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ゴッドブレス・ミー  作者: tonton
第二章 学園編
47/50

第46話 人はそれを残念系と呼ぶ

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

 葉の隙間から射し込む、この季節()特有の柔らかい光が歩を進める俺を優しく撫でていく。

 暑すぎず、寒くもない今の時期が俺は一番好きだ。


 放課後、俺は聖なる森を歩いていた。オオイさんが言っていた精神修行を受けるためだ。

 何故か教室を出る前にテッドとユキカゼが必死に俺を引き留めようとしていたが、用事があると伝え、それを振り切って来た。

 めちゃめちゃ真面目な顔だったけど結局何だったのか。

 明日にでも聞いてみよう。



「それにしても…懐かしいな。この森に入るのも久しぶりだ。」



 スタスタと迷わずに森の中を進んでいく俺。

 森のどこで修行するのかという俺の質問に対してオオイさんからは『適当に進めば大丈夫』とのお言葉を授かっている。

 おそらく何か細工をして目的地に着けるようにしているんだろう。この森はオオイさんの領域だしな。

 特段不安を感じる事も無く、俺は奥へ奥へと進んでいった。





~~~~~


『私の名前はイズミ。オオイから話だけは聞いていると思う。今日は宜しく頼むぞ。』

「…」

『君と会うのも久しぶりだ。とは言え君は私と会うのは初めてなのだったな。』

「…」

『む、どうした?鳩が戦術級攻撃魔法を食らったような顔をして。』

「それ死んでます。」



 予想はしていた。

 神様であるオオイさんの知り合いならおそらくあの人…というかあの神様…イズミ様だろうというのは。

 初対面ではあるが俺に加護を与えてくれたもう一柱の神様だ。

 そう、予想はしてたんだ。

 ただ…この対面、オオイさんの時と同じだ。



「これはオオイさんにも以前言った事なんですが…何故…何故、そのお姿なんですかね。」



 オオイさんが姿を現した時の最初の依り代は美少女フィギュアだった。

 耳で聞けば可愛らしい品だが、夜の一人きりの部屋で男の声で語りかけてくるそれは凄まじい恐怖だった。

 そして…イズミ様のこれは、視覚効果はそれ以上だ。

 イズミさんの依り代は、剣だった。

 だがーーー見た目が酷い。


 少し開けた草地に突き刺さるそれからはひんやりとした冷気が流れてくる。

 剣の全長は俺の身長の倍以上あるだろう。厚さも俺の腕くらいある。攻撃的な曲線が印象的な鍔の無い片刃の魔剣だ。装飾らしい物は柄に彫られた何かの植物を模した金細工くらいだ。

 黒い刀身も単純な()というものではない事が一目で分かる。見ているだけで引き込まれ、魂ごと飲み込まれてしまいそうな闇色。

 そして、何より、なんか、こう、おどろおどろしいオーラがその刃体から噴き出している。

 剣自体を舐めるように紫色の煙っぽいものがゆっくりと空に向かって立ち上っている。

 断言できる、あれは絶対身体に悪い。

 何故分かるかって?

 だって突き刺さってる部分の草が少しずつ枯れてるんだもん。

 俺の加護って邪神の加護だったっけ?



「ウソみたいだろ。善神なんだぜ、これで。」

『何を言っている?』



 おっと、話が脱線した。見た目はともかくお世話になる神様だ。

 きちんと挨拶せねば。



「オオイさんからの紹介で伺いました。アシュレー・シーグラムと申します。これから暫くの間、よろしくお願いします。」

『うむ、礼儀正しいな。私のこの格好についてだが、コイツは私の愛剣でな。ただの自慢だ。』

「そ、そうですか。」



 オオイさんと違って喋り方がキリッとしてるなぁ。普通に神様っぽい。最後の一言は余計だけど。



「それでイズミ様。修行の内容ですがどういったものなんでしょうか。オオイさんは教えてくれなくて。」

『む…』

「…?」



 カチャっと刀身を鳴らしてから、イズミ様が黙ってしまった。

 何だ?何か失礼をしてしまったか?



『アシュレーよ。君はゼンの事を”さん”付けで呼んでいるのか。』



 ゼン?…ああ、確かオオイさんの人間時代の名前はゼン・オオイだったな。



「はい。堅苦しいのは嫌いだからと言われまして。」

『そうか…』



 も、もしかして失礼な奴だと思われちゃった?

 目上の者に敬語を使わないとは!とか?

 だけど不機嫌な感じはしない。何か言いにくそうソワソワしている…んだと思う。

 恐ろしい魔剣がひとりでにガチャガチャ動いているというゾッとする光景だが。



『あ~、あれだ。アシュレーがどうしてもと、ど~してもと言うのならば、私の事もイズミさんで構わんぞ。』

「いえ、イズミ様で大丈夫です。」

『そうか?』

「はい。」

『そうか…』

「…?」



 何だろう…心なしか刀身がへたっとした。落ち込んでる?



『…くすんっ』

「…」



 そして泣いた。

 もしかして…そう呼ばれたい、のか?



「やっぱりイズミさんって呼ばせてもらっても良いですか?」

『!そうか!仕方ない。そこまてどうしてもと頼み込むなら許さん訳にはいかんな~』



 うん、そこまで頼んでないけどね。

 イズミさん、言葉遣いは仰々しいけど、言葉のはしはしに子供っぽさが見え隠れしている。

 オオイさんは普段ボケてるけど決めるところはキッチリ決めるお兄ちゃん。

 イズミさんは普段しっかりしてるけどいざというときテンパるお姉ちゃん。

 昔は二人一緒に戦ってたっていうし、このデコボコ具合がピッタリハマってたんだろう。クセがあるけど…やっぱりどっちも優しい神様だ。

 自然と笑みが浮かんでしまう。



「ふふっ。」

『ん?どうした?』

「えっと。何だかお姉ちゃんができたみたいで嬉しいなって。」

『ぐっはぁっ!?』

「えっ、何!?」



 突然イズミさん…魔剣が倒れた。

 直後、刀身から大量の障気が噴き出す。

 きゃー!なんか出てるー!

 凄い勢いで草地が枯れてるー!

 空飛んでた鳥が堕ちてきてるー!



「イズミさん!?ど、どうしたんですか!」

『ぐふっ…ぐふふふふっ…』



 何か笑ってるー!



美少年「お姉ちゃん?」

残念系「ぐはっ!」

こうかはばつぐんだ!

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