第44話 誤解を生む修行 前編
パロディ回です。
暇つぶしで見て下さい。
『…修行だ、シ〇ジ。』
「アッシュです。」
衝撃の帰還からおよそ一時間。泣きながらオオイさんをモフり続けている最中、オオイさんからそんな提案があった。
持ってきた金密柑の箱を逆さにして机の様にし、その上で前足を合わせながらオオイさんからドヤ顔で告げられたこのセリフ。これも何かネタ元があるんだろうな…誰なんだシン〇。
「修行と言いますと?」
『今回は僕も何とか2、3日の離脱で済んだ。だけど、またこんな事があったらおそらく年単位で戻って来れない。アッシュには怒りを抑える、精神を鍛える修行をしてもらう。』
「精神…」
確かにそうだ。ブリッツの凶行を見た時の俺は感情が高ぶり過ぎて暴走してしまった。
特に以前から、怒りの感情については俺自身思う所があった。まるで俺と分離しているかのような独立した感覚。怒りという感情が降り積もって一気に吹き出す感覚。
それまでのアイツに対するイライラが蓄積していたのも大きな一因なのだろうが、これは大きな問題だろう。オオイさんの提案する修行はこれから生きていく上で必要なものだ。
ましてや俺は一般人とはケタ違いの力を持っている。そんな俺が暴走してしまえば被害はシャレにならない。オオイさんが止めてくれていなければ…想像しただけでゾッとする。
「お願いします…俺を鍛えて下さい。」
『結構しんどいかもしれないよ?』
「どんと来いです!」
『よし、良い返事だ!それじゃあ…』
こうしてオオイさん監修のもと、俺の修行が始まった。
だがこの時、俺は気付いていなかった。
この修行が、周囲に盛大な誤解を生むと事になると。
~~~~~
翌朝の狼の昼寝亭。
カウンターの中ではベルクとアイシアが宿泊客と子供達のために朝食を作っていた。
窓から射し込む柔らかな朝の光にまな板を叩く音。燻製肉が焼ける香ばしい匂いが朝食を待つ者達の空腹に拍車をかける。そんな平和な光景だったが、カウンターの中の2人は悩んでいた。
「なあ、アイシア。」
「なぁに、パパ?」
「アッシュの悩み、俺達で解決出来ねぇかな?」
「そうねぇ…」
アシュレーの悩みは既に解決しているのだが、この2人は、というかこの街でそれを知っている者は誰もいない。オオイの静かの海の効果により豆太郎が居なくなっていた事実も誰も変に思っていないのだ。
2人の相談は続く。
「役に立てるかどうかは分からないけど…一度きちんと話し合ってみましょうかぁ。」
「そうだな。っと、降りてきたみたいだ。」
話を切り上げた2人の耳に聞こえてきたのは階段を降りる軽快な足音。
早足気味の子供特有の軽い音は、アシュレーのものに間違いなかった。彼を足音1つで分かるようになった。そんな事実もアシュレーが2人にとって大切な存在になったのだと再認識させた。
…だが、階段から降りてきたアシュレーは、普段のアシュレーとは違っていた。
「おはようございます。」
「おう、アッシュおはよ…う?」
「あ、あっくん?」
「どうかしました?あ、今日はちょっと早く出たいので朝ごはん、貰えますか?」
「あ、ああ…」
顔に感情が無い。完全な無表情。
一見して冷たい印象を持たれる涼やかな外見をしてはいるが、その表情はいつも柔らかく、優しい雰囲気があった。
それが無い。まるで人形を見ているようだった。
「今日も美味しそうだ。頂きます。」
声にも感情が乗っていない。抑揚も感じられないフラットな言葉だった。
呆然とするベルク夫妻を尻目に淡々と口に食事を運んでいくアシュレー。
「あ、あっくん、本当にどうしちゃったの…?」
「何がですか?あ、あと…今日からしばらくは早めに出ます。帰りも遅くなると思いますので夕食は先に食べてて下さい。俺は適当に屋台で食べるんで。」
「え、それって…」
「お、おい、アッシュ…」
「…それじゃ行ってきます。」
「「…」」
朝食を終えるとアシュレーはそのまま早足で学園へ行ってしまった。不測の事態にただそれを見送る2人。
そして、勘違いが始まる。
想い悩む青少年。(10歳は若過ぎ)解決出来ない苛立ち。(実は解決済み)両親との死別。(勘違い)冷たい親族。(関係良好)反抗的な冷めた表情。(訓練の一環)極めつけの深夜徘徊。(修行の予定)
「そんな…そんな…」
「なんてこった…」
「あ、あっくんが…」
「アッシュが…」
「わふぅ~~おはよ」
「「グレたーーーー!!!」」
「わうぅ!?」
寝起きのアインをビビらせながら、ベルク夫妻がシャウトした。
勘違いしたっていいじゃない
だって新米夫婦だもの
み〇を




