ湖盆(パラグナ・ベイスン)に行くところ」


パラグナ──どこかで聞いた名前だと思ったら、私が召喚できる植物の一つに、パラグナ草というものがあった。

もしかして、パラグナ草が群生しているから、そう呼ばれているのかな。


パラグナ湖盆(パラグナ・ベイスン)へ? どのような依頼ですか?」

「あそこ、ガルムたちの根城だろ? 最近、群れごと人里に下りてきてるらしくてさー」

「なるほど。魔獣と会話できるソヨゴに、ガルムたちから事情を聞いてほしいということですね」

「そういうことだなー」


なるほど。魔獣と話せるなら、こういう依頼にはうってつけだよね。


……というかそもそも、魔獣と会話できるって何なんだろう?

まあ緑ギルドの最上位ギルドに所属している人だし、何でもありなのかもしれないけど……魔法か何かなのかな?


「ガルムって、普通は縄張りから出ないだろ? なのに、いくつもの群れが揃って人里まで下りてる。どう考えても普通じゃないんだよなー」

「そうですね。……それにしても、パラグナ湖盆(パラグナ・ベイスン)ですか。あの一帯では最近、外来種らしき魔物の目撃情報も出ていますね」

「へえ、外来種。じゃあ、そいつに追い出されて、ガルムたちが逃げてきた可能性もあるな」


外来種って、ブラックバスとかアメリカザリガニとか、そういうやつ……?

少し気になって、私は尋ねてみる。


「あの、外来種って……もともとその土地にいなかった魔物が、どこかから移り住んできたってことですか?」

「はい、おおむねその認識で合っています。外来種は、生態系に大きな影響を及ぼすことが多いんです。もともといた魔物を縄張りから追い出し、その魔物が人間の居住区へ流れ込んだり、天敵がいないうえに餌が豊富なため、異常繁殖したり……」


めっちゃ前の世界と同じだ……。

魔物になっただけで、起きる問題は変わらないんだね。


「でしたら早く向かった方がよろしいのではありませんの? こんなところで油を売っていないで」

「そのつもりだったんだよ。なのにルドルフが、その白いのに夢中で全然言うこと聞かない。困ってるんだがー?」

「そ、そうでしたわね……」


ソヨゴさんはルドルフを見上げた。

ルドルフは壊れた入口から頭を突っ込んだまま、やっぱりそっぽを向きつつ目はミルちゃんを見つめている。


ちょっとかわいいかも。こんなに大きな魔獣だけど。


「ルドルフがいないと、行くだけでも時間がかかるんだよ。それに、ガルムの群れを探すのもこいつ頼み。──おい、ルドルフ。そろそろ言うこと聞いてくれよー」


ソヨゴさんが呼びかけると、ルドルフは低く喉を鳴らした。


「ヴォウ……ウォゥン……」

「……いや、まじか」

「なんて言ってるんですか?」

「『彼女にも来てほしい』だって」

「え、ええっ!? 彼女って、ミルちゃんですか!?」

「そう。……え? なになに……。『俺の活躍する姿を見てほしい』……なんだよ、直接言えよー」

「恥ずかしいんでしょうね! こんな上位個体でも、そういうところがあるんだ……」


ピルカさんは、新しい発見でもしたように目を輝かせていた。


「というわけで、サキ。ついてきてくれ」

「何でですの。わたくしたちには関係のない話ですわ。ね、サキさん!」

「え、ま、まあ……。午後は特に予定ないですけど」

「余計なこと言わなくていいですわ。さあ、お二人ともさっさと帰ってくださいま──」

「来ないとリンドールがここにいるってエンジュに伝えるけど」

「──サキさん。考えてみれば、ソヨゴが一緒なら危険は少ないですわ。外来種の件も気になりますし、ガルムたちが人を襲うような事態になる前に、早急に解決すべきではありませんか?」

「寝返った!?」

「……すみません、サキさん。私も同行し、危険な目には決して遭わせませんので。……はあ、午後の仕事を調整しなければなりませんね」


……えっ、もう私も行くことになってる?


まあでも、同行するソヨゴさんとトネリコさんは、どちらも緑ギルドの最上位ギルドのメンバーだし、アルテミスも一緒。

目的はガルムたちから事情を聞くことだから、危険が少ないのは本当かも。


それに、野生の魔物を見られる良い機会かもしれない。

もしかしたら、パラグナ草も見られるかもしれないしね。いつか召喚する前に、本物を見ておきたいし。

……そういえば、肝心のミルちゃんはどう思ってるんだろう?


「……分かりました。私たちも一緒に行きます!──なんですが、ちなみにミルちゃんは何て言ってるんですか?」

「……『お手並み拝見』だって」

「見た目に似合わず硬派ですわね!?」

「よしルドルフ。格好いいところ見せるぞー」


ルドルフはそれに応えるように、店内を震わせるほど大きな遠吠えを上げた。

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― 新着の感想 ―
いやまあ、結婚するかもしれない相手なんだから、(しかも初対面で)「お手並み拝見」はしょうがないのかも。 (ガルムたち、ミルちゃんに会うためだけに来たってのは本当にやめてあげろよ。ルドルフが可哀想だぞ)
これは、野生のガルム群れ全員がミルちゃんに惚れて ミルちゃんの鶴の一声で解決、ルドルフ出番無し なんて悲しい事になったりしない??
お手並み拝見って。笑 ミルちゃん見た目は可愛いけど中身は辛口なのかな?( ´ ▽ ` )
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