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第17話 Never Ending Story



 場面は飛ぶ。二ヶ月後へ。





 ここは戦場だ。今、俺は武器を持ち戦っている。今では薬草を採りに山に行ったのもいい思い出だ。

 

「くそっ……まだこんなに……」

 

 敵の数は多い。敵の種類を仮にAとBとしよう。先ほどAを5、Bを3程倒したが、すぐにまた増えるのだ。ほら、また増えた。この戦いはいくつもの作業を同時に行うことによって、今は何とか捌けている。たった一つのミスで命取りだ。だが、諦める訳にはいかない。そうだ!「諦めたらそこで試合終了だ」と偉人も言っていたではないか!今まで培った経験を生かせ!

 さらに作業効率を上げる。まだいけるはずだ!俺は何かにとり憑かれたように動き続ける。この攻撃を防ぎきれば勝機はある。だが、俺も限界が近い。もう、駄目なのか?

 

「何!?ここでまた、敵の増援……だと!」


 これでは……もう……












「A定食まだかー?追加で、A定食6、B定食5だ」

「うわーーーーーーっと。A定あがり!かしこまりっす!てか、ヘルプお願いしまーす!死人が出ます。主に俺を中心的に」


 そうです。俺は今、厨房という名の戦場にいます。そして、お客様という名の腹ペコモンスター達を武器フライパンを片手に、食材を料理という素敵アイテムへ錬成して討伐中だ。


 後、残り何品か作る間に現実逃h……回想をしておこうか。うん、大丈夫!思考とは別に勝手に体が動いて作業してくれるさ!

 

 それより皆も気になるだろ?あの後、俺がどうなって今に至るのかを。










 さぁて、お待ちかねの二か月前だよっと。


 あの後、俺達は無事に街までたどり着いた。マスターさんを殴れなかったことだけが心残りだ。それで西門にいたユリウスはマスターさんを見た瞬間、膝を折り王に傅く騎士の様な恰好をとった。


「ユリウス、何してんの?」

「馬鹿!この方は――」

「いい。普通にしろ」


 マスターさんはユリウスが何かを言おうとしたのを遮り言う。


「で、ですが――」

「二度は言わん」

「はっ!失礼しました!」


 マスターさんの言葉に従い、ユリウスは敬礼をして直立不動になった。


「なんですか?マスターさん?ユリウスいじめですか?なにか弱みでも握ってるんですか?」

「違う。まぁ、こいつは……ちょっとオーバーなんだよ」

「はぁ、そうなんですか?」


 なんか込み入った事情でもあるのだろうか?まぁ、今はそんなことより俺は一刻も早く帰って、おやっさんの手伝いをしなければならない。そして、アテナちゃん――我が女神のご尊顔を拝謁しなければならない。


「あっ、マスターさんが山で盗賊団を壊滅させたから、後片付け頑張って!じゃあ、ユリウスまたな」

「お、おう」

「マスターさん早く帰りましょう?俺の命がかかってます」

「あ、ああ」


 そして、全力で宿に戻るとアテナちゃんが笑顔で迎えてくれた。


「おかえりー。リョーおにいちゃん」

「うん、ただいま。君が待っていてくれるなら地獄からでも生還してみせるよ」


 俺はきっと気持ちの悪いぐらい笑顔だっただろう。幸せだ。俺は今この異世界の中で一番幸せだろう。この時間が永遠に続けばいいのに。そう俺は目の前の女神に願うのだ。

 しかし、幸せとはそう続くものではなく、アテナちゃん(女神)の後ろにはおやっさん(魔王様)が立っていた。


「ほう?では、一度地獄に行っても構わんのだな?」

「OH……辞世の句を読む時間をください」


 この後、俺はおやっさんとO・HA・NA・SHIをしました。










 とまぁ、こんな感じなことがあった訳ですよ。


「B定あがりでーす」


 そんで、今?何してるかって?勿論バイトですよ。バイト戦士ですからね。ええ。

 まぁ、料理しか作ってないように見えるけど修業中ですよ。正直こっちの世界の料理にも興味あったし、今は料理のだけどね。

 でも、お昼のピーク終わったら、休憩時間使ってマスターさんから戦う術を教えてもらっているんですよ。あっ、モチロン魔法もね。俺の変わり様に皆もビックリするかもよ?その他の空き時間にはアテナちゃんと色々と勉強もしています。これが、俺の生きがいですよ。ええ。


 ああ、そうそう。アルテミスちゃんはね、今元気に接客しています。彼女は「行くところがない」って言って、住み込みで働いていますよ。その言葉が本当なのかは別としてマスターさんにベタ惚れですよ。あの子は俺の攻略可能キャラじゃなかったらしいね。これだから、現実は厳しいぜ。

 てかさ、ヤバいよね。マスターさんと何歳差なんだろうね?年の差を考えてほしいもんだよ……全く。え?俺とアテナちゃん?24、5ぐらいだから問題ないでしょ?うん。


 え?猫耳のおっさんはどうしたって?聞きたいの?あの人は旅立ったよ。どうしてもマスターさんにお礼がしたいと言って聞かなかったから、マスターさんがこう言ったんだよ。


「神の御石の鉢、蓬莱の玉の枝、火鼠の皮衣、ドラゴンの首の珠、燕の産んだ子安貝を見つけたら持ってきてくれ」


 鬼畜仕様ですよ。竹取物語でも一人一つだったのに……

 まぁ、マスターさんが「冗談だ」と言う前に探しに行ったから、もうおっさんには会うことはないかもしれないね。





 それにしても、まさか異世界でこんなことがあるなんてね。


 まぁなんだ、俺は冒険するには早過ぎたんだね。今回はマスターさんが助けてくれたから良かったけどさ。今のままじゃ本当に何もできないまま死にそうだしね。というか、もう主人公が俺じゃなくてマスターさんだしね。

 てか、おやっさんもだけど、ほんとあの人たち超強いのになんで酒場なんか経営してるんだろうね。この謎は是非機会があったらツッコんでみようかな。

 でも聞いたら、また「こいつ何言ってんの?」って顔されるんだろうな……




 とまぁ、こうして、俺の冒険してない物語は一旦終了だ。


 え?打ち切り?違う違う!まだあるよ。


 また会おうよ。また会うよね?


 まだまだ、話したいこともあるからね。


 次こそはちゃんとした冒険の話もしたいね。


 じゃあ、次会う時には少しでもカッコいい所見せられるように。








 またね。皆に幸多からんことを。





あと一話幕間を挟んで、序章は終了です。

感想やら、評価していただけると物語の参考になるので嬉しいです。


大丈夫です。次章からはきっと涼君も活躍してくれるでしょう。

どの方面かは置いといて……ですがね!



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