↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/221

第55話 エオリア王国正騎士対応長期滞在用待機宿舎

三人称です

D01-51KYS



 時間は少し遡る。

 狂った騎士の屋敷の寝室で、刈谷が体調を崩して意識を失い、沙耶が添い寝している時の話である。

 ヤズナはベッドの外で椅子に腰を下ろし、シルコワは刈谷と沙耶を挟んで、ベッドの端に座り、寝室の入り口を見ている。


「起きていますか、沙耶? 」

「……なに? 」

「ご主人様が無事回復されて、目覚められた後の話になりますが、……そのまま流れに身を任せてみてはそうですか? 」

「…………」

「ご主人様は何も身に着けていない沙耶が傍で寝ていたなら、そんな時には本能で動かれる方ですから、行き着くとこまで行ってしまうでしょう」

-「あなたは奥手ですから、こういう機会は利用した方が良いと思うのですが…」


「お待ちください、ヤズナ様」

「…何ですか、シルコワ? 」

「先程の沙耶殿が服を脱ぐ様を拝見致しましたが、物凄い色気を感じました」

-「それは600年生きた同性の魔性である私でさえ昂ぶるものがある程で、300年生きた淫魔であっても、これほどの色艶を発揮できはしないでしょう」


「なにが言いたいのですか? 」

「主様が沙耶殿と関係を持たれてなら、沙耶殿しか見えなくなると思います」

-「それではヤズナ様の望まれるダンジョン経営に、支障を来たす部分もあるのではないでしょうか? 」

「そのようなこと…、ワタクシはご主人様を信じます」

「ヤズナ様は殿方に幻想を見すぎです」


「沙耶だけを見て下さるというなら、それで良いではありませんか」

-「気にしなくて良いのですよ、沙耶」

-「ダンジョン経営はワタクシが代行し、100年でも200年でもご主人様の帰還を待ちましょう」


「豪快ですね、ヤズナ様は……」

-「沙耶殿、私は主様にとっても、沙耶殿にとっても、あまりことを急がない方が良いように思われます」

-「男女の機微は繊細なもの、義務が克ちすぎて主様を恨むようになってしまっては、元も子もありません」


「シルコワ、あなたまさか、まだご主人様の一番槍を狙っているのではないでしょうね? 」

「そのような野暮なこと、今となっては考えてなどおりません」


「ワタクシはこう考えるのです」

-「ご主人様も沙耶も、周囲に気を遣いすぎるところがありますからね」

-「お二人の間に誰かが入り込んでしまうと、お互い身を退いて自然消滅してしまう気がするのです」


「それは、…ないとは言えませんが」

-「それは私とヤズナ様で協力し、お二人の関係をどうすれば護っていけるかを考えましょう」

-「ですが、急ぎ過ぎるよりは、日々を積み重ねて行く方が、お二人にとって良い関係が築けると思います」

「ふぅむ、そういうものですか、ワタクシは人間だった頃、目の前で愛しい方を(うしな)ってしまったので、少し刹那的なのかもしれませんね」

-「しかし今の沙耶の状況とも似ている気もします」

-「沙耶はどうしたいのですか? 」

「少し時間が欲しい」

「沙耶がそういうならシルコワの提案を重視しましょう」

-「ですが沙耶、改めて言っておきますが、この世界は過酷な世界です」

-「(いたずら)に時間をかけて、後悔しか残らないような選択をしないこと望みます」





サブタイトル名は「狂った騎士の屋敷」の正式名称です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。