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百物語・炎  作者: ひとみんみん


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針供養ー百物語7話(語り部百合子-2)

また、私の番ね。

7話目、百合子がお話します。

うふふ。

司会者さん、大変ね。

これ、クリームイチゴ大福差し入れです。

良かったら食べて下さいね。



そうそう、お話ね。

そう、皆さん針供養って知ってるかしら?

柔らかい豆腐とかにお役目を終えた針を刺すの。

錆びた針、折れた針、汚れのとれない針。

柔らかい物に刺して休んで頂くという事かしら。

12/8もしくは2/8に神社でやっているそうよ。


1つ刺しては針供養。

2つ刺しては針供養。

3つ刺しては針供養。


あら、ごめんなさい。

この前話したデザイナーの友達が歌っていたの。

その友達のお話よ。



+++デザイナーの友達の話+++


私はね、彼氏がデザインを盗んだのも、親友と寝たのも、私に暴力を振るったのも特に問題なかったの。

また新しいデザインを考えれば良いし、親友も残念だけどそんなに欲しいならあげるし。

暴力は………まあ、許せなくもない。


ただね、私の針や糸や布を無断でぐちゃぐちゃにして捨てたのが許せなかった。

私の使った道具はちゃんとお礼を言って供養してからサヨナラするんだから。


だからね、元彼氏に責任をとって貰ったの。

ちょうど2/8だったし。

関東の人はその日付みたいだしね。


ははっ、何も言えないようにガムテープでぐるぐる巻きにしてやったら、目だけギョロギョロ動かしてたっけ。


え? どうやっておびき出したのかって?

嫌だな、百合子ちゃん。

そんな物以下の男なんて、


「私が悪かったの。もう一回やり直したい」


とでも言って体をチラつかせればホイホイとついて………あれ、何で付き合ってたんだろ。


まあ、いいや。


それでギョロギョロ動かしてる目に、残った錆びた針を刺して供養したの。

柔らかいでしょ?

目って。

針がよく刺さったわ。


ガムテープでぐるぐるの口からものすごい叫び声がしたわ。


自分が暴力振るわれるのに、人に振るわれるのはダメなのかねー。

私は暴力許せなくもないのに。

所詮、人間は服を着せる人形だから。


おばあちゃんから貰った大事な針は別の所にしまっておいたから、彼氏には捨てられなかったの。

どんどん体の柔らかい所に刺していった。


1つ刺しては針供養。

2つ刺しては針供養。

3つ刺しては針供養。


私が服を作る為に役立ってくれた針。

大事な針はしまっておいたから何十本もあった。


目とかお腹とかアソコとかどんどん刺してお祈りした。

ありがとう。


時々、針供養の為の体が動くのが気になったから。

ちょうどこれもお別れしようと思ってたハサミで手と足を固定したわ。


え、何でトドメをさしてからやらなかったのかって?

百合子ちゃん、だって人間って死んだら固くなるじゃない。

固くなったら針供養じゃないでしょ?


だから死なないように気をつけたわ。


それでね、いっぱい針とハサミを刺してお祈りした後、重たいけど運んだの。


まだ弱く呻き声がしてるのがうるさかったなぁ。


近くの山に運んでねー。

川にお祈りした後流した。

体も水吸って柔らかくなるかなぁ?

どう思う、百合子ちゃん?


++++++


そうね。

うふふ。

柔らかくなってるわね、きっと。


この話はね、この前に事件の事を犯人が百合子ちゃんには話すって言ってるって呼ばれたの。


私もあの子の親友だから。

なんでもあの子の作る服を着こなせるからって。

元彼氏も男物を作った時、着こなせるからって基準で選んだらしいわ。


それでね、元彼氏の遺体は出てこないらしいわ。

大量の針とハサミも出てこないみたい。


お空に還ったのかしらね。

針とハサミの針休めとして。


刺すところがないとね。

あっ、そうそう。

そのイチゴクリーム大福は大丈夫よ。

安心して、刺さってないから。






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