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少年少女の人型機甲戦闘機戦記 - Strong Armys of GigAntes  作者: ニコライ
第1部

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第33話「デスティニー」前編

 




「どうしてそこにいるんだ!」

『どうしてそこにいるの!』


 最後の一閃。それはミカエルを両断し、戦闘機能を消失させた。

 ルシファーはメインカメラを失ったものの、まだ飛んでいる。


「はぁ、はぁ、はぁ……」


 上半身と下半身に分かたれたミカエルは海へ落ちていき、下半身は残っていたジェネレーターが爆発した。

 しかし、上半身は無事だ。ルシファーは手を伸ばすことができなかったものの、ミカエルは着水前に中破状態のラファエルに回収され、そのまま去っていった。


「メイ、は……無事か。良かった……は?」


 それをサブカメラからの映像で確認した凛斗。その瞬間、ふと呟いた言葉。それを受け入れた自身の思考。

 戦闘中の混乱から覚めた意識は、その思考に疑念を抱いた。


「良かった……?何で、そんな……いや……」


 そして、その答えに気付いた瞬間、凛斗は乾いた笑みを浮かべる。

 この戦いの無意味さを、自身の無力さを、理解したがために。


「あはは……何やってるんだろうな、俺は……ぐっ⁉︎」


 しかし、突如振動がコックピットを襲った。ルシファーの腹部から煙が出る。さらに数瞬後、動力源が緊急用バッテリーに切り替わった。

 凛斗はすぐさまサブモニターを操作し、原因究明に努める。幸い、それはすぐに分かった。


「爆発⁉︎ジェネレーターが?完全に止まった……!」


 とはいえ、判明したところで何もできない。

 ルシファーは推力を失い、海面へ落ちていく……


「マズ、落ちっ」

『凛斗!』

『凛斗さん!』


 だがその前に、両側からベルフェゴールとマモンに支えられたことで、どうにか戻る算段がついた。

 ベルフェゴールとマモンはルシファーと比べれば傷は少ないが、かなりのダメージを受けている。向こうも激戦だったことがよく分かった。


『大丈夫?』

「ああ、助かった。向こうは?」

『全部終わりました。凛斗さんが最後ですよ』

『それよりボロボロだね。どうして落ちそうになったの?』

「エネルギーがケーブルを逆流したみたいだ。ジェネレーターが破損、緊急停止したらしい」

『そっか。間に合って良かった』

『だね。ボロボロだし』

「悪かったな」


 今のルシファーには左翼と右足しか残っておらず、内部も酷使されすぎてオレンジ(要交換)レッド(使用不可)ばかりだ。

 また、コックピットにはサブカメラからの映像が映っているが、メインカメラのものよりも数段解像度が悪い。レーダー類や通信機器も壊滅しており、地形追従機能すら壊れている。

 スラスターが使えたとしても、戦闘はおろか帰還すらできない可能性があった。


『あ、他のみんなも見えたよ』

「全員無事だな。良かっ……は?」



 3機だけでなく、全機が大なり小なり損傷を負っていた。特にサタンとリヴィアタンの傷は多く、中破判定になるかもしれない。

 だがそれ以上の問題は……腹部に穴を開け、サタンとベルゼブブに連行されるウリエルの姿だった。手を片方ずつ掴まれた、古い宇宙人写真のような格好だ。

 ウリエルは腹部以外にも損傷があるが、重篤なものはその1つだけらしい。鹵獲されては元も子もないが。


『よう、凛斗。ボロボロになっちまったな、お前』

「ああ、まあ……何があった?」

『鹵獲しました』

『繭が誘導して私の前に来たから、ズドンの撃ち抜いてやったのよ。まあ、コックピットは避けられたけど』

「なるほど」

『それで凛斗さん、これどうしますか?』

『その、捨てる?』

「いや、持ち帰る。ジェネレーターを壊したなら問題無いだろ?」

『そうね』


 その後7機、ではなく6機は飛行不可能な2機を連れ、空を飛んでいく。

 合流ポイントに着くと、ベルフェゴールを経由して蒼龍と通信を行った。


「こちらルシファー。蒼龍、応答を」

『こちら蒼龍。ルシファー……というよりこれ、繭ちゃんの信号よね?どうしたの?』

「あー……ルシファーが壊れたので、中継してもらっています。それより、合流ポイントに着きました。回収をお願いします」

『了解。浮上するので周辺警戒を』

「了解」


 蒼龍が浮上し、艦上部のハッチが開かれ、順番にSAGA(サーガ)が飛び込んでいく。ルシファーとウリエルの収容には手間取ったが、どうにか短時間で終わらせることができた。

 そしてガントリーが固定された後、ルシファーから降りた凛斗は伯父貴に迎えられる。


「凛斗、よく帰った」

「約束だし、当然だろ。まあ、機体は壊れたけど……」

「仕方ないだろう。お前は十分に準備し、全力を尽くした。それで十分だ」

「でも伯父貴」

「戦闘データは既に目を通した。お前にしかできない仕事だ。誇れ」

「了解。まだ納得できてないけど……ちなみに、あれはどうする?」


 凛斗が伯父貴と話している最中に視線を向けた先には……三二式5.56mm自動小銃や三六式16mm自動小銃を構えた人達と、集まった整備士達と、その中心でガントリーに固定されたウリエルがいる。

 まだ外部操作端末のセキュリティを突破できていないようで、コックピットの強制解放には至っていないようだ。


「ウリエルか。パイロットが無事なら捕虜にすべきだろう」

「なら、俺がやる。多分知り合いだから、話はできるし」

「そうなのか?」

「多分、テストパイロット候補者だった同級生だよ。説得すれば……まあ、大人しくしてくれると思う。尋問は期待しないで欲しいけど」

「そうか、ならやれ。サポートが必要なら好きに選べばいい」

「了解」


 伯父貴から許可を得た凛斗は作業を続ける整備士達を押し除け、拳銃を手に持ちつつコックピットの近くに陣取った。

 そして声をかける。


「おいクリス、聞こえてるならコックピットを開けろ。抵抗しても意味は無いぞ」


 すると、コックピット付近に取り付けられた指向性スピーカーから声が返ってきた。

 凛斗が良く知るクリスの声……だが、若干声音が震えている。


『ねえ、リント君』

「どうした?」

『ボクの扱いってどうなるの?』

「人道的な捕虜としての待遇を約束する。いや、俺が守らせる」

『……そっか』

「怖いか?」

『……うん。だって……』

「気持ちは分かる。帝国軍からしたら、俺達は無法者だ。それに、スパイをやってた時は俺もそうだった」

『そっか……そうだよね』

「だから、俺を信用してくれないか?俺は誰も死んでほしくないんだ」

『うん……分かった』


 説得した凛斗が一歩下がると同時に、コックピットが解放される。そして中からパイロットスーツで身を包んだ小柄な人物が両手を上げながら出てきた。

 多数の自動小銃を向けられつつも、彼女はヘルメットを取り、そして……


「コウフク、シマス」


 たどたどしい日本語で、そう言った。それに毒気が抜かれたのか、自動小銃を持っていた面々も構えを解き、野次馬含め解散し始める。

 もちろん、凛斗の役目はここからだが。


「クリス、無理に日本語を使わなくても良いぞ。全員英語は理解できる」

「そっか……じゃあ、ムーゼリア帝国軍極東特務軍団第10技術試験隊所属、クリスティーナ・ハイディスタン准尉、明けの明星に降伏します」

「明けの明星潜水母艦蒼龍SAGA(サーガ)部隊長、剣崎凛斗の名で降伏を受諾する」

「よろしくね、リント君」

「あいにく、客人扱いはできないぞ」

「うん、分かってるよ。敵同士だもん」


 凛斗はクリスに手錠をかけ、2人並んで昇降機に乗り、ガントリーから降りた。


「えっと……八葉根さんと八重さん、あと黒戸さん。護送をちょっと手伝ってほしいんだけど、良いか?」

「もちろん」

「射撃許可は?」

「撃つのは逃げ出そうとした時以外禁止で頼む。俺も気持ちは分かるけど」

「了解だ。伯父貴に怒られたくないしな」


 さらに三二式を持つ3人に協力してもらい、クリスを艦内のある場所まで護送する。


「ねえ、リント君。どこに行くの?」

「あまり話すな。撃たれるぞ」

「はーい。で、どこ?」

「はぁ……牢屋に決まってるだろ。独房だ」


 凛斗が言った通り、目指している場所は独房エリアだ。

 その扉を開けた先には4つの檻が並んでおり、クリスはそのうちの1つに入れられた。檻が閉まったのを確認した後、凛斗以外の3人は部屋から出る。

 檻の中は4畳ほどのスペースで、小柄なクリスにとってはそこまで狭くない。少なくとも、独房と聞いて予想した物よりは。


「少し狭いかな?」

「奥の扉の先にはシャワーとトイレもあるから、その辺りは気にするな。どこか壊れてたら俺に言え。移すか直すか相談する」

「設備が良いんだね。本当に牢屋なの?」

「俺達は捕虜を取らない、というか活動内容的に取れないから、実質営倉みたいな扱いだな。酒に酔って喧嘩した人が入ったりしてる。で、反省させる場所で反感を買うわけにはいかないから、ある程度過ごしやすくしたらしい」

「そうなんだ」

「それより手を出せ。手錠外すぞ」

「はーい」


 物理と生体認証の複合鍵はこの時代、一般的なものだ。それは手錠であっても同じで、凛斗が使っているものは凛斗以外外せない。

 そのため、管理も凛斗次第だ。独房へ入れたことを理由に外しても、制度上では問題無い。道理的には問題があるかもしれないが……凛斗はどうにかするつもりだ。

 そしてクリスの手錠を外すと、凛斗は対面に椅子を持ってきて腰掛けた。


『全艦へ達します。これより本艦は急速潜航の後、現海域を離脱します。振動と衝撃に備えてください』

「だそうだ。少し揺れるかもな」

「今ほとんど揺れてないのに?凄いね。ここ、潜水艦の中なんだよね?」

「ここまで連れてきて隠す意味はないか。言ったしな。潜水母艦蒼龍、俺達の母艦だ」

「どれくらいの大きさなの?」

「言えるわけないだろ。ただまあ、馬鹿デカいのは確かだな。最初は俺も驚いた」

「やっぱり?」

「ああ」


 放送の約1分後、艦内は多少揺れたが、一般的な飛行戦艦の方が振動は大きいだろう。蒼龍の巨体は抜群の安定性を持っており、それがここでも活かされた形だ。


「ああそうだ。クリス、後で服を届けてもらうから、姉御……来た人にサイズとかを伝えておけよ。パイロットスーツや他の服はベッドの下の棚に入れればいい」

「え、良いの?」

「ずっとパイロットスーツは辛いだろ?それに、着替えがあった方が衛生的だ。ああ、その時の見張りは俺じゃないから心配するな」

「そうじゃなくて……」

「ん?」

「女の子の捕虜って……そういうことさせられるって……」

「おいこら誰だそんな嘘教えた奴は」

「えっと、シアちゃん」

「よしあいつ今度会ったらしばく」

「あはは、シアちゃんご愁傷様〜」

「あの野郎……!」


 野郎じゃないというツッコミは無く、笑い声と怒る声しか聞こえなかった。どこかでシアがクシャミをしたようだが、この2人にはあまり関係が無い。

 もちろん、クリスは理解してやっている。周りがアレなため、クリスの冗談もアレな方向が多かった。


「まったく……ウチの男女比はほぼ1対1だ。そんなことやったら俺達が殺される」

「へー、そうなんだ。あ、じゃあ……」

「ん?」

「ここでお茶会とか開いていいの?」

「ダメだ」

「えー、ケチ」

「……クリス、何でパイロットの俺が尋問担当になったのか、分かってて言ってるだろ?」

「うん」

「はぁ……」


 とはいえ、そういったことは理性的に理解しているため、問題があるわけではない。


「楽しいね」

「お前はボケてるだけだからな……」

「多分、もうすぐご飯だよね。ボク、お腹空いてて……あ!」

「ん?」

「もしかして、ボクが食材?」

「おいこらお前日本人を何だと思ってんだ!」

「きゃー、こわーい」

「棒読みはやめろ!」


 凛斗の疲労という問題を抜きにすれば、だが。


「まったく、自分が捕虜だって自覚はあるのか?」

「あるよ。そこは大丈夫」

「そう思えないから言ったんだぞ」

「はーい、ごめんなさい。でも、リント君が元気そうで良かった」

「心配してたのか?」

「うん、そうだよ。だって、ボクがリント君とちゃんと話したのなんてずっと前なんだもん。普通心配するよね?」

「ごめんな。けど俺は」

「それはメイちゃんから聞いたから大丈夫。あ、他のみんなってどうなったの?」

「あいつらか?メイはトランが回収してた。あれなら軽い怪我で済んでるはずだ。他は落としたなんて聞いてないから、多分無事だろ」

「そっか。ボクだけなんだね」

「まあ、向こうも心配してないだろ。撃墜されたわけじゃないし、俺がいるからな。けど……」

「どうしたの?」

「あー……まあ良いか」


 戦うことになってしまった原因について、凛斗は多少理解できていた。

 心の中は未だにゴチャゴチャだが、どうにか整理できた部分もある。その部分を彼は吐露した。


「俺は……押し付けてたんだ、メイに。メイに殺させたことがダメだったのに、俺自身の不甲斐なさを勝手にメイに押しつけて、勝手に怒って……それが許せない。俺自身が」

「そっか。じゃあ、戦いたくなかったの?」

「ああ、本当はな。俺が気付いてなかっただけで……ってこれ、メイに聞かれたら怒られそうだな。勝手なことばかり言って……」

「ううん。多分、メイちゃんも同じだと思うよ。似た者同士だね」

「……」


 だが、急にそんなことを言われてしまい、凛斗は言葉に詰まる。


「あれ?リント君?どうしたの?」

「何でもない」

「もしかして照れちゃった?ねぇ、どう?」

「うるさい。静かにしてろ」

「えー」


 そして不利を悟り、話題を強制的に転換した。

 また、クリスも気持ちは何となく理解できたため、付き合うことにする。後で弄る気満々だが。


「とりあえず、俺はそんな感じだ。よくよく考えたら、バカらしい悩みだよな、これ」

「バカらしい、なんて思わないけど……誰かに相談しなかったの?いるんだよね、そういうことできる人」

「ここがどこか忘れたのか?アレを話したら良くて追放、悪ければ監禁だ。言えるわけないだろ。まあ、何人かにはバレてるけど」

「あ、バレてるんだ」

「諜報関係の人にな……メイと腕組んで買い物してる写真を見せられた」

「デート写真だね」

「デー……まあ、そうか」

「あ、認めた」

「実際そうだろ?それに、告白もしたし」

「え、ちょっと待ってそれ知らない」

「メイのやつ、言わなかったのか?」

「うん」


 しかし、新たな種が放り込まれたのなら話は別だ。

 凛斗から多少簡略化された無人島での話を聞いたクリスは、これは面白いことができそうだ、と思っていた。


「へー、そうだったんだ」

「そういうわけで、一応恋人同士ではあるんだけど……フラれたか?」

「大丈夫だと思うよ。メイちゃんがメロメロなのは変わってないから」

「あー……第3者からストレートに言われるのは意外と堪えるな……」

「そうなの?」

「そういう相手ができれば分かるぞ。クリスはいないのか?」

「うん、いないよ。リント君とメイちゃんだけだよね」

「誰か相談できる人が欲しいな……」


 項垂(うなだ)れる凛斗。しかし、ここに味方はいない。というか2人だけだ。

 自分で変えるしか道はなかった。


「止めだ止め、こんな話題。クリス、軽い尋問でもやるぞ」

「えー、尋問?答えないよ?」

「そんなことは分かってる。そもそも、俺は本職じゃないんだぞ?成果なんて誰にも期待されてないしな。ただの雑談だよ、雑談。やった形だけ取れば良い」

「そっか。じゃあ良いよ」

「さっきの戦闘、何でジェネレーターを綺麗に壊された?やった連中からも話を聞くけど、クリスの話も聞かせてくれないか?」

「さっきのだと、ベルフェゴールを追いかけてたらシアちゃんと離れちゃって、気付いたら後ろから撃たれちゃったんだよね」

「具体的には?」

「コックピットを狙ってるって思って避けたんだけど、違ったんだ。最初から狙ってたのかな?それで飛べなくなったら誰かに捕まえられて、振り回されてたよ。ディスプレイが付かなくなっちゃったから、分からないけど」

「なるほど、それであのアブダクト状態か」

「アブダクト?」


 ディスプレイが切れてたから仕方ないなと思いつつ、凛斗は端末の写真を見せる。ルシファーからダウンロードしておいたものだ。

 それを見たクリスは……すぐに笑い始めた。


「アハハハハ!何これ!」

「俺もビックリした。 狙ってやったなら完璧だろ?」

「うんうん。凄いよこれ。うわー、何でディスプレイ壊れちゃったんだろう?見たかったのに」

「いや、クリスからはこれ見れないからな?」

「あ、そっか」


 そんなクリスのボケにツッコミつつも、凛斗は次の質問を用意する。


「次は、そうだな……極東特務軍団っていうのは?」

「そんなのも聞くの?」

「聞き覚えがないからな。俺の方でも知っておきたい。で、軍団の概要と指揮官名は機密じゃないよな?それと、先週戦った部隊がその極東特務軍団か?」

「先週のはそうだよ。軍団長はガリウス・グラウデン少将で、編成目的は明けの明星の討伐だったかな?全部は覚えてないけど」

「やっぱり俺達か。メガネさんのアレがそういうことで……グラウデン少将はアレか」

「知ってるの?」

「情報だけな。頑固ジジイだって聞いたことがある」

「んー、どうだろ?通信を聞いたことしかないから分かんない。でも、面白い人だったよ」

「なるほど」


 その後も質問を変えつつ、似たやり取りを繰り返す2人。

 しかし、今の時間を忘れていたようだ。


「っと、時間過ぎてたか。遅くなったけど、昼食を取ってくる」

「あ、お願い。ご飯っていつも何時なの?」

「何もなければ7時と12時と19時だな。尋問時間はこっちが決める。それで良いか?」

「良いけど、檻ってこの鍵だけでしょ?簡単じゃん。抜け出していいの?」

「それ、物理錠だけじゃなくて電子錠と生体認証も混ざってるぞ。こっちの扉も同じだ。抜け出せるならやってみろ」

「そうなんだ。頑丈だね」

「これくらいなら、国防軍時代から普通だったらしい」

「え、そんなこと言っちゃって良いの?」

「帝国軍にはもう知られてるからな。収容方法自体は機密じゃなかったらしいし」

「そっか。じゃあ、ボクが実験体にならなくても良かったんだね」

「はぁ、お前は……」

「あれ?疲れちゃった?」

「誰のせいだと思ってる!」


 ボケ続けに疲れた凛斗はつい、大声で叫んでしまう。しかし、類に漏れずこの部屋も防音性が高いため、外に聞かれることは無かった。

 クリスはこんなにボケが多い人間だったか?と頭の隅で考えるも、ワザとやっている可能性が大という結論が出ただけだ。


「……ボクのせい?」

「当たり前だろ。それと、首かしげても可愛くないからな」

「メイちゃんだったら可愛いって言うんだよね?」

「……」

「リント君?もしもーし」

「さて、もう行くか」

「あー!無視はいけないんだー!」

「知るか。ああ、ちゃんと大人しくしておけよ。脱走したら流石に庇えないからな」

「はーい」

「まったく」


 昼食後もしばらく時間はある。焦らず話していけば良いと凛斗は考え、部屋を出た。












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