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怪物の狩人  作者: RYO
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第24話 学園の真実

 勇気は実験場を見かけた場所に向かい、歩き続けたが目的の存在が見つかることができずただ体力だけがひたすら削られ続けていた。

 次第に朝日が見え始めて、顔をしかめる。

 この時間帯にもなれば怪物たちも気配を弱め、身を隠し始めていた。

 怪物にとっては朝の陽ざしは天敵に近く、特に夜行性の吸血鬼などは寝てしまう時間帯。

「活動はしやすいが目的の場所が見つからないんじゃ意味がないぞ」

 目を皿のようにして懸命に探す。

 次第に心まで折れかけ始めるが、近くで怪物の悲鳴のようなものが聞こえゆっくりとその方向へと足を進めた。

 そこでは妙なことに数人の男女が人食い鬼や吸血鬼などの怪物を一瞬にして消し炭や弾け飛ばしたりしていた。

 それも兵装など一切使わず。

「ちょっと、超越者として選ばれた私たちには物足りないったらないんだけど」

「わがまま言うなミズホ。これも一つの試練と考えればいい」

「でも、兄さんこんなのいくら狩りつくしたところで何もならないわ。大体、例の場所だって見つからないし」

「主はおっしゃっていたじゃないか。この試練を乗り越えた先に見える景色はあると。つまりまだ借り続けないとならないのかもしれない」

「はぁ……。これだから脳筋バカな兄さんは」

「なんだと? 人のことを言うに書いて脳筋とはなんだ! ちゃんと考えているぞ! ここにいる怪物を一掃すればいいって話だろう」

「この森に何体いるのかわからない怪物を借りつくせるわけないじゃないバカなの? 死ぬの?」

「ならば能力を全開放をして一掃すればいい」

「そんなことしたらほかの超越者に気づかれちゃうじゃない。それにほかの生徒だっているし」

「ああ、あの未熟者の集団なんて放っておいても死ぬさ。本来のハンターは俺たちのような選ばれた物だろう」

「それは同意だけど、気づかれたらどうするって話なんだけど……」

「それはばれたときに考えればいい!」

「……どうして、こんなのと兄妹なのかしら」

 男女のペアは兄妹なのか手から発火する炎を放出したり見えない斬撃を出したりと、自分と同じような超能力めいたもので怪物を攻撃し殺しの限りをつくしていた。

 よく見ると中には普通の人の存在もある。

(まずい、あいつらはただの敵でしかない。それに自分と同じ超越者ってことは殺しに来る可能性は100パーセントありうる)

 その可能性を視野に入れて後ずさりをしたがその際に背後を誰かにとられる。

「しっ、静かに」

「風見先輩」

「だからそちらへ向かうなと忠告をしたのだ。この事実だけは知られたくなかったのだがな」

「それはどういうことですか?」

「なに? まだ気づいていない? ならばいい」

 そっと手を放してこちらに背中を向けて一緒にその場から離れようと促す先輩だったが勇気は今の言葉が気になってそれどころではない。

「先輩今のどういう意味か説明してください」

「……わかった。だが、君もうすうす、感づいていることもあるのではないか? この学園には妙に君と同じように言われていた子供が多いこと。ただのハンターの育成学校にしては」

「それは……」

「教会もそれを熟知してこの学園にはそう言った境遇の子供を集めていたというべきなんだが」

「じゃあ、自分のことも最初から教会は理解していてここに追いやったってことなんですね」

「まぁ、そうなるな」

「でも、ここに悪魔がいるとわかっていたんですよね。なのにどうして」

「それは悪魔を釣るためだ。逆に悪魔を釣って超能力を持つ子供を利用し勝つすべを考えていたのだ。その代表に選ばれたのが君や私なのだよ」

「は?」

 風見先輩はそういうと腰鞘に納めた刀を取り出した、それを地面に突き刺すと冷気が迸る。

「これは兵装で出している能力ではない。これは普通の日本刀だ。これは私が能力で行っているものに過ぎない。さきほどの重力操作もそうだ」

「っ!」

「教会は昔に大悪魔アスモデウスが動き始め、多くの人やハンターを殺し始めていた時に数人の子供が生き残っているのを知っていた」

「先輩待ってください、今まで知っていてどうして隠していたんですか? 昨日も話せましたよね」

「監視システムがあったからこそ話す範囲が限られた。それに私にはそれを話すことは難しい秘密もあった」

「それはなんですか?」

「体に埋め込まれてるナノマシンだ」

「え」

「私やこの学園にいる生徒は入学した際に教会からナノマシンチップを埋め込まれてる。感情値や教会が危険とみなしたら発動するナノマシン爆弾が胸元に存在しているんだ。だからこそ、ぎりぎりの内容までしか話せなかった」

 先輩はたしかにその存在を証明するかのように胸元に縫合痕があるのを見せてくれた。

 でも、それが本当にその時につけられた傷かは怪しい。

「疑うならほかの生徒のも見てみればいい。あるはずさ」

「でも、なぜ俺たちはなんでされなかったんですか?」

「君はもとより代表の一人であり直にその監視がついていたから必要なかったといえる」

「まさか、源蔵さんのことですか?」

「その通りだ」

 ずっと昔から自分たちが監視の対象であったのだと知らされた今は何とも頭は簡単に受け入れてしまっていた。

 今はもとより教会が裏切りや暗躍を画策していた組織と知っていたからなのだろうか。

「先ほど先輩は大昔にアスモデウスがハンターを殺しまわって生き残っていた子供がいたといいましたよね、それってまさか自分たちのことですか?」

「ああ、特にハンターの中にも子供がいて、子供も殺されたのもあったが特に生き残った私たちは重宝をされていた。超越者とわかった子供は施設送りにされていた」

「施設送り……」

 思いも出せていた。勇気も最初は源蔵さんが管理していた施設で育ち、そこでアリスとは出会っていたがその施設にはほかに数人の子供がいたがあっという間に消えていた。

 次第に残ったのは自分と源蔵の実の娘のアリスだけだった。

「特に君は特異体質だったようで私の耳にも入ってくるほどに超越者としての才能とハンターの才能も優秀として覚醒させる逸材と目を付けられ、直接的監視をもとに育成するという特殊な方向を示されたようだよ」

「でも、俺は最近までまともに超越者として才覚を出さなかったんですよ」

「それは教会が超越者を危険視し、君にその能力の発露を自覚させないように画策していたからだ。いざってときのためまでに」

「いざってときって」

「アスモデウスと君が対面を見せたときだ」

「っ!」

「その時に好奇とよめば、ここに送り出すかも考えていたんだろう。でも、実際にここは悪魔の根城にもされていたから教会も頭を悩ませたんだろうね。当初は。でも、教会はそれを逆に利用することにも決めたようだったが」

「逆に利用?」

「あれを見て何も思わないのか? 怪物を殺せる超越者としてうまく仕上げさせることだ」

 勇気は生唾を飲み込み、唖然とした。

「超越者のことは悪魔が一番理解している。だからこそ、両立を伴う存在の育成の教官には悪魔がもってこいだったんだろう。もしも、何かあったときのための保険もしっかりしてあったからね」

「保険?」

「この爆弾さ。それとこの学園。そうした監視やシステムの中ならばいくら危険でも問題ない。それに危険ラインの信号を知らせると爆破する仕組みが体に埋め込まれてるのだ。そして、香織イーリスフィアットはその装置を利用され、あの二人に殺された」

「だから、あの大きな爆発が……」

「ちなみに、名倉佳奈美も同じ超越者で彼女は能力の暴走を知らせた危険ラインが越え、爆発したんだ」

「あれは何かに殺されたんじゃなくて組織がやったのか!?」

「ああ」

 あまりの事実に衝撃で口元を抑え打ち震える。

「もうわかると思うが能力は感情値で発動してしまう。私も感情値がこの話をして揺らいでナノマシンが爆破する危険性は避けたかったからこそ話しにくかったのだ」

「感情値ってでも、いろいろとあると思うのですが」

「そうだな。でも、このナノマシンの場合は都合よく私たちの能力に連動した危険な感情値を示したら爆発するものとなっている。特に私のは怪しいと思われる不安な感情値も測定されるものとなっているんだ。私は特に君の監視役に任命されたそのときにその装置に追加を施された身だからね」

 勇気はおのずと彼女がどうしてここまで自分を気にかけてきていたのかようやく理解をした。

 教会の命令とはいえ、自分の命もかかっていたからこその行動であったのだろう。

 では、今はその意味をなさないのにどうして協力的なのか疑問が残る。

「あの、先輩は今までの話を聞くと俺に協力的だったのはあくまで自分の命を思っての行動と聞こえるんですが、今はその危険性もないのになぜ協力を?」

「昨日もあったときに話をしたと思うがこっちにも事情があるんだ。そのためには君個人の力は必要だと考えてる。だからこそ、ここで死なれては困る」

「それは教えてくれないんですか?」

「今は無理だ」

「なら、俺も勝手にふるまわせていただきます。どうやら、あの人たちこちらに気づいたようですので」

 そう、ひそかに離れて会話をしていれば気づかれないわけはなかった。

 あの兄妹に。

「兄さん、遊んでいるから変なのが近くに来ていたじゃない」

「でも、ミズホこれは都合がいいぞ。なにせ、相手は超越者だ。主はおっしゃっていた。同族を殺すことで願いの成就に一歩近づけると」

「なら、手段は一つね」

 姉弟たちは手をこちらへかざす。

「「消え去れ」」

 二人の兄弟による強大な合わせ技による熱波の斬撃が勇気たちを襲い始めた――

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