第12話 活動開始
キリの良いところで終わらせたので今回は短めです。
男から伸びてくる、俺の十倍以上はある太さの腕。
子供の俺がギルドに来たことが余程気に入らなかったらしい。
怒りの表情で俺の首根っこを掴もうとしてくる。
だけど、俺の首根っこを掴んで良いのは父さんと未来の奥さんだけと心に決めてるんだ。
俺は男の右手の掌に掌を合わせて、握り合う。
少し、後悔してもらおう。
「何だガキ、どういうつもーーーっ!」
メキメキッ……
男の言葉は最後まで俺の耳には届かなかった。
俺が握った手をそのまま握り潰したからだ。
男はあまりの痛みに声も上げられない。
そしてーーー
「そぉれ!」
ブォン!!!
そのまま出入口のドアの方向にブン投げてやった。
風切り音を立てながら床と平行に飛んでいく男。
それを驚愕の表情で見つめる受付嬢と建物内の冒険者達。
ドガシャーーーン!!!
ドアを吹き飛ばし路上を何度か跳ねた後、男は停まった。
気絶したのだろう、全く動かない。
「「「…………………」」」
「もう一度言いますか?」
静まり返るギルド内で、俺は受付嬢へ一言。
満面の笑みを湛えたまま視線を向ける。
「す、すぐに準備いたします!少々お待ちください!!!」
涙目でワタワタと書類の準備を始める。脅し過ぎたかな……
少々悪いと思いながらも、これで登録については問題ないだろうと俺は安心した。
ちなみにドアの修理費は男に請求させた。笑顔で受付嬢に説教してやったら泣きながら頷いてくれた。
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「そ、それでは説明させていたただきます!」
「そんなに緊張しなくても良いですよ。」
「は、はい!頑張りまちゅ!!!」
「(こりゃ無理か?)」
「ーーー君は少し裏で休んでいなさい。私が替わります。」
緊張でガチガチの受付嬢の後ろから、声が掛けられる。
受付嬢は俺に頭を下げ、そのまま裏へ下がっていった。
声を掛けてきたのは執事服を着た、細身のロマンスグレーだった。
白髪のオールバックにモノクルがばっちり似合っている。
……なぜ執事?
「あなたは?」
「私は、このギルドのギルドマスター、イザベラ様の執事をさせていただいております、サイモンと申します。執事と言いましてもギルド関連の各業務の統括官としても働いておりますので、受付も可能です。」
「俺の登録について、何か問題が?」
ギルドマスターの直接の部下……!
この場面は想定していなかった。
ちょっと無茶をしてしまったし、不受理なんて言わないだろうな。
ポーカーフェイスを通したが、俺は内心で冷や汗だ。
「いえいえ。あの言葉はどのような方法で知ったとしても、それを知ったという事実が重要なのです。登録には全く問題ありません。」
「……それじゃあ、お願いします。」
どうやらセーフのようだ。
藪をつついて蛇を出す必要もない。
余計なことには触れず、素直に登録を終わらせてしまおう。
「それでは基本的なことから説明させていただきます。ギルドでは、様々な方々からの報酬付きの依頼を斡旋しています。依頼を受注するためにはギルドへの登録が必要となっており、それが最低条件となっています。」
「登録だけでは受けられない依頼もあるということですか?」
「はい。登録者は実力に合わせてAを頂点として以下B、C、D、Eの5つのランクに別けられます。そして受注された依頼は難易度をギルドが調査し、これもAからEまで振り分けられます。登録者は自分のランク以下の依頼のみを受けることができる仕組みです。登録者ランクは依頼の達成率や達成数をギルドが精査し、条件を達成すれば上がっていきます。」
「なるほど。複数人でチームを組むことは可能ですか?」
「可能です。ギルドではこのチームを『クラン』と呼んでいます。むしろ、クラン単位で活動している登録者の方が多いですね。クランでの依頼の受注は、クラン内で最もランクの高い者のランクが適応されます。」
非常に分かりやすい説明だ。
流石は業務統括官。
とりあえず登録を済ませてしまおう。
「登録はどうすれば?」
「この用紙に名前と年齢、使用武器を記入するだけです。」
「身分証の提示は必要ですか?」
「必要ありません。最悪ウソを記載しても問題ありません。ただし、ギルドに所属して問題を起こした者はギルドにより高レベル登録者の討伐対象に指定され、確実に追い込みがかかりますのでご注意ください。」
怖いよ。
まあ、問題を起こすつもりはないから偽名で問題ないだろう。
オオイさんの言っていたとおり身分証は必要なかったな。
俺は用紙の必要事項に前もって決めていた内容を書き込んでいく。
「これでお願いします。」
「拝見します………お名前はグリザイユ様、お歳は15歳、使用武器は剣ですか。」
「これで構わないんですよね?」
「ふふっ、そうですね。構いません。」
そうしてサイモンさんは俺に青色のカードを渡してきた。
「これがあなたのギルド登録証です。無くした場合は再発行に銀貨10枚が罰金も含め必要になりますのでご注意ください。これでグリザイユ様をEランク登録者として認めます。ようこそ、我がフォレストサイトギルドへ。あなたの活躍を期待しております。」
こうして俺は、ギルドでの活動の第一歩を踏み出した。
ギルド登録完了。
働けアッシュ、馬車馬のように!!!




