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ルナの初恋 2026  作者: MOKO773
第一章 まねく

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15/22

015 無駄な叱責

「おまえは馬鹿か!」


太陽の神官レアンドロの宮殿から帰宅した夜、月の神官ルシオは、月の巫女ルナに開口一番、怒鳴ってしまった。

月の宮殿の自室に入るまでは、無表情でポーカーフェイスを保っていたが、自室に着いた途端、彼のイライラが頂点に達する。


「すまない」


怒鳴った直後、ルシオは我に返りルナに目を伏せて謝る。


「大きな声を出して、悪かった」


控えている召使い達が驚く。

普段は冷静沈着で感情を表に出さない彼が、怒鳴った挙句、明らかに憔悴している。そしてめったに謝らない主人が、年若い娘に詫びた。


ルシオの自室の居間のソファにルナを座らせる。

彼はルナの目の前に屈んで、彼女に目線を合わせる。


太陽の神官レアンドロから餌付けを受けたルナは満腹で眠い。

つい美味しくて、いつもよりたくさんの量を食した。

たった今、ルシオから怒鳴られたことも分かっているのかあやしい。


レアンドロの宮殿で嗅いだ香が、ルナの意識を朦朧(もうろう)とさせる。


ルナはふにゃふにゃしながら、左右に体を揺らす。


「反省していますか?ルナ」


「ご、ごめんーーなさい〜」

うとうとしながら、謝る。前後に上半身を揺らす。

「ルナ?・・・・・・起きてますか?」

「ーーごめんなさい」

早く寝たいので、とにかく謝る。なぜ謝る必要があるのか不明。

「ルシオさん、寝てもいい?」

ルシオが、ルナを怖い顔で見つめる。


「いいですか?ルナ」

「?」

「ここで暮らすからには、この社会の常識とルールを知ること」

「うん」


こくりと頷く。そのままうとうとするルナ。


「今の世界の常識を知るまでは、この宮殿から出ないこと」

「うん」


ルシオはルナの両頬をむにゅっと片手で抑え、上に向かせる。

ルナの半開きの目をルシオの青い目が覗き込む。


(深い海の色できれいな目)

ぼんやりと夢心地な中、ルシオの目に吸い込まれていく。


「歴史、風習、社会のルール、一般常識。全て君の住んでいた世界と違う」

「うんうん」

「特にレアンドロの奴・・・・・・じゃない、太陽の神官レアンドロに接触しないこと」

「え、なんでーー?むにゃむにゃ」

「ルナのためです」

「えーーまたメロン食べたーい」

ルナ、もぐもぐと口を動かす。目は閉じている。寝ぼけて、むにゃむにゃと「もう食べられない」などと言う。

「るーーなーー」

ルシオが彼女の肩をガクガクと前後に揺らす。


「ぽぽぽぽぽ」

揺れながらルナが言葉を発する。

「ぽ?」

「ぽ、ポテチ食べたい〜」

「確かに、俺も食べたいわ。それ。ポテトチップス」

ルシオが説教を忘れて、ルナに同意する。

「のり塩〜」

「俺、しお派。そうじゃなくて、いまはーー」


がくんとルナ、寝落ち。


「ああ・・・・・・」

深い溜息をつく。ルシオはルナの寝顔をしばらく眺める。


(もう少し危機感を持って欲しい)


自分が召喚してしまった責任と申し訳なさで、これからどうルナに接すればいいのかと悩む。


(これは巫女教育に時間がかかりそうだ)


月の神官ルシオは爆睡中のルナを抱き上げ、月の巫女の館に運んだ。

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