第47話「月への道」前編
「第1艦群が戦闘開始、SAGA隊発艦開始」
「エリアC3B4E1に敵の増援が出現。確認できただけでも1ヶ連隊規模、同エリア担当のアメリカ軍への圧力が増しています」
「羽黒、那智、エリアM8C4G5の援護に向かいます」
「第6艦群が規定エリアへ到着。作戦開始まで待機」
「ヨーロッパ連合軍、侵入敵部隊の排除完了。攻勢を再開します」
「スサノオ以下特別任務中隊、プラズマスラスターを起動!」
「そのまま追尾しろ。必要なら援護だ」
「了解」
大和の戦闘指揮所では、何人ものオペレーター達の声が響いていた。
本格的な戦闘はスサノオが発艦する前に始まっており、前線から送られてくる情報を整理している。秒単位でSAGAが爆発し、分単位で艦が沈む、そんな情報を。
しかし、この艦はまだ戦闘には参加していない。前線でどれだけ命が散っていても、この艦を沈めるわけにはいかないからだ。
「アキヤマ中将、少しよろしいですか?」
「構いません、殿下。まだ我々の出番は少し後になりますから」
「ありがとうございます。では、貴方はどのような想いでリントを送り出したのですか?」
「それは……今ではありませんね」
「ええ。リントがハワイに来たあの時です」
そのため、少しくらいなら話をする余裕もある。
それに、これはマイリアとしても気になっていたことだ。
「そうですね……我々のような大人ほど、自身の無力さを恨んだ時はありません」
「私が言えた義理ではありませんが、敵地でしたからね」
「はい。凛斗しか適格な者がいなかったとはいえ、今生の別れとなる可能性すらありましたから」
スパイというのはそういうもの、誰しもが理解して送り出した。
しかし、納得したかは別だ。誰一人として、アレを不甲斐なく思わなかった者はいない。
「しかし、大人にできることは子どもに道を示し、彼らが選んだ道を進めるよう背中を押すことのみ……不甲斐ないものですが、我々にはそれしかできませんでした」
「最後の決断は彼らの自由意志に任せる。そういうことでしょうか?」
「そうです。そしてそれ故に、彼らに期待するのです」
だが、誰しもが凛斗の望みを尊重した。可能な限りの手札を与えた上で、可能な限り状況を整え、彼の道を作った。
そして、それは他の面々に対しても言える。
「あのような子達だからこそ、未来を託せるのだと」
その目は、飛んでいった彼らを見ていた。
『ぐぅ……』
『きっつ……』
「耐えろ。すぐに慣れる」
『けどよ!』
「俺はもっとキツいぞ!」
「ごめん……」
「いや、そういう意味じゃ……」
その頃、ブースターで加速中の凛斗達は強烈なGに耐えていた。正確に言うと、苦悶の表情を浮かべているのは凛斗とメイ以外の12人、何も負担に思っていないのはメイだけだ。
しかし、その苦痛はしばらく終わらない。最前線まではまだ距離があり、まだまだ加速が続くためだ。
「戦況は……少し押してるけど、ほぼ五分か」
「具体的には?」
「ヨーロッパ連合が押してて、アメリカ軍が少し引い……いや、押し返し始めてるな。皇女派は押されてるけどほぼ五分、予備兵力のオセアニア連合軍は各所への援軍で忙しい、と」
「日本はどう?」
「国防軍も火消し役がメインだな。戦線を担当してる所は押してるぞ」
「そっか、良かったね」
「ああ」
とはいえ、会話ができるような時間は短く、すぐに作戦実行段階に入る。
「戦線が見えてきたぞ。全機、ミサイル発射用意」
『おう!』
『了解!』
「まだ戦線に変化は無い。が、これで変えるぞ!」
彼らの行動は一連の作戦の中の1つとして組み込まれており、前半部分は最低限やり遂げなければならない。
というか、その最低限だけでも構わないと伯父貴達は言ったのだが……凛斗達は無視した。勝利のため、後半も必要だと訴えて。
「全機、小型ミサイル一斉射!」
そんな彼らの最初の一手。武装ブースターの各所に搭載された、ミサイル満載のコンテナ。そこから大量のミサイルが放たれた。
13機合計して、21840発にもおよぶ対SAGA用の小型ミサイル。ミサイル火力だけなら師団すら上回る。
『ミサイル、全弾発射完了!』
「よし、それじゃあ……」
敵機の数は眼前のものだけでも5万を超えており、ミサイルが少ないように見える。しかし戦場は広いため、スサノオ達へ攻撃を加える可能性がある敵は多く見積もっても5000機だ。その内、進路妨害をする可能性がある敵機は3000機未満、最悪の想定より少ない。
そして例え撃破できなくても、回避行動さえ取らせれば、それは隙になる。突破の、そして撃墜の。
「通り抜けろ!」
『はい!』
『ヒャッホー!』
『いっけぇー!』
1機あたり5発以上、多いと10発以上も高速で飛んできたミサイルを対処できる者はほとんどおらず、攻撃範囲外も含んだ大混乱が発生した。
多少は飛んでくるビームも、高速で駆け抜けるスサノオ達を捉えられず、流れ弾にしかならない。
「抜けた!」
「イーグル1!」
『任せておけ』
そして彼らが通り抜けた後、そこは最終決戦仕様に身を包んだコクロウ達、および各軍精鋭部隊の草刈り場となった。
指揮系統どころではないほどの大混乱に陥っているため、反撃はほとんどできていない。
『今だ!行け行け行け!』
『混乱してる間に落とせ!』
『時間無いぞ!』
『迅速に、早く!』
『落ちろぉぉ!』
というか、混乱から立ち直る前に戦果を拡大すべし、という考えで一大攻勢を仕掛けていた。精鋭部隊も一般部隊も関係無く、突如空いた穴を拡大するために進んでいる。
特に、最終決戦仕様となったコクロウの火力は今まで以上に高く、混乱した敵陣をさらに突き崩す破城槌のような役割を担っていた。
言うまでもなく危険な役目だが、危険度は凛斗達の方が高い。だから負けぬよう、自分達も危険地帯に飛び込む。仲間としての想いは他のどの組織よりも強かった。
『みんな、お願い……!』
『お願いします!』
「大丈夫、だよね?」
「ああ、大丈夫だ。それより、自分のことを気にしろ。このまま進むぞ」
『了解!』
しかし、凛斗達にそれを確認する余裕は無い。
迫っている方が重要かつ危険なためだ。
『長距離光学カメラで敵艦隊を捕捉しました』
『でも多すぎ!』
「さっきもだよ、リント!」
「次やるぞ。減速開始!」
その合図と同時にプラズマスラスターが反転、減速を始めた。
『くぅ……』
『こっち、も……!』
この減速は軌道を逸脱しないために必要な工程であり、作戦にも組み込まれている。
それより問題なのは、プラズマスラスターを盛大に吹かしていることだ。この出力は非常に目立つため、艦艇からのロックオンは簡単だろう。
『ロックオン、されました!』
『凛斗!』
「リント!」
だが、それも想定済みだ。
「ミサイル発射!同時にパージ!」
『了、解!』
武装ブースターの各所に搭載されていた対艦用の大型ミサイル合計100発が放たれ、敵艦隊の前衛を狙う。
さらに、ブースターが複数に分かれて機体から脱離すると、再びプラズマスラスターが反転、敵艦隊へ向けて突っ込んでいった。
そちらもミサイルと思ったのか、迎撃はブースターの方に集中しており、スサノオ達は無事だ。
『ミサイル着弾まで、3、2、1、今!』
『やった!』
『よっしゃ!』
『上手くできましたね』
「本番は次だ。やるぞ、メイ」
「うん!」
そして、大型ミサイルはかなりの効果を発揮した。母機がかなりの高速だったことに加え、プラズマに隠されていたのもあるのだろう。半数程度が迎撃されたものの、次々と命中していく。そして、1発でも威力はかなりのものだ。
スサノオ達の前に最後の壁として立ちはだかっていた前衛艦隊、ファントム級護衛艦やガルーダ級護衛艦は進路上にいた全てが撃破され、回廊とも言える穴を作り出した。
『目標捕捉!』
『センサーが捉えた!』
『迎撃来るよ!』
その穴を高速で通り抜けたスサノオ達。しかし減速は十分であり、通り過ぎてしまうことはない。
たどり着いたそこは敵艦隊の中央、どこを見ても敵だらけ。
「迎撃は死ぬ気で避けろ。全機、攻撃開始!」
そんな場所で、13機のSAGAの火力が全て投射された。
『おっしゃ!撃て撃て撃て!』
『貫け!』
『やらないとこっちがやられるぞ!』
『このぉ!』
『落ちろ!』
この作戦のため、13機全てに対艦決戦用の追加武装が装備されている。火器はパワーパック式で、使い切ると基本的にパージする……が、その威力は絶大だ。
特に、対艦火力が低い機体には朗報だった。
『やれるぞ!』
『おうよ!』
「代わりに重い。回避は大きめにな」
『分かってます。けど、これなら!』
『やれる!』
「まったく」
「大丈夫だよ、リント」
サタンはプラズマ収束砲を1門。リヴィアタン、ガブリエル、ラファエルはプラズマ収束砲を2門。ベルフェゴール、マモン、ウリエル、ラグエルは小口径プラズマ収束砲を2門。ゼラキエルとベルゼブブはプラズマ収束砲を4門。これだけの高火力武装が追加されており、対艦火力は十分だ。
また、サタンとリヴィアタンはプラズマ収束砲の他に固定式の高出力大型ビームソードを所持しており、メインスラスター・砲塔・艦橋などを次々と叩き斬っている。ガブリエルとラファエルもプラズマ収束砲を放ちつつ、自前のクルセイダーで同じことを行なっており、かなりの戦果を挙げている。
『……そうだな……こちらもやれている』
『だ、大丈夫です』
なお、アスモデウスとレミエルはプラズマ収束砲を搭載していないが、2機の持つ狙撃砲・狙撃銃は長い射程を確保するためエネルギー密度が高く、ある程度近づいて撃てば戦艦クラスの装甲も貫通できる。
そのため2機の追加武装は他と異なり、自衛用のミサイルやブリューナク等だけだ。それだけで十分だと判断されたためで、それは正しかった。
「さて、使うか」
「了解」
また、十分な対艦攻撃能力を持つスサノオにも、追加武装は搭載されている。
それは火器ではない。ロケットビームダガーと呼ばれる試作兵器で、ビームスローイングダガーの発展系だ。
先端のビームの出力を上げ、後端からはプラズマを噴出して推進する。言うなればそれだけの兵器。
「速度良し、角度良し」
「発射!」
しかし、その装甲貫通能力は圧倒的だ。残ったプラズマが内部で起こす爆発もかなりの規模を誇る。
スサノオが右腕から至近距離で放ったそれはタイラント級宇宙戦艦の装甲を容易く貫通、そのままジェネレーターへ直撃し、大爆発を起こした。
「使えるな、これ」
「うん。威力も高いね」
「即応性も良い……コストが高いのは難点だけどな」
「仕方ないよ」
スサノオは特別任務中隊の中で最も対艦攻撃武装が充実しており、追加武装の必要性は薄かった。そんなスサノオに大量のロケットビームダガーが搭載されたのは親爺さんのゴリ押しにも近い決断だったが、今凛斗はそれに感謝している。
プラズマ収束砲は事前にエネルギーを溜めた上で体勢を整える必要があり、ビームライフルは狙う場所を選ぶ必要がある。ロケットビームダガーは有効射程こそ短いものの、エネルギーを溜める必要が無く、タイラント級等ならどこに当たっても装甲を貫通できる。
また無誘導とはいえ高速なので、上手くやれば対SAGA戦にも使えるだろう。それだけのセンスを2人は持っている。
『へー、使えるんだ』
『じゃあ、使います』
「お前らな……」
『いいじゃん、これくらい』
『こっちは他にもあるんだから』
なお、ロケットビームダガーは他の機体にも搭載されており、使えると分かった瞬間に発射し始めた。
今まで使わなかったことに凛斗は苦言を呈そうとしたものの、それにより時間当たりの戦果が倍増したため、何も言えなくなった。艦隊内部に入り込めば艦艇からの迎撃は弱まり、そこに高火力武装が加われば圧倒的だ。
残念ながら、これを延々と続けることはできないのだが。
『あっ!迎撃機が来ます!』
「大集団にはハンター1とハンター4が動け、他も警戒。ハンター3、ハンター5、ストライク1は絶対に守れ!」
『任せて!』
『了解です!』
迎撃機としてバラバラの方向から飛んできたのはストーム、合計7ヶ小隊。艦隊の規模と比べると数は少ないが、即応能力は高いようだ。
それに、接近戦向けのストームはだだっ広い最前線より、艦艇で混み合ったこちらの方が戦いやすいだろう。既に大半の機体がビームブレードを構えているため、目論見を見間違えたりはしない。
『やるよ』
『はい!』
近い方向から接近中の4ヶ小隊に対し、リヴィアタンとマモンは弾幕を展開した。
2機合わせて40門もの火器、迎撃には十分だ。例え回避できても弾幕は続き、減った分だけ弾幕は濃くなる。
あえなく、16機のストームは火球に変わった。
『こっちにも来るぞ』
『はっ、ぶっ倒す!』
『最初は違うでしょ』
『では、撃ちます』
また、ある小隊はベルゼブブの砲撃で全機消え去り、他の小隊はアスモデウスとレミエルの狙撃により反撃もできず撃ち落とされる。
「リント、ユーハブ」
「アイハブ、行くぞ!」
スサノオの方へ向かった4機はさらに悲惨だ。
1機は高出力ビームライフルでコックピットを貫かれ、もう1機は右足の固定式ビームソードにジェネレーターを両断される。
残る2機はビームボーゲンの雨をくらい、数瞬後に爆散した。抵抗どころか、回避すらできていない。
「わー」
「メイもできるだろ。ユーハブ」
「やり方違うもん。アイハブ」
迎撃のビームやミサイルを避けながらタイラント級へロケットビームダガーを放ち、ファントム級やガルーダ級には至近距離でビームボーゲンを浴びせ、迎撃機が抵抗する前に撃墜する。
それは他の12機も同様だ。追加武装のパワーパックが心許なくなってきたからか、プラズマ収束砲の使用頻度は下がったが、数機で集中攻撃を行えば戦艦だろうと10秒以内に沈む。
火力の高いベルゼブブ、装甲貫通能力の高いアスモデウスとレミエルはそれ以上だ。単機だろうと数秒で敵艦を沈められるため、事前の作戦会議通りこの3機を中心に動いている。
若干の違和感を抱く部分もあるが……
「迎撃、少ないね」
「俺達以外が相手なら十分だろ。それに、指揮官のいる船も何隻か沈めたからな」
「え?」
『え?』
『どういうこと?』
「敵艦の通信量が減ってる。このエリア担当の旗艦がいなくなったからだろうな」
『……そうか』
『つまり、いつも通りってわけね』
「ああ」
違和感の原因もそんなものだ。指揮官座上艦の捜索は難しいのだが、これだけ暴れれば、当たりを引くのも当然かもしれない。
また、艦隊内部に飛び込んだ彼らは非常に強く、生半可な数の迎撃機では時間稼ぎにもならない。かといって戦力の集結を待っていては船が沈みすぎ、前線に影響が出る。そんなジレンマも発生していた。
この2つが相まったことで効率的な反撃ができなくなり、迎撃機は逐次投入になっている。そのため、スコア献上以外の意味が無くなった。
『しゃあ!単独10隻目!』
「競走じゃないぞ。全体の戦果を優先しろ」
『分かってら。けどよ、終わったことなんだから良いだろ?』
「落とされたりはしないな?」
『おうよ』
「まったく」
「ストライク5、リントを困らせないでね?」
『けど、仕方なくない?』
『そうそう。予想より楽だからね』
「そうやって油断してると死ぬぞ」
『りょうかーい』
『大丈夫、アサルトリーダー』
「お前らは……」
そして、パーソナルマークを持つのは1機だけだが、他の面々もエース級パイロットだ。
抵抗が予想より少ないため、軽口を叩く程度の余裕はあった。やっていたシミュレーションが厳しすぎるだけ、とも言う。
だが……
「けど、抵抗が弱いのは好都合だ。全機、このまま攻撃を続……回避!」
『っ⁉︎』
『わっ⁉︎』
『何だ何だ!』
凛斗が叫んだ直後、多数のプラズマの光条が宙域を横切った。声に反応して回避機動を行ったため誰も被弾していないが、精神的なダメージはそこそこ大きい。
レーダーを見ると、範囲ギリギリの所に光点が映っている。その数、41。
「量産機か……!」
その機影は記憶と若干違うものの、見覚えがある。
凛斗は先日の防衛戦で現れた新型機、その量産型が投入されたと判断した。
「無事だな?反撃しろ。ミサイル全弾発射」
『良いのか?』
「やれ」
『了解!』
「タイミングを合わせてプラズマ収束砲も撃て!」
そのため、飽和攻撃で片付けることを決定する。武装ブースターほどでは無いが、合計して1142発ものミサイルが放たれた。
これに加えてプラズマ収束砲のトリガーも引かれており、密度は非常に高い。連隊規模だろうと容易く壊滅するだろう。
しかし、そんな甘い相手では無いようだ。
『全弾回避?』
『ちっ、避けられた』
「強いな……全機パージ」
『了解だ』
『やるしかねぇな』
「敵の方が多い。油断するなよ」
「うん」
エースの相手に追加武装は邪魔になる。なので爆砕ボルトに点火し、プラズマ収束砲等を廃棄。機動性を得た。
その後スラスターの出力を上げ、13機は敵機へ向かっていく。
「敵艦隊、30秒後に大和の有効射程距離に入ります」
「アリエル級の有効射程までは残り150秒。主砲は発射可能状態を維持」
「斜線上の味方への通達完了。砲撃開始と同時に退避を始めます」
それとほぼ同じ頃、大和は砲撃準備を進めていた。
大和およびアラエル級の主砲はプラズマ収束砲であり、有効射程は既存のビーム砲の倍はある。この戦場ではSAGA同士が戦う最前線を飛び越え、敵艦隊へ攻撃を行うことができる。
武装ブースターでスサノオ達を送り込んだのと同様、皇女派連合軍が勝利を得るための一手の1つだ。
「よろしい。では、アラエル級の有効射程に入った15秒後に……」
「待ってください!」
しかし、1人のオペレーターが叫んだ。
「エリアE4B5A1より接近する機影……アンノンウン!数4!」
「何だと⁉︎」
「機種は?」
「ライブラリとの照合、一致ありません……いえ、先日の防衛戦で遭遇した敵新型機のバリエーション機だと思われます!」
「推定接敵時間は100秒後、狙いは……本艦と推定!」
「迎撃だ!対空迎撃開始!」
大和の戦闘指揮は艦隊指揮に忙しい伯父貴ではなく、砲雷長が行っている。そして元パイロットである彼は新型への警戒感が強い。
そんな彼の指揮の元、120cm20口径連装ビーム砲や30cm15口径連装ビーム砲が火を吹き、対空迎撃モードのミサイルが放たれ、連装対空ビーム砲やビームボーゲンが起動する。
同時に、アラエル級や護衛艦も迎撃を開始した。距離が近い艦からはビーム砲やミサイルだけでなく小型ミサイルも放たれ、非常に濃い弾幕を形成していた。
しかし、当たらない。
「敵機、なおも急速接近中!」
「弾幕を厚くしろ!突破させるな!」
「当たらないか……迎撃機は?」
「近隣の部隊からのものは間に合いません。残りは……」
『僕達が行きます。良いですね?』
「頼む、ワーグナー中佐。発艦シークエンスを開始」
『ありがとうございます』
「レグルト、死ぬことは許しませんよ」
『分かっているよ、マイリア』
艦隊での迎撃ができなければ、迎撃機を出すしかない。
しかしシヴァと違い、ウェンティやエウロスは第11世代機だ。数で有利とはいえ、質的には不利。
もちろん、パイロット達はそれを理解している。そして、ここにいる面々も。
「レグルト……」
「心配ですか?殿下」
「心配はしていません。彼ならば任務を達成するでしょう。しかし……」
「戦いとは、先の読めぬものです。どれだけ鍛錬し、どれだけ作戦を練り上げたとしても、半数以上は運で決まると言っても過言ではないでしょう」
今までずっと隣で護衛してくれた相手だ。時々任務で離れたとはいえ、今回のように命の危険が高い任務に投入されたことは無かった。マイリアが心配するのも仕方ない。
それをある程度理解したため、伯父貴は話をする。
「しかし、我々は命を賭けています。それ故に運の要因を下げるために鍛錬し、戦術と戦略を練る。誰しもがそれを行っている」
「なるほど」
「凛斗達とて、それは同じです。可能な限りの準備をし、勝利を自分達の手で掴むために行きました。そして、恐らく彼も」
『レグルト・ワーグナー、ウェンティ、行きます!』
「だからこそ、信じましょう」
「ええ、そうですね」
最前線に立つ者とは異なる苦労をしている面々だ。
割り切って託す、そういう意識は常にできている。
「敵艦隊への砲撃開始は予定通りに行え。ただし、敵機は近づけさせるな」
「了解!」
決戦はまだ始まったばかりだ。
対艦決戦用追加武装
短時間で艦隊に大打撃を与えるため、スサノオ・デーモンシリーズ・エンジェルシリーズに追加された武装。
火器だけでなくサブスラスターも搭載されており、機動性はあまり変わらない。また専用の大容量パワーパックも搭載されているため、全ての火器を自由に使える。
ただし、デッドウェイト&格闘戦の邪魔なので、敵エースとの戦闘になる前にパージする。
スサノオ用
___ロケットビームダガー×100
サタン用
___プラズマ収束砲×1
___高出力大型ビームソード×1
___ロケットビームダガー×36
ガブリエル、ラファエル用
___プラズマ収束砲×2
___ロケットビームダガー×28
リヴィアタン用
___高出力大型ビームソード×2
___プラズマ収束砲×2
___ロケットビームダガー×24
ベルフェゴール、マモン、ウリエル、ラグエル用
___小口径プラズマ収束砲×2
___ロケットビームダガー×16
ゼラキエル用
___プラズマ収束砲×4
___ロケットビームダガー×48
ベルゼブブ用
___プラズマ収束砲×4
___36連装小型ミサイル発射管×2
___盾型ブリューナク×12
___追加スラスター
アスモデウス用
___小型実体盾×1
___盾型ブリューナク×8
___25連装小型ミサイル発射管×2
___追加スラスター
レミエル用
___ビームサブマシンガン×2
___25連装小型ミサイル発射管×2
___短剣型ブリューナク×4
___追加スラスター
・シヴァ
XSG74-T02H
全高12.1m。第12世代SAGA初の本格量産機。だが完全な量産型にするにはまだまだコストが高く、操縦性もピーキーで、皇太子派のエース50人分しか作られていない。翼は1対2枚。
新型ジェネレーターや全方位モニター、駆動部、スラスター、内骨格などの特徴はエンジェル・デーモンシリーズと同じ。
なお、陣営と時期からヘルの量産機のように思えるが、中身はエンジェル・デーモンシリーズの量産機といった感じ。
武装
___ビームライフル×2
___ビームソード×2
___迎撃ビームバルカン×2
___プラズマ収束砲×2
___長剣型クルセイダー×1
___エネルギーシールド発生器×2
___ビームボーゲン×12
___ハイビームボーゲン×6
___砲型ブリューナク×6




