103 ガルムちゃんのステータス!
今回短めです。
ガルムちゃんのステータス測定のため、私たちは店内へ戻ることになった。
私が歩き出すと、二匹のハイガルムくんも当然のように腰を上げ、そのまま後ろをついてこようとする。
「ははっ。この子たちも一緒に行きたいようですね。連れていっても構いませんか?」
「はい、もちろんです。……いいよね、ガルムちゃん」
腕の中のガルムちゃんの顔を覗き込むと、ガルムちゃんはじっと私の目を見つめ返してきた。
……たぶん何も考えてなさそう。
とりあえず反対はされなかったので、二匹のハイガルムくんも一緒に連れていくことに。
私たちは来た道を戻り、店内の通路を進んでいく。
すると……。
「わふぅん……」
「きゅるる……」
「かふぅん……」
警戒してこっちを睨みつけていたガルムも、干し肉にかぶりついていたガルムも、ぐっすり眠っていたガルムも。
あの子も、この子も。
……飼育区画にいたガルムたちがみんな、鉄柵の前に集合してこっち──というか、ガルムちゃんをうっとりと見つめている。
「すごいですね、うちのガルムたちが……!」
「ああ、信じられないな……」
ピルカさんとグレッタさんは集まったガルムたちの様子を見て、揃って目を丸くしていた。
◇
着いたのは、中央に大きな魔法陣が描かれた不思議な部屋。
ここが、魔獣の能力を調べるための能力測定室らしい。
中央の魔法陣の周りには、腰くらいの高さの柱が五本並び、それぞれ異なる色の魔石が嵌め込まれている。
壁際には、文字を映し出すためらしい大きな透明板と、操作盤。
「では、こっちの測定機を使うので、机の上にその子を置いてください!」
「えっ、あの真ん中にある魔法陣を使うんじゃないんですか?」
「あれは大型用です。この子くらいの大きさなら、こっちで十分ですよ!」
「なるほど……」
言われた通り、ガルムちゃんを机の上に置く。
ガルムちゃんは逃げる様子もなく、その場でお座りしていた。
「……先輩、どの粒度でいきます?」
「まずは最も粗いものでいいだろう。詳しい項目は、その結果を見てからだ」
一口に能力測定といっても、調べる細かさにはいくつか段階があるらしい。
一番粗い測定なら、基礎的な能力をまとめて確認するだけ。
けれど、項目を細かく分けて一つずつ調べる詳細な測定になると、半日がかりになることもあるんだとか。
人間ドックみたいな感じだね。
「分かりました! では、一番簡単な測定で始めますね!」
ピルカさんが何やら機械を操作すると、ガルムちゃんの足元に小さな魔法陣が展開された。
淡い光がガルムちゃんの身体を包み込み、下から上へとなぞるようにゆっくりと動いていく。
当のガルムちゃんは、特に気にした様子もなく、お座りしたまま。
──やがて光が消えると、機械に付属の透明板へ、文字が次々と表示された。
どうやら、それが測定結果らしい。
私も気になって、ピルカさんの横から覗き込んでみる。
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【生命力】 E-
【魔 力】 E-
【膂 力】 E-
【耐久力】 E-
【敏捷性】 E-
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「……よ、弱いですねー! これは!」
「ピルカ!」
ごつん、と今日何度目か分からないげんこつが落ちる。
「いてぇ!」
「いいんです! 戦わせるつもりはありませんから!」
評価結果の見方は、何となく感覚でわかる。
オールE-……間違いない。これは、弱い!
というかどっからどう見ても弱いから、全然意外な結果じゃない。むしろ順当。
小さいし、もふもふだし、噛みつかれてもたぶんそんなに痛くなさそうだし。
それより、ステータスが低いと分かって、私はガルムちゃんのことがさらに好きになった。
なぜなら、私のステータスも鬼のように低いのだから。
「ガルムちゃん……私も【攻撃力】と【防御力】と【速度】と【知力】と【精神力】が全部1で……お揃いだね」
「随分と早口で……よく嚙みませんでしたわね」
「そこが良いんです、マスター」
「良くない!」
アルテミスには分からんでしょうね!
私がご立腹していると、トネリコさんが測定結果を見ながら口を開いた。
「この結果を見る限りですが……やはりハイガルムたちがこの子を強者として従っている可能性はまずないでしょう。となると、従う理由はやはり、戦闘能力とは別のところにあるのでしょうね」
「やっぱり可愛いからでしょうか……」
「それは……私にはガルムの言葉が分かりませんので」
トネリコさんは、少し悲しそうにそう言った。
いや、分からないのは当たり前だよ!!




