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ゴッドブレス・ミー  作者: tonton
第二章 学園編
46/50

第45話 誤解を生む修行 後編

「これより…第1回!狼の昼寝亭緊急家族会議を開催するぞーーー!!!」

「だぁーーー!!!」

「わうーーー!!!」

「みんなキャラ壊れてる。」



 アシュレーが登校してから数分後、食堂ではペルク一家が集合していた。

 朝食を食べながら遠巻きにそれを眺める宿泊客達。

 あまりのテンションの激しさに皆まるで見世物の様に眺めている。

 冷静なのは一番幼いレナだけだ。



「レナ!アッシュがグレちまったんだぞ!?何でそんなに落ち着いてられるんだ!?」

「そうよぉ!不良のあっくんなんて…あっくんなんて……それはそれでありね。」

「なんでやねん。」

「夫婦漫才はいいから。」



 叩き起こされたレナは煎豆茶のブラックを手に寝起きの頭で考える。

 子供のくせにどういう味覚してるんだという周囲の視線を受け流しながらレナが疑問に思ったのは1点だけだった。

 あのアッシュに限って私達を悲しませる事をするだろうか?という事だ。

 あれ程周囲の人間を思いやる人がたった2、3日で豹変するだろうか?あり得ない。


 ならばーーー目の前で騒いでいる家族の勘違いの可能性が非常に高い。

 レナは煎豆茶を一気に煽るとアシュレーがグレたと判断した経緯を両親に問いただした。

 そしてそれを聞いてーーー断言した。



「勘違いね。」

「何言ってるのよぉ!深夜徘徊よぉ?夜の校舎窓ガラス壊して回っちゃうのよぉ!」

「わうぅ!アシュレー君が暗黒メンに堕ちちゃう!」

「それにあの態度!きっと学校で悪い友達が出来たに違いねぇ!」

「そうよぉ!きっと赤い頭の自分の事を”オイラ”とか呼ぶ不良がいるのよぉ!」

「何でそんなに具体的なの?」



 懸命に宥めすかすレナを置いてきぼりして暴走は続く。生産性皆無の会話はアインの登校時間ギリギリまで続いた。





~~~~~


 アシュレーがオオイから受けた指示は2つ。

 まず、1週間感情を顔や声などで表に出さない自己鍛錬。

 そしてこちらも1週間の、放課後から夜の間の聖なる森での()()()()()との短期集中訓練。

 前者の自己鍛錬について、効果あるのか?と思うアシュレーだったが”感情のコントロール”という点では間違いなく重要なものだろう。

 後者は一体どんな訓練なのか、とある人物とは誰なのかと気になる点が多いものの、オオイは『お楽しみ』と答えるだけだった。


 とりあえず放課後の訓練は置いておいて。

 まずは言われた通りの自己鍛錬を実行しているアシュレーだったのだがーーー



「みんな。集まってもらった用件は分かってるな。」

「…ああ。」

「分かってるわよ…」



 とある空き教室に集まる3つの影があった。

 アシュレーの友人3人、C組のテッドとユキカゼ、B組のヴォルクだった。

 朝からのアシュレーの状態について相談するために急遽行われた話し合いだった。

 事情を知らない友人達からすれば、アシュレーの変化は不気味意外の何物でもなかった。

 異常に気付いた教室の数人もチラチラとアシュレーを見ていた。

 他から見ればアシュレーは

 貴族と決闘

 ↓

 大怪我・入院

 ↓

 退院後、極度に落ち込んだ状態

 ↓

 感情が消えた人形化

という状態だ。

 感情の抜け落ちた能面顔と抑揚の無い平坦な声。体育の授業、ダンスの練習でペアになった女子がその不気味さに涙目になっていた。

 普段のアシュレーなら適切なフォローをする場面だったが、感情の籠らないフォローの言葉で更に耐えきれなくなった女子は走って逃げていた。

 今はまだ、顔が見えにくいメガネのお陰で違和感を感じている人も少数であるが、その内周囲に知れ渡ってしまうだろう。

 早急に原因を突き止める必要があった。



「学園で変わった事は無い。それは常に一緒に行動している俺達が一番良く分かってる。だとすると…」

「学校以外でってことね…」

「つまり…家って事か!」



 家の人間(ベルク一家)は学園だと思っているのでお互いに疑い合う状態になっているのだが、それを知る由もない。3人が推論を組み上げていく。

 そして…



「時期的に考えて、決闘で何か不都合が起きたのかもしれない。」

「不都合って何だよ?」

「そこまでは分からんが…多分、そのせいで下宿先で心を塞いでしまう事態に陥ったのだろう。」

「たしか、宿屋に下宿してるのよね?」

「ああ、”狼の昼寝亭”な。オイラの家の近くにあるよ。ベルクさんって獣人の人がやってる。」

「そのベルクって人、どんな人なのよ。」



 ここで適切な、きちんとした回答が行われていれば結論は違っていただろう。

 だが、その質問に対する答えはあまりにも、はしょり過ぎていた。



「そうだな…超怖いな(見た目が)。」

「怖いの?」

「前に近所の子供を泣かせてた(見た目で)。」

「子供を泣かせるって…!もしかしたらアッシュ…」

「ああ。そのベルクという男から何らかの危害を加えられているのかもしれんな。そんな男だったら悪徳貴族と繋がっていても不思議じゃない。」

「許せない!きっと貴族に逆らったアッシュを疎ましく感じてイジワルしてるんだよ!」

「そ、そうだったのかー!」



 約1名のおバカ(テッド)によって結論が斜め上方向に出てしまっていた。



バカだったのかー!

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