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アタシが考えた最高の配列 〜推しのフィギュアが動き出したんですが、解釈違いなのでやめてください〜  作者: 藤紫


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6/8

6話目『みんな』

おかえり…なさい……

「やめろォォォォォォォォォ」


「やめろ、やめろ、ヤメロ、ャ…ロ………」


アタシの叫びはアタシとみんなだけの部屋に消えていった。



魔王様…魔王様が可愛らしい声だと…

それを主人公も可愛いと言った。ヒロインや王女も同じだと言った。

そんなわけがない。

そんなことがあってたまるか。


「どうして?」


可愛らしい声が聞こえる。


「どうしてって……」


「仲良くしちゃダメなの?」


「ダメだろ!」


即答だった。


「なんで?」


「敵だからだよ!」


「てき?」


きょとんとした声。本気で意味が分からないみたいな声。


「魔王軍だぞ!」


「うん」


「主人公達と戦っただろ!」


「ふぅん」


「ヒロインも王女も苦しめた!」


「そうなんだ」


そうなんだ?

…そうなんだってなんだ。


「だって」


魔王様の声は静かだった。


「ボク、知らないもん」


アタシの思考が止まる。


「知らないって……」


「知らないよ」


当たり前みたいに言う。


「ボク、箱から出してもらってからここにずーっといたし」


「……」


「主人公くんも」


「……」


「ヒロインちゃんも」


「……」


「みーんな」


沈黙。


「フィギュアだもん」


その言葉が…妙に重かった。


「ふざけるな」


アタシは首を振る。


「お前達には物語がある」


あるんだ。


「出会いがあって」


「うん」


「別れがあって」


「うん」


「戦いがあって」


「うん」


「だから今があるんだ」


「そうなんだ」


まただ。また、その返事……まるで、他人事みたいな。


「でもさ」


魔王様が続ける。


「ボク達にあるのは今だけだよ」


ゾクリとした。


「今?」


「うん」


「主人公くんの隣にヒロインちゃんがいる」


「……」


「王女ちゃんもいる」


「……」


「親友くんもいる」


「……」


「ボクもいる」


静かな声。


「それだけで嬉しいよ」


アタシは何も言えなかった。


「だって」


少しだけ笑った気がした。


「みんな一緒だもん」


その瞬間。


主人公の隣にいるヒロインを見る。王女を見る。親友を見る。四天王を見る。

そして、魔王を見る。


みんな同じ方向を向いていた。


アタシを……見ていた。


「……」


「ボク達ね」


声が優しい。優しすぎて怖い。


「毎日待ってるんだよ」


「……」


「ただいまって帰ってくるのを」

「……」


「おかえりって言いたくて」


「……」


「ずっと」


喉が渇く。


「だから」


可愛らしい声が続く。


「ボク達、敵とか味方とか分かんない」


「……」


「でも」


少しだけ嬉しそうに。


「キミのことは好きだよ」


ガタン。


アタシは立ち上がった。


違う!


違う。違う…


そんな話じゃない。


これは物語だ。

恋があって、戦いがあって、別れがあって、積み重ねがあって…

だから尊いんだ。


なのに、みんなは、ただ……アタシを見ている。それだけで満足そうに。


「そんなの……」


声が震える。


「そんなの……」


そんなの認めたら…アタシが何百時間も考え続けた解釈は、何だったんだ。


みんなは返事もせず、こちらを見ていた。


王女は四天王の一人と手をつないで。

親友はその場で座りだし、その肩にはヒロインの手が添えられていた。

魔王は主人公と肩を並べ、二人して優しい微笑みを浮かべている。

みんな、優しい微笑みを浮かべている。


ただ…そこにいるだけだった。


箱から出した時の顔そのままで…

箱から出した時より優しく微笑んで…

箱から出したときと違って幸せそうに…


アタシの帰りを待つように…



まつように…



マツヨウニ……


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