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少年少女の人型機甲戦闘機戦記 - Strong Armys of GigAntes  作者: ニコライ
第1部

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第13話「ニセモノとホンモノ」後編

 



「見つけた。ミカエルと……あれはガブリエルにラファエルだな。コクロウはエンジェルシリーズの後方を警戒しつつ、水中待機。他の機体が抜けようとしたら撃ち落としてくれ。それとウンディーネに注意」


 海中から飛び出した直後、ルシファーのレーダーと視界にターゲットが映った。

 他に機体は見えない。どうやらエンジェルシリーズだけで先行したようだ。


『3機か』

『同数ってなると……』

「基本は1対1だ。良いな?」

『分かってるよ』

『もちろん』

「良し、得意分野でいくぞ。一気にやれ」

『おう!』

『了解!』


 そして得意距離に入った瞬間、彼らは動いた。






「ルシファーと……あれって、サタンとレヴィアタンかな?形は少し違うけど」

『武装に変わった様子は見えないよな』

『同数ってのは、運が良いのか悪りぃのか……』

「それは気にしないで。それより、一気に接近しないと危険だよ」

『分かってるぜ。というか、不利なところに固まってられないだろ』


 メインディスプレイに映る3機とは対照的な白い機体、その中にいるメイ達は敵機を観察する。

 帝国軍はデーモンシリーズの詳細なデータを全て失ったが、簡易データはいくらか残っている。そこから性能を推測することも、対策を考えるのも容易だ。

 だが彼らは1つだけ、知らないことがある。それは……


『なあ、メイ』

「なに?」

『デーモンシリーズってよ、射撃戦向けの機体なんだよな?』

「そうだよ」

『で、ビームボーゲンを載せてるのはルシファーだけなんだよな?』

「うん。少なくとも設計上はそうだよ」

『で、作ったのは向こうってことは……』

『おいおい……それ、ヤバくねぇか?』

「だから遠距離戦は……あ、来たね。138発」

『多いぞ⁉︎』

『ちぃ!』


 サタンとリヴィアタンのミサイル搭載数が、帝国軍の設計より大幅に増やされたということだ。特に翼は正面から見えないが、数は倍以上に増やされている。


「3連射まで確認、合計は……286発」

『いやいやいや⁉︎』

『300ちけぇぞおい!』

「こんなので怯えてたら何もできないし。さあ、あれやるよ!」

『ちっ、仕方ねぇ!』

『やるぞ!』


 最初から決めていた作戦の1つ。それを実行することに決めた3人は、機体を真っ直ぐ加速させた。






「ミサイル発射確認。不具合は?」

『無いぞ』

『流石は親爺さんだよね。それで、これで終わったり……』

「いや、構えろ」

『え?』

「油断するな。予想通りなら……凌いでくる」

『んな馬鹿な。俺らだってキツいんだぞ?』

『そうそう。落ちなくても、流石にこれで戦闘可能っていうのは……ミサイルが68発?』

「全力斉射か?だが今……剛毅!香織!今すぐ軌道を変えろ!」

『は?』

『何が……』

「ちっ、間に合わない……!」


 察した凛斗が説明する前に、ガブリエルとラファエルから放たれたミサイルが密集地帯で自爆する。

 それによってサタンとリヴィアタンが放ったミサイルの7割が迎撃され、残り3割も避けられた。


『マジか……』

『うそ……』

「ゼロってのは流石に……いや、今は気にするな。行くぞ」


 予想より派手な光景に驚いたが、予想に近い結果ではある。

 想定していた凛斗の切り替えは早い。


「3機ともクルセイダーを持ってる。直接防ぐな、受け流せ」

『了解。でも……』

『キツそうだな……』

「けど、他の帝国軍機とは操作感覚が大きく違う。武装と重心が違うからな。こっちより慣れは少ないはずだ」

『それって本当?』

「ああ。そして接近させなければこっちのものだろ?今のうちに慣れとけ」


 だが双方ともに最大射程のミサイルを使い切ったため、奇妙な静寂が辺りを包んでいた。

 一応、ルシファーとミカエルには届く武装があるが、こんな距離でプラズマ収束砲を撃っても当たりはしない。牽制ですらない無駄弾を撃つ趣味は、凛斗にもメイにも無かった。


「交戦距離まで残り1分。到達と同時に散開、各自攻撃開始」

『おう』

『了解』

「さてと、ん?……レーザー通信?」

『……聞こえる?』


 通信機から流れてきたのは日本語、久しぶりに聞いたメイの声。ついそれに答えそうになり、凛斗は口を噤む。

 そして通信機にコンピューターを噛まし、声紋を取られないよう電子音声で返答した。明けの明星側の通信も、一時的に受信のみにしている。


「聞こえる。帝国軍が何か用か?」

『……単刀直入に聞く。リントは何処?』

「……」


 だが……正直に答えられるわけがない。正直に答えれば、どうなるか分からない。


「誰だ?そいつは」

『その機体の本当のパイロット。ハワイでルシファーを取りに行って、行方不明』

「ああ、あいつか」

『知ってるの?』


 だから嘘をつく。彼女のための、残酷ながら優しい嘘を。


「俺が殺した。それがどうかしたか?」


 だから……怒気を向けられる覚悟もある。


『分かってたけど……仇は取る』


 そしてミカエルはプラズマスラスターを全開にし、大刀型クルセイダーを構えて突っ込んできた。

 ビームライフルの射程など、ミカエルにかかればすぐに突っ切れる距離でしかない。


「っ!」


 ルシファーは加速しつつビームソードを抜き、大刀型クルセイダーの側面に当てることでそらす。


「ごめんな……けど!」


 さらに飛び去るミカエルの背へビームボーゲンを放った。

 全て避けられるものの、突撃軌道を変えさせることはできた。


『凛斗!』

「お前らは向こうの2機の相手をしろ!」

『でも!』

「こいつは俺が抑える!」

『っ、了解』

『任せるぞ!』


 再度の突撃は柄に盾を当てることで抑えるが、反撃として放った左蹴りはショルダーシールドに防がれる。


「ちっ、ブリューナク展開!」

『おうよ!』


 さらにガブリエルがブリューナクを展開したため、サタンにもブリューナクを展開させる。

 攻撃可能なものは共に8基、だが互いの目標は違う。


「っ、この!」


 どうやら、メイ達はルシファーを優先して落とすつもりのようだ。

 銃剣型ブリューナクの射撃を避け、貫かんと突進してくる突撃槍型ブリューナクを盾で受け止める。さらに突撃してくるミカエルと、後方よりビームライフルを放つガブリエルにラファエル。

 だが……この集中砲火より、ルシファー1機が放つ砲火の方が多く鋭い。


「剛毅!ブリューナクはガブリエルとラファエルへ向かわせろ!」

『おい凛斗!』

「問題ない」


 ミカエルの斬撃を盾でいなすと、ビームボーゲン10門の弾幕で銃剣型ブリューナクを1基撃ち落とし、さらに突っ込んできた突撃槍型ブリューナクをビームソードで両断する。


『おおう……』

「早く行け」

『了解。無理はしないでよ』

「了解」


 ミカエルを抑え込みつつ、というか猛スピードで飛び回りつつ、凛斗は2人へ命令する。

 そして、それを聞き入れた2人もすぐに接敵した。


『穿て!』

『当たれ!』


 そこはサタンとリヴィアタンの距離、構えたビームライフルをすぐさま放つ。

 だがガブリエルとラファエルも同格の機体だ。盾で受け止めるビームも多いが、確実に前進している。ブリューナクが射撃位置にいない今、3門だけでは止めきれなかった。


『ちぃ!』

「焦るな。接近されないことを優先しろ」

『了解。けどね……』

『おい!右だ!』

『こいつっ、でも甘い!』


 ガブリエルを囮にしたラファエルの突撃に反応しきれず、リヴィアタンは斧槍型クルセイダーを盾で斜めに受け止める。


『わっ⁉︎』

「どうした⁉︎」

『表面が削れた……抜かれるなんて……』

「だから言ったろ。全部受け流せ」

『香織、またそっちに行ったぞ!』

『このっ!』


 その仕返しに、リヴィアタンは体の各所に埋め込まれたビーム砲を放った。これはビームボーゲンではないが、砲口部が多少は稼動するため狙いはつけられる。

 独特な稼動系を持つため、香織はまだ慣れていない武装だが、そんなことを言っていられる余裕はない。

 とは言ったものの、残念ながら全て避けられた。というかいくつかは斧槍型クルセイダーの刃、そして柄に弾かれる。ビーム場を形成するための力場、およびアンチビームコーティングがあるためだ。


『そこも弾くの!?』

『はぁ!?そんなの反則だろ!』

「あー、そういえばラファエルの方は柄にアンチビームコーティングがあったな。援護要るか?」

『凛斗の方が余裕ないでしょ!』

『無茶するな!』

「そう、だな!」


 だが、より余裕がないのは凛斗の方だ。周囲を見れるようにはなったが、安全とは程遠い。

 袈裟斬りは上体を斜めに反らして避け、斬り返しの薙ぎ払いに対しては急降下、そこから急上昇してビームソードで斬りつける。


「くっ」


 だがそれは推力差で避けられ、さらにビームガトリングが放たれたため回避運動を強要される。


「ちっ!」


 そうして出来た隙、そこへミカエルは強引にクルセイダーを挟み込む。ルシファーは防げてこそいるが、毎回毎回神経をすり減らしていることに変わりはない。

 現状、ガブリエルのブリューナクは問題にならないが、ミカエルの方は厄介すぎた。


「強くなったな……!」


 何度も放たれるビームボーゲンを潜り抜けるミカエルと、直後に襲ってくる斬撃を防ぐルシファー。


「反応が、くっ⁉︎」


 互いにビームライフルを撃ち合い、プラズマ収束砲を放ち合い、アンチビームコーティングを削り合う。


「判断も上手い……」


 ミカエルがビームスローイングダガーを投げ、ルシファーはそれをビームボーゲンで撃ち落とす。

 ルシファーはビームボーゲンを連射するが、ミカエルは高機動とショルダーシールドを生かして全てさばき切る。

 そして大刀型クルセイダーを振り下ろす。


「鹵獲は……厳しいか」


 そんな悠長なことをすれば、ルシファーは真っ二つになる。今の振り下ろしも、防ぐ瞬間は本気でないといけなかった。

 だがそういうことを考えられるだけ、まだ実力差は残っている。


「けど……負けてやることだけはできない!」


 だから、諦めることもしなかった。カウンターで左のショルダーシールドを切り落としつつ、凛斗はそう叫ぶ。






「ちっ、こいつ……!」

『無理しないで。それも強いみたいだから』

「分かってる!」

『このやろっ!』

『トランも』


 レックスの駆るガブリエルは、逃げるサタンを追っていた。だが、あまり芳しくない。

 ブリューナク8基のうち、残っているのは2基のみ。他は全てルシファーに撃ち落とされていた。片手間か何かのように。

 それに対し、サタンの砲型ブリューナクは6基が健在。ガブリエルはブリューナクを引き戻して対抗しているが、劣勢なのは否めない。

 さらに……


「ちっ、またかよ!」


 盾型ブリューナクにより射撃を防がれる。

 サタンが4基搭載するこれは防御用で、攻撃能力は無い。代わりに自動化が比較的容易く、防御性能はかなり高かった。

 100発以上撃って、直撃どころかかすり傷すら無いほどに。


「こうなったら……!」

『おいレックス!』

「無理矢理でもこっちの距離に入るしかないだろ!」


 取り回しの悪い長剣型クルセイダーはではなくビームソードを構え、突貫する。

 それを見たサタンは盾で防ごうとし……


『避けて!』

「ちぃ⁉︎」


 その下にあるプラズマ拡散砲を向け、迷わず引き金を引いた。

 ガブリエルは慌てて避けようとするも間に合わず、どうにか盾で防ぐ。


『大丈夫?』

「こいつは危ないぞ……盾のアンチビームコーティングが半分以上溶けた」

『マジかよ』


 プラズマ拡散砲。サタンが盾の下に持つ武装で、プラズマ収束砲とは逆に近接戦用の兵器だ。

 散弾銃のようなものなのだが威力は凶悪、直撃すれば胴体も消し飛ぶ。


『こっちもマジィってのによぉ……』

「どうなんだ?」

『火力がヤベェ。精度が悪くても突っ込めねぇ』

「どうやら、最初にやりすぎたらしいぜ?」

『だなぁ……どうするよ?』

「やるしかない。だろ?」

『そうこなくっちゃなぁ!』


 彼らは諦めない。勝利を掴むために。






『ちっ』

「そう焦るな、剛毅。それの使い勝手は悪いんだろ?」

『距離は難しい。けどな、やれなくはないぞ』

「俺達の目的は蒼龍が離脱するまでの時間稼ぎだ。無理はするな、絶対に」

『了解……欠陥が』

「そういう武器だ。仕方ない」

『使いこなせってか』


 強力なプラズマ拡散砲だが、使用には制限がある。チャージサイクルが長いこともあるが、1番は射程が短いことだ。

 というか、遠距離戦用機が最大火力を発揮できる武装の射程が数十mしかないのは、欠陥と言われても仕方がないだろう。


「香織」

『なに?』

「そっちはどうだ?」

『上手く抑え込めてる。精度は全然だけどね』

「それで良い。今無理をする必要はどこにもない」

『了解。じゃ、このまま抑え込んでおくね。落とせそうにはないけど』

『こっちもだ。予想以上に上手いぞ、こいつら』

「少なくとも、第12世代機を扱える腕があ、っと」


 ミカエルの斬撃を避けつつ、凛斗はそう告げる。

 実際、凛斗は主任から得た情報に加え細かい癖から、2機のパイロットが彼らだと正確に推測していた。

 その気になれば、3機を1人で抑え込むことも不可能ではない。損傷は免れられないだろうが。


『大丈夫?』

「問題ない。まだこの程度なら、な!」

『まだ、か?』

「まだ、だ。こいつ、上達が早い」

『具体的に言うと?』

「未だに直撃がない」

『そいつはヤバい』


 ミカエルの、メイの剣術は次第に上達している。

 高速移動中の駆動だけではない。袈裟斬りかと思ったら振り下ろし、回転斬りかと思ったら逆袈裟、そういったフェイントの技量も次第に上がっていた。

 ルシファーの攻撃は掠る程度でしかない。それが無意味とは言わないが、効果は薄かった。


『勝てるよね?』

「負けはしない」

『んな不確定な』

「確約するとフラグになりそうだからな」


 一応、ルシファーはデーモンシリーズの中でも1,2を争うレベルで格闘戦に向いた機体だ。ルシファーが、凛斗が抑えられなければ、2機か3機で当たる必要が出てくる。

 そういう意味合いでも、負けるわけにはいかない。


「そんなことより、そっちは大丈夫か?」

『問題ない。ブリューナクにも慣れてきたぜ』

『同じく。私も慣れてきたね』

「なら良い」

『援護は?』

「できるか?」

『無理だろ』

「なら、しなくていい」


 とはいえこの場にいる全てが高速機であり、自然と1対1の形に収まったため、それぞれの相手以外との距離は離れていた。

 サタンとリヴィアタン、ガブリエルとラファエルはまだ互いに援護可能な位置におり、時々側面からの射撃が飛んでくる。

 だが目まぐるしく位置を変えるルシファーとミカエルには当てはまらず、当人達以外は場所が分からなくなることも多かった。

 そのため……


「避けろ!」

『っ⁉︎』

『ひっ!』


 4機の争う戦場の中央をルシファーとミカエルが猛スピードで駆け抜ける、なんて事態も発生する。

 それも、ルシファーとミカエルから攻撃を加えられるというおまけ付きだ。


『せめてこっちへの攻撃は止めてよ!』

「それは流石に無理だ、っと!」

『……確かに無理そう』

『速すぎるっての……』

「そっちだってこれに近い速度は出せるぞ」

『その速度での戦闘は無理だぞ!』


 相変わらずサタンはガブリエルをブリューナクとの連携射撃で押し留めている。プラズマ拡散砲の威力を見せてからはガブリエルも突撃しづらくなったようで、接近されることはそう多くなかった。

 また、リヴィアタンも全22門のビーム砲を順に放ち、ラファエルを近寄らせない。

 そしてどちらも相手に小破相当の損害を与えている。双方共に慣れきっていない武装がメインとなっていたが、上手く戦っていた。


「まあ確かに。最高速度と戦闘速度は違うからな」

『そういう意味じゃないんだけど』

「それより、っと」

『おい、大丈夫か?』

「問題ない」


 ルシファーもミカエルの攻撃をさばきつつ、射撃で牽制を続ける。封殺できている、とは言いづらいが、ルシファーに損傷はない。危険ではあるが、危なげはない。

 そんな時、蒼龍からの通信が届いた。


『凛斗』

「伯父貴?もう良いのか?」

『ああ。合流ポイントまで交代しろ』

「了解。上手く撒いてそっちに行く」

『無理なら援護をさせるが?』

「大丈夫だ」


 そしてすぐさまビームボーゲンだけでなくプラズマ収束砲と高出力ビームライフルも斉射し、ミカエルを遠ざける。再度接近しようとしてきたら再度斉射し、その間に少しずつ後退していく。

 ついでに、レーザー通信を開いた。


『……何?』

「ガキだと舐めてたが、健闘の報酬をやらないとな」

『いらない』


 メイのつれない態度。身内以外への態度を取られるのは初めてで、違和感は拭えない。

 だがその程度で、話を止める気にはならない。彼女のために。


「そう言うな。あの男……リントだったか。あいつは生きてるぞ」

『……え?』


 2つ目の嘘を。


「捕虜にした。帝国軍人とはいえ、降伏した日本人を殺すようなことはしない。尋問しても一切口を割らないような強情なやつだけどな」

『……嘘、そんなこと言って……』


 信じたい、けど信じられない。メイのそういった想いは隠しきれず、声に乗せられている。

 そして自己嫌悪に陥りつつも、凛斗は話を続けた。


「信じるかどうかはお前次第だ。ただまあ、俺はお前に逃げられるのはごめんだ。面白くない」

『……戦闘狂』

「どうとでも言え。ただし……」


 他ならぬ、メイのために。


『返してもらう、から。絶対』


 そういった中で聞こえてきた強い決意を感じさせる声。それを聞くことで、もう大丈夫だと安心できた。

 あの6人が上手くやってくれたのだと、察することができた。


「やれるものならやってみろ」


 なので凛斗はワザと挑発的は言葉を返す。

 そしてミカエルが武器を収めるのを見つつ、ルシファーは背を向けて飛び去っていった。

 猛烈な射撃でガブリエルもラファエルを追い払ったサタンとリヴィアタンも、それに追従する。


「伯父貴、離脱完了だ。合流ポイントへ向かう」

『確認した。コクロウ、およびハクゲイも撤収している。別ルートなことに注意しろ』

「ハクゲイって……ああ、コクロウの護衛か」

『そうだ。必要なら最初から言え』

「ごめん。エンジェルシリーズが単独で来るとは思ってなかった」

『想定が甘いな。だがよくやった。ちゃんと帰ってこい』

「了解」


 合流ポイントは事前に指定されている。何も言われないということは、予定通りということだ。

 なので予定通りのルートを飛びつつ、凛斗は僚機への通信を繋いだ。


「剛毅、香織、損害は?」

『サタン本体に損傷無し。けど、ブリューナクは砲型を3基、盾型を1基落とされた。クソ』

『同じく、リヴィアタン本体に損傷なし。左の盾が削れただけね』

「ルシファーは損傷ゼロ、誰も小破にもなってないか」

『アレで損傷ゼロとか……』

『ヤバすぎだろ』

「慣れだ。それより万が一に備えて、周辺警戒は怠るな」

『おう』

『了解』


 この速度に追いつける機体はそう無いが、編隊無視の最高速度なら追いつける機体はエンジェルシリーズ以外にもある。追撃に対する警戒は怠らない。

 そういった連絡をした後は無線封鎖のため、一旦通信を切る。レーザー通信を使えば、別に通信を切る必要は無い。だがこれは……


「はぁ……」


 落ち込むところを見せたくなかったためだ。


「俺は……何をやってるんだろうな……」


 理性と感情の折り合いがついていないどころか、理性と感情それぞれの中で真っ二つに割れたような状態。

 それを頭で分かっているからこそ、彼は苦悩している。


「今まで……嘘はほとんど言ってなかったんだけど……」


 実際、凛斗は隠し事こそ多かったものの、嘘は家族のことだけだった。

 だからこその自己嫌悪だ。


「あとどれだけ嘘をつけばいいんだか……どれだけ傷つければ……」


 大切な2つを天秤にかけられない程度には、彼はまだ幼かった。












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