第23話 無茶な訓練3
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魔物の巣窟とも呼べる森の中で魔物の存在から逃げてどうにか振り切ることに成功した。
次第に心的疲労が出始めて、そっと近くの木陰に腰を下ろした。
学外に逃げようと何度も考え始めたが風見先輩の話では――
「学外へと逃亡をしていたものを見たが退学とは真っ赤な大嘘だ。外へ出た生徒は昏倒させられたのちどこかへ連れていかれていたぞ」
との話を聞いた。
つまりはそのあとの生死は不明となっていては安心して逃げることもできない状況に置かれているというわけである。
「しかし、どうして今になってこんな大掛かりな行動を起こしたんでしょう」
「それは君が原因だろう」
「俺?」
「君はさきほど、私にも見せたあの超能力。それを今は自由に操作ができるようになったんだろう」
「いや、自由とまでは。ただ、発動くらいは簡単にできるくらいには」
「あと、私の原因もあるな。君を利用し、問題となっていた超越者の少女を二人を殺害させたことさ。あれも大きなきっかけとなったに違いないだろう」
「……」
勇気は黙りながら風見先輩を睨みつけた。
彼女は悪びれた様子もなく、逆に反論めいた口調で言葉を返す。
「そう睨むな。だったら、君はあのような二人を野ばらしにしてほかの超越者と悪魔が言う少年少女を殺させ続けてもよかったのか? 実際にいずれは君に危険だって及んでいた」
「たしかに何度も聞きましたがこのような状況を作ってしまったのならばその判断は早計だったのでは?」
「それは結果論でしかない。実際こうなってしまったことには申し訳なく思うがでも、これを起こしている奴こそが原因であり元凶だ」
「まぁ、確かにそうですけど」
実際の原因を作っているのは先輩ではなく、悪魔『アスモデウス』である。
彼女にすべて責任があるというのはおかしいことだ。
実際のところ、ここに自分がいなければ起こらなかったような話でもあったと物思いに考え込んで深く沈みこんだ。
「もしかして、自分がいなければとか考えていたりするか?」
「まぁ、それは……」
「それを考えさせるのは悪魔の罠だ。そもそも、ここに君が来た理由は教会による指金だ。君自身の決めたことではなかったはずさ」
彼女の慰めの言葉に若干の心の安寧が気づけ初めてゆっくりと顔をあげた。
その時に木陰が揺れ動いた。
思わず身構えたが、中からはボロボロの男子生徒が出てきたのだ。
不審に思う勇気の傍らで即座に風見は彼の身を案じて接近した。
「おい、大丈夫か?」
「お前は風見か……」
「先輩知り合いですか?」
「ああ、クラスメイトだ。それより、何があった?」
風見先輩のクラスメイトと思われる男子生徒は事情を説明するようにその口を開いた。
その時、わずかに差し込む月明かりに照らされ見えた鋭い牙を勇気は見逃さなかった。
「風見先輩!」
勇気は咄嗟に手にしていた銀の短剣を投げ、彼の頭へと刺さった。
「ぐがぁああ!」
銀短剣程度では彼が死なないことを勇気は理解していた。
風見先輩を超能力で突き飛ばして勇気は彼を押し倒す。
頭部に刺した短剣を手に握りしめて、彼を能力で拘束しのたうち回る彼にとどめを差し込むように強く頭頂部にまで刃が行くように前に刃を落とす。
脳みそを切断された彼の意識は一瞬でなくなる。
勇気は念のためにと、兵装を起動し、『天剣』を起動する。
とどめに首を切り落とす。
「ゆうきくん?」
「先輩、油断しましたね。彼は吸血鬼にされていました」
「すまない、たすか――」
彼女の感謝を聞く前に勇気は刃を彼女へとむけた。
「おい、何のつもりだ?」
「吸血鬼は相手に自分の血を飲ませることで他人を同族にさせてしまいます。この人、どうやら怪我をしていましたし、先輩を同族にしようと接近していたと思うので先ほど先輩が血を飲まされたのではと思ってるんですよ」
「私は吸血鬼になってなどいない。ほら、みろ」
風見先輩は頬をひっぱり、自分の口の中を見せると牙はなかった。
吸血鬼なったという傾向もなく、勇気は兵装を消す。
「先輩、もう俺はこの状況を見過ごせなくなりました。例の場所へ乗り込もうと思います」
「っ! 馬鹿なことを考えるな。あそこのことは説明をしただろう!」
「聞きました。でも、あの場所が原因ならあそこを壊さないと。それに何かあそこに行かないといけないようなそんな気もするんです」
「は?」
勇気は何か今能力を発動したときに肌身に突き刺すような電流を感じ、それはある場所から来ていた。
それは実験場があった場所だった。
「ゆうきくん?」
「アスモデウス、お前の策略に乗ってやる」
「ゆうきくん? 何を考えてる」
「すみませんが、もう行きます」
勇気は決意を固めると足早に実験場へと歩みを進め始めた。
「おい! 待つんだ! 私は許したわけでは――」
能力によって彼女を突き飛ばした。風見先輩は気絶をしたのをみて目的の場所へとむけて歩み始めた。
「待っていろアスモデウス」




