レンタルショップー百物語8話(語り部多恵-2)
ペースを上げないと百物語終わらない………。
あはは。皆の話って面白いね。
皆の話が本当なら結構重犯罪者な人いないー?
あはは。あ、うそうそ。怖い顔しないでよ。
オハナシだよね。オハナシ。
あたしも犯罪者だし、村出てくる時にお付きの人ぶち殺しちゃってるしね。
でも、捕まらないんだな。
怖い話だよね。
それはそうと、怖い話と言えば幽霊だよね。
ま、人が怖い話も良いけど。
ちょっと幽霊成分増やしたいというか。
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あたし、色んなバイト面白おかしくやってるんだけどさ、そのバイトの1つの話だよ。
あるレンタルショップ。 DVDとかCDとか最近では漫画とかもあるね。
レンタルショップのバイトって思ったよりも楽だよ。もっとハードなのかと思ったら、返却されたやつを棚に戻したり期限過ぎた件を電話したりする感じだね。
まあ、別にそれだけじゃないけどさ。
それで、ウチの店舗って二階があるんだよね。
結構古い店舗で大きい螺旋階段が店内にあって、それを登った先が二階。
で、二階がDVDコーナー。
暇な時にさ、二階も異常がないか監視カメラで確認してるんだけど。
大人向けのDVDコーナーにいつも男がいっぱい映るんだよね。
いっぱい。
結構はっきりくっきり映ってんの。
あはは。
男が寿司みたいにそのコーナーにひしめき合ってるんだよね。
え? 怖いわねって?
百合子さんだっけ。
いや、まあそれも怖いんだけどさ。
あたし、慌ててそのコーナーに走って行ったんだけどさ。
いないんだよ。
あんだけ映ってたのに。
1人もいない。
ちょっと頭冷やして考えてみれば、平日昼間のレンタルショップに男がそんなにいるはずないし、あたしも気づかなかった。
そんなに来店あったら気づくはずだしね。
「どした?」
そこで先輩の女の人が声をかけてくれた。
名前はヨーコさんだったかな。
「あ、ヨーコさん。監視カメラ………」
「あーはいはい。走ってかないで言えば良いのに。それね、無視して良いから」
ヨーコさんはあたしの言葉を聞き終える前にニコニコして話を遮った。
「え、でもいっぱい」
「そう、マジいっぱいいるよね。よく見てみて。なんかありえない感じで天井の方からも詰めているから」
「は、え?」
ヨーコさんが監視カメラの上の方を指す。
気持ち悪かったけど、よく見たら天井からも男の体が飛び出していた。
皆、一心不乱に大人向けのDVDを見ている。
「なんなんですかね、これ?」
画面いっぱいの男の寿司詰め映像に、思わずヨーコさんに聞いてた。
「え、幽霊なんじゃないかな。よくわかんないけど」
「えー………」
あたしは何だかよく分からないまま映像を見ていると、すし詰めの男の1人が気づいたようにカメラ方向を見た。
中年のデブ男で、脂ぎった顔の質感がリアルっぽくて嫌だった。
「あ、気づいた。たまに居るのよね。今日の夜ウチらどっちかの家に来て眺められるかもよ」
「え、眺めるって」
「大丈夫大丈夫害はないから。ただ見てくるだけ」
カメラの中の男はジッとこちらを見て………。
パンッ、て店内に何かが破裂した音が響いた。
画面の中のこちらを見ていた男がキラキラ光って消えていく。
そしてその空いた隙間に別の脂ぎった男が割り込んでDVDを真剣に見始めた。
呆然とするあたしに声が聞こえる。
「多恵、愛してる」
男の声。
多分、村からついて来ている蛇の神様なんだろう。
ヨーコさんはその声は聞こえなかったようで、さっきの破裂音にびっくりしていたけれど。
「消えるなんて初めて見たー。良かったねー。害はないけど気持ち悪いしね」
そう言ってニコニコしていた。
「そうですね」
あたしも笑って頷いた。
「ねえねえ、その大人向けのコーナーの監視カメラ消しちゃおう。気持ち悪いしさ」
「はーい」
平日昼間に監視するような事もないよね。
スイッチを切る。
「ねえねえ、多恵ちゃん。それよりも私と最近できたパンケーキ屋行かない? 本格ハワイアンパンケーキらしいよ」
「行きまーす! ありがとうございます!」
その日は彼氏と会う予定も無かったし、あたしはまた笑って頷いた。
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どう?
幽霊出てきたでしょ、あたしの話。
怖いよー、実際見ると。
ふと気づくと監視カメラに脂ぎった中年のオヤジが天井からも地面からすし詰めなんだよ。
満員電車みたいにさ。
あ、スマホで撮れたからさ。
見る?
気をつけてね。
写真なんだけど、こっちを見られると夜にジッと見に来るらしいから。
脂ぎったオヤジキモいしね。
ヨーコさんの話では死んでもそういうDVD見たいんじゃない?って。
あ、だから男がこっちを見られてもオヤジは現れないらしいよ。
本当、キモイよね。
あはは。
あたしの話はこれで終わりだよ。
次は誰かなー。
しばらくこの順番で固定なのかなー?




