第27話 最後の戦い3
「これは想定外」
「おい、アスモデウス。期待していたやつが死んだぞ」
「ねぇ、どうするの?」
3人の悪魔たちはアスモデウスを責めるが、これも彼女の中では計算のウチだった。
「まあ、落ち着いて。結局は力の強い超越者を必要としているだけ。頭がすげ変わるだけに過ぎない」
「なるほど、そういうことですか」
「どういうことでしょう?」
「しっかりと説明をしてよ」
アスモデウスは勝ち残った少女を見下ろしながら、彼女のそばに行くために下へ飛ぶ。
地に着地すると、ゆっくりと勝ち残った少女、風見凛のそばに近づいた。
「さあ、姉さんを開放してくれ。私は勝ち残ったぞ」
「そうですね。では、願いをかなえてあげましょうか」
アスモデウスは指を鳴らすと足場に幾何学な模様が浮かび上がった。
それがすぐに風見凛には魔術的儀式の何かだと察知した。
「これはなんだ!?」
「願いを叶えるために必要な儀式です。平気ですよ」
アスモデウスは詠唱をしながら死体となった少年を見つめる。
少年の身体は儀式の贄となって手のようなものが少年お体に絡みついて地面へと吸いこんでいくのをみてアスモデウスは最後の仕上げを行う。
「今までよく頑張りました。あなたの願いを叶えましょう」
「何が頑張りました、だ! すべて貴様が仕組んだことのくせ――え」
風見凛の腹部に深く突き刺さるアスモデウス基、名倉佳奈美の貫手。
「どういう……」
「だから、願いをかなえてあげるんですよ。あなたの願いは姉と再会することを切に願っていた。だからこそ、魂の楽園地であなたとあなたの姉を解放してあげるんですよ」
「あはは……やはり、悪魔か。私はおろかだった……」
彼女はそのまま倒れ伏し、意識を途絶えさせた。
アスモデウスは右手に持つ赤い宝石を穴の開いた彼女の腹部に押し込んだ。
「さあ、私たちが王よ! 蘇ってください!」
周囲一帯が激震し始める。
風見凛の肉体がゆっくりと立ちあがった。
彼女は手を開いたり閉じたりを繰り返し、周囲を見つめる。
「おー! おー! お前はアスモデウスか」
すぐにその場にいた悪魔たちもアスモデウスのそばへと降り、彼女の前に膝をつく。
皆が王に謁見した騎士のごとくの姿勢を見せた。
風見凛もとい、それは彼女に憑依した悪魔――
「お目覚めを心待ちにしておりました。悪魔侯爵アマイモン様」
「うむ。お前たちも息災で何よりだ」
「アマイモン様、さっそくではありますが私は数百年の願いを成就するためにある計画を進行させてきました。そのためにアマイモン様に器を与え、他の者たちも復活させました。あとはアマイモン様と我々の力で地獄の扉を開くのもう直です!」
「そうかそうか。よくやったぞ」
「はっ、光栄の極み」
アマイモンはそれぞれの臣下たちを見ながら、後ろの少年を見る。
「おいおい、アスモデウスよ。どういうことだ? なぜ、あそこに大きな力を備えたやつが多るというのにこのようなものを素体にした」
「え」
アスモデウスは気づかなかった。
地獄の扉の儀式の最後の血肉の贄にしたはずの少年がまだそこに存在をしていた。
それにはアスモデウスも想定をしていなかったできごとであり、なぜまだ彼がその場に残っていながら地獄の扉を開く儀式が軌道をしたのかも謎であった。
「アスモデウス聞いているのか?」
「あ、はい! 彼はそのアマイモン様の素体に負けた人間でございますためアマイモン様の素体よりはひ弱かと」
「いいや、そのようなことはない。なに、あ奴からは何か生の気配を感じる」
「え」
その瞬間だった。
彼女たち悪魔の身体を急な拘束が走った。
「これはっ!」
悪魔たちは頭上に光る血文字を見た。
「なぜ、悪魔封じの術式が地上に書かれている?」
アスモデウスは周囲を見渡して気づいた。
怪物と死闘をしているときに、幾度か彼は身体中を切り刻まれていたことに。
この術式を書くことができたのはただ一人しかいない。
「震えよ、そして、逃げよ、
地下の者たちが震える、
神聖かつ恐ろしい名を
我々が呼ぶとき
主よ悪魔の罠から我々を救いたまえ」
その悪魔祓いの呪文の効力は悪魔たちに戒めを施し、悪魔封じの罠をより強力化する。
膝まづく悪魔たち。
勇気は斬られた傷を抑えながら目の前で立ち上がった。
「なぜ、なぜおまえは生きている! 星城勇気!」




