永遠の愛・多恵-百物語三話-1
よし、次はあたしの番ね。
名前はー、うん名前は最後に言うよ。
前の百合子さんだっけ?
白い影のことお話しなかったね。
まあ、いいけど。幸運になる話なら私も知ってるんだ。
今日はその話をしようと思って。
唐突だけどさ、ウチの村ってすっごく皆お金持ちで子供も可愛い子一杯居て頭もいいの。
皆、ある事関して以外は穏やかで優しい人たちだよ。
ある事っていうのはね……、村の大きな神社の巫女に対しては厳しいの。
村から出さないように強い女の監視がついてるし、神事も毎日やらせる。
本人やりたくないんだよ。
もう大学生だから都会に遊びに行きたいし、旅行とかしたい。
都会のカフェでお茶してみたい。
別に村が嫌いなわけじゃないけど、生まれてから一度も村を出た事がないからうんざりしてた。
まあバレルだろうけど、その巫女ってあたし。
巫女ってガラじゃないでしょ?髪短いし染めてるし日焼けしてるし。言葉遣いも悪いし。
言い訳なんだけどね、ずっと村から出ないで毎日神社に10分程度お祈りすれば後は甘やかされまくりだったの。優しいんじゃないんだよ。甘やかし。
うーん、例えばテレビ見て男のアイドルかっこいいとか言うじゃん?
そうするとそれを聞いた監視の女が村長とあたしの親に言うの。
そうすると一週間も経たないうちに連れてこられるのよ。アイドルには「田舎暮らし」の企画とかって話してたみたい。
さっきのカフェの話もシェフが連れてこられるし。
勉強もいつもしなくて良いし。栄養が考えられたおいしいご飯食べ放題。
可愛い女の子やかっこいい男の子が友達として連れてこられるし。
その子達もいつも「巫女様といられるのが嬉しい」ってにこにこしてる。
生まれた時から何も不自由しない生活送ってたの。
でね、何であたしがそうなってるのか色々話を聞いたり本読んだりしたのよ。
そしたらなんとね。
神社の男の蛇の神様と私はずっと昔から恋人なんだって。
そのおかげで村は潤っているし、周りに居る人たちは皆、金銭面でも精神面でも幸せなんだって。
驚いたわ。
全てが分かったのは小学校中学年の時だった。
テレビで見た霊能力者を連れて来てもらって、私を見てもらったね。
「頭が綺麗な男の顔をしていて、それから下は蛇です。あなた様に絡み付いて愛おしそうにあなた様を見ています」
ぶるぶる震えながら教えてくれた。
「あたし蛇と接点無いのに何で好かれてんの?」
それにはおつきの女が答えた。
「代々、神社の巫女は神様の恋人なのです。遥か遠い昔に神である蛇を救った巫女の魂が巫女様に入っているのです」
「あなた様に「我の巫女、永遠に愛している。離さない」と仰っております」
霊能者とおつきの女の言葉にあたしは冷や汗を流した。
その蛇が居る限りあたしは自由になれないし、幸せになれないと思った。




