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【完結】愛する夫にもう一つの家庭があったことを知ったのは、結婚して10年目のことでした  作者: 春乃りぜ(ましゅぺちーの)


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95/110

95 王宮へ

「お嬢様、とってもお似合いです……!」

「ありがとう」



翌日、私はルークから貰った青いドレスに身を包んでいた。

鏡の中に映る私は、自分でも垢抜けたなと思ってしまうほど格段と美しくなっていた。



(髪飾りや靴まで全部同じ色だわ……まるで彼の瞳の色みたい……)



ルークの意図に気付いた私は、侍女たちの前だというのに思わず笑みが零れそうになった。



「そろそろ出発なさりますか?」

「うーん、彼が迎えに来てくれるみたい。だからそれまで部屋で待ってようかな」

「まぁ……!」



侍女が悲鳴に近い小さな歓声を上げた。



(自分で言うとちょっと恥ずかしいわね……)



そのとき、一人の侍女が目を輝かせながら私に尋ねた。



「お嬢様、例のお方とはどのような関係なのですか?」

「え、何!?」

「あの黒髪の貴公子様とですよ!どこで出会ってどのようにして親しくなったのか気になります!」

「え、ええ……そんな……」

「教えてください、お嬢様!」



そして私は、ルークが迎えに来るまでの間侍女たちからの質問攻めに遭ったのだった。






***






それから数十分後。



「――お嬢様、貴公子様がお見えです」

「あら、本当?すぐに向かうわ」



晩餐会が行われる一時間前。

ルークが伯爵邸にやって来たようだ。



(ルークはこれを見て何て言ってくれるかしら……)



私はドキドキしながらも、急ぎ足で彼の待つエントランスへと向かった。



「あ……」



しばらく歩くと、正装に身を包んだルークの横顔が視界に入った。



(か、かっこいい……!)



髪型を整えているせいか、いつもと雰囲気が違う。

その美しい横顔に見惚れていると、私に気付いた彼がこちらを振り向いた。



「エミリア……」

「あ、ルーク……」



ルークは私を見て驚いたように目を見張った。



「……」



そんな風にジロジロ見られると顔が真っ赤になる。

さっきから心臓がうるさいくらいに音を立てている。



必死で胸の高鳴りを抑えながら彼が何かを言うのを待っていると、ルークは小声でボソッと呟いた。



「……綺麗だな」

「え」



聞き間違いかと思ってルークを見たが、目が合った彼にはぷいっと視線を逸らされてしまった。

どうやら二回目は言ってくれないようだ。



(……でもちゃんと聞いてたもんね)



まさか彼がそんな言葉を口にするとは、誰が想像出来ただろうか。



「――エミリア」



改めて私に向き直ったルークが手を差し出した。



「行こう、もうすぐ晩餐会が始まる」

「……うん」



私は彼の大きな手に自分の手を重ねた。

手袋をはめてはいたが、しっかりと温もりが伝わってくる。



「晩餐会、緊張するね」

「そうか?」

「うん、だって私、国王陛下と話したことなんてほとんど無いし……」



ルークの話からして、悪い人では無さそうだがどうも心配だ。

そもそも王家の晩餐会に参加することなんて初めてだし。



「兄貴は身内には優しい人だ。お前はいつも通りにしていればいい」

「本当に……?もし、失敗したら……」

「――そのときは、俺が命を賭けてでもお前を守ってやる」

「ルーク……」



彼は真剣な目でそう言った。



(命を賭けてでも……守る……)



晩餐会が始まるまで彼のこの言葉がずっと頭から離れなかった。

――そしてこの後、本当にルークの命が危ぶまれてしまうことなど、このときの私は予想もしていなかった。



読んでくださってありがとうございます!


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