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少年少女の人型機甲戦闘機戦記 - Strong Armys of GigAntes  作者: ニコライ
第1部

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第44話「強襲」前編

 



「状況は!」

『通達通りよ。到達予想時刻は5時間後』

「ちっ、大和艦載機は全機出撃準備!日本国防軍の他の艦にもスクランブル発令を!」

『了解』


 通信を繋げながら、凛斗は廊下を駆ける。

 そのまま更衣室へ飛び込み、素早くパイロットスーツへ着替えると、格納庫へ飛び出した。


「リント!」

「メイ、準備は?」

「スサノオは大丈夫。エンジェルシリーズとデーモンシリーズも1時間あれば出れるよ。でもコクロウの3割くらいがメンテナンス中だって」

「タイミング悪いな。親爺さん!早く全機出せるようにしてくれ!」

「おう!お前もしっかりやれよ!」

「分かってる。けど半分……終わるか?」

「分からないけど……」

「無いものとして考えるか。今は」


 そこでメイと合流した凛斗はスサノオに乗り込み、システムを立ち上げる。

 定期メンテナンスは昨日行ったため、スサノオの機能に問題は無い。今すぐ出撃して戦えるレベルだ。


「データリンクは?繋げたか?」

「もう少し、できたよ」

「2000隻……多いな」

「どれくらいいるかな?」

「分からない。けどこの数だと、楽な戦いはできないはずだ。気合を入れろ」

「うん」


 だが、それは余裕を意味しない。

 つい先ほど月面から2000隻程度の艦隊が発進、ロクな艦隊陣形も組まずにラグランジュ1 を目指していることが判明したためだ。艦隊陣形を組んでいないのは速く到着するためだろう。そのせいで予想より接敵が早く、十分な迎撃態勢を整えられない可能性が出てきた。

 また2000隻という数。これは通常編成であれば、SAGA(サーガ)の数は5000近くとなる。編成に母艦代わりの輸送艦があるとすれば、1万を超えるかもしれない。通常編成ではあり得ないことだが、非常時である今ならやる可能性はある。

 もちろん、そちらの予想であっても数的には有利だ。しかしコロニーという守るべき物が存在するため、戦闘の難易度は普通の会戦より高い。


「フィダール閣下、よろしいでしょうか?」

『ケンザキ大佐か。アキヤマ中将はどうした?』

「秋山司令はコロニーの通信設備を用いて本土との会議中です。なので自分がまず確認の連絡を入れました」

『そうか。ではまず日本国防軍の状況を報告せよ』

「了解」


 そしてそれについて、凛斗は総司令官であるフィダール大将との通信を繋ぐ。

 戦闘開始まであと数時間あるが、発艦は割とすぐなためだ。


「大和そのものはすぐにでも出港、戦闘可能です。しかし、艦載機の3割がメンテナンス中でした。急がせていますが最悪の場合、現在の稼動機だけの出撃になります。またご存知の通り、皇女殿下はコロニーにいらっしゃるため、護衛はあまり必要ありません」

『軍全体はどうだ?』

「日本国防軍の艦艇は4割がすぐに発進可能、2時間以内であれば7割に向上します。SAGA(サーガ)も3時間後には6割以上が出撃可能です。しかしメンテナンスサイクルの問題で、それ以降の増加は少なくなるかと」

『ふむ、作戦はどうするつもりだ?』

「自分が先陣を切り、敵指揮官から優先して落としていく予定です。担当区域の選定には秋山司令が参加します」

『了解した。最前線は任せよう』

「は!」


 なお、日本国防軍にも大和にも伯父貴の副官は別にいるのだが、凛斗の方が名は売れている。

 そのため、こういう場合は凛斗が担当することが事前に決まっていた。面倒ごとを押し付けられたとも言う。


「メイ」

「なに?」

「他の機体より先行して敵先頭集団を、特に敵指揮官を叩く。出来るか?」

「大丈夫だよ。私、決めたから」

「そうだな。なら……」

「作戦?」

「ああ」


 そう言うと、凛斗は2人並んで見やすいよう、右側のメインディスプレイに宙域図を映す。

 そこへ敵部隊の予想進路を表示させた後、さらに何本かの線も投影させた。


「敵が来るのはこの方向、防衛線を敷くならこのエリアが良い。2層、いや3層行けるか」

「できそうだね。でもどうしたの?」

「この資源衛星エリアも気になるな。奇襲するにはコロニーから離れてるけど……」

「けど?」

「いや、今考えすぎても意味無いか。注意だけしてくれ」

「なにそれ。考えすぎって、自分で言うの?」

「そういうものだからな。荒唐無稽だった」

「分かった。じゃあ、覚えておくね」

「助かる」


 考えることは色々とできる。しかし、それが本当に活用できるかどうかは当人達次第だ

 また、それは凛とメイが今気にしても無意味なことでもある。最前線で戦うのだから、必要以上のことを考えていては死ぬだけだ。

 だからそういう意味では、この通信もちょうど良いタイミングだった。


『凛斗、良くやった』

「遅いぞ、伯父貴」

『すまない。だが、理解しろ』

「分かってる。指揮下の部隊は?」

『基本的には剛毅達およびエンジェルシリーズの面々だが、今回は補佐に修哉と桜の中隊も付ける。好きに使え』

「修哉さんだけじゃなくて桜さんも?担当エリアは?」

『推定戦域の左翼だ。だが凛斗、お前達は遊撃部隊という形になる』

「つまり、火消し役か?」

『そうだ。最初は左翼から敵陣中央へ向けて進め。だが、何か起きた場合は転進しろ』

「了解。だから修哉さんと桜さんの……情報は貰えるよな?」

『当然だ』

「それなら大丈夫だ。しっかり戦果を挙げて、生きて帰ってくる」

『当然だ。死ぬな。進展したばかりだろう?』

「うるさい。切るぞ」


 そういう理由でこの通信には乗り気な凛斗だったが……作戦会議的なことをした後、伯父貴からも弄られる。

 まあ内心はともかく、表面上では凛斗は慣れた。流石に何十回もやられれば嫌でも慣れる。

 しかし……


「メイ、聞いてたな?このまま剛毅やレックス達と……」

「あぅ……」

「ん?メイ!」

「ひゃい!」


 メイはまた顔を赤くしていた。


「そろそろ慣れろ。もう1週間経っただろ。というか、伯父貴からからかわれるのは3回目だからな?」

「でも……」

「こういう時だけ微妙に初心だな、本当」

「だって、恥ずかしいもん……リントは何で平気なの?」

「平気じゃない。諦めてるだけだ。多分しばらく終わらないぞ、これ」

「えぇ……」


 メイはまだ慣れていないらしく、未だに過剰反応をしている。滅多に話さない相手から言われた、というのもあるかもしれない。

 もちろん、こういう性格だと凛斗は分かっているし、可愛らしくも思っているが、今は戦闘開始直前だ。流石に茹で上がった頭のままは困る。


「まあ、それは良いか。次は、いや、階級的に……香織、アクト、準備はどうだ?」

『バッチリ』

『……問題無い』

「分かった。それにしても、外見変わらないな。追加装備か何か欲しくないか?」

『そりゃ欲しいだろ。けど凛斗、お前に言って貰えるか?』

「無理だ。親爺さんに言え」

『だからだって』

「分かってる。まあ、どっちも最新型だからな。性能は十分か」

「でも、エースと戦ったのは私達だけだよ、リント」

「確かに。けど大丈夫だ。こいつらもエース級だからな」

「そっか、そうだね」

『仲良いよね、本当』

『つーか、もう夫婦じゃねぇの?』

「茶化すな。特攻させるぞ」

『うぇ、それは勘弁しろよ』

「お前の態度次第だ」

「だって」

『げぇ』

「それが嫌だったらしっかり働け」

『りょーかい』


 ちなみに、こっちではそこまで赤くならなかった。レックス達からの揶揄(からか)いには慣れているからだろう。

 それに加えて、努力しようと決めたのもあるのだろう。いつ実を結ぶのかは当人次第だ。


『凛斗、準備できたぞ』

『こっちも出来たよ』

「助かる。修哉さん、桜さん」

『最終確認はやれ。お前の方が上官だ』

「了解。コクロウ24機、システムチェックオールグリーン。コールサインはイーグルとシャーク……前も思ったけど、パーソナルマークからってらしいな」

『悪い?』

「いや全然」

「え?サクラさんのパーソナルマークって鮫なの?」

「ハクゲイのエースだからな。けど、コクロウも使える。大丈夫だ」

『そうそう』

「そっか。じゃあ、お願いします」

『任せて』


 また、これで元明けの明星が抱えるパーソナルマーク持ちエースパイロット全員が1つの部隊に集まったことになる。

 デーモンシリーズおよびエンジェルシリーズパイロットの技量もエースクラスであること、明けの明星パイロットの技量が他のパルチザンを上回っていたことも考えると、この戦場で最強クラスの戦術ユニットだろう。

 少なくとも、皇女派側では。


「さて、このままブリーフィングを始めるぞ。良いな?」

『おう』

『了解』

『はーい』

「部隊編成は俺達のスサノオとデーモンシリーズ6機、エンジェルシリーズ6機、それに修哉さんと桜さんのコクロウ24機、合計37機だ。任務は火消し役だな」

『……火消し役、か』

『つまり?』

「遊撃部隊だ。不利な場所、もしくは押し込みたいエリアに投入される。最初は他の日本国防軍部隊と一緒に左翼から始めるけど、伯父貴達からの指示があり次第転戦する。良いな?」

『当然』

『勿論』

『う、うん。頑張る』

「だから、智子とアクトは味方から離れるな。聡も同じだ。心配はしてないけど、無理はするなよ。それと修哉さん、桜さん」

『何だ?』

『なに?』

「多分、色々と迷惑をかけると思うから、先に謝っておく。ごめん」

『気にするな。やりたいようにやれば良い』

『その通り。いきなり大佐にした人が悪いんだから』

「その言い方は……でも、ありがとう」

「やっぱり良い人だね、リント」

「ああ」


 与えられた任務は重要で、責任は重い。エースとはいえ18歳の少年でしかない凛斗はそれなり以上の重圧を感じていた。

 だからそういう言葉は嬉しく、助けになる。メイも凛斗を心配していたようで、安堵の表情を浮かべていた。

 もっとも、こんなことばかりしていられる場合ではない。時間だ。


CP(戦闘指揮所)、こちらスサノオ。全機発艦準備良し」

『了解。スサノオ旗下特別編成大隊、ガントリーをリニアカタパルトへ』

『スサノオ、第1カタパルトへ移動開始。ちゃんもエスコートしなさいよ、凛斗』

「いや、戦場へのエスコートって何だよ。というかメインパイロットはメイだぞ」

『そんなこと関係無いでしょ』

『ガントリー移動完了、気密シャッター閉鎖。だそうだ、凛斗。しっかりやれよ』

『ちゃんと彼女を守りなさいよ。ガントリーより解放、リニアカタパルトへ固定』

「はぁ……」

「うぅ、また……」

「ん?メイ」

「大丈夫だけど……」

『うわ、可愛い。リニアカタパルト、ハッチ解放』

『リニアカタパルト出力安定、電圧予定値へ。コントロールをスサノオへ譲渡。良いなぁ、凛斗』

『システムオールグリーン。スサノオ、発艦よし。頑張れよ』

「まったく。さて、行くか。剣崎凛斗」

「うん。やめてください、もう。メイルディーア・ハイシェルト」

「「スサノオ」」

「出撃する!」

「行きます!」


 大和はコロニー外に出ており、他の機体もスサノオ同様リニアカタパルトを使って次々と発艦していく。

 それは周囲の艦艇でも同じだ。各群の様々な艦から多数のSAGA(サーガ)が飛び立ち、防衛線を構築していく。


「うわ……」

「多いな……」


 しかし前方には最悪の想定通り、1万機を超えるSAGA(サーガ)が見えた。その後方には多数の艦艇も見える。

 味方は3万機。負けることは無いだろうが……


『コロニーには近づけさせるな。少しでも穴が空いたら終わりだ』

『全機前へ!艦隊も続け!』

ECM(電子対抗手段)ECCM(対電子対策)は十分、全体は……こんな感じか。これなら……」

「リント?」

「スサノオが先行して囮になる。みんなは俺達に続いて突撃、連携が乱れた所を狙え」

『良いのか?』

「良い悪いじゃない。それが1番良い手だ」

『そ、分かった』

『やっちまえ』

『頑張れ、凛斗』

「ああ」


 そんな賭けを思いつく程度には、良い状況とも言えなかった。その賭けも難易度は高い。

 しかし、止める気はさらさら無かった。自分達と後続を守るためには必要だ。


「多分弾幕厚いぞ。行けるか?」

「う、うん」

「気負うな、メイ。やればできる」

「分かった」

「それで良し。行くぞ」


 2人が動くのは、双方がミサイルの射程に入る直前だ。大気圏内の時よりもミサイルの射程は長くなるため、敵陣は遠く感じる。

 また、宇宙で射程が伸びるのはビームも同じだ。既にスサノオは敵機をプラズマ収束砲と高出力ビームライフルの射程に収めており、いつでも撃てる。

 撃たないのは、一方的に撃たれないよう敵陣が変化するのを防ぐため、および強襲効果を最大限発揮するためだ。


「最大出力!」

「行っけぇ!」


 スサノオはプラズマスラスターを最大出力にすると、ショルダーシールドを前面に出し、4枚のエネルギーシールドでビームを防ぎながら突撃する。

 エネルギーシールドの防御能力は高く、回避運動も組み合わせればこれだけの敵相手でも問題無く防ぎきれた。

 そして、守れない所は凛斗が盾型ブリューナクを操って防ぐ。小型軽量なため、1つ1つの展開時間を短くする代わりにスラスター出力を大幅に上げれば、プラズマスラスターにも追いつける。

 しかし当然ながら、迎撃はビームだけではない。


「ミサイル来るぞ!」

「大丈夫!」


 スサノオを脅威と思ったのか、1機に対して放つには異様な量のミサイルが飛んできた。だが、これは回避機動で大半を避け、残りも全てビームボーゲンで撃ち落としていく。

 というより、これだけ数が多ければ回避機動を上手く制御することで、ミサイル同士を衝突させることすら可能だ。

 そしてそれらを抜けてしまえば、敵機はすぐそこにいる。


「落ちろ!」

「ヤァァァ!」


 4門のプラズマ収束砲で1ヶ中隊のバトラーを吹き飛ばし、その穴へビームソードを二刀流に構えたスサノオが飛び込んだ。


「落ちて!」


 それを操るメイは当たるを幸いに、目につく敵機を片っ端から斬り伏せ続ける。盾やビームソードで防ぐ敵もいるが、スサノオのパワーとメイの腕で押し通った。

 なお当然ながら、ここは敵陣の中央だ。四方八方に敵機は存在する。しかし、彼女がそれを考慮することは無い。


「甘い」


 側面および背後から迫る敵機には凛斗がビームボーゲンを浴びせ、敵陣に穴を開け続けているためだ。

 さらにプラズマ収束砲を展開、中隊長機もしくは大隊長機と睨んだSAGA(サーガ)を護衛ごと吹き飛ばしていた。


「次のターゲットはホテル3ゴルフ4だ。推定指揮官機……マーク完了。やれ」

「うん!」


 戦力的に、指揮系統的に穴だらけにした後、次のエリアで仕事を行うため、スサノオは戦域を移動する。

 だがそのために加速すると、コックピットへ軽い音が何度も響いた。


「ちっ」

「嫌い?」

「まあ、な。メイもだろ?」

「うん……」


 爆発によって発生する破片。それらは可能な限り避けるし、そもそもこの程度であれば装甲を貫通することなどできない。とはいえ、カンカンと機体に当たる音が聞こえるのは、あまり良い気分とは言えなかった。

 しかし、今は戦闘中だ。それを意識の外に追いやった凛斗は後続に命令を出す。


「けど、悔いるのは後だ。ハンター、ストライク、イーグル、シャーク、攻撃開始!」

『『『『了解!』』』』


 デーモンシリーズ6機、エンジェルシリーズ6機、およびコクロウ24機が、スサノオが開けた穴から突入していく。

 さらなる後続部隊も編成されて突撃が開始されており、このエリアの皇太子派帝国軍は水をかけた砂糖のように崩壊への道を進んでいた。


『オラオラァ!』

『やっちゃえ!』

『撃ちます』

『小隊突撃!』


 日本国防軍は1ヶ大隊だけで最初に戦端を開いた形だが、他のエリアも面同士が徐々に近づき、砲火を交え始めている。

 そんな戦場の一端にて、スサノオは相変わらず大暴れしていた。


「くぅ……」

「大丈夫?」

「ああ、気にするな」


 プラズマスラスターを全開にして縦横無尽に機動し、敵機を圧倒し続けているスサノオ。

 パイロットスーツのバックパックは座席に固定されているため、どれだけ激しく動こうと勝手に席から離れることは無い。

 しかし、慣性によるダメージはある。振り回しているメイはともかく、振り回される側にいる凛斗はGに耐えながら、変わらぬ正確さで敵機へ射撃を加えていく。


「次、リント!」

「データ通信量解析、指揮官機マーク……ちっ、ハンター3(潤人)、イーグル5、左注意!」

『はい!』

『了解!』

ハンター1(香織)ハンター2(剛毅)ストライク2(レックス)ストライク5(トラン)は前方突貫、指揮官機を狩れ!」

『はいはい!』

『了解だ!』

『了解』

『おうよ!』

「残りは戦線拡大、狙えるなら指揮官機を狙え。雑魚は気にするな!」


 スサノオ同様、この部隊の狙いは敵指揮官機だ。

 これだけの数を1ヶ大隊だけで殲滅することは不可能だが、指揮官機を叩き潰せば残りを弱兵とすることができる。

 そういう目的のため、この部隊は動いていた。


「ふぅ、はぁ!」

「大丈夫か?」

「うん、大丈夫。次は?艦を狙う?」

「いや、まだだ。全部順調に行っても、指揮官機を半分は落としてからだな」

「了解」


 しかし、それは簡単なことではない。何度も不利な戦場で戦い抜いたデーモンシリーズパイロット達やコクロウパイロット達はともかく、大規模戦闘の経験が日本での決戦くらいでしかないメイやエンジェルシリーズパイロット達は精神的重圧を感じていた。

 しかし、引くつもりはない。呼吸を整えると、メイは再びスサノオを突撃させる。他の6機も同じだ。


『やっちまうぞ!』

『もちろん!』

『……分かっている』


 数の少なさと練度の高さを存分に発揮することで、敵を翻弄し撃破していく。最も目立つのはスサノオだが、他の面々が挙げている戦果もかなりのものだ。

 だが、流石に損耗無しとはいかない。


『くっ!シャーク6、被弾!』

『損傷は?』

『左肩にビームが直撃。脱離はしなかったものの、左腕反応無し』

『なら、大和直掩に戻って。良いでしょ、アサルトリーダー?』

「もちろん」

『助かる』


 とはいえ彼も準エースクラスの1人、直撃は避けたことで戦闘能力を維持できた。艦隊直掩ならまだまだやれるため、凛斗は後退させる。

 そこから凛斗が思考を変え、奥へ突き進もうと目標を設定していた時、伯父貴から通信が入った。


『凛斗。中央上部、アメリカ軍担当エリアが危険だ。一部で押し込まれている』

「了解。全機反転!一時後退!アメリカ軍の救援に向かう!」


 そういった命令が来ることは事前に言われた通りだったため、凛斗は作りかけの計画を破棄、大隊全機が撤退する。

 それに対し、皇太子派の部隊による追撃はほとんど無い。このために指揮官機を落とし続け、指揮系統を破壊したのだ。また他の日本国防軍機が攻め上がっているため、追撃する余裕が無い。

 その上、どうにか動けた少数の追撃隊も全てスサノオに撃破される。


「軌道調整、推力計算……このコースで飛べ」

「うん!」


 一時離脱する彼らが向かう先、そこには見知った3つの識別信号があった。












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