スーパーの幽霊ー百物語10話(語り部美紀子-2)
次は私の番ですね。
このペースだと終わるんですかね。
ま、百花は夫がちゃあんと見ててくれるから大丈夫ですけれど。
そう、で、お話ですね。
次はこの話をしようと思っていたんです。
幽霊の話。百物語の会に合ってるでしょう?
で、私が幽霊を見る所ってどこだと思います?
クイズです。司会者の花子さん。答えてください。
お墓やトンネル?
違いますね。
もっと死体が、それも新鮮な死んでいる物が並んでいる所。
そう、いつもお肉やお魚やお野菜をお買い物するところ。
スーパーです。
え? なんですか? その呆気にとられたような顔は。
豚や鶏や牛、魚や野菜は皆死んでますよね?
え、野菜は死んでいない?
死んでいますよ。でも確かに野菜は不思議ですね。
死んでいるのか生きているのか。
ま、でも料理して人間の体内に入ったら死んでますね。
それはともかく、スーパーの話です。
スーパーに行くとね。
幽霊がひしめき合っているんです。
豚や牛や鶏や羊の幽霊が歩き回っているし、魚は泳いでいる。
ちょっとした動物園ですね。
野菜の幽霊もそこかしこに揺れてますね。
風もないのに、ひらひらひらひらって。
植物と魚が動いているさまは綺麗ですから、他の方も見えたら良いのになぁ、とは思います。
ウチの娘の百花もちょっと見えるのですが、
「お魚さん可愛いね」
って言ってましたよ。
面白いのが、肉や魚や野菜を買って帰って、家で調理して食べるでしょう?
そうすると、体に幽霊も一緒に吸収されるんです。
体内で、一緒になっているのが分かるんですよ。
え、それからどうなるのって?
知りません。
一般の主婦の私には分かるわけないです。
どうなるのでしょうね。
まあ、推測ですが、今まで吸収されたものは私が死んだときに、一緒に上か下かへ行くんじゃないでしょうか。つまり、天国か地獄か。あちらかこちらか。
私はあなたであなたは私みたいな。
いや、推測ですけどね。
スーパーの幽霊は全然怖くないですね。
まあ、でなければ毎日通えませんけれど。ふふっ。
百花の手を繋いで毎日スーパーでお買い物。
とっても楽しいです。
日常の幸せを大事にしたいですね。




