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トラゲール!  作者: hana♪
第5章
103/225

望まれなかった子

「ん…ここは?」


辺りを見渡すが暗くてよく見えない。

突然パッと辺りが明るくなる。

そこには…


「俺…」


幼少期の俺が虚空を見つめながらお山座りをしていた。

どうやら俺のことは見えていないようだ。

目と目があったのになんの反応も示さない。普通なら驚くだろうし。


「あお、ここから逃げない?」


隣の部屋から声が聞こえる。莟姉さんの声が。


「逃げるって…僕達逃げられるの?」

「ええ。算段はある。もう…逃げましょう。私達これ以上暴力を振るわれたら死んじゃう。」

「どうやってここから出るの?」

「私達【化け物】でしょ?」


楽しそうな莟姉さんと不安げな幼い自分。

ああ…そうだ。これのせいで…


「あお!走って!」


自分の前を走る莟姉さん。今までで見たことないくらい切羽詰まった声で叫ぶ。

後ろからは拳銃を発砲しながら追いかけてくるお父さん達…


「待て!殺せ!殺してもいいから捕まえろ!」


お父さんが仲間の人に指示をだす。

殺してもいいって…


「死んでたまるもんですか…!あんたなんかお父さんじゃない!!」

「育ててもらっといて何を言う!」

「育ててもらってなんかない!!あんたなんかに父親を名乗る資格なんてないから!」

「黙れ!お前らが悪いんだ!!普通に生まれて来てくれれば…俺はお前たちを愛した!なのに…双子で生まれるから!」


…そう。この村では双子は危険な存在として言い伝えられている。双子は忌み子として扱われる。村の嫌われものだ。

…誰からも愛されない。


「双子で産まれたっていいじゃない!私だって望んで双子なんじゃない!でも、神様がそうしたから!」

「莟姉さん…」


目に水をためて叫ぶ莟姉さん。


「定められた運命に必死に抗って!二人で生きてくって決めたの!邪魔しないで!!」


目から溢れた水はキラキラと月に照らされ地面に吸い込まれた。


「そうか。俺もお前らのことなんか望んじゃいなかった。普通の子がほしかった。」


逆光でお父さんの顔は見えない。

拳を握りしめてうつむくお父さん。


「だから…」


カチャリ


「止めて!お父さん!!」


莟姉さんが必死に叫ぶ。

銃口の向きは変わらない。


「…死んでくれ。」


乾いた銃声の音。

莟姉さんから出る赤色の華。


「あ、お…逃げ、て…」


弾かれたように僕は、俺はその場から逃げた。


ぐるぐると景色が回る。

場面が代わり、真っ白な部屋に自分が眠っている。


「君は恵まれなかった子だ。だから…」


白衣と男が眠る俺の横に立って呟く。


「僕が【恵まれた子】にしてあげよう。」

ワカサギ釣りなうです。

寒いです…ねむい…

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