007 太陽の神官
赤い羽を頭上に抱き、赤い石を額に身につけた派手な男がルナの目の前に立ちはだかる。
ルナはこの男性を『赤い羽男』と名付けることにした。
ここは、『黄泉への道』の太陽のピラミッド前。
ルナは暇なので、召喚された翌日、観光をする事にした。
ただし監視付き。
そして白い薄い布で顔を纏うという条件付き。
月の神官の宮殿内にあるの巫女の館を出て、『黄泉への道』を南に歩いて行く。
『黄泉への道』の両側には屋台があり、果物や野菜が売られている。
ちょっとした縁日のような賑わい。お祭りみたいで心が弾む。
街路樹がいい感じに日陰を作る。
「お嬢さん、暇かい?」
観光を楽しんでいたら、赤い羽男がルナの前に突如現れた。
白い布から露わになっている胸板は、鍛えていることが分かる立派な筋肉の塊。
真っ白な服は高位の神官の身なり。
赤い派手な装飾は太陽の神官の証。
赤い髪をさらっとさせて、赤い羽男がルナに顔を近づける。
「そ、それ以上はお控え頂きたく。レアンドロ神官様」
監視の女官が控えめに赤い羽男を制止する。
布越しからでも、赤い羽男のぐいぐい感が伝わる。
ルナ、後退り。
レアンドロ、更に近づく。
「しつこいな。この男」
しまった。心の声が口から出てしまった。
ルナ、両手で口を塞ぐが、時すでに遅し。
小さい声だったから聞こえなかったかも。ちらりとレアンドロの目を見る。
怒った様子はなく、にやにやしている。
「暇じゃございません」
ルナ、ピシャリとレアンドロに言う。
「お、可愛い声だね」
レアンドロ、引かない。
「失礼します」
ルナはレアンドロを避けて先に進もうとする。
監視の女官も慌ててルナに続く。
その時、レアンドロはルナの手首を掴んで引き寄せた。
ぐいっと後ろに引かれたため、ルナは転倒しそうになり、レアンドロの厚い胸板に倒れ込んだ。
一瞬の出来事で、顔を覆っていた白い布が青空に舞った。
ルナの顔が顕になり、黒髪がレアンドロにばさりと当たる。
艶やかな黒髪は太陽を浴びて煌めき、強い日差しのもとではルナの白い肌が一層白く輝く。
太陽の神官レアンドロは、ルナをぎゅっと抱きしめた。




