帰らぬ人
国王視点です
「レノ…?ねぇ、レノってば…」
眠るレノを揺さぶって起こす。
激しく揺すっても、呼びかけてもなかなか目を覚ましてくれない。
いつも暖かいはずの手は何故か冷たい。
「起きてよ…帰ろ?今度一緒に新発売のカップケーキ買いに行こうって言ったじゃん…」
手をギュッと握りしめる。
ぴくっ、と弱々しい力で握り返される。
「レノ…!」
「あ、こく、おー…」
薄っすらと目を開け、ふにゃりと笑う。
すぐに咳き込み、口から血を吐き出すレノ。
ビチャリ、と音を立てて床をまた紅く染める。
「ど、どうすればいい?あ、そうだ!治療魔法で…」
「無駄、だよ…」
レノに治療魔法をかけようと手を当てたがその手を退けられる。
無駄って…どう言う事?
「もう、私持たない。自分、で…自分の、最後分かる、もんっ…もうダメ、なんだって…」
「そんな事ない!そんなこと言わないでよ!」
「ご、めんね…こくおー…」
弱々しい口調で謝るレノ。
そっと私の頬を撫でる。目からは透明な液体が落ちている。
外は騒がしいはずなのに何も聞こえない。
「嫌だ…死んじゃ嫌だよレノ…!」
「最後、の…お願い…聞いて、くれる…?」
「最後だなんて言わないで!!」
耳を塞ごうとする私の手を握って目と目を合わせようとする。
いつも見ていた向日葵のような笑顔を浮かべてはくはくと息をするレノ。
太陽のような瞳の中に私が映る。
「私、を…国に、返して…」
「分かった、すぐ帰ろっか。みんな待ってるから…」
「う、ん…」
安心したようにまたほにゃりと笑う。
笑わなくてもいいのに…何故笑うの?
ねぇ、本当に死んじゃうの?嘘だよね?
国に帰ったら目を覚まして元気よく笑って『嘘でしたー!』って言ってくれるんだよね?
「こくおー…あなたに…出会えて、私は幸せ、だったよ…」
「私も…レノに会えて幸せだったよ…!」
「ふへへ…そっ、か…」
眠るように私の金平糖商人は息を引き取った。
彼女の願いを叶えるべく、私は空へと飛び立った。
不思議と涙は出なかった。
レノ…君はいい子だったよ。
絶対に忘れない。
レノ「それ忘れるフラグじゃない?」
出てくるなよ!!お前死んだやんけ!
レノ「暇じゃん?」
(´・ω・`)




