第59話 初回ボーナス特典
D01-55
「まずは初回ボーナス特典がどんなものか見てみましょう」
-「初回ボーナス特典の項目はかなり表層にあります」
-「ページを閉じる要領で表層へいってみましょう」
オレは輝く四角い板に右手を当て、
とじろ~、とじろ~と念じる。
シュンと鳴って輝く四角い板は消えた。
「消えちゃいましたね」
「だな」
失敗、失敗、気を取り直して、ダンジョンコアに手を近づける。
もう一度輝く四角い板が出てくる。
「ご主人様、止まってください」
オレは輝く四角い板に触れるか触れないかで手を止める。
「それが一番表層です」
「……一番表層はダンジョンルールか」
「はい、そしてその次の層が初回ボーナス特典です」
オレはこわれものに触れるかのように、ページを一枚めくるイメージを送る。
ダンジョンルールの文字列が浮き出て霧散する。
そして……。
新たな文字が浮かび上がった。
「おお、出てきたぞ、なになに……? 」
『ダンジョン№001:刈谷ダンジョン(仮)』
とあり、その下に、
『最初にダンジョンマスターになりました』
さらにその下に、
『→特典:ボーナスDP:1,0000』
おお、労せずしてDP1,0000ゲット!
では、さっそく……
「待ってください」
「うん、ダメなのか? 」
「取得するのは、一通り見て、ワタクシの説明を聞いて、その後にしていただけませんか? 」
「ねぇ、二人してダンジョンコアの前で何をしているの? 」
-「そこに何かあるの? 」
「へ? 」
「ああ、これは失念していました、この四角い窓は本来、ダンジョンマスターしか見ることができない仕様になっているのです」
-「他者に見えるようにするなら、ダンジョンマスターの許可が必要です」
「あれ、でもヤズナは…」
「はい、見えていますね、でもその話はまた今度落ち着いたときで良いですか……? 」
「ああ、わかった」
いちいち腰を折って悪いね、ヤズナ。
「許可する」
-「どう、沙耶さん、見えるようになった? 」
「ええ、見えるようになったわ」
-「『初回ボーナス特典』、…これが、さっきから話していた…」
沙耶さんが画面を食い入るように見る。
「『ダンジョン№001』」
-「そして、『最初にダンジョンマスターになりました』…」
-「これって、草次君がこの世界で最初のダンジョンマスターだと言うこと? 」
「違いますね、この世界にもダンジョンは既にあり、ダンジョンマスターも相当数います」
-「おそらく、新しく作り出された100のダンジョンの中で一番最初ということでしょう」
-「新しくこの世界に召喚された100人のダンジョンマスターの内、最速で行動した者が初回ボーナス特典を得られるということだと思います」
「で、オレが最初にダンジョンマスターになったと…」
-「なにかした覚えはないけどなぁー…」
「ダンジョン№001、なんだから偶々運良く(か、運悪くかは、判らないけど)、最初にダンジョンマスターに選ばれたから発生したボーナス特典ということじゃない? 」
-「フフッ、なんだか草次君らしいね」
「これに関してはなにも考えず取得してもいいかもしれませんね、取得しますか? 」
「ああ、いや、もう後でいいよ…、どうせ何も考えてないよ…」
「あ、これは失言でした」




