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ルナの初恋 2026  作者: MOKO773
第一章 まねく

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16/22

016 巫女教育

「おはようございます。月の巫女様」


見事にハモった朝の挨拶。

顔が瓜二つの双子女官の声が部屋に響く。

ノックの後、勢いよく扉が開き、二人の女官がルナの寝室に入る。背丈の同じ双子女官がシンクロして動く。


爽やかな風がルナの部屋を通り抜ける。

石造りの部屋の壁は、鳥や植物の模様の装飾画や浅彫で飾られている。

高めの天井の寝室には、天蓋付きのベッドがあり、リネンの生成りの寝具はさらっとしていて肌触りが良い。


月の巫女の館の朝は早い。

夜明けの朝日と共に、いっせいに鳥たちが挨拶をする。


昨日の記憶が曖昧で、まだ寝ぼけているルナ。


「本日から、月の神官ルシオ様のご指示で、巫女教育を開始します」

「巫女教育?」

「はい。ルナ様には、この世界の一般常識やルール、風習、歴史などを幅広くお教えする様、申しつかっております」

「ん?」

「ルシオ様からは、これらを完璧に身につけるまで、外出禁止令が出ております」

「え、待って、初耳。マジで知らない」

とぼける、ルナ。

「昨夜、ルナ様のご了承は得たとルシオ様から伺っております」

「もしかして、『うんうん』と返事をしまくってたやつか。え、マジ、うざい」

「ルナ様、まずは言葉遣いからですね」


教育係の女官は、双子の女官。

「シエンです」

「ミルです」


二人が挨拶した後、恰幅のいい女官長と名乗る女性が、ベッドにまだ居るルナに説明する。

「シエンは一般教養、ミルは巫女教育の担当です」

昨日、付き添ってくれたのは、シエンのようだ。しっかり者のオーラがある。


「昨日はありがとうございます。シエン」

シエン、わずかに顔をしかめる。

「ルナ様、昨日お供した者は、ミルです」

ズバッと、女官長が言い切る。にこっとミルが頷く。


双子女官の顔を交互に見て、やはり二人の区別がつかないとルナは思った。


 * * *


午後、月の巫女の館の応接の間が臨時教室となり、巫女教育スタート。

今日の先生は、シエン。隣でミルが見守る。


「ルナ様、よろしいですか」

「はい」

「まずは、今一番大事なことを伝えます」

ゴクっと唾を飲むルナ。

「太陽の神官レアンドロ様に、ぜえーーーたいに、餌付けをしてはなりません!」

「えづけ?」


(何を言っているんだろう。鳥じゃあるまいし)

ルナが首をかしげる。


「ルナ様のお手から、レアンドロ様の口に食べ物を運んではなりません」

「なんで?」

「それは、レアンドロ様の奥さんになっちゃうからです〜」

ミルが嬉しそうに、茶々をいれる。

「ミル、黙って」

「失礼しました」

ミルがしゅんとする。


「奥さんって、妻ってこと?え、なんで?マジ、分かんないだけど」

「それは言いかえると、『奥様とは伴侶ということでしょうか。どうして!理解できません。シエン先生』が正解の言い方です」

「え、めんどくさい」

「と、に、か、く!いいですか。今日は一般常識の基礎の基礎、ここで安全に生きるための基礎知識を叩き込みます!」


月の巫女ルナは、双子女官シエンから、みっちっり教育を受けた。

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