↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
29/40

序章 第十一節「開戦前夜」中編

―1924年9月11日 午前6時35分―

セルビア王国 ベオグラード オーストリア=ハンガリー帝国公使館


9月11日。


ベオグラードの街に、薄い朝霧が立ち込めていた。

サヴァ川とドナウ川の合流地点には白い靄が漂い、対岸の建物はぼんやりとした輪郭を浮かび上がらせていた。

河岸では荷役人夫たちが早朝から働き始めていた。石炭を積んだ荷車が石畳を軋ませながら進み、停泊中の河川汽船からは細い煙が立ち上っている。

街の中心部では、パン屋が店を開き始めていた。

焼きたてのパンの香りが通りに漂い、新聞売りの少年たちが朝刊を抱えて走っていく。


しかし、普段と変わらぬ朝の風景とは裏腹に、街の空気にはどこか落ち着かないものがあった。


9月8日に発生した国際列車爆破事件。

その後に伝えられたウィーンでの高官暗殺事件。

そして、オーストリア=ハンガリー帝国政府による厳重な抗議。


市民たちは、隣国との関係が急速に悪化していることを知っていた。


それでも、多くの人々は戦争になるとは考えていなかった。


10年前にも、同じような危機があった。


あの時も新聞は戦争の可能性を報じ、軍隊が国境へ移動し、各国政府が激しい外交交渉を繰り広げた。


しかし、最終的に戦争は回避された。

今回も同じように解決するだろう。


少なくとも、そう信じる人々は少なくなかった。


その頃、ベオグラード市内にあるオーストリア=ハンガリー帝国公使館では、すでに職員たちが慌ただしく動き始めていた。


建物の二階に設けられた公使執務室。

厚い絨毯が敷かれた室内には、大きな執務机と革張りの椅子が置かれ、壁には皇帝の肖像画が掲げられていた。


公使ハインリヒ・フォン・ヴァルトナー伯爵は、昨夜ウィーンから届いた暗号電報を読み返していた。54歳。


長年にわたり外交官として各国を歴任してきた彼は、バルカン半島の複雑な政治情勢をよく理解していた。


机の上には、暗号を解読した文書が置かれていた。

その表題には、厳格な書体でこう記されていた。


『セルビア王国政府に対する帝国政府の要求』


ヴァルトナーは深く息を吐いた。

「……これを、本当に提出するのか」


彼は文書を机に置いた。

要求内容は、決して軽いものではなかった。

反帝国的な民族主義団体の取り締まり。

事件関係者の逮捕と引き渡し。

帝国政府に対する公式謝罪。

そして、帝国側調査官によるセルビア国内での捜査活動の承認。


最後の項目が、最も大きな問題だった。


独立国家であるセルビアにとって、外国政府の官憲が自国領内で独自に捜査を行うことは、国家主権に関わる問題である。


ヴァルトナーは、セルビア政府がすべての要求を無条件で受け入れる可能性は低いと考えていた。

扉が叩かれた。


「閣下、失礼いたします」

公使館の一等書記官が入室した。

「外務省への訪問準備が整いました」

「先方には連絡したか」

「はい。午前七時に文書を提出する旨、すでに伝えております」


ヴァルトナーは時計を見た。

午前6時40分。


「分かった。7時には出発する」

「承知しました」


書記官が退出しようとした時、ヴァルトナーが呼び止めた。


「待ちたまえ」

「はい」

「ウィーンから、追加の訓令は届いていないか」

「現在のところ、ありません」

「……そうか」


公使は窓の外へ目を向けた。

朝霧の向こうに、ベオグラードの街並みが広がっていた。

彼は、この街で暮らす人々の顔を思い浮かべた。


外交官として幾度も会談を重ねた政府高官。

公使館の職員と親しくしている商人。

街角のカフェで働く給仕。


彼らの多くは、帝国との戦争など望んでいないはずだった。

しかし、国家の意思は、必ずしも国民一人一人の願いによって決まるものではない。


ヴァルトナーは立ち上がった。


「行こう」

書記官が扉を開けた。

公使は文書を革製の鞄に収め、執務室を後にした。

その鞄の中には、欧州の運命を左右するかもしれない一通の外交文書が入っていた。




―同日 午前7時20分―

セルビア王国 ベオグラード 王国外務省

 


セルビア王国外務省の建物には、早朝から政府高官たちが集まっていた。


廊下では職員たちが書類を抱えて行き交い、電話室では各省庁との連絡が続けられていた。

会議室には大きな木製の机が置かれ、その周囲に首相、外相、陸軍関係者らが着席していた。


首相ニコラ・パシッチは、机の上に置かれた文書を静かに見つめていた。


年老いた政治家の顔には、深い疲労の色が浮かんでいた。

数日前から、彼はほとんど休息を取っていなかった。


国際列車爆破事件。

ウィーンでの暗殺事件。

そしてオーストリア政府からの度重なる抗議。


これらの事件に対し、セルビア政府は捜査と協力を約束していた。


しかし、帝国政府はそれだけでは満足しなかった。


午前7時過ぎ、オーストリア公使ヴァルトナーが外務省を訪れ、正式な最後通牒を提出した。


文書はすぐに首相のもとへ届けられた。


パシッチは眼鏡を掛け直し、ゆっくりと読み始めた。

最初の項目は、反帝国的な宣伝活動の禁止だった。

次に、民族主義団体の解散。

事件関係者の逮捕。

帝国政府への公式謝罪。

そして、最後の項目。


パシッチの手が止まった。

「……これは」

彼は顔を上げた。

「我が国に、外国の警察官を入れろというのか」

外相が頷いた。

「帝国側調査官による国内捜査を認めるよう要求しています」

「共同調査ではないのか」

「文面上は、帝国側が独自に活動できる余地を残しています」


パシッチは文書を机に置いた。

「これを受け入れれば、我が国は独立国家としての権限を失いかねん」

陸軍関係者が口を開いた。

「首相閣下。これは明らかな挑発です」

「分かっている」

「帝国は我々が拒否することを承知の上で、この要求を突きつけてきたのでしょう」


パシッチは答えなかった。

その可能性は、彼自身も考えていた。

だが、ここで感情的に拒否すれば、戦争の口実を与えることになる。


「回答期限は?」

彼が尋ねた。

「本日午後10時です」


会議室にざわめきが広がった。

「あと15時間もないではないか」

「各項目を検討する時間すら与えないつもりか」

「ロシアへ連絡すべきです」


閣僚たちの声が重なった。

パシッチは手を上げ、静粛を求めた。


「諸君」

彼はゆっくりと口を開いた。


「我々は戦争を望んでいない」


その声は、決して大きくなかった。

しかし、会議室は静まり返った。


「我が国は、帝国と戦争をするために存在しているのではない。国民の生活を守るために存在している」


パシッチは最後通牒を手に取った。


「受け入れられる要求は受け入れる。捜査にも協力する。必要であれば、国際的な調査団の派遣も求めよう」

そして、最後の項目を指で示した。

「だが、国家の主権を放棄することはできない」


外相が頷いた。

「では、部分的な受諾と修正提案を盛り込んだ回答を作成します」

「そうしてくれ」

パシッチは続けた。

「同時に、ロシア政府へ連絡を取る。英国とフランスにも仲裁を求めよう」

「陸軍には?」

軍関係者が尋ねた。

首相は少し考えた。

「国境部隊の警戒を強化する。ただし、挑発的な行動は厳禁だ」

「承知しました」

「兵士たちには、こちらから発砲してはならないと徹底させてくれ」

軍関係者は敬礼した。


パシッチは窓の外を見た。

ベオグラードの街には、朝の光が差し込み始めていた。


彼は、その光景をいつまでも守りたいと思った。

しかし、そのために残された時間は、あまりにも短かった。




―1924年9月11日 午前9時10分―

ロシア帝国 サンクトペテルブルク 冬宮殿




ネヴァ川の水面に、灰色の空が映っていた。

サンクトペテルブルクの街は、すでに秋の気配に包まれていた。

冬宮殿の広大な廊下には、近衛兵たちが整然と立ち、軍服姿の将校や宮廷官僚が慌ただしく行き交っていた。


皇帝ニコライ二世は、執務室でセルビアからの緊急電報を読んでいた。


電報には、オーストリア=ハンガリー帝国から最後通牒を受け取ったことが記されていた。

皇帝は文書を机に置いた。


「……またバルカンか」

小さく呟いた。


10年前の危機を、彼は鮮明に覚えていた。

あの時も、欧州は戦争の瀬戸際に立たされた。


しかし、最終的には各国が妥協し、戦争は回避された。


皇帝は今回も同じ結果を望んでいた。

だが、情勢は以前より複雑になっていた。

ロシア国内では、セルビアを支援すべきだという声が高まっていた。

スラヴ民族の保護を掲げる政治家や新聞は、オーストリアの行動を強く非難していた。

一方、軍部はドイツとの戦争に備える必要性を訴えていた。


やがて、外務大臣と陸軍大臣が入室した。

「陛下」

二人は深く一礼した。

「セルビアからの電報はご覧になりましたか」

「ああ」

皇帝は頷いた。

「オーストリアの要求は、あまりにも厳しい」

外務大臣が答えた。

「セルビア政府は大部分を受け入れる方針ですが、国内捜査権に関する条項は拒否する見込みです」

「当然だろう」

皇帝は静かに言った。

「我が国で同じ要求を受け入れることなど考えられん」


陸軍大臣が口を開いた。

「陛下。軍としては、オーストリアの軍事行動に備える必要があります」

「動員を求めるのか」

「現段階では、限定的な準備措置を提案いたします」


皇帝は眉をひそめた。

「限定的な準備とは?」

「南西部の軍管区における部隊の警戒強化、鉄道輸送計画の確認、休暇中の将兵の呼び戻しなどです」

「ドイツはどう受け取る?」


陸軍大臣は少し言葉を選んだ。

「ドイツ側が警戒を強める可能性はあります」

「それでは、戦争を防ぐどころか、戦争を招くのではないか」

外務大臣が答えた。

「陛下。我々が何も行動しなければ、ウィーンはロシアが介入しないと判断するかもしれません」

「つまり、軍事的な圧力によって戦争を防ぐということか」

「そのとおりです」


皇帝は椅子の背にもたれた。

しばらく沈黙が続いた。


やがて彼は口を開いた。

「私は戦争を望まない」

その声には、疲労が滲んでいた。


「しかし、セルビアを見捨てることもできない」

陸軍大臣は黙って頷いた。

「限定的な警戒措置は認める。ただし、全面動員は許可しない」

「承知いたしました」

「そして、ベルリンへ電報を送ってくれ」

皇帝は続けた。


「ドイツ皇帝に対し、我々が戦争を望んでいないことを伝えたい」

外務大臣が頷いた。

「直ちに手配いたします」


皇帝は窓の外へ目を向けた。

ネヴァ川の向こうには、静かな街並みが広がっていた。


彼もまた、その平和がいつまで続くのか分からなくなっていた。



―1924年9月11日 午前10時25分―

ドイツ帝国 ベルリン 参謀本部庁舎



ベルリンの参謀本部では、早朝から緊急の報告が相次いでいた。


フリードリヒ大尉は、作戦課の机に向かい、ロシア軍の動向をまとめた報告書を読んでいた。

内容は、昨夜の報告よりも一段と深刻になっていた。


『ロシア帝国南西部軍管区において、将兵の休暇取り消しを確認』

『複数の鉄道駅で軍用貨車の集結を確認』

『一部部隊に対し、警戒態勢の強化が命じられた模様』


フリードリヒは、書類を机に置いた。

これらの動きは、全面動員を意味するものではなかった。

しかし、戦争準備の初期段階と解釈することもできた。


同僚の参謀将校が近づいてきた。

「ロシアが動き始めたな」

「まだ動員命令は出ていない」

「だが、時間の問題だろう」

ヴァルテンベルクは首を振った。

「そうとは限らない」

「君はまだ外交で解決できると思っているのか」

「解決できるかどうかは分からない」

彼は答えた。

「だが、我々が最初から戦争を前提にすれば、外交の余地は失われる」

同僚は肩をすくめた。

「君の言うことは分かる。だが、参謀本部は最悪の事態に備える場所だ」

「そうだな」

フリードリヒは苦笑した。


その時、伝令の下士官が入室した。


「フリードリヒ・ヴァルテンベルク大尉。参謀総長より、東部方面の輸送計画に関する報告を求められています」

「承知した」


彼は書類をまとめ、立ち上がった。

廊下へ出ると、電話交換室から絶え間なく声が聞こえてきた。


軍管区との連絡。

鉄道当局への照会。

現地の部隊からの報告。

参謀本部全体が、巨大な機械のように動き始めていた。


フリードリヒは、ふと足を止めた。


壁に掛けられた時計は、午前10時30分を示していた。

昨夜から、まだ半日も経過していない。


それにもかかわらず、欧州の軍事情勢は大きく変化していた。

彼は小さく息を吐いた。


「……早すぎる」


誰にも聞こえない声で呟いた。

そして、参謀総長の執務室へ向かった。

 


―同日 午前11時40分―

ドイツ帝国 ヴィルヘルムスハーフェン 大洋艦隊旗艦「フリードリヒ・デア・グローセ」艦上



北海沿岸の空には、低い雲が広がっていた。

ヴィルヘルムスハーフェン軍港では、前夜から続いていた補給作業がほぼ終了していた。

岸壁には石炭を運ぶ貨車が並び、港内の水面には大小の補助艇が行き交っていた。


大洋艦隊旗艦「フリードリヒ・デア・グローセ」の艦上では、午前の点検作業が行われていた。


主砲塔の内部では、砲術員たちが装填機構の作動確認を続けていた。

鋼鉄製の巨大な砲尾が動くたびに、重い金属音が響く。


ヴェーバー大尉は、点検表を手に作業の様子を見守っていた。


「第一砲塔、異常なし」

下士官が報告した。

「よろしい。次は第二砲塔だ」

ヴェーバーは頷いた。


彼の表情は普段と変わらなかったが、内心では落ち着かないものを感じていた。

艦隊全体が、出撃に備えている。

しかし、具体的な命令はまだ下されていない。

それが、かえって乗組員たちの不安を強めていた。


点検を終えて上甲板へ出ると、ブラント大尉が待っていた。


「ヴェーバー」

「どうした」

「司令部から新しい通達が出た」

「出撃命令か?」

「いや。引き続き即応態勢を維持せよ、とのことだ」

ヴェーバーは小さく頷いた。

「そうか」


ブラントは港内を見渡した。

「しかし、いつまで待つことになるのだろうな」

「命令が出るまでだろう」

「それはそうだが」

ブラントは苦笑した。


遠くには、巡洋戦艦「デアフリンガー」の巨大な艦影が見えた。

その周囲には駆逐艦や補助艦艇が停泊していた。


「英国艦隊は、まだポーツマスにいるそうだ」

ブラントが言った。

「本当か?」

「ああ。ほかの艦も、各基地で待機しているらしい」

「ならば、英国も我々と同じだな」

「同じ?」

「戦争になるかもしれないと考えながら、命令を待っている」

ブラントは少し考えた。

「確かにな」


二人はしばらく海を眺めていた。


その時、艦内放送が響いた。

『各科長は13時に士官室に集合せよ』


ヴェーバーは時計を見た。

「午後も忙しくなりそうだ」

「そうだな」

二人は艦内へ戻っていった。


その背後では、巨大な戦艦群が静かに海面に浮かんでいた。

まるで、何かの合図を待つかのように。

 



―1924年9月11日 午後0時50分―

英国 ロンドン ホワイトホール 外務省



ロンドンの空は、厚い雲に覆われていた。

ホワイトホールの官庁街では、自動車や馬車が絶え間なく行き交っていた。


外務省の建物では、朝から各国大使館との連絡が続いていた。

長い廊下には書類を抱えた職員たちが行き交い、電信室では通信士が休む間もなく電鍵を打っていた。

外務省の会議室では、外務担当閣僚と高級外交官たちが協議を行っていた。

机の上には、ベオグラードから届いた最後通牒の写しが置かれていた。


「これが、オーストリアの要求です」

一人の外交官が説明した。


「セルビア政府は、本日午後10時までに回答しなければなりません」


外務担当閣僚は文書を読み進めた。

その表情が次第に険しくなっていった。


「……厳しい要求だな」

「はい」

「特に、この捜査権に関する条項は問題だ」

外交官が頷いた。

「セルビア政府が受け入れる可能性は低いと考えられます」

「ウィーンは、それを承知しているのだろうか」

「恐らくは」

外務担当閣僚は椅子の背にもたれた。


「つまり、戦争を始める口実を探している可能性があるということか」

「断定はできません。しかし、少なくとも外交的な妥協を難しくする内容です」


会議室に沈黙が流れた。


やがて、別の外交官が口を開いた。

「首相は、各国への仲裁提案を急ぐよう求めています」

「分かっている」

外務担当閣僚は頷いた。

「まず、オーストリア政府へ回答期限の延長を求めよう」

「どの程度でしょうか」

「最低でも48時間だ」

「承知しました」

「同時に、ベルリンへも連絡を取る」

彼は続けた。

「ドイツ政府に対し、同盟国への自制を促すよう求める」

外交官たちは頷いた。

「そして、サンクトペテルブルクにも伝えてほしい」

「ロシア政府へですか」

「ああ。軍事動員を急がないよう要請する」


外務担当閣僚は窓の外を見た。

雨が降り始めていた。


ロンドンの街は、いつもと変わらぬ昼下がりを迎えていた。

しかし、外務省の内部では、誰もが時間の不足を感じていた。


最後通牒の期限まで、あと9時間余り。


その間に、欧州の運命を変える外交交渉を成立させなければならなかった。




―1924年9月11日 午後2時15分―

セルビア王国 ベオグラード 王国首相官邸


午後のベオグラードには、強い日差しが戻っていた。

街路樹の葉が風に揺れ、石畳の通りには市民たちが行き交っていた。


しかし、街の中心部では、朝から新聞の号外が配られ続けていた。


『オーストリア、最後通牒を提出』

『政府、緊急会議を開催』

『回答期限は本日午後10時』


市民たちは新聞を買い求め、街角で議論を交わしていた。


ある者はオーストリアの要求を非難し、ある者は戦争を避けるために譲歩すべきだと主張した。

若者たちの中には、祖国を守るために軍へ志願すると叫ぶ者もいた。


しかし、その声を聞く年配の市民たちの表情は暗かった。

戦争が始まれば、最初に犠牲になるのは兵士だけではない。

街も、家も、家族も、すべてが戦争に巻き込まれる。


そのことを、彼らは知っていた。


首相官邸では、パシッチが閣僚たちと回答文の最終調整を続けていた。

机の上には、幾度も修正された文書が広げられていた。


「第一項、受諾」

外相が読み上げた。

「第二項、受諾。ただし、国内法に従うことを条件とする」

書記官が記録した。

「第三項、受諾」

会議は淡々と進んでいた。


しかし、最後の項目に差し掛かると、再び議論が激しくなった。


「帝国側調査官の独自活動は認められません」

外相が言った。


「ただし、国際調査団による共同捜査ならば受け入れる余地があります」

パシッチは頷いた。


「その方針でよい」

陸軍関係者が口を開いた。

「首相閣下。ここまで譲歩する必要があるのでしょうか」

「ある」

パシッチは即答した。

「我々は戦争を避けなければならない」

「しかし、帝国は我々を屈服させようとしています」

「だからこそ、我々は冷静でなければならない」


パシッチは机の上の文書を指した。

「この回答を見れば、世界はセルビアが平和を望んでいることを理解するだろう」

外相が頷いた。

「英国とフランスも、我々の立場を支持する可能性があります」

「ロシアは?」

「サンクトペテルブルクから、外交的支援を続けるとの回答が届いています」

パシッチは深く息を吐いた。

「それならば、まだ希望はある」

しかし、その言葉とは裏腹に、彼の表情は険しかった。


彼は知っていた。

外交的な正しさが、必ずしも戦争を防ぐとは限らないことを。


机の上の時計は、午後2時20分を示していた。


回答期限まで、あと8時間を切っていた。




―1924年9月11日 午後3時30分―

オーストリア=ハンガリー帝国 ウィーン 帝国外務省


ウィーンの外務省では、セルビア政府からの正式回答を待つ時間が続いていた。

ホーエンフェルトは執務室で、英国から届いた外交電報を読んでいた。

内容は、最後通牒の回答期限を延長するよう求めるものだった。

彼は文書を読み終えると、すぐに上司の執務室へ向かった。


「失礼いたします」

扉を開けると、政府高官が机に向かっていた。

「どうした、ホーエンフェルト君」

「英国政府からの正式な要請が届きました」

彼は電報を差し出した。

「最後通牒の回答期限を48時間延長するよう求めています」

高官は文書を受け取った。

しばらく読み進めた後、深く息を吐いた。


「予想していたことだ」

「閣下」

ホーエンフェルトは言った。

「私は、この提案を受け入れるべきだと考えます」

「理由は?」

「時間が必要です」

「セルビアにか?」

「我々にもです」


高官は顔を上げた。

「我々にも?」


「はい。セルビアが要求の大部分を受け入れた場合、残された問題について交渉する時間が必要になります」

ホーエンフェルトは続けた。

「英国が仲裁に乗り出すのであれば、国際的な調査団を設置することも可能です」

「軍部は反対するだろう」

「承知しています」

「それでも提案するのか」

「はい」


ホーエンフェルトは静かに答えた。


「戦争を避ける可能性が残されている限り、外交官はそれを追求すべきです」


高官はしばらく彼を見つめていた。


やがて、文書を机に置いた。


「分かった。閣議に提出しよう」

「ありがとうございます」

「ただし、期待はするな」

高官は続けた。

「ラウエンシュタイン中将をはじめ、軍部はすでに国境部隊の準備を進めている」

ホーエンフェルトの表情が曇った。

「軍事行動の準備ですか」

「そうだ」

「まだセルビアの回答も届いていないのに?」

「軍部は、回答が拒否された場合に備えている」


ホーエンフェルトは何も言えなかった。


彼は、軍事的な準備が外交交渉に先行し始めていることを感じていた。


その時、窓の外から教会の鐘が聞こえた。


午後3時30分。


回答期限まで、あと6時間半。


ホーエンフェルトは、時間が急速に失われていくのを感じていた。


―1924年9月11日 午後4時45分―

ドイツ帝国 ベルリン 皇帝宮殿


ベルリンの皇帝宮殿では、緊急の政治会議が開かれていた。

皇帝ヴィルヘルム二世は、大きな執務机の前に立ち、オーストリアから届いた報告書を読んでいた。

室内には帝国宰相、外務担当高官、陸軍参謀総長らが集まっていた。


皇帝は文書を机に置いた。

「オーストリアは、本気でセルビアと戦争をするつもりなのか」

宰相が答えた。

「現時点では、セルビアの回答を待っている状況です」

「だが、要求は厳しい」

「はい」


皇帝は眉をひそめた。

「セルビアがすべてを受け入れるとは思えん」

外務担当高官が口を開いた。

「英国政府は、回答期限の延長を求めています」

「英国が?」

「はい。ロンドンは欧州全体への戦争拡大を強く警戒しています」

皇帝は椅子に腰掛けた。

「当然だろう」

彼は静かに言った。

「ロシアが介入すれば、我々も無関係ではいられない」


参謀総長シュタインベルク大将が口を開いた。

「陛下。軍としては、ロシアの動向を重大視しております」

「動員を始めたのか」

「全面動員は確認されておりません。しかし、南西部軍管区で準備が進んでいます」

「それはオーストリアへの威嚇かもしれん」

「その可能性はあります」

シュタインベルクは頷いた。

「ですが、我々は最悪の事態に備えなければなりません」

皇帝はしばらく黙っていた。


やがて、外務担当高官へ視線を向けた。


「ウィーンへ電報を送れ」

「どのような内容でしょうか」

「セルビアが要求の大部分を受け入れた場合、外交交渉を継続すべきだと伝える」


宰相が顔を上げた。

「陛下。それは同盟国への圧力と受け取られる可能性があります」

「構わん」

皇帝は答えた。

「同盟国を支援することと、無条件に戦争を支持することは違う」


室内が静まり返った。

ヴィルヘルム二世は続けた。


「私はオーストリアを見捨てるつもりはない。だが、バルカン半島の紛争のために欧州全体を戦争へ引きずり込むつもりもない」


宰相は深く頷いた。

「承知しました」

皇帝は窓の外を見た。


ベルリンの街には、夕暮れが近づいていた。

彼は10年前の危機を思い出していた。


あの時も、欧州は戦争の瀬戸際に立たされた。

しかし、最後には外交が勝利した。


今回も、そうなるはずだった。

少なくとも、皇帝はそう信じていた。




―1924年9月11日 午後5時40分―

英国 ポーツマス海軍基地 沖合 第21番錨地 巡洋戦艦「フッド」


ポーツマスの空には、夕暮れの光が差し込み始めていた。

軍港の水面は穏やかで、停泊中の艦艇の艦影が長く伸びていた。


巡洋戦艦「フッド」の上甲板では、夕刻の点検が行われていた。

ハミルトン大尉は、主砲塔の状態を確認した後、艦橋付近へ向かっていた。

その途中で、ベネットと出会った。


「ハミルトン」

「どうした」

「艦長からの命令だ。明日も上陸許可は制限されるそうだ」

ハミルトンは小さく息を吐いた。

「そうか」

「どうやら、事態は悪化しているらしい」

「何か新しい情報が入ったのか?」

「オーストリアがセルビアへ最後通牒を出した」


ハミルトンは足を止めた。

「最後通牒?」

「ああ。回答期限は今夜10時だそうだ」

「今夜?」

「そうだ」


ハミルトンは時計を見た。


午後5時40分。


期限まで、あと4時間余りだった。


「随分と短いな」

「まったくだ」


二人は上甲板の手すりに寄り掛かった。


港内には、多くの軍艦が停泊していた。

隣の第22番錨地には、姉妹艦「アンソン」が静かに浮かんでいた。


その巨大な艦体は、夕日に照らされて鈍い光を放っていた。


「10年前も、こんな感じだったのだろうか」


ベネットが呟いた。

「どうだろうな」


ハミルトンは答えた。

「当時、我々はまだ若かった」

「新聞で戦争の話を読んだ記憶はある」

「俺もだ」


ハミルトンは遠くの水平線を見た。

「だが、結局戦争にはならなかった」

「今回も、そうなるといいな」

「ああ」


しばらく沈黙が続いた。

その時、艦内放送が響いた。


『各科長は18時、艦長室に集合せよ』


ハミルトンは姿勢を正した。

「呼ばれたようだ」

「忙しいな」

「仕方ない」


二人は艦内へ戻っていった。


背後では、夕日がゆっくりと沈み始めていた。


港内の軍艦群は、まるで何事も起こっていないかのように静かだった。




―1924年9月11日 午後6時20分―

セルビア王国 ベオグラード 王国首相官邸



ベオグラードの街に、夕闇が迫っていた。


首相官邸では、最後通牒への回答文がようやく完成しようとしていた。

パシッチは机の上に置かれた文書を、最初から最後まで読み返していた。


その内容は、オーストリアの要求の大部分を受け入れるものだった。

反帝国的な宣伝活動の禁止。

民族主義団体の取り締まり。

事件関係者の逮捕。

帝国政府への公式謝罪。


しかし、帝国側調査官による独自捜査については、国際法とセルビア国内法に従う共同調査を提案していた。


パシッチは最後の一文を読み終えた。


「……これでよい」

外相が頷いた。

「では、清書を進めます」

「ああ」

首相は椅子の背にもたれた。


長い一日だった。

朝から続いた会議。

各国政府との連絡。

閣僚たちとの議論。

そして、最後通牒への回答。


すべてが、わずか10数時間のうちに行われていた。


パシッチは窓の外を見た。

街には夕暮れの光が差し込み、遠くの教会から鐘の音が聞こえていた。

その時、陸軍関係者が入室した。


「首相閣下」

「どうした」

「国境部隊から報告です」

パシッチは顔を上げた。


「オーストリア軍の動きが活発になっています」

「具体的には?」

「一部部隊が国境付近へ移動しています。また、河川沿いの砲兵陣地で準備が進められている模様です」


首相の表情が険しくなった。

「こちらの部隊は?」

「警戒態勢を強化しています」

「発砲は?」

「ありません」


パシッチは安堵の息を吐いた。

「よろしい」


彼は続けた。

「国境部隊には、絶対にこちらから発砲しないよう徹底させてくれ」

「承知しました」

「そして、可能な限り衝突を避けることだ」

軍関係者は敬礼し、退室した。


パシッチは再び回答文を見た。

彼には分かっていた。


この文書が、戦争を防ぐ最後の機会になるかもしれないことを。


彼はペンを手に取った。

そして、文書の末尾に署名した。


ニコラ・パシッチ。 セルビア王国首相。


その署名は、国家の主権を守りながら戦争を回避しようとする、最後の外交的な試みだった。





―1924年9月11日 午後7時5分―

オーストリア=ハンガリー帝国 ウィーン 帝国外務省



ウィーンの外務省では、再び緊急会議が開かれていた。


ホーエンフェルトは、会議室の端に座っていた。

机の上には、英国政府からの回答期限延長要請と、ドイツ皇帝からの外交的自制を求める電報が置かれていた。

ラウエンシュタイン中将は、険しい表情でそれらを見つめていた。


「英国もドイツも、我々に時間を与えろと言っている」

中将は低い声で言った。

「しかし、時間を与えれば何が起こる?」

誰も答えなかった。

「ロシアが動員を進め、セルビアが軍を整える。それだけではないか」

ホーエンフェルトが口を開いた。

「中将。時間を与えれば、外交交渉が成立する可能性もあります」

「可能性、か」

ラウエンシュタインは彼を見た。

「君は昨日から、そればかり言っているな」

「外交とは、可能性を追求する仕事です」

「軍人の仕事は、可能性に賭けて国家を危険にさらすことではない」

中将は机を指で叩いた。

「我々は、セルビアが要求を拒否した場合に備えなければならない」

「その準備が、相手に戦争の意思を示すことになるのです」

「戦争の意思を示さなければ、相手は要求を受け入れない」


ホーエンフェルトは言葉を失った。

その論理は、軍部にとっては合理的だった。

しかし、外交官にとっては危険なものだった。


やがて、会議を主宰する政府高官が口を開いた。

「英国の延長要請については、現時点では受け入れない方針とする」

ホーエンフェルトは顔を上げた。

「閣下」

「ただし、セルビアの回答内容によっては、追加交渉を検討する余地を残す」

ホーエンフェルトは小さく頷いた。


完全な拒否ではなかった。

まだ、わずかな希望は残されていた。


しかし、その希望がどれほど脆いものか、彼は理解していた。


会議室の時計は、午後7時10分を示していた。


回答期限まで、あと3時間を切っていた。




―1924年9月11日 午後8時30分―

セルビア王国 ベオグラード 王国外務省


ベオグラードの夜は、静かに更けていた。

王国外務省の建物では、最後通牒への正式回答を提出する準備が整っていた。

清書された文書は、革製の書類鞄に収められていた。

パシッチは外相と向かい合っていた。


「内容に変更はないな」

「はい」

「オーストリアの要求の大部分を受け入れ、捜査権に関する条項については共同調査を提案する」

「そのとおりです」

パシッチは頷いた。

「これ以上の譲歩はできん」

外相は静かに答えた。

「承知しています」


首相はしばらく黙っていた。

そして、ゆっくりと口を開いた。


「私は、戦争を避けたい」

「私もです」

「だが、国家の独立を失ってまで平和を求めることはできない」

外相は頷いた。


その時、窓の外から馬車の音が聞こえた。

公使館へ向かうための車が到着したのだった。


「時間だな」

パシッチは立ち上がった。


外相も席を立った。

「では、行ってまいります」

「頼んだ」


パシッチは右手を差し出した。

二人は固く握手を交わした。


「我が国の運命が、君の手に委ねられている」


外相は静かに答えた。

「最善を尽くします」

そして、書類鞄を手に部屋を出ていった。


パシッチは一人、窓辺へ歩み寄った。


ベオグラードの街には、まだ多くの明かりが灯っていた。

遠くでは、人々の話し声が聞こえていた。

彼はその光景を見つめながら、静かに祈った。


どうか、この夜が平和の最後の夜にならないように。




―1924年9月11日 午後9時15分―

セルビア王国 ベオグラード オーストリア=ハンガリー帝国公使館



公使館の正面玄関には、二台の自動車が停車していた。

門の前には警備兵が立ち、建物の窓からは明かりが漏れていた。

セルビア外相を乗せた車が到着すると、公使館の職員たちが出迎えた。

外相は革製の書類鞄を手に、ゆっくりと階段を上った。

案内された応接室には、公使ヴァルトナー伯爵が待っていた。


「閣下」

外相が一礼した。

「お待ちしておりました」

ヴァルトナーは立ち上がった。


二人は形式的な挨拶を交わした。

しかし、その表情はどちらも険しかった。


外相は書類鞄を開き、一通の文書を取り出した。

「セルビア王国政府の正式回答です」

ヴァルトナーは文書を受け取った。

「ありがとうございます」


彼はゆっくりと読み始めた。


最初の項目。


受諾。


次の項目。


条件付き受諾。


さらに次の項目。


受諾。


文書を読み進めるにつれ、ヴァルトナーの表情がわずかに和らいだ。

セルビア政府は、予想以上に多くの要求を受け入れていた。


しかし、最後の項目に差し掛かると、その表情は再び険しくなった。


『帝国側調査官による独自の捜査活動については、セルビア王国の憲法および国内法に抵触するため、これを認めることはできない。ただし、国際的な共同調査については協議に応じる用意がある』


ヴァルトナーは文書を置いた。


しばらく沈黙が続いた。


「閣下」

セルビア外相が口を開いた。

「我が国は、可能な限りの譲歩を行いました」

ヴァルトナーは頷いた。

「そのことは理解しています」

「我々は戦争を望んでいません」

「私もです」

公使は静かに答えた。

「しかし、最終的な判断はウィーン政府が下します」


外相は深く息を吐いた。

「どうか、この回答を誠実なものとして受け取っていただきたい」

「必ず、そのように報告します」

ヴァルトナーは文書を丁寧に折り畳んだ。

「ただし、私には要求内容を変更する権限がありません」

「承知しています」

二人は立ち上がった。


握手を交わした後、外相は静かに部屋を出ていった。


ヴァルトナーは一人、応接室に残った。

机の上には、セルビア政府の回答文が置かれていた。


彼はそれをもう一度読み返した。


大部分の要求は受け入れられている。

残された問題についても、交渉の余地はある。

外交官としての彼は、そう判断していた。


しかし、ウィーンの軍部が同じように考えるとは限らなかった。


ヴァルトナーは書記官を呼んだ。

「至急、ウィーンへ電報を送ってくれ」

「内容は?」

「セルビア政府より正式回答を受領。大部分の要求を受諾。ただし、捜査権に関する条項については修正提案あり、と」

「承知しました」


書記官が退出すると、ヴァルトナーは窓の外を見た。


ベオグラードの街は、静かな夜に包まれていた。

彼は小さく呟いた。


「……これで、終わってくれればよいのだが」


しかし、その願いが届く保証は、どこにもなかった。




―1924年9月11日 午後9時40分―

オーストリア=ハンガリー帝国 ウィーン 帝国外務省



ウィーンの外務省では、ベオグラードからの電報を待つ緊張が高まっていた。


ホーエンフェルトは執務室で、時計を見つめていた。


午後9時40分。


回答期限まで、あと20分。

その時、扉が勢いよく開いた。


「ホーエンフェルト殿!」

若い書記官が駆け込んできた。

「ベオグラードから電報です!」

ホーエンフェルトは立ち上がった。

「内容は?」

「セルビア政府が正式回答を提出しました!」


彼は書記官から電報を受け取った。

急いで読み進める。


要求の大部分を受諾。

捜査権に関する条項については修正提案。


ホーエンフェルトの表情が変わった。

「……受け入れたのか」

彼は小さく呟いた。

完全な受諾ではなかった。

しかし、交渉を継続するには十分な内容だった。

彼は電報を握りしめた。


「まだ間に合う」

そして、急いで会議室へ向かった。

廊下には、夜遅くにもかかわらず多くの職員たちが行き交っていた。

その誰もが、ベオグラードからの回答を待っていた。


ホーエンフェルトは足を速めた。

彼の胸には、久しぶりに希望が生まれていた。

戦争を避けることができるかもしれない。

外交交渉を継続できるかもしれない。

まだ、すべてが終わったわけではない。


しかし、会議室の扉の向こうでは、すでに別の判断が下されようとしていた。


ホーエンフェルトは扉の前で立ち止まった。

そして、深く息を吸った。


手には、セルビア政府の回答を記した電報が握られていた。


彼は扉を開けた。

その先に待っているものが、和平への道なのか、それとも戦争への道なのか。


この時、彼にはまだ分からなかった。


序章 第十一節 後編へ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。