第47話「月への道」後編
『ちっ、何でこうなってんだ』
『文句言うなって。戦おうぜ』
『数が多いんだぞ』
『数が多いのはいつものことです』
『今は質が違うでしょ』
『数年前と同じだけど?』
エンジェルシリーズのパイロット達にとって、現状は馴染みの薄いことで、前回の防衛戦も格下が大半だった。数的不利に追い込まれても、味方の援護もあった。
しかしデーモンシリーズパイロット達からしてみれば、この程度の不利な戦況はいつものことだ。むしろ、対等に近い戦力で戦えた今までの方が異常と感じていたりする。
『右と上から1ヶ小隊ずつ、前から2ヶ小隊、押して来ます!』
『左と前の1ヶ小隊は下がるみたい』
『残りの3ヶ小隊はそのままみたいですよ』
そんな味方は結果的にワンオフとなったとはいえ実験的な部分も多い1ヶ中隊。敵は本格的な量産機だが最新鋭の1ヶ大隊。
どちらの方が強いか、という質問への回答は難しい。
『……ストライク3とストライク5は正面を迎撃、押さえ込め……他はまだそのままだ』
『ハンター2、ハンター6、少し下がってバックハンドブロウの準備。戦線は私が維持するから』
『了解』
『おう』
『分かった』
『うん』
ここに揃うデーモンシリーズ、エンジェルシリーズはルシファーやミカエルと異なり、量産も可能な機体だ。シヴァと比べれば高コストとはいえ、性能差はそこまで大きくない。
そしてシヴァに乗るパイロット達は武装法務隊のエース級ばかりで、技量の差は少ない。連携能力でデーモンシリーズ、エンジェルシリーズが上回る程度だ。
『……やるか』
『う、うん』
『やりましょう』
しかし、機体への慣れは大きく違う。
デーモンシリーズとエンジェルシリーズのパイロット達はこの機体で半年以上戦っており、機体の癖は細かい点まで把握している。
それに対して、シヴァにとってはこれが初陣。パイロットがエース格ばかりとはいえ、機体にはまだ慣れていない。
『散らすよ!』
『了解!』
『……撃て』
『『はい!』』
『突っ込む』
『おう!』
そこを突いた彼らの作戦は大はまりだった。
サタンとリヴィアタンが弾幕で2ヶ中隊を散らすと、ベルゼブブ・アスモデウス・レミエルの長距離攻撃が孤立した敵機へ襲いかかり、クルセイダーを構えたガブリエルとラファエル突撃する。
連携と乱戦、彼らが得意な作戦。シヴァの撃墜こそまだできていないものの、何機かに損傷を与えており、戦力差以上に善戦していた。
『まだまだ!』
『この、オラァ!』
『ストライク6、右!』
『うん、了解』
『こっちも大変なんだよ!』
『合わせれば良いでしょ』
『っと。甘い、よ!』
大暴れ中のガブリエルとラファエルに続き、ベルフェゴールとウリエルも敵集団の中に突撃する。後方からはマモンとラグエルが援護しているものの、2機は双方が展開する弾幕の中を突っ切って接近戦を強要している。
また、量産タイプのシヴァもクルセイダーを持っているが、まだ慣れていないらしい。横から振るわれたクルセイダーをリヴィアタンは盾を使って綺麗に受け流し、反撃の弾幕で右腕をもぎ取った。
加速が足りなければ盾で受け止められる程度でしかなく、対処は容易だ。
『どうにかできそうかな?』
『うん』
『大丈夫』
『簡単に言ってくれる』
『けどよ、あっちよりマシじゃね?』
『確かに』
『だよねー』
『……無茶苦茶だな』
『その通りだと思います』
そのため、作戦の打ち合わせ程度の会話を行う余裕はあり、限界ギリギリというわけではない。
そんな彼らが視線を向けた先、そこには……
「右からアルファ、下からガンマ。来るぞ!」
「ベータはお願い!」
「分かった」
スサノオはシヴァX1の直刀型クルセイダーによる斬撃を大太刀型クルセイダーで逸らすと、すぐさま斬り返しを放つ。それはクルセイダーを狙って行われた攻撃で、シヴァX1を弾き飛ばした直後にビームボーゲンを一斉射、装甲を掠めてサブスラスターをいくつか破壊する。
さらに、シヴァX3からの砲撃はサマーソルトで避け、反転した瞬間にプラズマ収束砲で狙撃した。回避されたものの、一時的に攻撃を遮断することに成功する。
さらに、周囲では双方のブリューナクが飛び交い、至るところで弾幕が形成されていた。スサノオは3基の損失と引き換えに10%を落としており、収支では勝っている。
「ユーハブ」
「アイハブ」
続いてメインパイロットを切り替えると、シヴァX2のクルセイダーをエネルギーシールドで逸らし、固定式ビームソードを発振させた右足で蹴る。
それはエネルギーシールドで防がれたものの、その勢いで距離を取り、ビームボーゲンを連打した。こちらもそのまま防がれたものの、エネルギーシールド越しに体勢を崩す程度の意味はある。
「ナイス」
「当たり前だろ。ユーハブ」
「アイハブ。行ける?」
「ああ。やるぞ」
「うん!」
しかし、トップエース達4機を相手にしているため、流石の凛斗とメイでも雑談をする余裕は無い。遠巻きに見ている1機への警戒も必要なら尚更だ。
簡単なやり取りで互いの狙いを察し、戦術を組み立てる。
「デルタに牽制」
「ベータはやるね」
「アルファが先だ」
2人はスサノオの能力を最大限発揮し、巨体に似合わぬ機動性を見せつけている。そのプラズマスラスターを使った縦横無尽の戦闘だ、未搭載のシヴァは一部受け身にならざるを得ない。
そして数で劣っていても、機動性で主導権を握っているため、スサノオが果敢な攻勢に出ることもできる。
「ヤァァァ!」
「させるか!」
ショルダーシールドを前に出したタックル。そしてクルセイダーを振るい、シヴァX3を弾き飛ばす。
また、死角から攻撃しようとしてきた銃剣型ブリューナクはビームボーゲンの弾幕で絡めとった。
さらにプラズマ収束砲を発射、シヴァX2とシヴァX4に回避を強要させる。
それらはシヴァ4機が攻めを止める程度には、シヴァX1から時間稼ぎとも思える通信が入る程度には、苛烈な攻撃だった。
『やりますね。流石は魔王、想定以上ですよ』
「御託はその程度か?いや、その程度しか言えないんだな。4機程度なら楽で良い」
『その4機に押さえ込まれている貴方が言いますか?』
「勝手に言ってろ。メイ」
「了解」
会話中とはいえ、スサノオは現在も半包囲下に置かれている。警戒を絶やすことはできないため、会話に割かれる思考力は3割も無い。
それに、戦闘再開も早い。
「第1はガンマ、次がデルタ」
「アルファは?」
「後回しだ」
ちなみに、敵機の正式名称は皇女派による諜報活動で明らかになっている。
しかし敵をわざわざ正式名称で呼ぶ必要も無いため、以前の戦いの後に2人はコードネームを付けていた。数字では分かりにくいとも言う。
まあ、それは重要ではない。重要なのは1機と4機が再度激突する直前、爆発光が彼らの所へ届いたことだ。
『これは……』
「やっと始まったか」
「意外と遅かったね」
「何かあったんだろうな。例えば、別動隊が」
『……失敗しましたか』
「あ、本当だね」
「この程度、簡単だ」
それは周囲にいる艦艇へ、大和およびアラエル級からの艦砲射撃が突き刺さり始めた結果の光。
高威力な艦載型プラズマ収束砲はタイラント級宇宙戦艦ですら、当たりどころによっては一撃で轟沈させ、時々護衛艦を数隻まとめて沈めている。
艦隊としての機能を失うのも、時間の問題なのかもしれない。
「さて、良いのか?このままなら艦隊は一方的に削られるぞ?」
『こちらから奪った分際で……』
「逃げられただけだろ。想定外、なんて騒いだか?それとも、皇太子か?」
『殿下を侮辱するのですか?』
「沸点低いな。こんな部下しかいない上司なんて程度が知れる……」
『貴様!』
ただ、こちらはそれどころではなかった。
いくら有能なエースでも、尊敬する上司を侮辱されるのは堪らないらしい。会話もそこそこに、シヴァX1が斬りかかってきた。
怒りに震えていても、太刀筋にブレは無い。鋭い一閃は正確にスサノオのコックピットを狙っている。
「メイ!」
「リント!」
しかし、その程度の攻撃で落ちるような2人ではない。大太刀型クルセイダーで斬撃を受け止めると、そのまま力を込めて弾き飛ばす。
その程度の攻撃で撃破できるほどシヴァ4機は甘くないのだが、連携の起点を崩すことはできた。スピンするようにしたため、復帰には少し時間がかかるだろう。
ついでに、シヴァX3へ向けてハイビームボーゲンを浴びせ、牽制しておく。
「次!ベータ!」
「了解!」
続いて体勢を崩したシヴァX1はしばし放置し、シヴァX3へ牽制射を継続しつつ、シヴァX2へ向かう。
シヴァX2は左肩の大型ショルダーシールドを前に出しつつ、大剣型クルセイダーで迎え打つ構えだ。
ただし、馬鹿正直に相手をするつもりは2人にはない。
「くぅ……」
「ぐっ、次だ。デルタを狙え!」
「うん!」
スサノオはそのまま突っ込み、大型ショルダーシールドへタックルを加えた。さらにクルセイダーから離した左手から固定式ビームソードを発振し、シヴァX2の大型ショルダーシールド表面に取り付けられたエネルギーシールド発生器を破壊する。
前半はサイズ差と出力差のゴリ押しだが、自己診断はグリーンのままなので、何の問題も無い。
というより、シヴァX1の戦線復帰まであまり時間が無いため、スサノオは急ぎつつシヴァX4へ突撃する。
『来るか⁉︎』
「やるぞ」
「大丈夫」
シヴァX1は復帰目前ながらも、スピンがまだ残っているため有効な射撃はまだ不可能。
シヴァX2は衝突の衝撃でパイロットが軽くダメージを受け、格闘戦ならともかく正確な射撃はまだ難しい。
シヴァX3はハイビームボーゲンによる牽制から抜け出せず、援護射撃を行うには色々と不十分だ。
凛斗とメイはスサノオの加速力と出力を生かすことで、擬似的な1対1を作り出した。
「今だ!」
そしてこうなれば、勝つ道筋はいくらでもある。
まず、逃がさないために周辺空間ごと塗りつぶすよう、50条以上のビームボーゲンを放った。
「リント!」
続いて、シヴァX4が構えた大鎌型クルセイダーの刃部分へ向けて、弾き飛ばさないよう注意しながら大太刀型クルセイダーを逆袈裟気味に叩きつける。
それを囮に、左足のビームソードを発振しないまま、シヴァX4へ蹴りを放った。
「落ちろ!」
ようやく作り出した隙、見逃したりはしない。
シヴァX4が体勢を崩した瞬間、右肩に残っていたロケットビームダガー3基を発射する。
『こんなっ』
対艦用兵器であるロケットビームダガーの貫通能力は非常に高い。
エネルギーシールドなど容易く突き破り、頭部・胸部・腹部を貫通、ジェネレーターと共に機体を爆発四散させた。
『なっ!?』
『てめぇ!』
連携の一辺が崩れてしまえばこちらのもの。
最も動揺が大きいように見えるシヴァX3へ向け、スサノオは飛翔する。
「ユーハブ」
「アイハブ」
そして大太刀型クルセイダーから右手を離すと、ビームライフルでシヴァX3を撃った。
スサノオのものは一般より高出力なビームで、防御してもエネルギーシールドにはかなりの圧力がかかる。
しかも、圧力がかかっている間にハイビームボーゲンが何条もエネルギーシールドに直撃し、ついに弾けた。
「リント!」
「ああ!」
弾けた際の反動は大きく、体勢が崩れる。
その瞬間に撃ち込まれたビームボーゲンをシヴァX3は避けきれず、蜂の巣になって爆散した。
『くっ、こんなことでは……』
「行けるな?ユーハブ」
「アイハブ。もちろん」
『テメェェェ!』
この結果を見て、パイロットが激昂したようだ。シヴァX2が突っ込んできたため、スサノオは刃を合わせる。
また、シヴァX1は後方援護を行うつもりのようなので、邪魔をするためにブリューナクを送り込んだ。
「太刀筋は?」
「覚えた」
「剣は?」
「見えてる」
「心は?」
「大丈夫」
「よし、やれ」
最初は1対4だった戦場も、今は1対2。パイロットを考えれば2対2。
邪魔が入らない状況であれば、純粋な剣の腕が勝敗を決する。
『死ねぇぇぇ!』
「ここ!」
加速したシヴァX2が放った大剣型クルセイダーの一閃を、スサノオは大太刀型クルセイダーで逸らした。衝撃までも受け流す完璧なものだ。
その上、反動を利用してスサノオはその場で回転。コックピットを横に両断する。
「さて……」
『貴様は!』
シヴァX1は直刀型クルセイダーを、別方向から同時に当たるように振るう。斬撃は鋭く、簡単には防げない。
しかし、スサノオには可能だ。片方は大太刀型クルセイダーで防ぎ、もう片方は短剣型ブリューナクが刀身に衝突して逸らした。
「もう」
『何故!』
ビームボーゲンにはビームボーゲンを当てて相殺し、周囲を飛び交うブリューナクはブリューナクで叩き落とす。
プラズマ収束砲は展開させず、砲身を破壊して攻撃そのものを潰していく。
「「終わり!」」
『こんな、ことが……』
そして、スサノオは反撃した。
大太刀型クルセイダーを用いた、下からの斬り上げ。それをクロスさせた直刀型クルセイダーで防ごうとするシヴァX1だが、それこそ2人の目的だ。
2振りのクルセイダーを跳ね上げて姿勢を崩させた瞬間に素早い斬り返しを行い、シヴァX1を縦に両断する。
「はぁ、はぁ」
「メイ、大丈夫か?」
「うん、大丈夫。リントは?」
「問題無い」
一蹴、一網打尽。
数基のブリューナクと引き換えにそんな結果を作り出した凛斗とメイだが、意識は戦闘から戻さない。
「さて……お前は動かないのか?聞いてるんだろ?」
なぜなら、まだ1機残っているから。
『くっくっくっ、噂以上の実力か』
「悪竜、武装法務隊の隊長だな」
『ああそうだ、魔王。初めまして、といったところか?だが、そっちもよく知ってる。だろう?メイルディーア』
その機体はシヴァ系統だが、武装がかなり違う。ストームに似た武装で、近接戦能力が高そうだ。
しかしプラズマ収束砲やブリューナクも搭載しており、遠距離戦でも油断はできないだろう。
「兄様……」
そしてその右肩には、黄金の炎の中で飛ぶ赤竜が描かれていた。
「ソード中隊、ランス中隊は左右から挟んで。シルト中隊は艦隊直掩を継続」
『『『は!』』』
大和近くでの戦いはまだ続いていた。
現在、第11世代SAGAのエウロスとウェンティは合計37機でシヴァ1ヶ小隊を相手取っている。
「まさか、こんなのと戦うなんてね……」
量産タイプのシヴァと戦闘を続けているレグルト達。その間に、敵の目的についてもある程度予想ができた。
どうやら、敵は艦載型プラズマ収束砲の性能をかなり正確に知っている。それ故に、大和やアラエル級の撃沈ではなく、照準の阻害を第一に考えているのだろう。艦砲射撃を止めるだけでも十分な戦果だ。
まあ、その作戦はレグルト達によって止められ、艦砲射撃は予定通りに始まったのだが。
『しかし団長、これを止めなければ殿下が危険です』
「分かってるよ。でも僕達の目的は最低限でも足止め、無理して落とす必要なんてないから」
『はい。しかし、我々であれば落とすことも可能かと』
「自信があるなら許可するよ。ランス中隊はC8で突入、直前で分かれて火力投射」
『了解』
レグルト達の機体は世代が下だが、火力は負けてはいない。むしろ、一部では上回っている部分もあるほどだ。
しかし、世代差というのはそれだけではない。機動性などの面で差が如実に現れており、大隊対小隊という数の差があっても攻めきれなかった。
防衛が得意なエース級・準エース級によって構成された皇女直属兵団でも、対処は簡単ではない。特に、守る物が重要すぎる場合は。
「これ以上の接近は阻止!プラズマ収束砲は絶対に撃たせるな!」
新たな対艦兵装であるプラズマ収束砲はこの場の艦艇に対しても有用だ。
大和でも弱点に直撃すればかなりのダメージを受けるし、装甲が一回り薄いアラエル級はそれ以上だ。シミュレーションでのスサノオのような無茶をしなくても、上手くやれば沈めることはできる。
また、エウロスに対しては既に何度か放たれており、損失機こそ無いものの四肢やシールドを失った機体はいる。
これがこの戦闘を難しくしている最も大きな原因だ。回避するのではなく、常に射線をズラし、場合によっては盾にならなければならないのだから。
「ソード中隊はC2、ランス中隊はB3に変更。シルト中隊、 A5で援護!」
『は!』
『了解!』
『支援射撃開始!』
なお、エウロスにもプラズマ収束砲は搭載されている。ジェネレーター出力の問題からシヴァより射程が少し短く、射撃間隔も長いものだが、対SAGA戦では十分な威力を持つ。
これにビームライフルも加えた、中隊での一斉射撃。弾幕はかなり濃い。
しかしシヴァは鋭い回避軌道を描き、それらを回避していく。それは想定以上の動きで、命中弾は1発もなかった。
『今だ!』
『行くぞ!』
それでも、シヴァの動きを限定する効果は高かった。
それを理解していた他2つのエウロス中隊は広がりつつ、シヴァへの同時攻撃を目論む。シヴァ側も気付いているようだが、援護射撃のせいであまり上手く動けていない。
またそれに加え、ウェンティも続く。
『突撃吶喊!』
「一斉攻撃!押し切れ!」
『撃て撃て!』
ビームマシンガンを4門も搭載したエウロスの近距離火力はかなり高い。シヴァのビームボーゲンも脅威だが、総合火力では大隊規模のエウロスが勝つ。
それを理解しているシヴァは防御隊形から動こうとしない。どうやら次の動きを警戒しているようだ。
「ハァァァァ!」
しかし警戒されていたとしても、押し切れば良い。
1人だけ編隊から離れ、攻撃しつつ至近距離で変形を繰り返し、翻弄していたウェンティ。当然それだけではなく、シヴァが隙を見せた瞬間に集中砲火を放った。
狙われたシヴァは防御するが、その火力はエネルギーシールドの耐圧限界を超え、四肢がもげ、ジェネレーターに当たって爆発した。
『しゃあ!』
『流石団長!』
「まだ3機残ってる!気を緩めるな!」
『『『は!』』』
ようやく1機。だが同時に、残り3機とも言える。
傾いた天秤がそのまま崩れ去るか、拮抗状態に戻るか、それは彼らの努力次第だ。
『弾幕厚いぞ!注意しろ!』
『エリアC2A1E4の敵を優先して叩け!精鋭だ!』
『パープル8被弾!』
『パープル1、貴隊は損耗が激しい。周囲の損傷機を糾合しつつ後退せよ。応急修理の後、直掩と交代させる』
『パープル1了解』
凛斗達が駆け抜けた後の最前線では、新たな激戦区として一進一退の攻防が繰り広げられていた。
あの強引な突破の後、ここを任された面々の猛攻によって穴は広がったが、現在は皇太子派の必至の抵抗を受けて拡大は抑え込まれ、双方の火力が大量に投射される場所になっている。
そんな中に、彼らの姿もあった。
「このまま押し止めろ!」
『おいキース!さっさと行かなくていいのかよ!』
「言うな。作戦の内だ」
『けど、中隊だけなんて……』
「だから言うな」
キース、オリバー、アリアの3人もアメリカ軍精鋭部隊として戦っている。
皇太子派の反撃を受け、周囲の味方が損傷したり撃破されたりする中、無傷で戦闘を続けているのは流石だ。
「日本軍の方が援軍に行きたいはずだ。だがそれをしていない。あいつらがそれだけ強いってことだろ」
『ちっ、不甲斐ねぇな』
『そうだけど……』
「アリア、お前そんな心配性だったか?」
『へ?』
「俺達が危険地帯に行くとしても、お前なら笑って帰ってこいって言うだろ?」
『あー、まあ、そうだけど……』
『心配したくなんのも当然のことやってんだ……あ?』
「何だ?」
しかし、上手く運び続けることは無いらしい。
『敵の新手、なっ⁉︎』
『何だこいつ、ギャァ⁉︎』
『スラスト中隊、右にまわれ!』
『よし、追い詰め、なっ⁉︎』
『嘘だろ!』
大和が襲われたのとほぼ同じ頃、同じ1ヶ小隊のシヴァがこの戦場にも姿を現した。
『あいつは……!』
「オリバー、先走るな」
『分かってら。けど、違ってもやり返してぇだろ』
『そうそう。やるよ』
「分かった」
先日、負けなかったとはいえ散々にやられた3人。復讐心のようなものを持っていても仕方ない。
そして都合良く、彼らのところへ1ヶ中隊のコクロウが近づいてきた。
『アレとやる気?貴方達』
「貴女は?」
『日本国防軍大和所属のシャーク1よ。よろしく』
「よろしくお願いします」
『どうするんです?』
『こっちは火力が高いから後衛……前衛足りないか。私の小隊は追加装甲を排除、前衛やるよ』
『『『了解!』』』
「助かります」
『じゃあ、行くよ』
『『「はい!」』』
即席の連携だが、それができる程度の練度はある。守らなければならないのは自分と僚機の命だけ。
そして、数は上だ。質的に負けていても対抗のしようはある。
「やるぞ!」
『おう!』
『了解!』
イーグルⅢ試作7号機の火力支援を受け、イーグルⅢ試作8号機とイーグルⅢ試作9号機が揃って1機のシヴァへ向けて吶喊する。
近接格闘戦仕様1機、高速遊撃戦仕様1機、遠距離砲撃戦仕様1機。パルチザンとして戦っている間に身につけた連携は乗機を変えた後でも問題無く発揮され、シヴァに向けて叩きつけられていた。
また少数対多数はともかく、1対3になるのは想定外だったようだ。鋭かったはずのシヴァの動きは鈍い。
『散開まで、3、2、1、今!』
『支援射撃開始!』
残る3機のシヴァはコクロウ隊の前衛4機が機動力で翻弄しつつ、後衛の8機が火力を集中投射している。
無理はせず、抑え込み、されど隙を見せればすぐさま喰らう。そんな体制を短時間で整え、維持している。
無理矢理抜け出す手段はある。しかし凛斗などのようにそれが出来るパイロットであれば、むしろ構築される前に脱出する。それができなかった時点で、解決法は非常に少なくしてしまった。
「そのままやれ!」
『『了解!』』
イーグルⅢ試作8号機は牽制のビームサブマシンガンを放ちつつ、大型ビームソードを振る。
その攻撃は大振りで隙になるが、それはイーグルⅢ試作9号機がビームガトリングで弾幕を張って埋めた。
さらにイーグルⅢ試作7号機が連装長砲身高出力ビーム砲2基を放ち、シヴァの姿勢を崩す。
『らっしゃあ!』
そして、イーグルⅢ試作8号機の大型ビームソードがシヴァのコックピットを両断した。
「よし!」
『ナイス!』
『ならこっちも』
「はい!」
コクロウの方は1機ほど左腕を喪失しているが、それだけだ。
残り3機、先日の復讐に成功したキース達の士気は高い。
また、少し離れた戦線にも同じく1ヶ小隊のシヴァが現れており、こちらは他のコクロウ隊がいた。
『新型だ、イーグル1』
「襲撃運動用意。強襲を仕掛ける」
『了解。俺は右につく。イーグル3は左だ』
『了解』
大和艦載機隊の中で、凛斗達を除けばトップクラスの彼らは冷静だ。
また、ここにはイーグル試作1号機とイーグル試作2号機もいる。
『手伝わせてもらおう』
「ファルコン1、サンダース中佐。こちらにおいででしたか」
『今来たばかりだ。それで、アレは新型か?』
「はい。恐らく量産機かと」
『なるほど。しかし、やる他無いか』
「ええ」
シヴァの小隊が出現した中で、最強のエース集団が実施する作戦。劣勢なパルチザンを設立当初から支えていただけはあり、立案も理解も早い。
そして、それは速攻を重視していた。相手に主導権を与えなければ、世代差はあまり関係無いのだから。
『作戦は?』
「こちらに」
『なるほど。ファルコン2、良いな?』
『もちろんです』
「ありがとうございます。全機、突撃」
まず、変形したコクロウ12機による編隊突撃&一斉攻撃が行われ、シヴァの隊形は散らされる。
さらに通り過ぎた直後に変形、ビームボーゲンの射程外から1機に集中させた一斉射撃を行うことで撃墜した。
『やるぞ』
『了解』
そこへイーグル試作1号機とイーグル試作2号機が突撃。牽制に注力した攻撃で1機ずつを拘束し、自由にさせない。
残る1機に対して、コクロウ隊はヒットアンドアウェイを行い、少しずつ損傷を増やしていく。
「終わりだ」
そして、背面から接近したイーグル1がビームソードを振るい、コックピットを貫いた。
「よし、次の連中を叩くぞ」
『『『了解!』』』
『こちらも動こう。また後でな』
「はい、ご武運を」
敵がエース級だとしても、こちらは格が違う。
残り2機、明暗は既に決まったようなものだ。
「兄、様、はっ!」
『どうした?こんなものか!』
「くっ、この!」
『効かんなぁ?』
「メイ、俺が……」
「大丈夫!」
武装法務隊隊長ランハルシア・ハイシェルト専用SAGA、ニーズヘッグ。これはシヴァのカスタマイズ機だが、ジャッジメントにおける専用機以上のチューニングがされており、ヘルに次ぐレベルのハイエンド機だ。パイロットに適性があるため、プラズマスラスターも搭載されている。
そのニーズヘッグは左手にビームカービンライフル、右手にビームソードを持ち、スサノオを追い立てていた。
というか、メイの動きが鈍い。凛斗が心配するほどに。
「リントも大変だよね?」
「けど、そんな状態で……」
確かに、状況は悪くなり始めている。大和とアラエル級の砲撃で敵艦は少しずつ減っているとはいえ、まだまだ多い。
凛斗はそれらからの迎撃を抑え、接近してくる艦艇や少数の迎撃機をブリューナクで沈めているため、余裕があるわけではない。むしろ早く援護してほしいくらいで、メイが戦えるならそれに越したことはない。
「うん。やっぱり、まだ辛いかな……」
「それなら」
「でも、私は!」
そんな凛斗の心の声を理解したのか、メイも覚悟を決め直したようだ。
その瞬間、スサノオの動きが一気に鋭くなる。
「リントといるって、決めたんだから!」
そして大太刀型クルセイダーを一閃。ニーズヘッグのビームソードを斥力で弾き飛ばし、ビームカービンライフルを叩き斬った。
『ふん、流石にこれはダメか』
「分かった、任せる。それより」
「うん」
『なら……本気を出してやろう』
直後、ニーズヘッグはビームソードを潔く捨てると、左手に取り付けられた盾の下からクルセイダーを引き抜いた。それは刃渡り2m程度だったが、伸びて3倍程度の長さとなる。
伸縮型のクルセイダー、ニーズヘッグに搭載された新兵器。片手で振えるほど軽く、それでいて威力は高い。
「気を付けろ」
「兄様強いもん。油断しないよ」
そんな伸縮型クルセイダーを構えたニーズヘッグはプラズマスラスターの出力を上げ、突撃体勢を整える。
スサノオもそれに対抗し、各部の出力をさらに上げた。
『死にさらせ!』
ニーズヘッグの吶喊。スサノオは伸縮型クルセイダーを大太刀型クルセイダーで防ぐ。
鍔迫り合いから弾き合い、続いてビームボーゲンの弾幕。
『ブリューナク!』
「リント!」
「任せろ!」
そしえニーズヘッグからエッジ型ブリューナク12基が分離し、スサノオへ向かってくる。
凛斗は艦艇対処からブリューナクを半分ほど引き抜き、対処へ向かわせた。のだが……
「な、ちっ!」
接触した盾型ブリューナク1基が両断されてしまう。
瞬間的に短剣型ブリューナクを側面から当てることで軌道を逸らしたが、危機感は変わらない。
「リント、もしかして?」
「クルセイダーだ。これもか」
「なんでまた……」
「試作ができてれば、量産してもおかしくないか。まともに当たるなよ」
「うん」
そんなことを言いつつ、凛斗はエッジ型ブリューナクのスラスター部へ射撃型ブリューナクの高出力ビーム砲やビームボーゲンを正確に当て、瞬く間に3基を撃破した。
『ふん、気付いたか』
「当然だろ。似たような選択肢はあったからな」
「リント」
「分かってる。メイ!」
『それなら、これはどうする!』
「兄様!」
そう言いつつ突っ込んできたニーズヘッグとそれに応えたスサノオの間で、再度鍔迫り合いが行われる。そして弾き合った後、互いにクルセイダーを振るう。
何合も剣戟を交わし合い、火花を散らし合う。そんな2機の剣の型こそ違うものの、呼吸はかなり近い。兄妹だからなのだろうか。
とはいえ、それをメイに言うことなどできないが。
「当たれ」
『な、ちっ!お前!』
「殺し合いだろ」
そんな最中にスサノオは、というより凛斗は残っていた27基のロケットビームダガーを至近距離から全て発射するも、瞬間的にプラズマスラスターの向きを変えたニーズヘッグには当たらなかった。
なお、その流れ弾で艦艇が何隻か沈んだが、誰も気にしない。
「このっ!」
『はっ、こんなものが効くか!』
「これはどうだ?」
『なっ、お前は!』
「そこ!」
『くっ、メイルディーア!』
大太刀型クルセイダーが振るわれ、ビームボーゲンと射撃型ブリューナクの弾幕が割り込み、直後に大太刀型クルセイダーの斬り返し。
スサノオの出力を生かした強引な連撃だが、凛斗とメイの連携はとても上手く、先手を取り続けることもできる。ランハルシアも、これをやられたら分が悪いことが分かったようだ。
『お前達は……!』
「メイ、作戦変えるぞ。良いな?」
「うん、やれるよ」
『しかしな』
鍔迫り合いからの力比べでは押し負けると察したランハルシア。
そこから一撃離脱に作戦を変更したため、凛斗とメイも対処法を変える。
「上手、だけど……!」
『それでいつまで守れる!』
「いつまでもです」
『何だって?』
「兄様には、絶対、負けない!」
双方がプラズマスラスターを全開にして突撃、クルセイダーを1合だけ打ちつけると離脱。
距離が離れた際はビームボーゲンが飛び交う。しかし、スサノオ側はショルダーシールドから展開するエネルギーシールドで十分防げるため問題無い。
エネルギーシールドの死角に入るものは凛斗がビームボーゲンで撃ち落としており、回避機動すら行っていない。全力で回避運動を行なっているニーズヘッグとは大違いだ。
「メイ」
「なに?」
そんな時に後ろから声をかけられたので、メイは衝突前にプラズマ収束砲を発射。ニーズヘッグの軌道を無理矢理変えさせる。
さらにビームライフルも使って牽制しつつ、凛斗の話を聞く。
「あのクルセイダー、伸びてたよな?」
「だね。3段階だったはず」
「折れないか?」
「硬いよ?」
「接続部は?」
「あ、そっか」
伸縮型クルセイダーは3段階の延長で今の構造になった。そんな構造体と構造体を繋ぐ部分、接続部は物理的に弱くならざるを得ない。
斥力場が保護しており非常に強固だが、無敵ではないはずだ。
「リントは大丈夫?」
「これくらいならまだまだ問題無い。メイ相手の方が大変だった」
「もう。じゃあ、やるね」
エッジ型ブリューナクは軌道が複雑化し、真っ直ぐに突っ込むことがなくなったたため、最初のように撃破することは難しくなった。しかし、抑え込みには成功している。
ビームボーゲンは相変わらず凛斗の担当だが、慣れたものであり、負担は小さかった。
それらの結果、メイの行動を妨げるものは、こちらには無い。
『させないぞ』
問題になるのは相手側だ。スサノオの動きが変わったことに気付いたランハルシア。今度はこちらが作戦を変えた。
右手のソードガントレットからビームロケットアンカーを4基発射、カーブさせることで回避しにくくしている。
さらに両前腕部のビームサブマシンガンも追加して弾幕を張り、スサノオの行動を制限しようとしている。目論見は単純、突っ込んできたスサノオを返り討ちにしたいのだろう。
「これくらい!」
だが凛斗が張る弾幕の方が厚く、嫌らしい。散々それと戦ったメイにとって、この程度濡れた紙のようなものだ。
そして今は、その使い手が後ろにいる。
「甘い!」
弾幕を防ぐどころか、自らの弾幕でニーズヘッグの行動を阻害し、メイが動きやすいように状況を作る。
弾幕勝負に敗北したからだろうか。ニーズヘッグの右腕に込められる力が増え、伸縮型クルセイダーの出力が上がる。
「ヤァァァ!」
そして振るわれる両者のクルセイダー。
それはメイが思い描いた通りの軌道で、大太刀型クルセイダーは正確に伸縮型クルセイダーの柄側の接合部へ叩きつけられ、粉々に砕いた。
『なっ⁉︎』
「ナイス!」
「うん!」
『メイルディーアァァ!』
とはいえ、ここは戦場。ランハルシアも諦めは良くないようだ。
ニーズヘッグは予備として背中にラックしていた長剣型クルセイダーを抜くと、その勢いのままスサノオへ振るう。
「甘いです!」
しかし、メイはそれも読んでいた。斬り返しで長剣型クルセイダーの柄を切断し、勢いのまま左前腕も斬り裂く。
そして、大太刀型クルセイダーを構えなおす。
「これで、終わり!」
その切っ先はニーズヘッグのジェネレーターへ向いている。避ける時間も隙も無く、戦闘不能になることは確実だ。
だが、ランハルシアはニヤリと笑い……
『また家族を殺すのか?』
言い放った一言は、メイにとって十分すぎた。
「ひっ、あっ、イヤァァァァァ!!」
「メイ⁉︎」
かなり割り切れるようになったとはいえ、未だ癒えきっていないトラウマ。
それを刺激されたメイは戦闘中だということも忘れて取り乱し、錯乱してしまう。
『ハッ!死ねぇぇぇ!』
それがランハルシアの狙いで、動こうとしないスサノオはいい的だ。
ニーズヘッグは手首のビームソードを固定状態のまま発振、スサノオのコックピットへ向けて突き出す。
「やらせると思うか?」
『は?』
が、やらせない。強制的にメインOSを切り替えたスサノオは右前腕部のエネルギーシールドを展開、ビームの刃を受け止めた。
例えメイが錯乱しても、戦闘用の意識は冷静に戦いを続ける。パルチザンとして培ったそれをランハルシアが理解できなかった結果だ。
『な、おま』
「リ、リン……」
さらに両足の固定式ビームソードを発振、右腕を肘から切断し、頭部を斬り裂いた。
そして短剣型ブリューナクが殺到、コックピットとジェネレーター以外を尽く串刺しにする。
「死ね」
最後にスサノオはプラズマ収束砲を発射、ニーズヘッグを跡形もなく消し飛ばした。
「あ、あぁ……」
「メイ、大丈夫か?」
「あ、リント……その、ごめ……」
「いい、気にするな。それより戻るか?」
「ううん。もう少しで大丈夫になるから……」
「そうか、分かった」
その後、スサノオを操って敵艦艇からの攻撃を避けつつ、凛斗はメイに声をかける。どうやら凛斗のおかげで前よりはマシになったらしく、錯乱は終わっているらしい。
まあ、凛斗の声を聞くだけで元に戻り始めるメイもアレだが、相方の心配をしつつ戦艦を沈める凛斗も大概だ。
「それで援護は……いらないな」
「うん、そうみたい」
続いて2人が心配したのは、デーモンシリーズとエンジェルシリーズがシヴァと戦っている戦場。一度はそこへスサノオを向かわせようとしたが、直前で止めた。
必要が無くなった故に。
『来た!』
『遅いですよ!』
『待ってたんだから!』
『悪いな』
『道が混んでてね』
残存するシヴァ20機と周囲の迎撃機へ放たれた、増強大隊規模のコクロウによる一斉砲火。3割ほどが通常仕様に戻っているとはいえ、その火力は絶大だ。
さらにグンロウ、アラワシ、サラマンダー、ホーネットⅢ、イーグルⅢ、トーネードカノーネなどなど、数百単位のSAGAが攻撃を加えている。圧倒的すぎる数の差に飲み込まれ、シヴァ隊は動揺を立て直すことすらできずに全滅した。
敵防衛線を突破した部隊が、そのままの勢いで敵艦隊に殴り込んできた形だ。
「修哉さん、桜さん、戦線は?」
『全面攻勢が上手くいった。崩壊済みだ』
『追撃戦も順調だけど、次の要塞攻略戦の準備の方が割合は高いわね』
「了解。各機、機体の状況は?」
「スサノオは大丈夫だよ」
『デーモンシリーズ各機、全部問題無いよ』
『……エンジェルシリーズも問題無い……ライフルを投棄した機体がある程度だ』
「よし、それならこのまま……」
『いえ、戻ってきてください』
その勢いに参入しようとした2人だったが、その矢先に大和から、というよりマイリアから通信が入った。
「マイリア?」
『メイ、リント、1回目としては十分ですから、戻ってきてください。アキヤマ中将も了承済みですよ』
「命令か?」
『ええ』
「了解。香織、アクト、戻るぞ」
『仕方ないか。了解』
『……分かった』
『早くねぇか?』
『まだやれます』
「何か理由があるんだろ。それと、俺に文句を言うな。メイ」
「うん」
そしてスサノオ達は反転、後方で待機する大和へ向かっていく。
戦闘はまだ1つ目が終わったばかり。今焦る必要は無いのだから。
「そうか、抜かれたか」
『申し訳ありません』
「これも計算の内だ。気にすることはない。追加でケラウノスの使用許可を出す。上手く使え」
『は!』
「さて博士、これの最終調整も早く終わらせろ」
「かしこまりました、殿下」
・ニーズヘッグ
XSG74-T02H-0R
全高12.1m。メイの兄、ランハルシア・ハイシェルト用の、武装法務隊隊長専用カスタマイズ型シヴァ。武装がカスタマイズされている他、専用のハイスペックチューニングがされているため、性能はかなり高い。
ヘルの劣化版と言われる時もあるが、エース専用機としてはこちらの方が完成された機体。また隊長機として、指揮通信能力も強化されている。
武装
___ビームカービンライフル×2
___ビームソード×4
___迎撃ビームバルカン×2
___プラズマ収束砲×2
___長剣型クルセイダー×1
___伸縮型クルセイダー×1
___ビームロケットアンカー×4
___ソードガントレット×1
___小型実体盾×1
___エネルギーシールド発生器×3
___ビームサブマシンガン×4
___ビームボーゲン×18
___エッジ型ブリューナク×12
___プラズマスラスター×6




