005 月の巫女召喚
黒い艶やかな長い髪にピンクの髪飾り
耳に金色のピアスと手首にじゃらじゃらと腕輪
紺色の短いスカートに白いぶかぶかの靴下と黒い革靴
召喚された際の女子高校生ルナの姿は、神官達の目に華やかに映った。
派手な髪飾りは、豪華さを
金のフープのピアスや腕輪は贅沢さを
深い青色のスカートは月の神殿ならではの深い夜の色
そして何よりもお手入れの行き届いた髪の毛は、高位の証。
肌はきめ細かく、化粧をしっかりしている。
月の神官達は、歓喜した。
月のピラミッドの頂にある神殿には、月の神官長を筆頭に月の神官が全員集まっている。
遠巻きで女官や衛兵が、月の神殿の中央にある祭壇を見守る。
「巫女だ」
「やっと、月の神殿にも巫女が」
「これで、来年の豊穣は間違いない」
ただ、月の神官ルシオだけは無表情だった。
巫女?
ギャルじゃん。
ルシオは心の中で、じろじろと派手な女子高校生を観察。
あの金色のピアスと腕輪はメッキだな。
ギャルメイク、前世以来で久々に見た。
年齢は16歳といったところか。
神殿の中央で仁王立ちをしていたギャルが、はっと周囲を見渡す。
目を見開き口をぽけっと開けた後、一瞬ルシオと目が合う。
ルシオは観察を辞めて、ルナの黒い目を見つめ返す。
あ、逃げた!
月の神官ルシオは待機していた衛兵に、彼女を追うように合図を送った。
非常時は戦士も兼ねる屈強な衛兵は、機動力には優れるが見た目が怖いことをルシオは失念していた。




