夢…?
「お父さん!お母さん!」
「モモ、おはよう。」
「モモおはよう、今日も元気だね〜」
森の奥にある小さな小屋。その中から元気な声が聞こえる。
淡いピンクの髪をした背の高い耳の生えた女性と、白銀の髪をした普通の男性。
その下に白とピンクが入り混じった髪をした耳の生えた小さな女の子…
幸せそうに笑っていた。
食卓を囲んで、他愛のない話をして笑っていた。
…この世界では人獣と人間は結婚してはならない。
だからひっそりと暮らしているのだ。
男性は街へ下り、仕事へ。
女性は狐に化けて、森へと飛び出していく。
子供は化けた狐の背中に乗り、ケラケラと笑う。
毎日母に狩りを教わって父に色々なことを教わって過ごしていた。
…なのに。
「モモ、モモ!起きて!今すぐ必要なものだけまとめなさい!!」
「貴方急いで!!もう火が回ってきたわ!あぁ、人も来てる…早く!」
夜中、突然起こされて荷物をまとめさせられる。
まだ、小さかった私は何が起きているのかは分からなかった。
後でわかったことだが、私と母が狩りをしていたところを見られたそうだ。
外に飛び出すと、一面の赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤…
いつも青かった森は赤で染まっていた。
「お母さん…お父さん…」
怖くなった私は小さな手で母親の服の裾を握る。
「大丈夫…大丈夫だからね…」
優しく大きな手で私の頭を撫でるお母さん。お父さんは見たことないくらい険しい顔でライフルを構えていた。
「いたぞ!こっちだ!!」
背後から回られたのか、声が上がる。
慌てて駆け出すも人が多すぎて全員では逃げられない。
「お前らは先に行け!俺が食い止める!」
「ダメよ!あなた!」
「お前以外に誰がモモを守るんだ!!」
「ッ…!」
お父さんは足を止め、ライフルを構えて発泡する。
お母さんは狐に化けて私を背中に乗せ、走り出す。
待って…お父さんが…お父さんがまだ!
「ごめんなさい…あなた…ごめんなさい…」
つぶらな黄色いトパーズのような瞳からポロポロと水を出すお母さん。
なんだかとっても悲しそうだ。
なんで…なんで私達は追われているのだろう。何もしてないのに。ひっそりと幸せに暮らしてたのに。
…人間が壊したんだ。
人間が私から幸せを奪ったんだ。
許さない。ほっといてくれればよかったのに。静かに幸せに暮らしてただけなのに…!
発砲音が聞こえる。
きっと後ろから撃たれてるんだ。
お母さんの足や頬、腕に弾丸がかすって白い毛が紅く染まる。
「…お母さん!」
「大丈夫…お母さん強いから…」
その時だった。
一つの弾丸がお母さんの足を貫く。
「うぁ…」
お母さんは痛みに声を上げ、横に倒れる。
その衝撃で私は草むらに投げられる。
「…やっと捕まえた。」
「この外道が…」
「早く殺そうぜ。」
男たちの声が聞こえる。
私は草むらで息を殺して潜む。
怖くて体の震えが止まらない。息が荒い。怖い…怖いよ…お母さん…お父さん…
何発もの銃声が聞こえる。
「よし、帰るか。」
「あー、疲れた。」
「これで平和だな。」
…お母さんが、お母さんが真っ赤に染まってる。
なんで…?
あぁ、アイツらがヤッタノカ…
「ん?なんだこいつ。」
「見ろ、狐耳だ。」
「親子か。殺そうぜ。」
一斉に銃口を向けられる。
「…死んでよ。」
隠し持っていたナイフで三人を殺す。
喉に、腹に、腕に、心臓に、足に、頭に刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して…
ポタリ、ポタリとナイフから赤がしたら落ちる。
三人はすでに原型がなくなっていた。もうただの肉片だ。
「…お母さん」
こんなことしたって蘇らないのはわかってる。でも…
「…お母さん。」
もう一度だけ…もう一度だけあの手で撫でられたかった。あの声で褒めて欲しかった。
名前を呼んで欲しかった。
「…お母さん!」
叫んだって届かない。この想いは一生お母さんには届かないのだ。
「…も、も…」
「お母さん!」
耳をすませないと聞こえないくらいの小さな声。それでも私の耳は逃さなかった。
…呼んでくれた。
「ご、めん…ね。お、かあさ、ん…も、う…無理…」
「お母さん…そんなことない…」
手を握ってお母さんの目を見つめる。
「わかるの。なんと、なく…もう、お父さんのとこ…いか、なくちゃ…」
「やだ…やだよ…」
「ごめ、んね?最後に…一つ、おねが、い…」
ふんわりと優しくて暖かい笑顔を浮かべるお母さん。口の端からは血がつたっている。
「強く…生きて。」
それが最後の言葉だった。
遅くてすいません…
頑張ります。
あ、明日はテスト漬けなのでマジで亀さんです。




