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003 やっぱ夏はかき氷
「飲み物、ください。お兄さん」
「なんて無礼な。神官様に対して」
神官の付き人っぽい少年が、月の神官ルシオの背後からルナを叱る。
「よい」
ルシオは少年を諭し、飲み物を持ってくるように指示を出す。
「あ、できたら、かき氷もありませんか?ここには抹茶は無さそうだから、イチゴシロップでも」
少年がルナを睨む。
「すみません。贅沢、言いました」
しょんぼり、ルナ。
「エリアス、氷も持って来なさい」
少年はエリアスという名らしい。
栗毛色の髪に茶色い目。くりくりした巻き毛の小柄な少年。
笑ったら可愛いに違いない。
一見、天使っぽいが、今は威嚇されているので、可愛さゼロ。
ルナは冷たい石の床にへたりと座った。
足が痛い。
それにしてもここは何処なのだろう。
古代遺跡を歩いていたら、風景が一瞬で変わった。
月の神殿から見下ろす都市の骨格は、風景が変わる前と同じみたい。
崩れていた石の建物は、今は崩れていない。
神殿は白い漆喰で塗られ、鮮やかな壁画装飾が施されている。
羽の生えた蛇。ホラ貝を吹いている猫のような生き物。
そもそも月のピラミッドの頂上に、神殿は無かった。
神殿から外を見ると、広大な都市を見渡すことができる。
空だけは変わらず青かった。




