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少年少女の人型機甲戦闘機戦記 - Strong Armys of GigAntes  作者: ニコライ
第1部

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第49話「巨神」前編

 



「皇太子、コーネス……!」

『ほう。よく気付いたな、魔王。そこのハイシェルト令嬢の方が早いと思ったが』

「お前が敵の大将だからな。知らないわけないだろ」

『魔王らしい傲慢さだ』

「どの口が言う」


 月面の偽装ハッチから出てきた敵機は非常に巨大だった。

 スサノオも15m級という、SAGA(サーガ)としてはかなり大きな機体だが、眼下に存在する敵機はそれを上回る。

 推定、全高50m。全身をゴツゴツとした分厚い装甲に覆われており、まさしく要塞めいた機体だ。


「リント」

「ああ、鹵獲するぞ。マイリアへの手土産だ」

『そんな余裕があるものか』

「何だって?」


 その言葉の後、月面各所から新たな敵機が出現した。

 識別によるとジャッジメントらしい。武装が少なく、四肢のフレームや装甲が貧弱なものに変わっているが、ジェネレーターの反応などは変わらない。

 それが……パイロットが潰れるほどの加速で突っ込んできた。


「メイ!」

「うん!」


 2人は反射的に反応し、ビームボーゲンで2機を蜂の巣にし、もう1機をクルセイダーで斬り裂く。


「速い……」


 加速度はスサノオの方が上だ。しかし、それは高性能なイナーシャルキャンセラーも相まってのもの。

 ジャッジメントのジェネレーター出力では、それほど高性能なイナーシャルキャンセラーは搭載できない。コックピットはスサノオ以上、文字通り押し潰れるほどのGがかかっているはずだ。

 それを実現している理由は、1つしかなかった。


「無人機か?」

『その通り、専用にカスタマイズした無人機だ。それだけの速度があれば対処に手間取るだろう?プログラムは後に高性能化するか、基本コードを変えれば良い』


 とはいえ、現在無人機が採用されていないのには大きな理由がある。

 無人機は思考回路が単純になり、特に射撃や回避などが下手なためだ。有人機と比べると良くて7割、通常は半分程度の戦力換算にしかならない。

 加速性能が高かろうと同じだ。新兵からすれば脅威だが、中堅レベルなら容易く対処できるだろう。機体の製造コストは有人機と同じなのだから、ほぼ金の無駄だ。

 しかし……


「違うだろ」

「違うよね」


 何か違うことを、凛斗とメイは直感した。

 自分達レベルだから反応できたということを。既存のものとは大きく異なることを。


『ほう、気付いたか』

「お前……何をやった?普通の無人機じゃないな」

「反応がおかしいよ。有人機とか、そんな感じで……」

『その通りだ』

「は?」

「え?それだとGで……」

「まさか!」


 そして、現在この世界に存在する技術で、それを実現する方法は1つしかない。


『そのまさかだ。こいつらには人間の脳を使っている。最も、機械の割合が高いがな』


 武装法務隊が捕らえ、処刑された人々の脳。それに特殊な処置を施し、思考回路の中心を司る部品とした。

 まだ機械的な動きの方が多いとはいえ、人間に近い動きをする無人機はその産物だ。冒涜的な研究の。


「お前!」

「そんな……」

『有効活用というやつだ。嬉しいだろう?』


 そんな口ぶりに2人は憤るものの、何を言っても無意味だと理解し口を閉じる。

 そもそも、悠長に会話していられる状況ではない。無人仕様ジャッジメントは皇女派連合軍へ攻撃を仕掛けており、各地で対処に追われている。

 しかも……


「は⁉︎」

「味方じゃないの⁉︎」


 味方であるはずの皇太子派帝国軍も攻撃を受けていた。ある意味では平等に攻撃が降り注いでいる。

 どうやら何箇所かでは、即席の共同戦線が引かれている場所もあるらしい。しかし、多くの部隊が背後から奇襲されたことにより、かなりの被害を出しているようだ。

 なお、武装法務隊は攻撃を受けておらず、味方判定のようだが……同じジャッジメント装備ということで両陣営から集中攻撃を受けており、戦力としては壊滅していた。


「お前!味方を何だと思ってる!」

『役に立たん者達を処分して何が悪い。そういうものだろう?』

「こんなの……!」

「予想以上だな、こいつ!」


 ある意味では道理だろう。しかしこの状況でやることではない。

 そんな皇太子の思考回路に違和感を持ちつつも、そんなことについて考えていられる戦況ではない。


『リント!どうすりゃ良い!』

『助けてくれって言ってくるんだけど!敵なのに!』

『助けるか?』

「救援を求められたら助けろ。それ以外は警戒だ。無理して協力しなくていい。自分の命を優先しろ」

『了解。凛斗、無茶しないで』

「分かってる。繭も気を付けろ」

『うん』


 命令を出す前に剛毅達から聞かれたので、用意していた回答を出す。

 というより向こう側のことを全て任せてしまう以上、凛斗にはそれしか言えなかった。


『ふん、それで終わるかな?』

「何だって?」

『アレらは獣だ。今こそSAGA(サーガ)や艦艇を目標としているが、それが無くなれば何をどうするか分からんな』

「そんな、まさか……」

『入力した命令はただ1つ、味方以外への無差別の破壊。基幹指揮プログラムはこの機体、ハデスが構築している。コックピットを破壊せねば止まらんぞ?』


 皇太子の言ったことは分かりやすい。止めたければ殺して見せろ、そういうことだ。

 しかし、そんなことを言われなくても、既に心は決まっている。


「メイ」

「うん」

「あいつだけは絶対に殺す」


 絶対に止める、ということを。


『やる気になったか?魔王』

「当たり前だ」

『ならば……殺し合いの始まりだ!』


 その瞬間、ハデスの両掌から超大口径プラズマ収束砲が放たれた。

 スサノオはそれを回避し、プラズマスラスターを使って急接近を狙う。


「凄い威力……」

「艦砲よりはマシな程度か。当たるなよ」

「うん」


 ハデスからは掌の超大口径プラズマ収束砲だけでなく、各指から高出力ビーム砲が放たれ、スサノオの機動を阻害してくる。

 さらに胸部正面装甲と腰部からプラズマ収束砲が放たれた。砲口が半球形になった、自由に角度を変える自立稼動タイプらしい。

 そして、火器管制装置がかなり高性能だ。回避しなければならない物が多い。なのでメイはしばらく回避に専念し、その間に凛斗はハデスを観察すた。


「後ろに回るか?」

「対策してると思うよ?」

「正面よりはマシ、だと思う。試してみるしかないか」

「了解」


 その提案を受け入れたメイはプラズマスラスターの出力を調整し、移動する。

 見たところ、ハデスの背後は火力が低い。


「メイ!」

「っ⁉︎」


 しかし、ハデスの背中に光る4つの砲門を見た瞬間、スサノオは全力で回避した。


「阿修羅か!」


 そこにあったのは、今ある2つの腕と同じもの。それが4つ、合計6つの武装腕部。

 スサノオは4つの超大口径プラズマ収束砲からギリギリで避けると、距離を取る。


「そこ!」


 勢いが削がれたためスサノオは大太刀型クルセイダーから右手を離すと、胴体の装甲の薄そうな箇所を狙ってビームライフルを放った。

 しかし、それは装甲に当たった瞬間弾かれる。アンチビームコーティングだ。


「そんな⁉︎」

「それなら!」


 それを見た凛斗は、アンチビームコーティングでは防げないプラズマ収束砲を放つものの、こちらは巨大なエネルギーシールドで防がれた。


「固い……」

「防御は万全か」

『分かったか?無駄な行為だということが』

「無駄?今のでも色々と分かったぞ?」

『ふっ、そうでなければ張り合いが無いな。やれ』

「「っ!」」


 そしてハデスから数百ものビームボーゲンが放たれたため、スサノオは堪らず距離を取る。

 どうやら、最初に接近できたのは手加減していた……というより、罠に嵌めるつもりだったようだ。


『下がるか?であれば次だ』


 続いて2種類のブリューナクがハデスから分離し、スサノオへ向かってきた。その総数は200近い。

 しかも、片方の重砲型ブリューナクはプラズマ収束砲を搭載しているタイプだ。


「多すぎっ!」

「予想より多いな……」

「ブリューナクは?」

「この数は無理だ」


 もう一方の防壁型ブリューナクはエネルギーシールド発生器の他に、ビーム砲を3門も搭載している。

 生半可な攻撃では破壊できない上、数が多い。そのため、2つが合わさった脅威度は非常に高い。


「離れるぞ。ブリューナクを削りつつ、対策を考える」

「うん」


 勢いのまま突撃してもやられるだけだと察し、スサノオはビームボーゲンの射程外まで退避する。

 ハデスの側も様子見をしているのか、退避後は超大口径プラズマ収束砲や高出力ビーム砲しか撃ってこず、ブリューナクはハデスの周囲で守りを固めていた。

 スサノオもプラズマ収束砲を撃ってみるが、再びエネルギーシールドに防がれる。


『理解したか?無駄だということを』

「この程度で判別することか?せっかちだな」

『ふん、いずれ分かる。無駄だということがな。いや、そもそもの話からしよう。貴様らは何故戦う?』

「何故?」

「何を言ってる?」


 そんな状況で突如そんなことを聞かれ、凛斗とメイは戸惑う。2人には皇太子の質問の意図が読めなかった。

 戦う理由は既に作られていた、そう考えている為に。


『何故戦う、と聞いた。余と戦っても意味など無いだろう』

「はっ、今さらそれを聞くか?理由ならお前が自分で作っただろ」

『そのような表面的なことではない。より根本にあるもののことよ』

「根本?」

『人は争い続けてきた。無意味に血を流しすぎた。悲劇を生みすぎた。なればこそ、誰かが管理し、止めねばならん』

「それをお前が?」

『そうだ。余は世界の統治者となり、真なる平和を築いてみせよう』

「大層な夢だな。殺戮者が抱くには役者不足だ」

『理解できぬか。しかし平和な世界を見たいのであれば、余に従え。礎を作らせてやろう』


 そう嘯く皇太子。

 確かに、平和な世界は凛斗やメイも希求するものだ。しかし、外見(名前)だけ同じで中身(方法)が違っては意味が無い。


「自由があるからこそ、人は生きている。責任があるからこそ、人でいられる」

『何?』

「自由が、責任が、自意識が無ければ、それはもう人じゃない。ただの機械だ」

『機械、か。ある意味では正しいのかもしれんな。しかし、機械ですらない獣は躾けねばならん』

「ブリキの王様気取りか?お遊びがやりたいなら1人でやれ」


 強権による統一と平和な世界は異なる。凛斗はそう考えている。そのため、皇太子の考えには賛同できない。

 というかそれ以上に、皇太子を上司とするには許せない点があった。


「第一、自分の部下を捨て駒にするような奴に従えるか」

『ふん、有効活用してやっただけのことだ。もっとも、役立たずだったがな』

「屑だな。根っからの」


 絶対に相入れない。8年前のことが無かったとしても、この結論は同じだろう。

 メイもまた、同じだ。


「……それが貴方の本音?」

『ああそうだとも、ハイシェルト令嬢』

「だったら、私達の敵。もう失わない」

「ああ、奪わせない」


 当然の如く交渉は決裂。


『威勢の良いことだ。しかし、力が無くてはな!』


 そして戦闘が再開され、ハデスから6門の超大口径プラズマ収束砲が放たれた。

 スサノオはそれを回避しつつ、コックピットの中で打ち合わせを行う。


「どうするの?」

「防御を削るぞ」

「アレ?」

「ああ」


 ハデスの1番の脅威はその巨体でも大量の火器でもない、防御力だ。一般のSAGA(サーガ)ではどうやっても突破できないだろう。

 戦艦からの砲撃があれば別だが、この場に援護できる戦艦は無い。スサノオがやるしかない。


「できるよね?」

「当たり前だろ」

「じゃあお願い」


 しかし、欠点もあった。

 ハデスに搭載されているエネルギーシールドは出力が高く範囲が広い代わりに、発生器の一部がシールドの外に出ている。

 そこを上手く狙い撃ちできれば、勝てる可能性はあるだろう。


「さてと……」


 ハデスのプラズマ収束砲や高出力ビーム砲への対処(回避)はメイに任せて、凛斗はハデスの防御特性を解析する。

 まずプラズマ収束砲を撃ち、エネルギーシールドを展開させた。機動の最中に何度も放ち、特性や癖を見る。


「早いな。それに画一的、展開はシステム側か」

「え、そうなの?」

「可能性は50%程度だけどな。人がやってるにしては反応が一定すぎる。オートとマニュアルを切り替えられる可能性もあるけど……」

「やれるよね?」

「ああ」


 凛斗の話を受け、メイはスサノオをハデスへ近づける。

 もちろん回避行動を行いつつ、最大限の警戒をしつつであり、現在進行形で大量のビームを避け続けていた。


「そこだ!」


 そして、スサノオは右上腕の肘付近へ向けてプラズマ収束砲を発射。さらにエネルギーシールドが形成されることを見越して、ビームボーゲンの集中投射を行う。

 エネルギーシールドとビームの干渉・反発によって起こるエネルギー波が複数方向から直撃し、発生器の先端が破損、その範囲のエネルギーシールドが消滅した。


「よし!」

「次は私!」

「頼む」


 エネルギーシールドの一部が破壊されたとはいえ、ハデスの放つ弾幕は相変わらずだ。

 しかし、凛斗のような悪意に満ちた弾幕ではなく、コンピューターによる機械的な迎撃は読みやすい。


「やれ!」

「うん!」


 メイはそのビームの隙間へ滑り込ませるようにスサノオを動かし、距離を詰めていく。

 そして最終段階でプラズマスラスターを最大出力。


「やぁっ!」


 大太刀型クルセイダーがハデスの右上腕を肘から斬り落とした。


「やった!」

『ふむ、斬られたか』

「油断するからだ。これくらい、簡単だぞ」

『これはハイシェルト令嬢の行ったことだろう?』

「私の実力は凛斗の実力、変わらないよ」

『そうか。どうやら、甘く見ていたようだ』


 ハデスを落とす算段が付いた。

 そう思った直後、嫌な予感が凛斗を襲う。


「まさかっ!」

『ここまでされて黙る必要は無いだろう。手加減無く落としてしまえ』

『『『ハッ!』』』


 直後、飛び退いたスサノオの周囲へ大量の、空間が白く染まるほどのビームが浴びせられた。チャージサイクルを変更したのか、弾幕の厚さは先ほどの倍以上だ。

 さらにプログラムが切り替わったのか、ハデスのブリューナクはスサノオ目掛けて飛んでくるようになっている。

 さらにハデスは全身、スサノオをビームボーゲンの射程に捉えようとしてきた。巨体とはいえSAGA(サーガ)だ、遅くはない。回避行動に追われるようになった今、届くようになるのは時間の問題だ。


「本気じゃなかったの……!」

「クソ、攻撃寄りのプログラムもあったか。あるよな、そりゃ!」


 艦隊相手に突撃したとしても、これほど濃密な弾幕に狙われることは無いだろう。

 というか、多数の敵機へ向けられるべきものが全てスサノオを狙っているのだ。過剰すぎる……とは言えないものの、一方的になる程度には恐ろしい状態だ。

 数基のブリューナクを撃墜したところで焼け石に水でしかない。


「避けろ、メイ!とにかく避けろ!」

「もちろん!けど!」

「相殺するにも数が多すぎる!」

「こっちも多すぎるよ!」


 そのため、スサノオは回避を続けていた。エネルギーシールドや盾型ブリューナクで防ぐものもあるが、何門ものプラズマ収束砲に狙われている現状では回避以外の選択肢がない。

 その回避を担当するメイに余裕は無かった。無論、凛斗もビームボーゲンでの相殺やブリューナクでの防御を行っており、援護をする余裕は無い。


『無様ですね、ハイシェルト少尉。いえ、今は少佐でしたか』

「その声、キュルト中佐……」

「キュルト?帝国の悪魔がアレに?」

『貴方がルシファーのパイロットですか。どうやら、魔王と呼ばれるだけはあるようです』

「そっちが勝手に呼んだだけだ。俺に関係無いだろ」

『ふふ、そのように言うのですね。しかし……』

『戯れはよせ』

『失礼しました、殿下。しかし、ちょうど良い』

「くっ⁉︎」

「きゃあ!」


 会話に気を取られて回避し損ね、スサノオは右脛の装甲を半分以上溶かされてしまう。フレームはギリギリで無事だったものの、そのエリアにあったサブスラスターが破壊された。

 同時に起きた爆発で体勢を崩しかけたため、そのままプラズマスラスターを吹かしてその場から退避する。姿勢を戻そうとしていれば次のプラズマ収束砲で撃破されていただろう。


「どうする、どうする……」

「斬り込みたいけど……」

「回避がキツいな。代わるか?」

「それだとブリューナクがダメになるよ?」

「それでも……ん?」

「え?」


 体勢を整えた後も集中砲火を受け続けていたそんな時、レーダーに新たな反応が映った。

 敵味方識別装置(IFF)味方()、ヨーロッパ連合軍機だ。


『こちらオルデンブルグ中隊。アサルトリーダー、援護する』


 トーネードカノーネ7機、トーネードシルツ3機。中隊編成からは2機欠けているが、無人仕様ジャッジメントを突破して来たのだ、優秀な部隊なのだろう。

 だが、相手が悪い。それを理解している凛斗は咄嗟に叫ぶ。


「ダメだ、退避しろ!」


 しかし、間に合わなかった。


『ふん、雑魚か。やれ』

『は!』


 スサノオに向けられている10%だけでも、一般部隊からすれば濁流と変わらない。

 大量の攻撃を投射されたオルデンブルグ中隊は10秒と保たず、全滅した。


「そんな……」

「ちっ、ダメか」

『分かっていたことだろう、魔王。余の聖域に入れるものは少ないと』

「土足で失礼、頭を蹴りに来たからな」

『不敬な。しかし、それでこそ』


 そんなハデスとやり合っているスサノオは英雄(ヒーロー)に見えるだろう。


「それで、どうだ?」

「無理だよ、近づけない……っ!」

「クソ、火力が高すぎるぞ……」


 が、状況は最悪一歩手前から変わっていない。

 今も右肩のショルダーシールドがプラズマ奔流に飲まれ、もぎ取られた。さらに頭部にあるレーダーの1つがビームで溶かされ、肩や翼のサブスラスターが何基か機能不全に陥いる。

 負傷を繰り返してしまい、コックピットの中にいる2人の焦りはかなりのものだ。


「何か無いの⁉︎リント!」

「そんなもの、いや……あるには、ある」

「じゃあやって」

「良いのか?」

「え?」


 このまま続けるだけでは負ける可能性が高い以上、何か他の手段を取るしかない。

 そう判断し、メイは即答した。だが、凛斗は躊躇いを見せている。


「正直、成功するかは五分五分だ。リスクは高いし、できても勝てるとは限らない。最悪、あいつの的になるだけ……メイ、お前は……」


 ある意味、彼は怖いのかもしれない。信じているが故に、出来ない時が恐ろしい。そんな感情を抱いていた。

 もっとも彼女にとって、そんな葛藤は関係無い。


「リント」

「ん?」

「愚問だよ、それ。私、リントのためにここにいるんだもん。リントが失敗したら、私のせいだから……信じてるよ」

「そうだな……分かった。俺の命を預ける。代わりに、メイの命を預けてくれ。信じるぞ」

「うん。どれくらい要る?」

「1分、いや30秒でやる。それまで保たせろ」

「了解!」


 信頼しているからこそ、想っているからこそ、メイは断言した。戦闘中でなければ平手打ちをしただろう。そう予想できる程度には、語気が強かった。

 なのでその想いを理解し、凛斗は覚悟を決める。メイはスサノオの損傷を増やしつつも、30秒を耐え切った。


「メイ、できたぞ!」

「やって!」

「3、2、1、OS切り替え、システム起動!」


 そして、反撃の鏑矢は放たれる。












・ハデス

EXSG74-T03HG

 全高54mの巨人機。その巨体に大量の火器を搭載している、対多戦闘用SAGA(サーガ)の1つの極致。

 皇太子コーネスの他にパイロットは5人おり、指揮官としてアルマ・キュルトが、操縦や火器管制の人員として武装法務隊皇太子直属親衛隊が4人乗っている。

 皇太子専用機として防御も重視されており、全身の各所に搭載されたエネルギーシールドだけでなく、コスト度外視で全身にアンチビームコーティングがされた結果、化け物じみた防御力を誇る。

 なお巨体だが、艦砲射撃の的になりにくい程度の機動性は保持している。

武装

___武装腕部×6

___超大口径プラズマ収束砲×6

___高出力ビーム砲×30

___大型ビームソード×30

___自立稼動プラズマ収束砲×24

___広域エネルギーシールド発生器×30

___ビームボーゲン×300

___ハイビームボーゲン×100

___重砲型ブリューナク×60

___防壁型ブリューナク×120




・無人仕様ジャッジメント

SG65-T08E-X73M

 ジャッジメントの無人機仕様。思考の中枢部品として、武装法務隊が処刑してきた人間の脳が使われている。統合指揮システムにはハデスが組み込まれており、ハデスから全ての機体へ指示を出すことが可能。

 武装やマニュピレーターだけでなく各部パーツを簡略化し量産されたが、重量軽減によって機動性はむしろ向上しており、無人機の慣性を無視した機動で皇女派へ大攻勢をかける。

 だが、そこまでやっても無人機の常として、改善されているとはいえ行動が単純で、そのスピードに対処できるエースやベテランなら対処が可能。

武装

___ビームライフル×1

___ビームソード×1

___迎撃ビームバルカン×1

___ランチャーシールド×1

___3連装ミサイル発射管×1

___4連装ミサイル発射管×2

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