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少年少女の人型機甲戦闘機戦記 - Strong Armys of GigAntes  作者: ニコライ
第1部

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第15話「北の大地」後編

 



「あと5分か……」

『なあ凛斗。ここのパルチザンの連中、大丈夫なのか?』

「大丈夫らしい。ホームだから、らしいぞ。信じるしかない」

『けどな、今はSAGA(サーガ)持ってないんだろ?』

「だからメインは俺達だ。さて……」


 蒼龍から発艦した後、当初の予定通りの航路を消化した凛斗達。

 だが、今は見つからないよう地上に隠れている。


24(フタヨン):00(マルマル)、亞号作戦開始」

『よーし行くぞ!』


 場所はアラスカ中央基地の南東に存在するチャガック元州立公園。そこの山の影に26機の SAGA(サーガ)が隠れていた。そして時間になると一斉に飛び立ち、最高速度で空を駆ける。

 即時戦闘ができるようにコクロウは人型形態となっているので、先頭はルシファーだ。


「敵機確認、データリンクよし」

『データリンク確認……少なくね?』

『確かに』

「50機はいるって思ってたんだけどな」

『兄貴達の方を忘れんなよ』

「むこうも含めて30機……やっぱり少ない。あれだけなら一撃で殲滅できるな」

『任せます』

『頼んだぞ』

「ああ」


 レーダーの効力が低下しているこの時代、警戒にはSAGA(サーガ)を使うのが最も確実性の高い手段となる。レーダーの発振点を増やせば発見できる可能性は高まり、またカメラでの発見も可能となる。

 かといって、偵察専用機を作ってもただの的だ。強力なレーダーを発しているということは、レーダー波を捉えられる可能性が高いということであり、貧弱な武装と鈍足では戦うことも逃げることもままならない。これは過去の戦いが証明していた。

 飛行艦はそれと比べれば頑丈だが、SAGA(サーガ)の高性能化で簡単に落とされるようになり、遠洋ならともかく基地周辺では有効性が低い。

 そのため通常のSAGA(サーガ)、特に飛行可能な機体で警戒ラインを作るのが一般的となっている。基地の場合、5%程度を直掩機として常時展開するのが目安だ。

 だがレーダーとカメラによると、飛行中の直掩機は24機、2ヶ中隊分しかいない。しかも、警戒範囲には明らかに偏りがある。

 どうやら凛斗が仕入れた情報通り、気が緩んでいるらしい。


「落ちろ!」


 そしてこの程度の直掩機など、ルシファーにとって物の数ではない。

 ビームボーゲン、高出力ビームライフル、プラズマ収束砲の一斉射。それだけで直掩機は全滅した。


「全機攻撃開始!」


 サタンとコクロウ24機による、ミサイルの一斉発射。合計1710発ものミサイルは事前に設定した通り、基地各所に存在するハンガーと防衛兵器へ殺到する。

 とはいえハンガーの規模は大きく、完全破壊できたものはほとんどない。だが、これで増援が出てくるまでの時間は稼げる。


「コクロウは予定通り、残存防衛兵器破壊とハンガー破壊に分かれろ。サタンは俺のを引き継げ」

『おうさ、やるぞお前ら!』

『了解だ』


 ルシファーも基地中央部にある司令塔へプラズマ収束砲を放ち、地上部分を壊滅させた。さらに地下部分へビームボーゲンを放つと反転、基地の西側へ向かう。

 代わりに司令塔のあたりにはサタンが到着し、ブリューナクも使って徹底的な破壊を始めていた。空いた穴には容赦なく大型ミサイルを放ち、付近の地下施設を炎で包む。


「兄貴、そっちは?」

『直掩機は始末した。今は空母と護衛艦の相手だな。というかこっちより、香織を助けてやれ』

『凛斗、早く来てよ!』

「今向かってる」

『やっぱり数多いって!』


 リヴィアタンが苦戦しているようなので、急いで港湾区画の制圧に向かう。というか、着く前から制圧しにかかっている。

 真後ろからメインスラスターへ向けてプラズマ収束砲を放ち、艦体を貫通させた。どうやらジェネレーターを破壊したようで、爆発とともにジャガー級飛行護衛艦は落ちていく。

 高出力ビームライフルで斜め後方からハリケーン級飛行戦艦の艦橋を撃ち抜き、レーダーなどを破壊する。さらにビームボーゲンをミサイル発射管に叩き込み、誘爆させて艦体をへし折った。


『うわ、何それ』

「これくらい普通だろ。それより、香織もやれよ」

『もちろん分かって、凛斗後ろ』

「っと」


 時々ちょっかいをかけてくる帝国軍SAGA(サーガ)は艦艇から緊急発進した機体だろうか。この攻撃の中、よく頑張ったと言える。

 だがルシファーはそんなこと御構い無しに高出力ビームライフルで撃ち抜き、ビームボーゲンで蜂の巣にし、脚部の固定式ビームソードで叩き切った。


「助かった」

『どういたしまして。それにしてもよく反応できるね』

「質問は後で聞くから、今はさっさとやれ」

『了解』


 本作戦においてリヴィアタンは魚雷を3割ほどにしか載せておらず、残りの80発は全てミサイルだ。これだけでもジャガー級を5,6隻は落とせる。

 そして、背中に載せた4発の大型ミサイルはハリケーン級へ集中的に叩き込み、容赦なく破壊する。

 ついでにビーム砲でSAGA(サーガ)を叩き落とした。


「おお、ナイス」

『何それ嫌味?』

「いいや、普通に褒めてる。実際上手いからな」

『いやー、凛斗には負けてるから。それに、兄貴達の方が暴れてるし』

「向こうの方が数は多いぞ?」

『世代はこっちが上でしょ』


 海中から攻勢をかけている兄貴達も大暴れしている。

 海側から竜骨をへし折られて沈むアトラス級航空母艦や、艦橋やジェネレーターを撃ち抜かれて爆沈するウルフ級海上護衛艦が続出しており、また時々水中でも爆発が起きる。

 ハクゲイの信号は減っていないため、あれはウンディーネのものなのだろう。


『おいお前ら、お喋りする暇があるならさっさと落とせ』

「いや兄貴、ちゃんと減らしてる、な!」

『そうそう。兄貴からは見えないけどね』

『屁理屈を言うなら手を動かせ』

「了解」

『了解』


 飛行艦の残りは20隻ほど。その頃には海上艦を全て片付けたハクゲイが陸へ上がり、ハンガーへの攻撃を開始した。

 地上攻撃用に残していたミサイル216発全てを海岸付近のハンガーに叩き込み、さらに2門の高出力ビーム砲も次々と撃ち込む。エアロに乗っていないバトラーやサラマンダーが襲ってくることもあるが、ビームソードと盾の下にあるビーム砲で1機ずつ葬っていった。

 なお、メーザーライフルと高出力メーザー砲2門は地上では有効に使えないため火力は減っているが、特に問題はなかった。


「上野さんはC4を、如月さんはF12を頼む。燕谷さん、3時方向に敵機!」

『了解!』

『やりましょうか』

『っと、危な。助かった』

「どういたしまして」


 内側のハンガーにはコクロウが攻撃を行い、そこへ飛行艦を沈め終えたルシファーも加わった。

 リヴィアタンは海岸付近に留まり、ハクゲイを上空から援護している。とはいえ目立つためかよく狙われ、対SAGA(サーガ)戦がメインとなっているが。

 なお、これはルシファーも同じだ。


「香織、無事か?」

『まあ無事だけど。でも多いよね!』

「集まってるからな」

『凛斗も?』

「ああ」


 ルシファーはノームの脳天を撃ち抜くと急降下。コクロウを狙っていたサラマンダーとバトラーを、両足の固定式ビームソードで腰から両断した。

 さらにビームボーゲンで3つのハンガーを壊滅させると、プラズマ収束砲で発進しようとしたバトラー小隊をハンガーごと消し飛ばす。

 そしてノーム小隊が放つビームガトリングの雨を避け、抜刀の勢いそのままにビームソードで切り刻んだ。


『やるぅ』

『流石』

「これくらいなら……被害は?」

『コクロウは小破3機、ライフルかソード損失が2機』

『ハクゲイは2機が小破だな』

「中破も無し、か……」


 総戦力差は非常に大きい戦場だが、コクロウおよびハクゲイ共に、中破以上の被害はない。

 それは奇襲の有利と質的優勢を上手く利用しているためである。とはいえ、理由は他にもあった。


「ちっ、多い」

『こっちも多い。どうなってるわけ?』

『俺もだ。集まりすぎてるな』

『そんなの決まってるだろ』

「兄貴?」

『新型機なんて警戒されて当然なんだからな。というか目立つ』

「……剛毅、香織、落ちるなよ」

『おう』

『了解』


 派手に暴れまわっているデーモンシリーズ3機だ。

 技量的には、コクロウやハクゲイにはそれ以上の者が乗っている。だが、同型機が存在しない高性能機というものは、人の意識を集中させる。

 その結果がこれだ。特にルシファーは一時的にだが、30機近い敵機に囲まれた時もあった。他の2機も同じようなもの、むしろデーモンシリーズを囮にコクロウやハクゲイが敵機を落としていたりする。

 もちろん、兄貴達が見捨てているわけではない。実力を理解しているから任せているわけだ。


「ん?」

『どうした?』

『凛斗?』

「何でもない。ただ、走ってるパイロットを見つけただけだ」

『よく気づくよな』

「俺も走ったからな。危ないったらない」

『味方からの援護でしょ?そう言わない方が……』

「危険な流れ弾が2回くらいあったぞ?」

『げっ』

『うっ』


 戦闘を行っている帝国軍SAGA(サーガ)の数は、多少の変動はあるが50〜70機といったところだ。

 アラスカ中央基地は集中攻撃を受けた防衛兵器やハンガーだけでなく、他の各種施設もかなりの被害を受けている。地下通路を破壊されたのか、地上を走るパイロットもいるほどだ。

 そして生身の人間など、機械の巨人の前では脆い。狙わなくとも、余波で次々と死んでいく。

 それに比べれば、援護として織り込み済みの余波しか受けなかった凛斗は幸運だったと言えるだろう。


「制圧箇所は……だいたい6割ってところか」

『そんなところか。おい凛斗、そんなに無理するな』

「戦果を増やすんじゃないのか?予想外の成功なんだし」

『踏み込みすぎるなってことだ。作戦目標は達している。こだわりすぎる必要なんて無い』

「確かに……」


 言い争いとなっているが、簡単な方針の違いでしかない。

 そもそも、指揮官としての経験は兄貴の方が上だ。凛斗もそれは分かっているため、逆らうようなことはしない。とはいえ、疑問に思った部分は聞く。

 だがそんな話をしている時、突如……


「けど今なら……うお⁉︎」


 物資保管区画ということで、明けの明星がまだ手をつけていなかった基地北部が大爆発を起こした。

 km単位で離れている機体まで衝撃波で体勢を崩しかけるほどだ。爆炎と煙でよく見えないが、あのエリアは完全に壊滅したはずだ。


『何だ!』

『あの場所は……アラスカの連中か』

「パルチザンの?歩兵だけなのに、また派手な……」

『向こうの手札ってことでしょ』


 向こうの作戦は終了したためだろう。日米間通信チャンネルで送られてきた説明文によると、どうやらアンカレッジから掘った地下トンネルを使用したらしい。

 地下倉庫の真下に大量の爆薬を設置したところ、その上がミサイルや魚雷の保管庫だったらしく、誘爆であれだけの規模になったそうだ。

 と、そこで二次爆発が起きた。付近のジェネレーターが壊れたのかもしれない。


『それより凛斗、今のうちに』

「ああ。剛毅、今のうちに戦果を広げるぞ」

『おう。ぶっ放すぞ』

『おい凛斗、さっき言ったばっかりだろ』

「撤退のためだ。兄貴達は下がってくれ」

『それなら良いか……了解だ。おいお前ら!』


 なので方針を変更した。ハンガーの8割を破壊、SAGA(サーガ)の損害は最低でも7割、さらに物資が壊滅したとなれば、作戦目標を十二分以上に達成している。

 ルシファー達3機は火力を強めて前進し、コクロウとハクゲイは射撃しつつも下がり始めた。


『規定通り撤退だ。総員分散!』

『ラジャ』

『了解!』

「殿は俺達がやる。剛毅、香織、良いな?」

『当然だろ。完遂してやるよ。ブリューナクを使い切ってもな』

『もちろん。任せといて』


 そしてコクロウ4機とハクゲイ2機が1つの組となり、バラバラなルートで撤退を開始した。作戦は成功したため、凛斗達が囮となることに支障はない。

 背を向けた機体へ銃口が向けられることもあるが、デーモンシリーズで全て撃ち落とす。


『また増えたぞこいつら!』

『このぉ!』

「兄貴で最後だ。気張れ!」

『すまん、もう少しだ』

「兄貴、こっちより尾行の方に気をつけて」


 そして最後に、ルシファー、サタン、リヴィアタンの3機だけがアラスカ中央基地の南端に残った。そのため、50機ほどのSAGA(サーガ)全てが3機に攻撃を集中させている。

 とはいえ、長居をするつもりは無い。


「よし、退くぞ」

『だな。そろそろキツい』

『了解。遅れないでよ』

「分かってる。水中だと香織しか戦えないからな」


 ルシファーの一斉射に合わせて反転、最高速度で撤退した。

 そして陸地を超えるとすぐに海へ飛び込み、急速に深海へ潜行する。


「撤退完了……合流地点までは無線を封鎖する。お疲れ」

『おうよ。凛斗もな』

『了解。お疲れ様』

「ああ、ありがとな」


 そうして海中を飛ぶ3機。

 彼らは追跡されるということもなく、蒼龍へ帰還した。


「よくやった、凛斗」

「ありがと……って伯父貴⁉︎」

「何を驚いている?」

「さっき指揮所にいたから……まあ良いか。伯父貴、こっちの被害は?全機戻ってきたよな?」

「凛斗も確認していただろうが、最終的に小破12機、中破1機だ」

「中破が?」

「1隊、追跡された連中がいた。返り討ちにしたそうだが、コクロウが1機魚雷を避け損ねたらしい。アレだ」

「なるほど。まあ、腕だけなら問題ないか」


 そしてコックピットから降りた直後、伯父貴に出迎えられる。

 またガントリーが固定されると同時に、親爺さん達整備チームが先を争うように SAGA(サーガ)前のコンソールへ取り付いていった。彼らはこれからが本番だ。


「さて、報告しろ」

「了解。確かこの中に……ハンガーは82%、防衛兵器は98%、他の基地施設も56%を破壊した。艦艇は70隻全て撃沈、直接撃墜したSAGA(サーガ)は143機だ。推定で800機撃破。ついでに、アラスカの連中が物資の大半を消滅させてる」

「予想以上の戦果か……」

「俺も驚いた」

「凛斗達のおかげだ、伯父貴。こいつらがいなかったら半分は死んだな」

「恐らくはそうだろう。最低でも3割か」

「伯父貴も兄貴も、流石にそこまでは……」

「いや、この通りだ」

「伯父貴の言う通りだぞ」


 こんな認識の違いはあったものの、気にすることではなかった。どちらも間違った予想というわけでは無いのだから。

 なので話題はすぐに変わる。


「さて凛斗、祝勝会の準備は進んでいる。楽しみにしておけ」

「……伯父貴、早くないか?」

「まだ指示を出しただけだ」

「といっても伯父貴だから……2回あっても驚かないかもな」

「よく分かったな」

「凛斗、夕食は楽しみにしとけ」

「当たって……とりあえず、寝させてほしい」

「行ってこい」

「じゃ、その間に準備しとくか」


 今後は想定のレベルを数段階上げる決定をしつつ、凛斗は自室へ向かっていった。












・ハリケーン級飛行戦艦

全長211m、全幅42m、全高36m

 帝国軍主力飛行戦艦。

武装

___80cm20口径連装ビーム砲×6

___20cm10口径単装ビーム砲×4

___ミサイル発射管×40

___小型ミサイル発射管×60

___連装対空ビーム砲×20

SAGA(サーガ)用装置

__発艦用リニアカタパルト×2

__着艦ハッチ×2


・アトラス級航空母艦

全長254m、全幅58m、全高34.4m

 帝国軍主力海上空母。

武装

___小型ミサイル発射管×36

___小型魚雷発射管×24

___連装対空ビーム砲×20

SAGA(サーガ)用装置

__発艦用リニアカタパルト×4


・ウルフ級海上護衛艦

全長128m、全幅15.0m、全高177m

 帝国軍の海上護衛艦。

武装

___20cm10口径単装ビーム砲×1

___連装魚雷発射管×2

___3連装ミサイルランチャー×4

___小型ミサイル発射管×24

___小型魚雷発射管×16

___連装対空ビーム砲×8

SAGA(サーガ)用装置

__着艦スペース×1

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