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少年少女の人型機甲戦闘機戦記 - Strong Armys of GigAntes  作者: ニコライ
第1部

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第30話「8年」後編

 



「ハッ、ハッ、ハッ」

『ほらほら!さっさと走れ!それとも罰ゲームがいいか?』


 で、約1ヶ月後。俺は他の子ども達と一緒に島の外周を走っていた。

 この島の地下港にはあの潜水艦がおり、地下には多くの人が暮らしている。また数年かけて作り替えられ、今は工廠機能も獲得した秘密基地になっている。

 とはいえ、この時は今とは比べものにならないほど貧相な場所だった。しばらく、外を走るくらいしか娯楽が無かったよな。


「お、速いな、凛斗」

「だって得意分野だよ、原田さん。マラソン大会だっていつも1番だし」

「見込みがあって何より。休んで良いぞ」

「え、でも……あ、行ってくる!」

「おい!……ったく」


 ちなみに、俺と同じように戦うことを志願した子ども達は100人を超えた。俺みたいな小学生程度の年齢の子どもだけでも30人以上だ。

 流石に多すぎて、兄貴は振り分けをする羽目になったらしい。

 その時は気付かなかった……けど兄貴、いくら自分が体力オバケだからって9歳児に走らせていい距離じゃないだろ。というか何人か倒れてたぞ。


「大丈夫?」

「う、うん……」

「無理したらダメだよ。ほら、おんぶするから」

「ありがとう……お兄ちゃん」

「どういたしまして」


 本当に倒れた子達には大人が対処してたから、俺は疲れてもう走れそうになかった少女……というか繭を背負い、ゴールまで連れて行った。

 似たような奴は何人かいたけど……繭には結構世話を焼いたな。


「疲れた……」

「ほら、お水。でも、無理しちゃダメだからね?ここで止めても怒られないよ?」

「ううん、わたしも頑張る」

「じゃあ頑張れ」


 この言葉の通り、繭は頑張った。最初は全然体力が無かったのに、少ししたら普通について来れるようになったからな。

 やっぱり、繭も俺と同じだったんだろうか。


「休憩は終わりだ。次、森林行軍訓練!はぐれるなよ」

「「「「「はい!」」」」」


 少年兵を育てる、なんてことは嫌だったかもしれない。だとしても、俺達には何か目標が必要だった。

 だから、兄貴には感謝しかない……訓練って名目で遊んでいた気がしないでもないけど。
















「はぁ!」

「うわっ⁉︎」

「そこまで!勝者、凛斗!」


 俺の上段回し蹴りが決まったところで兄貴の掛け声がかかり、そこで組み手は終わる。

 もちろん、直撃はさせてない。寸止めだ。


「おぉー!」

「さっすが!」

「すごいなぁ」


 格闘技については兄貴や姉御、他にも多くの人から色々教わった。日本国防軍式格闘術以外にも空手、柔道、日本拳法、剣道、剣術などなど。

 学ぶ機会があったものは全部学んだはずだ。武道を修めることはできなかったけど、同年代の中なら圧倒することができた。

 ちなみに、この時の未成年組の半分は俺の上下3歳、小学生程の面々だ。残りは他に高校生くらいの年齢の人しかいない。

 中学生組?全員失格だった。偶然かどうかは分からないけれど、後方支援向きの人達ばっかりだったしな。


「ほらやるぞ。次の奴入って来い。凛斗は外出ろ」

「はーい」

「おっしゃ」

「了解」


 だから、ってわけじゃないけど、組み手での競い合いは良い経験だった。この時は兄貴や姉御を相手にすると、体格差で負けてばっかりだったからな。

 それが悪いとは言わないけど、同じ体格の相手とやり合うのはまた違う。経験値は多い方が良い。

 ただ、俺ほど格闘戦にのめり込んだ奴が少ないことが玉に瑕か。


「凄いね、お兄ちゃん」

「だって勝てないと五十土さんに怒られちゃうし、僕も悔しいし。それに、おやつ増えるし。だから、繭も頑張って」

「うん。でも、もし欲しいのが違ったら……」

「うん、交換」

「やった!」


 そののめり込んだ奴の1人、繭もまた俺達の中では強者だった。

 特にナイフ戦が上手く、俺と良い勝負ができる時期もあった。引き離したけどな。けど、今は明けの明星の中でも最上位クラスと戦える腕だ。

 最前線でビームソードを振るっているのも、これから考えれば当然だったんだろう。


「これで良いのかな。でも、僕は……」


 とはいえ、それは良いことじゃない。

 この時の俺が原動力にしていたのは恨み、そして悲しみだ。いや、俺だけじゃなかったな。ほとんど全員がそうだった。

 目の前で戦う繭を見つつも、頭の隅では別のことを考えていた。そんな頃だ。


「勝者、繭!」

「お兄ちゃん、見てたー?」

「見てたよ。凄かったね」

「えへ、上手にできたよ」

「よーし、全員終わったな。次は射撃場に行くぞ」


 射撃訓練に移ってもそれは変わらない。

 脳、心臓、大動脈。人を即死させられるポイントを狙うように、俺は引き金を引いていた。今となっては無意識でも出来る行為でしかないけれど、この時は意識してやっていた。

 殺す気で的を睨みつけている奴もいたから、そっちよりはマシだろうけど。


「狙撃班。第1射用意……てぇ!」

「やった当たった♪」

「う、うん」

「外れたー……」

「騒ぐな。第2射用意、てぇ!」


 ちなみに、俺達が拳銃やアサルトライフルで比較的近い的を狙っている間、香織や智子および他数人は離れた目標を狙撃していた。

 俺も拳銃やアサルトライフルは上手い方だけれど、狙撃は昔からイマイチなんだよな……爆撃でいいだろ、なんてな。


「おー、凛斗上手」

「凛斗君、教えてくれない?」

「そう言われても……原田さん!」

「教えてやれよ、凛斗」

「え、どうやって?」

「いつもやってる勉強と同じだ。ほら、やってみろ」

「はーい。じゃあ……」


 最初は上手く教えられなかった。俺だって全部分かってたわけじゃないからな。

 けど、次第に上手く教えられるようになり、射撃技能も上がっていった。やっぱり、自分が上達するためには、教えることも必要だったんだろう。
















「はぁ、はぁ、はぁ……」


 10歳になった時、俺は凶悪テロリスト討伐任務に初めて参加した。


「はぁ、はぁ……」


 帝国軍に占領されてから1ヶ月と経たない頃から、テロリストはボウフラのように()いていた。

 それの処理は初期のパルチザンの重要な任務で、整備体制が整っていないSAGA(サーガ)を使う方が珍しかった。

 この頃はそういう直接的に血生臭いことがよく起きる時だった。


「ちくしょう。あのガキ、どこ行きやがった」

「どうします、ゴンさん」

「いきなり撃ってきたガキだぞ?逃すな。この手で切り刻んでやる」

「はっ、馬鹿なガキだよな」

「手足()いだら遊んでやりますかい?」

「俺はそんな趣味じゃねぇよ。てめぇらだけでやれ」

「いやっほー!」


 そんな任務に俺が選ばれた理由はそう難しくない。

 俺が1番強くて、俺が1番上手くて、俺が同年代のリーダーで、俺が1番強く望んだ。ただそれだけだった。


『凛斗、やるぞ』

「ふぅ、了解」


 だからこそ、覚悟はあった。

 兄貴から合図が入ると同時に物陰から飛び出す。


「いたぞ!」

「あのガキゃあ!」

「原田さん!」

『今だ!』


 それとほぼ同時に、狙撃が1人以外の頭を破壊した。


「なっ⁉︎」

「死ねぇ!」


 そして、俺の放った拳銃弾もリーダーの額を貫き、任務は終了する。

 任務は終わったんだが……しばらく、俺はそこから動けなかった。


「はぁ、はぁ……僕は……」

「やっぱりここか。大丈夫か、凛斗?」

「原田さん……僕……」

「自分から言い出したことだろ?覚悟したって言ったはずだ」

「僕、分かってなくて……こんな、こんなに……」

「それが分かれば良い」


 人を殺したこと。それの重さに耐えきれず、歩けなくなっていた。吐いていないのが奇跡みたいなものだよな。

 兄貴はそれが分かっていたのか、直接迎えにきてくれた。

 いや、分かるよな。いくら恨みに埋もれてても、たった10歳の子どもでしかなかったんだから。


「戦争なんて、殺し合いなんて無い方が良い。そんな当たり前のことでも、本当に自覚するのは難しい。自分から軍人になっといてアレだが、俺だって去年まで気づいて無かった」

「原田さん……」

「だから、無理するな。泣けばいい。それが普通だ」

「うん、うん……!」


 だから、なんだろう。復讐に疑問を持ったのは、この時が初めてだった。

 復讐から理念に変えるにはまだまだ長い時間がかかる。それまでは苦しかった。


「嫌ならもう辞めるか?」

「でも……」

「誰もお前を否定しない。凛斗、自分の判断を信じろ。それに、子どもは大人に甘えればいい。それも仕事の1つだ」

「え……?」

「子どもは遊ぶだけで良いんだよ、本当は。俺も、参加させるのは反対だったんだけどな……」

「原田さん……」


 とはいえ、そんなことを知らないこの時は歩き続けるしかなく、その道標には兄貴達がなってくれた。

 あの廃墟となった街に捨て置かれるのとは桁違いなほど良い待遇にいる。それに気付いたのはかなり後だけれど、父母兄姉のように慕ったことに代わりはない。

 だから、兄貴の言葉なら体も動いた。あとは集合地点を経由してセーフハウスへ戻る。それだけだ。


「さて、長引いたな。そろそろ帰る、っ!」

「うわっ⁉︎」


 しかし、不意に突発音が鳴った。銃声だ。

 それが聞こえた瞬間、兄貴は俺の首根っこを引っ掴み、物陰に隠れた。


「生き残り……いや、別件か。ちっ」

「原田さん……」

「凛斗、ここに隠れてろ。さっさと片付けてくる」

「……ううん、僕もやる」

「は?いや、お前……」

「大丈夫。今度は大丈夫だから」

「……分かった。だったら頼りにする。死ぬなよ」

「了解」


 物陰から出ると、兄貴から伝えられた作戦に従い、敵を、テロリストを撃った。罠に嵌った敵を2人で殲滅した。

 1回目よりはスムーズだったな、やっぱり。どうしても、経験すると引き金は軽くなる。


「凛斗、慣れてきたか?」

「え?」

「慣れるなよ、これに。凛斗なら耐えられる。それは俺にも分かる。だが人殺しに何も感じなくなったら、それはただの殺人鬼だ。絶対に忘れるな」

「う、うん……」

「それで良い」


 けれど、兄貴から聞いたこの言葉は忘れていない。引き金が極限まで軽くなっても、殺した人間を覚えられなくなっても、忘れたりはしない。

 俺達がやってるのは人殺し、SAGA(サーガ)に乗っていてもそうだ。どんな理念があろうと、例え戦争だろうと、罪は罪。地獄に落ちるのも覚悟してる。生身の人間を撃ち殺した時も、SAGA(サーガ)を撃ち落とした時も、SAGA(サーガ)で歩兵を蹂躙した時も、それだけは忘れなかった。

 だから、なのかもな。この後も約半年間は同年代の中で俺だけが暗殺任務に参加していた。ズルいとか、色々と言われたけど、全て無視していた。12歳を過ぎてSAGA(サーガ)を使うようになっても、しばらくは同じだった。

 この苦しみを教えたくなかったんだ、俺は。言葉の意味を理解していなくとも、幼いながらにそう思っていた。

 それに……失うことにも、耐えられそうになかったから。















「兄貴、今いい?」

「ん?どうした?」

「サシの呑みってやつ、やってみたくて。兄貴しか空いてなかったから。俺はジュースだけど」

「お、良いな。お前と呑むのも悪くない。だがその前に……未成年が酒なんて持ち歩くな」

「持ってこないと呑まないんでしょ、兄貴は」


 明日には帝国軍高等士官学校の入学試験のためにハワイへ向かうという晩、俺は兄貴の部屋を訪れていた。

 右手に酒とジュースのビンとコップ、左手に各種ツマミを持って。


「ったく、それ誰から聞いた」

「姉御と伯父貴、あと親爺さんも。割と不評だよ?」

「ったく」


 コップにビールを注ぎ、差し出す。兄貴はそれを受け取ると、俺の持っていたコップと打ち鳴らした。

 もちろん、俺は酒に手を出さない。呑んだら姉御が怖いからな。


「もう明日には出発か……凛斗、本当に良いのか?」

「当然。俺はしかできない任務なんだから、俺がやるしかないでしょ」

「危険だぞ?」

「知ってる。でも、危険なのはみんなも同じだから」


 入試自体は来月だけど、偽装のためにやらなければならないことがいくつもあった。

 もちろん、メガネさん達の情報操作は完璧で、帝国軍情報部も騙せている。日本国防軍諜報部を舐めてはいけない。

 しかし、それが見破られないという保証も無い。もしそうなれば、拷問か自殺の選択肢しか無かっただろう。


「でもな、イジメや虐待を受けないかどうか……」

「ってそっち?」


 が、兄貴の心配は方向性が違った。

 まあ確かに、俺を侮った連中や変な敵意を向けてきた連中は多かった。首席じゃなければそうなっていたかもしれない。

 けど、部下への心配とは違うよな……


「当たり前だ!心配して何が悪い!」

「えー……もしかして兄貴って酒癖悪かった。?」

「ん?そんなこと無いぞ?理性は残してるからな、ハッハッハ」

「いやいやいや……」


 ……やっぱり酒癖悪いよな、兄貴。無駄に絡んでくるわけじゃないからマシだけど、面倒なことに変わりはない。


「にしても、もう5年も経ったのか。早いな」

「だね。色々と教えてくれて、楽しかった。けど……学校には行けなかったのは残念かな」

「それはすまない」

「いいよ、言ってみただけだから。仕方ないことだし」


 もし俺が違う場所に住んでいたら、もしあの場にいなければ、もし戦争にならなければ。そう考えた回数は指の数を超えている。

 だが、そんなものはどうでも良い。今の方が重要だ。


「俺が生きてるのも、みんなのおかげなんだ。だから、不満なんてないよ。それに、兄貴や伯父貴達の役に立たないといけないから」

「それでエースになれるお前は凄いな。俺なんて死に物狂いで戦ってきたってのに」

「俺だって死に物狂いだし、予想外だったんだけど?まさかここまでって」

「そういうものなんだろうな。俺もお前も、あいつらも……SAGA(サーガ)を壊した時はどうしてやろうかって思ったが」

「いや褒めてよ。あの悪魔相手に粘ったんだけど?」

「冗談だ」

「兄貴さぁ……」


 こんな風にからかわれることがあっても、それは俺達を心配し、信頼してくれているからこそだ。

 そこは今も昔も、これからも変わらないだろう。


「だが凛斗。本当は怖いんだろ、お前は」

「……やっぱり分かる?」

「当たり前だ」


 だから、隠し事がバレても驚かなかった。


「そう、だね……怖くないわけがないよ。情報操作は完璧だし、メガネさんにも色々教えてもらったけど、1人で敵地に乗り込むんだから」

「そりゃそうだ。そんな状況、俺だって怖い。辞めたいか?」

「ううん、俺は行く。それがみんなのためになるんだから、躊躇わないよ。それに……」

「それに?」


 まあ、全部気付かれはしなかったけどな。隠しているわけではなくとも、言わなければ分からないこともある。

 特にこれは俺の理想論の話だ。兄貴の教え以外もあるから、バレない方が普通だろう。


「自分の目で見て、確認したいからさ。帝国が噂の通りなのかどうか」

「ま、必要か……ただし、感情移入しすぎて撃てなくなったりはするなよ」

「分かってるよ。敵は敵、味方は味方、そんなの何年も前に切り分けたんだから。日本人でもやってるし……」

「それでもだ、凛斗。裏切り者だなんて言いたくないし、聞きたくもない。お前はお前で、俺達の仲間で弟分だ。いつまでもな。もしダメそうなら逃げ帰ってきても良いぞ」

「あはは、それだともっとダメでしょ。でもありがとう、兄貴」


 そう言って心配してくれることが何よりも嬉しかった。

 俺の居場所はここにあると安心できた。


「また飲みたいな、こんな感じに。今度はお酒で」

「成人してからだ。それまで死ぬなよ、凛斗」

「分かってる。心配性だよね、兄貴も」

「弟分を心配して何が悪い」


 けど兄貴、自分が死んだら意味無いだろ……!
















「ん……ん?」

「あ、起きた」


 夢の世界から戻ってきた凛斗が目を開けると、自分の顔を覗き込んでいる繭と視線が重なった。

 どうやら、ずっと凛斗の頭を抱え込んでいた……というより、膝枕をしていたようだ。


「繭、何してたんだ?」

「だって寝づらそうだったから」

「だからってな……」

「ダメ、だった?」

「……はぁ」


 凛斗は涙の跡を拭い、起き上がると、上着を羽織る。流石にいつまでも休んでいるわけにはいかないからだ。

 なので、会議室かどこかへ繭と一緒に行こうとした……が、繭は動かない。いや、動けなかった。


「……足痺れた」

「本当に何やってるんだ……」


 そんなわけで、凛斗は痺れが取れてから繭の手を握り、立ち上がらせる。

 痺れたのは少しだけだったようで、すぐに普通に歩いていた。


「さてと……繭、あいつらがどこにいるか知ってるか?」

「あ、みんななら談話室に集まってるって言ってたよ」

「なら、好都合だな」


 そして彼女が言った通り、2人が談話室に入ると残りの5人も全員集まっていた。

 というより、他に行く場所が無かったという様子だが……凛斗を認識すると真面目な顔になる。

 それを確認した凛斗は部屋の隅に置かれた将棋盤を一瞥しつつ、彼らへ向けて口を開く。


「ごめんな、心配させて」

「良いって良いって」

「気にするなよ。というか、俺らだって似たようなもんだったぜ?」

「はい。その、僕も落ち込んじゃって……」

「アレを受けて、ダメージが無い人はいないでしょう」

「う、うん。だから、ね?」

「はは、ありがとな。けど、兄貴が死んでも俺達は止まらない。止まったらいけない。だから……やるぞ、お前ら」


 彼が放つ言葉は彼らの想い、その重さは誰もが理解していた。

 ただ1人を除いて。






「あ……」

「あ、メイちゃん」

「起きた?」

「うん。どれくらい寝てた?」

「1時間くらいね」

「そっか……」

「うなされてたけど、大丈夫?」


 ほぼ同時刻、メイもクリス達が戻ってきた頃に目が覚めた。今度は監視下だからか、男3人も一緒だ。

 メイはベッドから起き上がりつつ、6人と言葉を交わす。一部、思考が回っていないようにも見えるが……


「おい、大丈夫か?」

「あ、うん、大丈夫。夢が少し怖かっただけだから」

「そうなんだ、良かった」

「あれ、心配してた?」

「当然でしょ?だって、友達なんだから」

「そっか、ごめんね」


 ニーネの問いに答えなかったメイを気にしたが、杞憂のようだと安心した面々。

 だが、実際には少し違った。


「ねえ、みんなは何してたの?」

「……これからどうするか、考えていた」

「え、そんなの簡単だよね?」

「簡単?」

「うん。だって私達、軍人だもん」

「そうだけどよ」

「だから……」


 彼女の口は想いが乗った言葉を紡ぐ。

 それが何を元にしているか気付かぬまま。






「ミカエルは」

「ルシファーは」




「「()が討つ」」












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