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ゴッドブレス・ミー  作者: tonton
第二章 学園編
33/50

第32話 平和を守るメガネ

豆太郎の声はポン〇レのCMのうさぎ、ピョンパ〇を脳内再生すると作者の理想になります。

あの光るスキルが始めて役に(?)立ちます。

 明晰夢。夢の中で自分が経験している事が夢であると認識する夢の事だ。


 フォレストサイトのとある宿屋。

 アシュレーがイザベラ学園に入学する1週間前、そんな明晰夢を見た人物がいた。

 それと呼ぶには些か、いや、かなり風変わりであったが。





~~~~~


 不思議な夢だった。

 私が見る夢はいつもは食べ物の夢ばかりだったけど、その夢は初めから変わっていた。

 宿の裏庭で飼われている子犬、豆太郎。

 アシュレー君が連れてきて、うちの裏庭で飼われている。今では私達家族の一員だ。

 その夢はそんな豆太郎と私が会話をするという夢だった。

 光に照らされたムックリとしたちっこい体躯から舌足らずなカワイイ声が発せられる。



「お姉ちゃん、僕の話をヨク聞くです!」

「わう!?マメタローが喋ってる!?」



 眩い光を背負いながら子犬が話しかけてきた。

 光ってるだけで何か神々しい感じがするから不思議だ。



「これは夢なのです!そう言えってオオイ様が言ってたです!」

「夢…そうなんだ。で、オオイサマって?」

「な、何でもないです!それよりお姉ちゃんに質問です!お姉ちゃんはご主人が好きですか?」

「ご主人?」

「そうです!僕のご主人、アシュレー様です!」

「わうっ!?」



 唐突な質問に顔だけじゃなく、耳や首まで熱くなるのを感じた。

 アシュレー君はとっても優しい。

 私が倒れた時には家まで運んでくれた。

 後々になって気付いたけど、お腹を空かしていた時は食べ物を私の負担にならないように食べさせてくれた。

 お母さんが帰ってこなかった時は朝まで一緒にいてくれた。

 レナちゃんが病気で危なくなった時はお父さんの形見を犠牲にしてまで助けてくれた。

 好きにならない方がおかしい。

 豆太郎の質問の答えはイエスだけど…だけど、夢だとしても誰かにそれを伝えるのは恥ずかしい…!

 


「お姉ちゃん、顔が変です!」

「それを言うなら顔色だよ!何でそんな事聞くの!?」

「神様からのお告げをお姉ちゃんに伝えるためです!もしお姉ちゃんがご主人の事を好きだって答えたらお告げを伝えるように言われたです!もし好きじゃないって答えたら帰ってきなさいって言われたです!」

「え、ええぇ!?神様のお告げ!?」



 子供(子犬)ながらに与えられた役目を一生懸命に伝える豆太郎。見ていて微笑ましい。

 …って、急にそんな事言われても困るよ!お告げって何!?

 何で神様が私にお告げを!?

 もしかしてレナちゃんのおやつをちょっとつまみ食いしたのがばれたのかな!?

 でもそれならアシュレー君は関係無いし、お告げじゃなくて説教だよね?

 大混乱の中、辛うじて質問する。



「ちなみに、どんなお告げなの…?」

「このお告げを聞くと、お姉ちゃんがご主人と結婚出来る可能性がグンと高くなるでs「好きだーーー!!!!!!!!」

「……」

「……」



 う、ちょっと必死すぎた。何なの私、「好きだー」って。しかも食い気味に答えちゃったし。

 豆太郎もビックリして目を丸くしている。

 だってアシュレー君と、け、け、結婚て!

 咄嗟に出た言葉も何の捻りも無いし……ぅぅ、顔が熱過ぎて今にも倒れそう。 



「ふふっ、僕もお姉ちゃんが大好きだからご主人とくっついてくれると嬉しいです!」

「わぅぅ…ありがとう。(///)」

「よ~し、それじゃあお告げを伝えるです!」

「(ごくりっ)」

「……朝起きたらメガネを買いに行くです!」

「うんっ!…………えっ、メガネ?」

「それをご主人にプレゼントするです!」

「え、あ、うん。」

「以上です!」

「………」



 神様、意味が分かりません。

 私の理解力が足りないのでしょうか?

 そんな私に豆太郎が続ける。



「イイですか?ご主人はカッコいいし目立つです!」

「う、うん、知ってる。」

「でもご主人にはその自覚が無いです!」

「うん、それも知ってる。」



 それは常日頃から私もレナちゃんも感じていた。

 銀の髪と紫の瞳のせいで最初は冷たい印象を受けるけど、本当はスゴク優しい。

 基本的にお人好しで困っている人を放っておけず、街中で誰かの手伝いをしているのを何度も見かける。


 そんな行動から”一見して冷たいけど本当は優しい男の子”というのが街での評判で、男女問わず商店街には彼のファンが結構な数存在する。

 しかもレナちゃんを救った時の話とか両親が…とかいう話も広まっていて、それも人気に拍車をかけている。


 生まれについても、その整った容姿と纏う雰囲気から様々な憶測が飛び交っている。

 王位継承権二桁台の王子だとか。

 社会勉強のために大物貴族が預けた子供だとか。

 実は森人で人々を見守っているだとか。


 つまり、アシュレー君は普段のままに行動すると滅茶苦茶目立つのだ。

 …まあ大人しくしていても目立つんだけど。

 だけどそれがお告げ…メガネと何の関係があるのだろうか?



「学園に入ったらご主人は今よりもっといっぱいの人と会うです!」

「うん。」

「……お姉ちゃんくらいの女の子も、いっぱいいるですよ?」

「…………………はぅあっ!?」



 そこで私は気付いてしまった。

 このまま学園生活をスタートしたらーーー間違いなくアシュレー君は女子の間で人気が出てしまう。

 好きな相手という事で多少の贔屓目もあるかもしれないけれど、それでも人気ランキング上位に食い込むだろう。本人が望む望まざるに関係なく。

 つまり、いつかのウサ耳少女の様に、アシュレー君に悪い虫が沢山ーーー



「ダメェーーーッ!!!」

「そうです!そうならないためのメガネです!ご主人の美形顔があんまり見えないメガネをチョイスして、ご主人の平和を守るです!」

「アシュレー君の平和…なるほど!流石は神様!」



 アシュレー君の平和を守るため、これは必要な事なのだ。

 日常を平穏無事に過ごすための素晴らしいお告げだ!

 ーーーでもこれ、お告げというよりアドバイスなような?

 そんな風に思ったが、その疑問は夢が覚める内に消えていった。













~~~~~


コンコン



「アシュレー君、入って良いかな?」

「アイン?どうぞ。」



 夜の7時過ぎ、俺の部屋をアインが訪ねてきた。

 ノックの音に返事をすると、アインがドアの隙間から覗いてきた。



「どうしたの?俺の部屋に来るなんて珍しいね。」

「う、うん。ちょっと受け取って欲しい物があって…」



 ドアまで近付くと、細長い箱を俺に差し出してきた。



「これは?」

「ア、アシュレー君にはお世話になってるから、その、お礼…!お休み!!!」



 そう言い残し、顔を真っ赤にしながら3階へと走っていってしまった。

 


「……ありがと。」



 プレゼントか。箱の大きさからして財布とかかな?

 嬉しさを噛みしめながら、俺はアインに感謝した。


 その後、ホクホク顔で箱を開いた俺の目が点になったのは言うまでもない。



「…何故にメガネ?」



オオイさんのお告げ。

若干洗脳チック…

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