0.9.4.1 ポトフちゃんとポトフ
それでは、ベースじゃないけどベースとして使われがちな、コンソメスープから作っていきましょう。
用意するのは、ウシブイヨン、先程も使ったタマネギ、ニンジン、セロリ。
それから、ケーランの白身とウシ肉。今回用意したのは余ってたランプ肉です。
野菜はみじん切りに、肉はひき肉に。それぞれ細かくして鍋に入れ、ラン白と共にネッチャネッチャと混ぜ合わせていくよ。
よーく混ざったら、ウシブイヨンを注いで火にかけ、更に混ぜる。
ふつふつとしてきたら混ぜるのをやめて、水面に浮かんだお肉の中央あたりに穴を開ける。チョチョイっと外側に寄せてね。
こうすることで、対流がおきて、澄んだスープになるんだとか。よくこんなこと思いつくよね〜。
あとは、沸騰しない程度の弱火で、じっくり煮詰めていく。水かさが半分くらいに減ったらいいかな?
ザルとサラシで慎重に濾して『コンソメ(ウシ)』の完成です。
キラキラと輝く黄金のスープ……早速いただきます。
「ほう……」
ひとさじ舌の上に乗せると、思わずため息が出る。
凝縮された様々な野菜の旨味、溶け出した肉の甘味。
何種類もの出汁が調和し、互いを引き立てる“完成された”スープが、優しく体に染み渡っていく……
「いい匂いがするな。」
匂いにつられてうさちゃんがやって来ました。せっかくなので、味見してもらいましょう。ひとさじすくって……
「はい、あ〜ん。」
「あ、ん……!なんだこれは……」
口に入れてやると目を見開き言葉を失う、うさちゃん。あ、口元がにゃむにゃむしてる……
「どうですか?」
「凄く複雑な味だな……野菜の味が濃いが、全く気にならないし、肉の味もする……美味いな……いや、本当に美味いな、なんだこれ。もっとくれないか?」
「いいですよ。あ、ちょっと待ってくださいね……」
おお、あまりの情報量に混乱していらっしゃる。しかもおかわりまで求めてくるとは、相当気に入って貰えたみたいですね?
しかしまだ味付けをしてないんでね、塩で味を整え『コンソメスープ』にしてお渡ししましょう。
ん、甘味が更に引き立っていい感じ!
「……!さっきより美味くなってるな!」
でしょ〜?
では、このコンソメをベースにもうひと品作りましょう。
材料は、今日大活躍のタマネギ。
半分に切って薄切りにし、バターを溶かしたフライパンに入れ、じっくりと炒める。
飴色になるまで炒めたら、水とコンソメスープを入れて暫く煮て調味料で味付けをして、『オニオンスープ』の完成です。
器に注いだら、仕上げに粉にしたパセリをパラり。
オマケで、半分に切った丸パンを釜で焼き、トーストのようにして添えておく。今回は丸パンだけど、ベストマッチしそうなバゲットが欲しいね。そのうちパンの種類も増やそう。
それじゃ、早速いただきます。
まずはスープから。
1口すすると……ん〜!どっちを向いてもタマネギ!タマネギ!タマネギ!全てがタマネギに支配される。
原型を留めぬ程ふにゃふにゃになったタマネギは、これでもかと甘味が凝縮されており、咀嚼する度に口の中へ広がる。
続いて、トーストを手に取り、端をスープに浸す。
飴色に染まった丸パンにかぶりつくと、グズグズにとろけた生地からジュワッ……とスープが溢れ出す。ああ、至福のとき……
続きまして、トウモロコシを使って一品。
トウモロコシを皮つきのままほくほくに茹で、芯から実を削ぎ落とす。
そして、フライパンにバターをひいて、トウモロコシの粒を炒める。ん?これって『バターコーン』じゃない?味付けしとこ。
プチプチとした楽しい食感に、甘い粒に絡む、ほんのりしょっぱいバターの風味……これは無限にスプーンが進んじゃうね。
さて、調理に戻りまして。
炒めたトウモロコシに、ベジブロスと水を加えて煮ます。もうトウモロコシに熱は通ってるので、そんなに長くなくていいかな。
煮立ってきたら火を弱め、ミルクと生クリームを加え、温める。
最後に、この鍋の中身をミキサーで撹拌してピューレ状にしたら『コーンポタージュ』の完成です。いただきます!
3種のミルク感に優しく包まれた、トウモロコシの濃厚な甘味。んん〜なんてクリーミー。
温かな大地の恵が波のように味蕾へ押し寄せ、柔らかく心に染み渡る……
最後に、これは絶対に実装せねば!と考えていた一品を作ります。
具材はタマネギ、ニンジン、ジャガイモ。それからソーセージ。
他にも色々入れたいところだけど、基本のレシピはお手軽にこれだけで。
野菜をざっくり一口大に切り、コンソメスープで煮込んでいきます。
ソーセージは暫く野菜を煮てから入れるよ。
最初から入れちゃうと旨味がスープに溶けだして、ソーセージ自体の味が薄くなっちゃうんでね。
ニンジンに箸が簡単に刺さるくらい煮えたら出来上がりです。これで……
「『ポトフ』の完成です!」
そう、ポトフ!私の名前の由来にもなった、この料理を実装したかったんです。そして、うさちゃんに一番に食べて欲しかったんです!
今日コンソメスープを作ったのはこの為と言っても過言ではない!
「おお!これがポトフなのか。」
……ポトフって本来は牛肉らしいし、今日作ったのは『ポテ』に分類されるっぽいんだけど……
ジャパニーズポトフってことで、別にいいよね。それじゃ、いただきます。
旨味がたっぷり染み込んだホックホクのジャガイモ。
柔らかく煮込まれたニンジンは、お菓子のような甘さ。
とろけるようなタマネギは、オニオンスープとはまた違った味わいだ。
ソーセージは……うん。旨味が逃げてない。パキッと軽やかな音を立てて裂ける皮から、しっかり肉汁が溢れ出してくる。
「どれもこれも美味いな。ホッとする味だ。」
相好を崩してポトフを堪能するうさちゃん。あっという間に食べ終わり、2杯目に突入しています。嬉しい!
「わかります。家庭料理ってなんだか安心しますよね。」
「家庭、料理?」
そう同意すれば、なんぞや?と首を傾げるうさちゃん。当たり前だけど、初めて聞いたって顔してます。
「はい。お家で作って家族で食べる料理です。」
「家族で……」
私の説明にフォークを止めて、ぼんやりと思案するうさちゃん。
漫画ならホワンホワ〜ンと妄想シーンに入っていそうな感じだ。家族でお鍋をつつく所を想像してるのかな?
うさちゃんは兄弟も両親も祖父母もいるんだもんね。騒がしいかもしれないけど、絶対楽しいだろうなあ……
私も私で、施設の“きょうだい達”との団欒に思いを馳せていると、ふと、うさちゃんがこちらを見ていることに気づいた。
眩しげに目を細めて、その甘さで火照ってしまうような熱い視線……
「これからもポトフの“家庭料理”が食べたいな。」
交わす視線はそのままに、こぼれた古き時代の告白じみたセリフに、胸が高鳴る。
それに返す言葉なんて決まっている。考えるより先に口が動いた。
「うさちゃんの為なら毎日でも作りますよ。」
………
……
…
残った時間はアレンジやらなにやら。
トリコンソメを作って味の違いを楽しみつつ、ポトフにはベーコンやキャベツを入れてみたり。
コンポタの出汁もブイヨンに変えてみたり。
オニオンスープもちょいと工夫して『オニオングラタンスープ』にしてみたよ。
スープをしっかり吸ったふにゃふにゃのパンに、甘いタマネギ。一番上にはミルキーで伸びるチーズ。文句なしの絶品です。
さてさて、そろそろ終業時間です。最後に今日の成果物の見直しをして終わりにしましょう。
ビーヨン豆は、どこでもいいので他の作物と一緒に植えてもらおう。味を移すためにね。
スープ類はどれも草原の国になるかな。ジュースみたいにコップに入れて売ろう。
そうだ!コンソメスープは昇格クエストの課題にしてもいいかも!ゲーム内じゃ過程をいくらか省略できるけど、本来はものすご〜く時間がかかる難易度の高い料理だからね。
40……いや、ひとまず60レベルの所に設定してもらっとこ。
そうそう、口金と袋も無事完成しました。
口金と袋、2つが一体化してるんだけど、使うときに口金一覧のメニューが出てきて、そこから色々と切り替えることができるみたい。
いちいち付け替えずに済むし、アイテム欄を圧迫しないコンパクトな仕様です。
それじゃ、お仕事はここまで!
明日はいつも通り、うさちゃんと一緒にゲームしますよ。
進捗がリセットされて、また神様のところから始まってチュートリアルがあるはずなんで、早いうちにちゃっちゃと済ませておきたいんだよね。ついでにメインクエストの方を少しでも進められるといいな。
それでは、今日も一日お疲れ様でした!




