奇跡のエネルギーの巻 その③
クロが動く。
地面を蹴り、一瞬でアルとの距離を詰める。
振り下ろされた鎌を、アルはペンダントで受け止めた。
が、その衝撃を逃がしきれず、アルは後ろに飛び退いた。
「っ……!?」
「よく止めたな。いい反射神経してるぜ。だが、次はどうかな!?」
再びクロが動いた。
左右から迫り来る鎌の連撃を、アルはすべてギリギリで受け止めた。
「こんな武器を、あなたは、どこで?」
「オークションから流れてきた代物さ。元々あいつらを支援してやっていたのは俺たちなんだ。だが、あいつらは俺たちを切り捨てようとしやがった!」
甲高い金属音がして、ペンダントと鎌がぶつかり合う。
クロの独白は続く。
「こうして外から見てみりゃ分かる。あいつらはオークションって莫大な資金源に踊らされてるだけなんだ。だから、自分の利益しか見えなくなって、お互いを平気で裏切るようになる……!」
「ですが、それはあなたたちも同じなのではないですか? 利益を得るために、暴力という手段さえ使う」
「俺たちはそれが商売なんだ。とやかく言われる筋合いはねえな!」
「!」
アルは、クロに蹴り飛ばされていた。
彼女の体は壁にぶつかり、止まった。
「そうだ、俺たちは喧嘩が仕事みてえなものよ。そんなところでぼうっとしてていいのかい!?」
クロは鎌を振り上げ、ラミアに襲い掛かった。
突然の出来事にラミアは動くことができなかった。
そして、振り下ろされた鎌は、ラミアに直撃する寸前で、何者かの体によって止められた。
アルがラミアの身代わりになったのだ。
アルの背中に、鎌の刃が深々と突き刺さる。
「うっ……」
低い声でアルが呻く。
「へえ、なかなか忠義者だぜ、あんた。だけどそれが命取りになったな」
クロがずるりとアルの体から鎌を引き抜き、一歩下がった。
同時に、アルはラミアの方へ倒れこんだ。
「お嬢様……無事ですか」
ラミアの腕の中で、アルが呟くように言う。
「わたくしは無事、でも、アルが……!」
アルの肉体が、傷口から急速に腐敗していくのを見て、ラミアは息を呑んだ。
【死の鎌】の能力が発動したのだ。
「お嬢様、私に全力を出す許可を」
「アル、でも」
「それでなければ、あの男は倒せないかもしれません」
「……分かったわ。アル。所有者の名において命じる。【形態解放】」
突如、アルの体が発光した。
傷口が消えていき、黒かった髪は一瞬の内に白く染まった。




