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0.9.5.0 ポトフちゃんとメインクエスト

 今日はお休み。予定通りうさちゃんとゲームしますよ。ログイ〜ン。


『無垢なる魂がまた1つ、この世界に生まれ落ちたか。』


 パパっとキャラ作成して、ちゃちゃっとチュートリアルを終わらせてきます!


 ………

 ……

 …


『はい、確かに受理いたしました。』


「よし、これでやることは全部終わったな?」

「はい!」


 チュートリアルからジョブチェンジまで、一通り終わらせてうさちゃんとパーティを組みました。

 これで準備はバッチリ。いよいよメインクエストを進めていきますよ!



 クエストの解放条件は、レベル5に到達すること。もちろん、私たちはこの条件をクリア済みです。

 条件を満たすと、メインクエストである『残光へ至る旅路』が発生し、『宿屋で休む』という指示が出て、マップ上にマーカーが表示されるよ。


 マーカーが示すのは湖の国の宿屋。総合ギルドを出て、のんびり歩いて向かいます。


 その宿屋への道すがら、一つ気になったことを聞いてみよう。


「そういえば、チュートリアルのスライム、テイム出来なかったんですけど仕様ですか?」


 キャラ作成からここに来るまで、基本的な流れは先行プレイの時と全く同じだったんだけど、スライムを助けるところだけ違ったんだよね。


 前回は、怪我したぷるんちゃんに薬草を与えて、懐いてきたところをテイムして仲間にする、という流れ。


 しかし、今回出会ったスライムは、薬草で体力を回復するとポロポロッと魔晶石をいくつか落として、テイムする暇もなく、そそくさと茂みへ去っていったのだ。

『あら、お金を置いていくなんて賢いのね。』なんてラアネさんは面白がってたけど。


「ああ、仕様だな。イミテーションスライムが1匹でも仲間にいるとテイム出来ないようになってたはずだ。」


 なるほど、仕様でしたか。2匹目は無理なのね、ちょっと残念。


 ………

 ……

 …


 やってきたのは、ギルドと同じ中央区に存在する、やや高級なお宿。

 高級と言っても、ギルドの身分証である写し身の石を持っている人は多少割引されるので、それ程負担にはならない。

 故に、集うのは市井の冒険者やプレイヤー。なので、堅苦しくなく飾らない雰囲気のすごしやすい場所だ。


 そんな宿屋にチェックインして客室へ。

 部屋はパーティ単位で取ることも可能なので、ベッドが2つのツインルームを取りました。


「おやすみ。」

「おやすみなさい。」


 うさちゃん仕様のドデカいベッドに体を預け、目を閉じる。常ならば、ここで回復した合図の“ピロリン”という音が鳴るのだが……


 壁を隔てても薄ら聞こえていた、食堂の賑わう声や、活気に満ちている外の喧騒が、彼方へと遠ざかっていく。

 まるで、私が水中に沈んでいっているかのように。


 そうして、世界から音が消えた。


 鼓動すら聞こえぬ、心細い静寂。

 しかし、よく耳を澄ませると、手のひらを耳にあてた時に聞こえる、地鳴りのようなゴーッという音が聞こえる。


 不思議と落ち着くその音に聞き入っていると、瞼に柔らかな光が落ちた。

 ぽぽ達にくすぐられているようなむず痒さに瞼を開くと、目の前には巨大な木がそびえ立っていた。


 天をつく程に高く、空を覆うように枝葉を伸ばした大きな大きな木。純白の幹から伸びる枝先には、星のように瞬く葉が天の川のように広がっている。


 神々しく輝くさまは、この世界に降り立ったときのことを思い出す。あの時もこうやって世界樹を見上げたっけ。



『捧げよ』



 雪のように、ハラハラと宙に舞う葉に見惚れていると、声が響いた。教会の鐘を思わせる、荘厳な、地響きのような重い声が。


 声の出処を探ろうと身動ぎするも、水中に浮かんでいるような浮遊感に包まれて動けない。

 唯一動かせる眼球をキョロキョロと動かしてみても、視界の端は黒いモヤがかかっていて、白い木以外のものは目に入らない。



『その身に宿りし“光”を捧げよ』



 先程よりも近くで、再び声が響く。

 全身を震わす、その言葉の意味を理解する頃には、この声は私自身から響いていたのだと気づいた。

 その瞬間、ふっと暗転し、見覚えのある宿屋の天井と昼下がりのざわめきが戻ってくる。


 ・1階へ降りる


 と、同時に、クエストが進む。


 その指示に従う前に、寝転がったまま先程の光景を思い起こし、考察してみる。

 あの白い木は、神様が植えたという水中の木で、どこか聞き覚えのある低い声は殻の人だろう。前にうさちゃんから聞いた、この世界の設定がそんな感じだったよね。


 反芻を終えて、むくりと体を起こすと、うさちゃんもちょうど起きるところでした。よし、答え合わせをしよう。


「夢に出てきたのって、水中の木ですか?」

「そうだ。」

「声は殻の人?」

「ああ。」


 どうやら、あの光ってる木は、殻の人から見た在りし日の姿らしい。

 そして、『神樹』という名前もついたみたい。海底人と、一部の地底人からそう呼ばれてる設定なんだって。


 そんな神樹様、今では秋の終わりの落葉樹のように光る葉の数が減ってしまっているそう。

 まあ一応、殻の人が頑張って増やしているので、長〜い目で見ればプラマイギリプラスって感じ。


 それから、殻の人の声で気になったことがもう1つ……


「殻の人の声ってうさちゃんの声ですか。」

「ああ、俺の声をサンプリングして使ってあるんだ。見た目のモデルが俺だしな。」

「じゃあ、神樹様の声は私……?」

「あー……そうだな。今のところ神樹様にセリフはないみたいだが、これから先もしも喋ることがあれば、ポトフの声になるだろうな。その時はまた、声を使っていいか聞かれると思うぞ。」


 私の声かあ……恥ずかしいけど、神樹様が喋るってことは、会話できるくらい回復してるってことだよね?そこは楽しみだな。


 ダメージボイスとか回想シーンのセリフとかじゃないことを祈ろう……

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