寂しい
国王視点です
万年筆を置き、伸びをする。
パキパキと身体中から音がしたが、気にしない。
まだ書類は残っている。でも、頑張れば立食パーティーまでには終わりそうだ。
「…はぁ。」
部屋にため息がこだまする。その息は誰にも拾われることなく虚空に消える。
しーん、と静まり返った部屋。
誰もいない。
「…。」
時々無性に誰かに会いたくなる。
胸の奥がギュッとして寂しくなる。
任務で人を殺した帰りとか、一人部屋で書類を片付けたりしてる時とか。
戦争の時は平気なのだ。返り血が温もりになるから。任務とかだとすぐに終わらせないといけないから返り血が浴びられなくて寂しくなる。
いつもなら佳奈のところへ行ってお茶会をするが生憎佳奈は外交先だ。
その代役である甘い物好きのモモも任務でいない。
今城内にいる人はあおとゴットマザーと一般兵だ。
一般兵なんかもってのほか。
ゴットマザーは会議に向けての書類まとめてたし、あおは立食パーティーでの礼儀作法を頭に叩き込んでいた。
二人とも忙しいのだ。甘えられない。
ワガママ言ってくっつきに行ったら迷惑だろう。嫌われるのは嫌だ。
でも…このままモヤモヤした気持ちで書類をやっても進まない。
…どうしよう。寂しいよ…
「国王〜…」
タイミングがいいのか悪いのか…扉の向こうからノックと共にあおの声が聞こえる。
「なーに?」
「ここ教えて下さい…分からないです…」
「ここはね…」
『本で学ぶ!礼儀作法!』とかいう訳わかんないタイトルの本を抱えて入室してくるあお。
真面目にやっててここのページだけなんだ読み返しても分からないとのこと。
フーン!国王直々に教えて差し上げよう。
…寂しい気持ちがなぜか消えない。
今、一人じゃ無いのに。あおと話してるのに…
多分最近お茶会を開いてなかったからだろう。最近忙しくて『寂しい』という感情を殺し続けて蓄積したのが今、爆発しそうになってるんだと思う。
寂しい…寂しいよ…
「んぇ?国王…?」
急に説明を止めたからだろう。不審そうな目で私を見つめる。
きょろっとした青磁色の瞳が私を写す。
「…。」
「ぇ、あ…ちょ、国王?」
気がついたら無意識に抱きついていた。
この胸に巣食った『寂しい』感情を早く消したかったから。
あおは驚きはしたが決して突っぱねようとはしない。むしろ優しく抱きしめ返してくれた。
この間も任務帰りにこうやったからだろう。慣れとは恐ろしいものだ。
しゅわしゅわと胸にあった『寂しい』感情が溶けていく。
誰にも構ってもらえないとこうなってしまうのは本当に勘弁してほしい。
でも、こうやって人に甘えるのは好きだ。
あったかいし、安心する。
「よしよし、頑張りましたね国王…休んでいいですよ〜」
赤子をあやすようにトントンと背中を叩くあお。その優しい手つきに、一定のリズムに身を委ねる。
佳奈とモモとやるお茶会とは違う。また違った『寂しい』感情の対象法を見つけた。
そのまましばらく甘え続けて二人して寝落ちたのは内緒だ。
(レズでは)ないです
ときどきなりません?
めっちゃ人にくっつきたくなるとき…(
私だけか?




