奇跡のエネルギーの巻 その②
※※※
「お嬢様の邪魔をするなら、容赦しません」
行く手を阻む男たちを、アルはナイフの一振りで無力化した。
いや、ナイフではない。十字架の形をしたペンダントだ。その一振りだけで、アルは武装した男たちを圧倒していた。
「アル、こっちだわ!」
「はい、お嬢様!」
既に敵の抵抗は弱まりつつあった。
それが、敵の大半を倒したということなのか、それとも何か相手の狙いがあるのかは、今の二人にとって関係がなかった。
アルとラミアにとって重要なのは、『神の遺骸』を手に入れることだけだった。
廊下を抜けると、そこは広間になっていた。
そして二人の立っている反対側には、ひと際大きな扉があった。
「錯誤異物はあの中にあるみたいだわ」
ラミアが髪飾りに触れながら言う。
「行きましょう、お嬢様」
アルは扉に向かって足を踏み出した。
が、その時。
「おっと、そうは問屋が卸さねえぜ、お二人さんよぉ!」
突然広間に響き渡った声に振り返ると、二人にとって見た事のある男が歩いて来るところだった。
「あなたは確か、クロとかいう名前の……」
アルが思い出すしたように言うと、クロは満足げな笑みを浮かべた。
「そうとも。ヌエ一家の喧嘩頭、クロ・シバルツってのはこの俺よ!」
二人を追い越し、クロは扉の前に立ちはだかる。
その両手には、太刀が握られていた。
それを見て、ラミアの顔色が変わる。
「まさか、その武器は……!?」
「分かるのかい? まあ、恐らくはお察しの通りだろうけどよ」
クロが太刀を鞘から抜き去ると、漆黒の刀身が顔をのぞかせた。
「行くぜ、お二人さん。【形態解放】!」
そうクロが叫んだ瞬間、太刀はまるで粘土のように形を変え、そして巨大な鎌となった。
「やはり、錯誤異物なのですわね……!」
「その通りさ。こいつの名は、錯誤異物『死の鎌』。触れれば一撃であんたらの命を奪うぜ」
クロは鎌を両手で回し、構えた。
「お嬢様、ここは私にお任せください」
「任せるわ。アル、気をつけて頂戴。貴方には関係ないかもしれないのだけれど、あの鎌は触れただけでも致命傷になるわ」
「分かりました。気をつけます。……少し下がっていてください」
アルが一歩前へ出て、クロと対峙する。
「一人でいいのかい? 別に俺は二人がかりでも構わねえぜ」
「あなた程度、私一人で十分です」
「言ってくれるじゃねえか。その余裕が命取りにならなきゃいいけどな!」




