望まれなかった子
「ん…ここは?」
辺りを見渡すが暗くてよく見えない。
突然パッと辺りが明るくなる。
そこには…
「俺…」
幼少期の俺が虚空を見つめながらお山座りをしていた。
どうやら俺のことは見えていないようだ。
目と目があったのになんの反応も示さない。普通なら驚くだろうし。
「あお、ここから逃げない?」
隣の部屋から声が聞こえる。莟姉さんの声が。
「逃げるって…僕達逃げられるの?」
「ええ。算段はある。もう…逃げましょう。私達これ以上暴力を振るわれたら死んじゃう。」
「どうやってここから出るの?」
「私達【化け物】でしょ?」
楽しそうな莟姉さんと不安げな幼い自分。
ああ…そうだ。これのせいで…
「あお!走って!」
自分の前を走る莟姉さん。今までで見たことないくらい切羽詰まった声で叫ぶ。
後ろからは拳銃を発砲しながら追いかけてくるお父さん達…
「待て!殺せ!殺してもいいから捕まえろ!」
お父さんが仲間の人に指示をだす。
殺してもいいって…
「死んでたまるもんですか…!あんたなんかお父さんじゃない!!」
「育ててもらっといて何を言う!」
「育ててもらってなんかない!!あんたなんかに父親を名乗る資格なんてないから!」
「黙れ!お前らが悪いんだ!!普通に生まれて来てくれれば…俺はお前たちを愛した!なのに…双子で生まれるから!」
…そう。この村では双子は危険な存在として言い伝えられている。双子は忌み子として扱われる。村の嫌われものだ。
…誰からも愛されない。
「双子で産まれたっていいじゃない!私だって望んで双子なんじゃない!でも、神様がそうしたから!」
「莟姉さん…」
目に水をためて叫ぶ莟姉さん。
「定められた運命に必死に抗って!二人で生きてくって決めたの!邪魔しないで!!」
目から溢れた水はキラキラと月に照らされ地面に吸い込まれた。
「そうか。俺もお前らのことなんか望んじゃいなかった。普通の子がほしかった。」
逆光でお父さんの顔は見えない。
拳を握りしめてうつむくお父さん。
「だから…」
カチャリ
「止めて!お父さん!!」
莟姉さんが必死に叫ぶ。
銃口の向きは変わらない。
「…死んでくれ。」
乾いた銃声の音。
莟姉さんから出る赤色の華。
「あ、お…逃げ、て…」
弾かれたように僕は、俺はその場から逃げた。
ぐるぐると景色が回る。
場面が代わり、真っ白な部屋に自分が眠っている。
「君は恵まれなかった子だ。だから…」
白衣と男が眠る俺の横に立って呟く。
「僕が【恵まれた子】にしてあげよう。」
ワカサギ釣りなうです。
寒いです…ねむい…




