表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幽霊の正体見たり異世界か  作者: 固い六
第二章
38/44

第三十四話 拉致現場

1日遅れで投稿です。

来週はまた水曜日に投稿します。(問題が起きなければ)

「はぁ〜、アル君貴族だったんだ、早く言ってよぉ」


「バカ! パル、貴族様相手なんだから敬語敬語!」


「あ、やばっ」


「あぁ、別にイイよそういう堅っ苦しいの、さっきまでみたいに普通でお願い」


医務室を出た俺たちは部活で呼ばれたというハンスと一旦別れ、学園内にある喫茶店にいた。


「まぁ、貴族だって言わなかったのは悪かったよ、ちょっと私情で話せなかったんだ」


「私情ってどういう私情?...ですか」


「だから普通でいいって」


パルティアのぎこちない丁寧口調に苦笑する。


「ヴァロッサ様と話していたお兄さんのことかしら?」


「うん、そうなんだ」


「この学園の生徒?」


「あぁ」


「誰かな?」


あぁもうゲロっちまうか、こいつらなら大丈夫だろ。


「俺の兄貴の名前は、エリオット・ウィルホーキンスだ」


「え...?」


「ウィルホーキンス...?」


予想通りに不穏な空気が流れる。パルティアとアガーテは訝しむような目で俺を見てくる。


「ウィルホーキンスってあのウィルホーキンス?」


「ほかにどのウィルホーキンスがいるか知らないけど、多分想像通りのだと思うよ」


「あの師範代を中等部一年が倒したって言う伝説を作った?」


「その通り」


2人はお互いと俺を交互に見つめ信じられないと言った顔をしている。


「信じられない...」


そのまんまだった。


「ほえぇ...全然似てないねー」


「は?」


「そうね、全く似てないわね」


てっきり敵意むき出しで来るのかと思ったがそんなことは無かった。


「こんなに可愛い子があのエリオットの弟だとは誰も思わないよぉ」


そう言いながらパルティアは俺に抱きついてくる。今度はさっきとは違って優しく加減を持っているので苦しくはない。


「愛想も良いし情があるし可愛いし、全く似てないわ」


「可愛いしってのは今だけなんじゃ...」


「そうね、成長したら今度はきっとカッコ良くなるわね」


「兄貴も顔は良いんじゃ?」


「たしかに顔は良いけどなぁ、なんか私の趣味じゃないって言うか...」


「そうなのか?」


「女の子には色々あるのよ」


「は、はぁ...」


そこらへんはサッパリわからないが。まぁ俺が弟でも特に気にするようなことではないらしい。


「ところでアル君はこれからどうするの?」


「どうするって?」


「見学、もうどっかを見ているような時間は無いよ?」


辺りを見回すと人の姿はほとんど見えず、赤い夕焼けが地面を照らすだけであった。


「そうだな...名残惜しいけど今日はもう帰るしかないかな」


「えー、帰っちゃうのー?」


「帰っちゃうのーて言われても...」


パルティアのわがままに困っている俺は助けを求めアガーテに視線を向けると。


「...そうだわ、今日はアル君には私たちの部屋に泊まってもらいましょう」


「はぁ!?」


「アーちゃんナイスアイデア!」


「いやいやいや、部外者がそんなことしちゃダメだろ!」


「今は夏期休暇中だし黙っていれば学園もとやかく言わないよぉ」


「そもそも部外者が学生寮に泊まってはいけないなんて校則無いわ」


「想定されてないだけだよ!」


この娘達は何を馬鹿なことを真剣に考えているんだ...そう思った俺は...俺?


「そうだ!俺は男じゃないか、男の俺が女子寮に入れるわけが...」


「なら女装させましょう」


「なに?アガーテさん今なんと...」


「だから、女装させてしまえば良いじゃないって」


「それだよアーちゃん!!アル君こんなに可愛いんだからきっと女の子の格好も似合うよ!」


「いや!いやいやいや!ありえんだろ、俺が女装だなんて!」


俺がそう叫ぶとアガーテは妖しい笑みを浮かべ言った。


「案外似合うかもしれないわね...」


「助けてハンスゥゥウウウウ!!!」


「そうと決まれば善は急げだよ!今すぐ私たちの部屋に行こう!」


「殺人未遂の次は誘拐か...?」


そこへ俺のヒーローハンスの声が聞こえた。


「ハンス!助けて!」


「ヴァ、ヴァロッサ様!?いや、これは何と言うか、誘拐などではなく、そう!招待、招待しただけですよ!」


「招待...とは客人を招くだけで、無理矢理引っ張っていくものではないぞ?」


「えっとぉ...それはぁ...」


ダラダラと汗を流すパルティア、それを鋭く睨むハンス。どっからどう見ても蛇に睨まれたカエル状態である。そんな時が止まったかのような時間で先に声を発したのはハンスの方であった。


「はぁ、もういい。好きにしろ...お父様には俺から上手く言っておく」


「はぁ!?」


まさかの裏切りである。


「ちょ、ちょっとハンス!?見捨てるのか!?」


「見捨てるもなにも、別に怪我はしないだろう。招待というなら俺は何も言わん」


「そんなぁ!?」


「「ヴァロッサ様ありがとうございます!!」」


うむ、と頷いたハンスの顔は満更でもないようだ。ハンスに深々と礼をしたパルティアとアガーテは、まるで荷物のように俺の体を持ち上げ走り去っていった。


「ハンスゥゥゥウウウ!!覚えていろよぉおおおお...」


俺の声は夕焼けの空へと溶けていった。







アルバートが連れ去られた後の喫茶店前では。


「本当によろしかったのですか?ハンス様」


「あぁ、アイツは一度理不尽な苦労を知った方がいい」


「なんて言っておいて、ただ昨日負けたことの腹いせでしょう」


「な!?断じて違う!!」


「ハンス様は嘘がお下手なのですぐ分かりますよ」


「くっ、勝手に言ってろ!」


「はぁ、それでハンス様?よろしかったのですか?」


「くどいぞシルヴィア!だからアイツは一度...」


「いえ、そうではなく。こんなことしたらエリーゼさんが黙ってはいませんよ?」


「あ...」


その日の夜、ヴァロッサ邸ではとあるメイドの悲痛の叫びが聞こえたのであった。


ハンスの口調が上手く定まらないのと、そろそろストックに後がないのが最近の悩みです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ